
【技術英検とは】工業英検からの変更点や就活に活かせる級位を解説
技術英検というものをご存知でしょうか?工業英検とは、分野を理学・工学分野に絞ったエンジニア専用の英語能力認定試験で、エンジニア系の職業への就職を検討している方にはぜひオススメしたい資格です。技術英検は2020年5月に工業英検から変更になったもので、名称以外の変更点もいくつかあります。今回は技術英検の試験概要、過去の工業英検との変更点、就活にオススメの級位まで詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
技術英検とは?
工業英検は技術英検へ
産業構造の高度化に伴い、現状の工業英検が取り扱う領域は科学技術全般に広がっていることや、大学等での科学技術英語を取り扱う科目の名称においても、「技術英語」を用いられる場合が多いことから、2020年5月より「工業英検 / 工業英語能力検定」は「技術検定 / 技術英語能力検定」に変更になります。
技術英検に関する目的や考え方等は工業英検から変わっていませんので、この見出しでは工業英検としての内容をご紹介することになります。
名称以外にもいくつか変更点がありますので、後ほど解説いたします。
技術英検とは
技術英検を主催している日本工業英語協会によれば、
1981年から公益社団法人日本工業英語協会が実施する「科学技術文書を読む能力 ・書く能力を客観的に正しく評価する」国内唯一の資格検定です。
(中略)
現場で役立つテクニカル・ライティングの基本から応用まで学ぶことができる内容となっています。
工業英検1級の合格率は、5~6%程度、国内最難関の英語資格です。TOEIC満点者でも難しい資格といわれています。
引用:日本工業英語協会(工業英検とは)
とあります。
つまり技術英検は他の英語能力認定試験とは違い、分野を理学・工学分野に絞ったエンジニア専用の英語能力認定試験である、といえますね。
法律で認定されているわけではないので制度上は民間資格に当てはまりますが、日本工業英語協会は文部科学省に後援されているため技術英検の立ち位置は国家資格と変わりません。
技術英検のメリットと特徴
日本工業英語協会のホームページでは、技術英検(工業英検)のメリットや特徴について以下のように述べられています。
-
仕事で必要な工業英語のスキルの習得
技術英検を取得できるレベルの英語力があれば、海外の技術者や研究者とのコミュニケーションに支障はありません。
-
学校団体受験の増加
-
大学での単位認定
いくつかの大学では、技術英検(工業英検)の取得が単位取得に認められている事例もあります。また、工学部の学生を対象に、最終的に技術英検(工業英検)の取得を目標とした、技術英語に特化した講座を開講している大学もあります。
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文部科学大臣賞の表彰
技術英検は年間を通して優秀な受験者には文部科学大臣賞の表彰をしています。
-
科学技術の分野に特化
科学技術英語の分野で頻出する語彙や前置詞の使い方、表現、知識を問う問題が出されます。
-
科学技術領域に特化した専門的な翻訳
科学技術領域では、翻訳のニーズは高まっている一方で専門的な翻訳者が不足しています。技術英検プロフェッショナル(工業英検1級)の取得は、翻訳業界で活躍することに繋がります。
一般的な英検とは異なり一つの業種に絞った能力認定試験であるため、その業種への就職活動で特に力を発揮します。
※参考:技術英検(工業英検)のメリットと特徴
工業英語で重視される“3C”
工業英語では、
- Clear(明確に)
1回読めば理解できる英文
伝えるべき内容の論理関係を明確にした英文
具体的でわかりやすい語句と構文を使った英文
- Concise(簡潔に)
できるだけ少ない語数で伝わる英文
簡潔でより直接的に表現した英文
読み手の負担を最大限減らした文章
- Correct(正確に)
的確な名詞や動詞が使われている英文
文法ミスや数字の間違いのない英文
という“3C”の考え方が重視されます。
これはエンジニアが使用する専門的なマニュアルや仕様書を和訳・英訳する際に、読み手によって複数の解釈が可能な文だとそれが原因で重大な事故に繋がりかねないことに関連しています。
実際、皆さんがよく目にする家電の取扱説明書などは、技術英検(工業英検)の有資格者がなるべく簡潔になるように書いています。
