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化粧品 将来性

【就活生必見】化粧品業界の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

化粧品業界は女性を中心に圧倒的な人気を誇ります。化粧品に興味のある方は好きなことを仕事にすることができます。男性でもスキンケアに興味のある方は増えており、化粧品業界は人気の高い業界です。多くの学生にとって身近な存在である化粧品業界ですが、ビジネスモデルや業界のトレンドなどを理解していない学生は意外と多くいます。就活を行うにあたって、業界について理解して、その上で自分のスキルや能力をどのように活かしていくのかを面接官に伝えましょう。この記事では化粧品各社の有価証券報告書や公的機関のレポートをもとに化粧品業界の業界研究を解説しています。ぜひ最後まで読んで、化粧品業界の就活対策を万全にしてください。

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化粧品業界とは

この記事の文字数は10223文字です。この記事は約26分で読むことができます。

この章では化粧品業界の次の内容について解説していきます。

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンド

それではさっそくみていきましょう。

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業界構造

化粧品とは

化粧品メーカーは化粧品を開発、製造、販売するうことで収益を上げている企業です。化粧品メーカーの就活をする上で化粧品に関する必要最低限の知識は知っておきましょう。

薬機法においては化粧品とは「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」と定義されています。医薬品医療機器法においては医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品の4つのカテゴリーの1つに分類されています。

一般的には化粧品は「美しさ」を追求する商品であり、顧客の主なターゲットは女性です。「美しさ」とは外見の他にも肌の改善効果、使用感、ブランド、ブランドを使用する自尊心、喜びなど様々な要因があります。

経済産業省の工業統計表においては化粧品は、香水・オーデコロン、頭髪用化粧品、皮膚用化粧品、仕上用化粧品・特殊用途化粧品の5つに区分されています。

一般的には化粧品はスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ヘアケア化粧品、ボディケア化粧品、フレグランス化粧品の5つに分類されています。それぞれの用途は以下のとおりです。
 

スキンケア化粧品 肌のコンディションを整える
メイクアップ化粧品 肌や顔をパーツを美しくみせる
ヘアケア化粧品 シャンプーやリンスを含み、髪を美しく保つ
ボディケア化粧品 手や足、ボディの肌やコンディションを整える
フレグランス化粧品 香水など

 

原価率を抑制するビジネスモデル

化粧品メーカーのビジネスモデルとして特徴的な点はいかに原価率を抑制するかが重要であるという点です。化粧品は化粧品特有の保温・美白・仕上がり・色彩など様々な効果が売れ行きを左右する要因ではありますが、そういった商品の質だけがすべてではありません。化粧品は成分やその効果のほかにもブランドに対する信頼感、ブランドの商品名、パッケージ、CMなどの広告宣伝、販売方法などが売れ行きを左右します。

したがって、成分そのものだけではなく、開発・製造にあたってコストがかかる商品です。例えば、化粧品の宣伝に有名女優やモデルを起用して、ゴールデンタイムにCMを流すと多大なコストがかかります。

一般的に化粧品の原価率は25~40%と言われており、一部では「化粧品はぼったくり」と言われるほど原価率が低い商品です。一方で経費率は50%程度と高くなっています。これは研究開発費や光熱費の他、人件費や機材代、広告費などが含まれ、特にブランドイメージが重要になるため有名女優やタレントの起用やCMなど高い広告費が必要になるからです。

したがって、化粧品メーカーが利益を上げるためには原価率や経費率を抑制して、利益率を高めることが他の業界以上に重要になります。

化粧品の原価率や利益率

一般的なビジネスモデル

化粧品メーカーの最も一般的なビジネスモデルはBtoBtoCビジネスです。他の一般消費財と同様に化粧品メーカーは商社や化粧品卸売業者から原材料を仕入れて、自社で開発・製造し、完成品を化粧品卸売業者に販売します。

卸売業者は多くの化粧品メーカーから商品を仕入れて、ドラッグストアやコンビニエンスストア、百貨店などに中間マージンを乗せた上で、販売します。小売店が卸売業者から仕入れた化粧品の完成品を最終消費者に販売します。
 

化粧品メーカーのビジネスモデル
小売店では化粧品が陳列され、消費者が気になる商品を手にとって、試用したりした上で、購入します。
 

制度品化粧品

制度品化粧品とは化粧品メーカーのビジネスモデルの一つであり、BtoCビジネスに分類されます。資生堂やカネボウ、コーセーなどの化粧品メーカーが直接小売店と契約して、自社製品を販売します。化粧品は化粧品メーカーの販売子会社や支店を通じて、店舗に納入され、メーカーから派遣されたビューティカウンセラー(美容部員)がカウンセリングを通じて、直接きめ細かな販売活動をします。

