
【社会的企業とは?】特徴や定義、具体例などについてご紹介
皆さんは「社会的企業」というものをご存知でしょうか。これは、一般の企業と違い、営利目的ではない企業のことを指しています。環境・福祉・教育といった社会的課題に経営やビジネスの手法をもって貢献しています。今回の記事では、この「社会的企業」の特徴や定義、事例についても詳しく解説していきます・ぜひご一読ください。
社会的企業とは
まずは社会的企業とはどのような企業とはどのようなものなのかについて説明いたします。
社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)
一般的な企業は営利団体なので利益を追及します。
しかし、社会的企業とは、営利を目的としません。
事業を通じて社会的な目的の達成をめざすNPOなどが該当し、英語ではソーシャル・エンタープライズ(Social Enterprise)と呼ばれます。
しかし、社会的企業はただのボランティアを行うわけではなりません。
環境、福祉、教育といった社会的課題に対して経営やビジネスの手法をもって貢献することに特徴があります。
つまり、利益は目指さないものの、やっていることはビジネスマンと同様の仕事をしているのです。
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社会的企業の定義は各機関によって異なる
上記では社会的企業の定義についてお伝えしましたが、正確に言えば、各機関で異なります。
では、どのように定義されているのかを見ていきましょう。
内閣府
内閣府において、社会的企業というのは、以下のポイントが満たされている企業を指します。
・利益は活動継続のため再投資
・社会的・環境的に深く根ざす課題に対して新しい方法で解決
・採算が取れていてかつ、社会・環境課題の解決に責任を有す
・公共サービスや政府のやりかたの改善を支援
・政府のサービスが届かない所でも活動を実施
・ 企業倫理、社会的責任の水準の底上げ
細かく定義が挙げられていますが、冒頭でお伝えした定義と内閣府の社会的企業は大きく変わらないとお考えください。
貿易産業省中小企業局
・日々の活動が製品、サービスの提供し、その対価として金銭を受取っている
・25%以上の資金を企業活動から獲得
・社会的・環境的な課題解決を追求することを目的とした企業
・企業活動で得た利益を社会的・環境的な課題解決のために再投資
社会的企業の目的については内閣府の定義に沿っていますがお金の使い方にかなり言及しています。
ロンドンの社会的企業
ロンドンの社会的企業の定義は、上記の2つとはやや異なっています。
・営業上の利益を生み出していくことを追求する。
・雇用創出や職業訓練、あるいは地域サービスの提供等明確な社会的目的を有す
・地域住民の能力向上への貢献を含む倫理的な価値を有す
・社会的、環境的、経済的影響について社内外に説明責任を有す
・組織として自立している
・利益は、配当として関係者に分配される、もしくは社会の利益のために使用
目的は一緒ですが、利益はしっかり追及し、関係者に分配しましょうというところが内閣府、貿易産業省中小企業局と異なるところとなっています。
社会的企業の企業形態
4種類に分類される
社会的企業と一口に言っても大きく以下4点に分類されます。
・保証有限責任会社
・株式会社
・産業・共済組合
・コミュニティ利益会社
コミュニティ利益会社と他3点の大きな違いは社会的企業を促進させるために作られた会社形態か、既存の枠組みで社会的企業をさせたものなのかという点で異なります。
そのため、コミュニティ利益会社の形態を取っているか否かはコミュニティ利益会社が生まれた2005年以降かそれ以前かというのが目安になるとお考えください。
CSRと深く関わる
社会、環境に貢献するというのが社会的企業に求められますが、実は一般的な株式会社においてもCSR(企業の社会的責任)という形で社会や環境への貢献が求められます。
つまり、社会的企業は会社設立の目的が社会、環境に貢献となりますが、一般の株式会社は利益追求の中で社会、環境に貢献していなければならないということになります。
目的と手段という点で異なるものの社会貢献は必要となるのです。
社会的企業の特徴
では、社会的企業の特徴について言及していきましょう。
ボランティア団体とは違い資金源は自ら調達
社会的企業はボランティア活動やチャリティー活動と同様に社会的な課題解決のために活動する団体ではあります。
しかし、社会的企業はボランティアと異なるのは、民間企業同様に有償であるということです。
有償であるが故に、市場において充分な競争力がないとそのサービスを利用されません。
そのため、社会的企業の提供する商品・サービスの品質は高品質で、提供した商品、サービスの利益から資金源を産み出していくことになるのです。
営利目的とした事業形態ではない
社会的企業と一般的な株式会社との違いは、常に利益の最大化を目指すかどうかという点にあります。
一般的な企業のミッションは利益の最大化です。対して、社会的企業のミッションは社会的課題の解決です。
利益を出すのはミッションを達成するための手段の1つということになります。
つまり、上述でも触れましたが、一般的な株式会社のミッションである利益追求は、社会的な企業の手段の1つであり、社会的企業のミッションである社会的課題の解決が、一般的な株式会社の手段であると捉えていただくと良いでしょう。
社会的企業の例
では具体的な社会的企業例を以下で紹介いたします。
ベン&ジェリー
ベン&ジェリーは1978年に生まれたアイスクリームの製造・販売を行っている会社です。
「アイスクリームを通して、社会を良くしていく」という思いを持ち、事業を運営しています。
そのため自社にかかわるすべての人が「共存共栄」できる社会を目指し、原材料をフェアトレード価格で買い取る「製品における使命」、収益を出し続ける「経済的使命」、社会問題を啓発する「社会的使命」という3つのミッションを課しているのです。
結果、ベン&ジェリーの原材料は全てフェアトレードで仕入れを行い、若手の企業家育成プログラムを実行し、社会的企業の草分けとして事業運営を行っています。
株式会社HASUNA
株式会社HASUNAは日本のジュエリーブランドで、労働環境や自然環境へ配慮を大事にしています
そのため、素材選びの際には必ず現地へ足を運び、劣悪な労働条件で発掘が行われるケース宝石や貴金属の採掘現場において、フェアトレードでの仕入れを徹底しています 。
ジュエリーという切り口で、業界の問題を解決していこうとして事業運営を行っているのです。
株式会社吉田ふるさと村
吉田ふるさと村は島根県の過疎化した自治体の雇用創出を目的にした第3セクターの食品加工会社です。
赤字補填をしない方針のなか、着実に売上を伸ばし、ヒット商品も生まれました。
町興こしという観点でも非常に高い社会貢献している会社なのです。
まとめ
社会的企業と一般的な株式会社において大枠はそんなに変わりません。
しかし、一般企業が本来商品を認めてもらうための手段として社会貢献、責任を大事にします。
しかし、社会的企業は、社会貢献をするために提供する商品・質を大事にしています。
そしてどちらが良いというわけでもありません。
目的と手段は違えども、ユーザーに喜びや満足を与えていること、このことが重要だと言えます。
全ての企業が利益を目的としている、とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、そういう訳ではなく、あくまでも社会貢献を全面にしている企業がある、ということを認識してもらえたらと思います。
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