技術英検(工業英検)の試験でも、例えばプロフェッショナル(工業英検1級)の試験では日本語・英語で書かれている同じ製品に関するマニュアルを読み比べながら3Cを満たすように校正する、あるいは日本語で書かれた3Cを満たさない電気製品のマニュアルを3Cを満たした文に修正しつつ英訳する、といったこの工業英語の理念に沿った出題がなされます。
※参考:工業英語の要となる"3C"の考え方
技術英検(工業英検)が何を測る試験であるか、というのは分かりました。
では次に工業英検からの具体的な変更点について見ていきましょう。
工業英検からの変更点
変更点
- 名称を「工業英検/工業英語能力検定」から「技術英検/技術英語能力検定」に変更
- 上級レベルの資格については、級の名称を「1級」「2級」から「プロフェッショナル」「準プロフェッショナル」に変更
試験については同一の問題を使用し、得点率に応じて判定を行う
- プロフェッショナル以外のレベルの級の名称を、「準2級」「3級」「4級」から、「1級」「2級」「3級」に変更
- 技術英検1級(旧準2級)の記述式問題の出題形式と配点を変更
- 令和2年度(2020年度)は、年3回の実施(開催月5月、11月、1月)
ただし、プロフェッショナルのみ年2回
- 準プロフェッショナル(旧:工業英検2級)の検定料が7300円から16500円に変更
また、試験時間が100分から120分に変更
工業検定合格者の資格表記について
名称変更後も、工業英検合格者の保有資格は工業英検で、技術英検と表記することはできません。
履歴書やエントリーシートに記載する場合は注意が必要です。
↓その他の変更点や概要についてはこちらをご覧ください。
工業英検から技術英検へ 日本工業英語協会HP
では次に技術英検の受験日や受験料についてご紹介していきます。
技術英検の受験費用・受験日
技術英検は1級〜3級、プロフェッショナル・準プロフェッショナルとレベル分けがされています。
以下に、個人で申し込む場合の、それぞれの級の受験日・受験料について表にまとめました。
級 | 受験日 | 受験料 |
プロフェッショナル (旧:工業英検1級レベル) |
5・11月 | 16,500 |
準プロフェッショナル (旧:工業英検2級レベル) |
5・11月 | 16,500 |
1級 |
1・5・11月 | 6,400 |
2級 (旧:工業英検3級レベル) |
同上 | 5,300 |
3級 (旧:工業英検4級レベル) |
同上 |
2,600 |
表からわかることとして、
・プロフェッショナルの受験料が格段に高い。
・1級から、受験日が増える。
などが挙げられます。
それでは、次の項で表からだけでは分からないそれぞれの級の問題傾向や構成、難易度について詳しく見ていきましょう。
1級〜4級まで大きく系色の異なる工業英検
技術英検は難易度順にプロフェッショナル・準プロフェッショナル・1〜3級となっています。
以下、級ごとに、問題形式、試験時間、合格率を表にしてまとめました。
級 | 問題形式 | 試験時間 | 合格率 | 辞書 |
プロフェッショナル (旧工業英検1級) |
2020年2月開示予定 | 120分 | 11% | 2020年2月開示予定 |
準プロフェッショナル (旧工業英検2級) |
2020年2月開示予定 | 120分 | 42% | 2020年2月開示予定 |
1級 (旧工業英検準2級) |
記述+マーク | 80分 | 55% | 持ち込み不可 |
2級 (旧工業英検3級) |
マーク式 | 70分 | 43% | 持ち込み不可 |
3級 (旧工業英検4級) |
マーク式 | 60分 | 32%(52 %) | 持ち込み不可 |
※工業英検時の合格率を記載
3級(旧工業英検4級)の合格率は直近のものが例年より低かったため1つ前の回の合格率も併記
また、一年分の過去問(現時点では工業英検時のもの)が日本工業英語協会のホームページに掲載されているので、気になった級の問題は問題構成や難易度などをご自分でも確認してみましょう。
共通して全ての試験は筆記試験のみで、面接試験はありません。
また、こちらの記事で技術英検(工業英検)の勉強方法について詳しく解説しているのでこちらもぜひ参考にしてみてください。
▶︎ 高難易度の工業英検!効率良く取得できる2つの勉強法とは!?