制度品化粧品メーカーのビジネスモデル
制度品化粧品のビジネスモデルは多額のコストがかかるので、大手の化粧品メーカーのみがこのシステムを使って、ビジネスを展開しています。
 

通信販売

消費者がテレビやインターネット、カタログ、雑誌などを通じて、気になる化粧品の情報を入手して、化粧品メーカーに直接自社製品を注文し、消費者に商品が郵送されます。化粧品の通信販売はファンケルやDHCなどの大手の化粧品メーカーが化粧品業界に参入した1980年代に始まったビジネスモデルです。

その後はAmazonや楽天などの大型のECサイトに出品を始めますが、顧客と直接接点を持つために自社サイトに通信販売のサイトを設立し、消費者がいつでも、どこでも商品を購入できる体制を整えています。自社サイトを通じて、商品を購入したもらうことで顧客情報を入手し、メールマガジンやDMといったダイレクトマーケティングに繋げ、リピーター層・ファン層を増やす取り組みを加速させました。

近年では、InstagramなどのSNSを通じて、フォローしている著名人や憧れの人物が愛用しているコスメアイテムを通販購入する層も増えています。
 

訪問販売

化粧品の訪問販売とは化粧品メーカーの販売員が販売商品を携行して、顧客の住宅を訪問して、顧客に商品を紹介するとともに肌の手入れ方法やメイクアップ方法を指導します。販売後も肌の状態や商品の満足度を確認するアフターサービスを行っています。

従来の訪問販売は在宅率の高い専業主婦をメインターゲットとしていましたが、時代の変化によって女性の社会進出が進み、専業主婦の在宅率が低下すると訪問販売市場は縮小しました。従来、訪問販売を行っていた化粧品メーカーはサロン展開や店舗展開を拡充し、販売チャネルを多角化しています。
 

市場規模・将来性

市場規模

業界動向リサーチによれば、2019年-2020年の化粧品業界の市場規模(主要対象企業15社の売上高の合計)は2兆2,805億円となっています。

経済産業省の化粧品産業ビジョン検討会が発表した「化粧品産業ビジョン」によれば、世界の化粧品市場規模は約4,263億USドル(2019年、約46.5兆円)、日本の化粧品市場は約350億USドル(同年、約3.8兆円)であり、米国(同年、約777億USドル(約8.5兆円))、中国(2019年、約572億USドル(約6.2兆円))に次いで世界第3位の化粧品大国となっています。

化粧品市場規模の内訳
日本製の化粧品は、高い機能性と品質、信頼性や安全性が海外で評価されています。外国人観光客による需要が急速に増加しており、2019年には出荷額が1.7兆円を超え、過去最高を達成しました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、外国人観光客による需要が急速に落ち込み、国内需要も外出自粛の影響で減少し、日本の化粧品メーカーの売り上げが大幅に減少しています。

さらに、中長期的には、欧州での化粧品に対する厳格な環境規制や、持続可能な開発目標(SDGs)への消費者の意識の高まりなどに適応する必要があります。また、韓国や中国の化粧品メーカーの台頭により、特にアジア市場における世界的な競争が激化しています。

同レポートによると、日本の化粧品産業では事業所数と従業員数が増加傾向にあります。2008年から2018年の間、製造業全体では事業所数が3割近く減少しましたが、化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品製造業では20人未満の小規模な事業所は減少しているものの、全体では7.4%増加しています。

同様に、従業員数についても、製造業全体が7.0%減少した中で、化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品製造業は42.8%も増加しています。これらのデータから、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受けつつも、化粧品産業は近年の日本の製造業成長を支える重要な産業の一つと言えます。

2019年の販売実績を見ると、化粧品の販売経路は、ドラッグストアが36.6%を占め、その後に百貨店(12.6%)、訪問販売(10.6%)、公式通信販売(8.5%)、化粧品店/薬局・薬店(7.9%)、そして量販店(7.8%)が続いており、上位6つのチャネルが全体の約8割を占めています。

世界の化粧品市場に関する同レポートによると、その市場規模は拡大傾向にあり、特に中国市場が大きく成長しています。化粧品の一人当たり消費金額は、一人当たり名目GDPとの間に正の相関関係があり、GDPが成長する条件下では、その国の化粧品市場も拡大する傾向があります。