続いて、各級それぞれを詳しく解説していきます。
プロフェッショナル・準プロフェッショナル
プロフェッショナル・準プロフェッショナル共に、
- 実務で科学・技術分野の英語文書に携わる方・技術者・研究者
- 論文の執筆・指導に携わる方
- 翻訳者
- 翻訳者を目指す方 を対象にしています。
プロフェッショナル・準プロフェッショナルでは、科学・技術分野の英語文書を正しく解読し、明確に、簡潔に書くスキルが求められます。また、文書のスタイルは種類ごとに正しく使い分けることができなくてはなりません。
合格基準はそれぞれ
-
プロフェッショナル:合計で75%以上の正解(150点以上)
ただし特典が50%未満の回答が1問でもあると合計得点に関わらず不合格
- 準プロフェッショナル:合計で60%以上の正解(120点以上) となっています。
プロフェッショナルの試験を突破するためにはあらゆる文に関してそれなりの精度で読むことができるスキルが必要になってきます。
ここがTOEICと大きく異なる点で、TOEICで出題される英語はビジネス英語なので大意が掴めれば細部まで高い精度で読む必要はないのに対して、技術英検では大意はもちろんのこと微妙なニュアンスや解釈を間違えてはいけないのです。
1級
1・2・3級では
- 科学・技術分野の英語文書に携わる方・興味のある方
- 技術者・研究者
- 技術系会社で働く企業人
- 理工系分野の生徒・学生
- 技術者・研究者を目指す生徒・学生
- 翻訳者を目指す方 を対象にしています。
技術英検1級はマークシートと記述式の問題になります。
科学・技術に関する英文を読むことができ、英文資料の要約・議事録、英文メール等の短文を書くことができるスキルが求められ、合格点は60%以上(120点以上)となっています。
2級
2級では、科学・技術英語の語彙力が身についており、構文・文法を理解していることが求められます。
合格ラインは60%以上の正解で120点以上になります。
選択式の問題だからといって油断せず、しっかりと対策を行いましょう。
3級
3級では、科学・技術英語の基礎的な語彙力が必要で、構文の基礎を理解していることが求められます。
合格ラインは60%以上の正解で、120点以上です。
3級は60問弱の問題数に対して試験時間が60分のため、時間配分の難しい試験という一面もあります。
※参考元:技術英検 日本工業英語協会
技術英検を就職に使うなら2級がおすすめ!
実際に技術英検を就職でのアピールポイントに使うなら、次の3点の理由から、2級を取得することがおすすめです。
- 受験日が多い!
- 難易度が高くない!
- 合格率がそこそこ低い!
これらについて、一つずつ解説していきます。
受験回数が多い
資格試験において、試験が頻繁に行われていることは、取得の可能性が高まることに直接繋がるので間違いなく大きなメリットです。
プロフェッショナルは年2回の実施に対し、1〜3級は年3回の実施となっています。
難易度が高くない
2級の試験は正直に言うとそこまで難易度が高くありません。
英単語に理学・工学の専門用語が頻繁出てくるためその部分の対策は必ずしなければいけませんが、その他の文法や並び替えの問題に関しては中学英語のレベルに留まります。
難単語の対策を行なって適切な準備をすれば合格の狙いやすい試験であるといえます。
合格率がそこそこ低い
例えば一般の英語検定の試験では3級以降の合格率は50%を超えていますが、工業英検の2級合格率は40%前後に留まっています。
エンジニアを募集している企業であれば、技術英検の存在と合格率くらいはおそらく既知だと思います。
そこで技術英検2級を保有していることをアピールできれば有利になることは間違いありません。
以上の3つの点から、技術英検を就活でアピールするなら2級をおすすめします。
技術英検まとめ
以上が技術英検に関するさまざまな情報でした。
どうしようか迷ったら、まずは日本工業英語協会のサイトにある過去問を確認し、無理せず取れそうな級位に向けてとりあえず勉強を始めてみることがおすすめです。
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