特に経済成長が見込まれるアジア圏では、日本と比較して化粧品市場がより大きく拡大する見込みです。日本の化粧品産業が成長を考えると、特にアジア圏における需要をどれだけ取り込めるかが非常に大切になってきます。

 

化粧品市場の今後
ここ数年、インバウンド需要と輸出の拡大により日本の化粧品出荷額は増加傾向で推移し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の2019年には過去最高額を記録しました。輸出額の推移を見ると、2015年頃から輸出が大きく伸長し、2016年には初めて輸出額が輸入額を上回りました。

出典:化粧品産業ビジョン
 

将来性

将来性について考える上で重要なポイントは国内の男性向け化粧品市場の拡大と海外市場の拡大です。

男性向け化粧品市場は富士経済によると2019年のフェイスケア市場は257億円(前年比5.3%増)となっており、調査会社の株式会社インテージによる日々の買い物データSCI®(全国消費者パネル調査によれば、、5年間(2015-2019年)で109%と拡大しています。スキンケア商品に加え、コンシーラーなどのメーキャップ商品も売れています。女性向け化粧品市場と比べるとまだまだ小さい市場ですが、今後もさらに成長が見込める市場です。

男性化粧品市場の現状
また、海外市場の成長も期待できます。世界の化粧品市場規模は約4,263億USドル(2019年、約46.5兆円)となっており、日本製の化粧品は、外国人観光客によるインバウンド需要が増大していることが追い風です。

直近では新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行により、外国人観光客によるインバウンド需要は縮小していますが、コロナ禍が過ぎれば、再び拡大が期待できます。特に中国市場の拡大は期待でき、中国からの観光客は1,000万人弱と全観光客の3割を占めます。観光庁の訪日外国人の消費動向調査によれば、化粧品・香水の平均購入率が40.5%となっており、中国人観光客に限ってみると、購入率は79.3%、購入者単価は64,468円と大変高い結果となっていました。

中国市場の拡大
対中国向けの輸出が近年急拡大しており、新型コロナウイルス感染症の流行下においても変わらず好調に推移しました。さらに、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の「中国の消費者の日本製品等意識調査(2018年12月)」によると、中国の消費者に日本から越境ECで購入した製品・購入したい製品は、どちらも基礎化粧品が1位という結果になりました。

出典:化粧品産業ビジョン

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業界の分類

大手化粧品メーカー

明確な定義はありませんが、化粧品業界で大手と言う場合は資生堂、コーセー、花王、ポーラ・オルビスHDなどがあります。
 

最新のトレンド

市場は拡大傾向

化粧品業界の市場規模は近年拡大傾向にあります。経済産業省の生産動態統計年報によれば、化粧品出荷額の推移は以下のとおりです。

化粧品出荷額の推移(兆円)

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
出荷額 1.51 1.50 1.39 1.42 1.40 1.40 1.42
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
出荷額 1.48 1.50 1.52 1.63 1.69 1.76 1.47


化粧品業界の市場規模の前提条件として化粧品の一人当たり消費金額は、一人当たり名目GDPと正の相関関係にあり、GDPが成長する条件下ではその国の化粧品市場は拡大するという特徴があります。

化粧品業界の市場規模は2008年までは堅調に拡大を続けていましたが、アメリカのサブプライムローン問題やリーマンショックによる世界的な金融危機により、世界景気が悪化。それによって、2009年以降は市場は縮小しました。しかし、2012年以降は政権交代や政府の経済政策によって、再び拡大しました。2015年には金融危機以前の水準に回復し、2019年には1兆7,600億円を突破しました。しかし、2020年には前年の過去最高額の更新から一転し、前年比16.3%減の1兆4,749億円となりました。

品目別出荷額の構成比を見てみると、化粧水や乳液等の「スキンケア用品」が52.3%と、全体の半分以上を占めています。シャンプーやリンス等の「頭髪用化粧品」は25.0%、ファンデーションなどの「仕上げ用化粧品」は16.5%、残りは日焼け止めや香水などになります。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、2020年は化粧品業界全体の売上は大幅に減少しました。これまでは中国を中心とする訪日外国人観光客のインバウンド需要に支えられていた面もありますが、政府の渡航制限によってインバウンド需要が消滅し、恩恵がなくなりました。

また、政府による百貨店への営業自粛要請や在宅勤務の普及、外出自粛によって口紅やアイメークアップなどのメイク用化粧品を中心に消費が減少しました。

また、緊急事態宣言の発令によって時短営業や外出自粛が広がり、各店舗の来客者数は減少しました。特にマスクの定着が進み、外出時のマスク着用で口元が隠れることから、口紅の需要も大きく減ったと推測されます。

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