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総合商社 業界研究

【就活生必見】総合商社の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

就活生人気No.1といっても過言ではないのが、総合商社です。都内の有名私立大学や旧帝国大学の学生が一度は就活候補に入れ、そして内定者のほとんどが有名私大・旧帝大の学生が集まる、まさに就活最難関業界です。なので大切なことは、総合商社についてどれだけ正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、商社でどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事では総合商社の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、総合商社の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、総合商社の就活に挑みましょう。

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総合商社業界とは

この章では総合商社業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造


トレーディング
トレーディングの仕組み

トレーディングとは総合商社が仲介業者としての役割を担うことです。分かりやすく言えば、「取引や貿易の仲介」です。

原料・製品・販売などサプライチェーンにおけるそれぞれのフェーズに置いて、製品を売りたい企業Aと製品を買いたい企業Bの双方を顧客として、AとBの間に立って橋渡しをして、マッチングさせるビジネスです。したがって、トレーディング事業は「仲介業者として需要と供給をマッチングさせ、物流や金融などの機能を付与し、スムーズな商流を構築する事業」と定義できます。

このマッチングによって総合商社は「コミッション」と「マージン」を得ています。コミッションとはAとBの仲介をした仲介手数料であり、売り手のAと買い手のBの間の取引の仲介をしたことによってコミッションを得ています。マージンとは売値と買値の差額です。例えば、Aから100万円で仕入れて、Bに120万円で売却した場合は差額の20万円がマージンとなります。総合商社は仕入れ値と売値の間にギャップを作り、この差額をマージンという形で収益としています。

さて、このように総合商社のトレーディング事業を見ると、単に商材を右から左に流すだけのビジネスのように見えます。
実際にインターネットが普及し、売り手と買い手が総合商社の仲介なしに直接取引をするようになってから、「仲介業者は必要ない」という「総合商社不要論」が唱えられました。

高度経済成長期には総合商社はトレーディングをメインビジネスとして収益を上げてきましたが、今ではトレーディング収益は縮小傾向にあります。しかし、縮小しながらも依然総合商社のメインビジネスの一つとして存続しています。なぜ、総合商社はトレーディングビジネスを続けることができるのでしょうか?それは総合商社だからこそ提供できる「商流を円滑にする機能」があるからです。

総合商社はトレーディングビジネスを展開する際に「物流機能」「金融機能」「情報機能」の3つの機能を有しています。

総合商社の物流機能

「物流機能」とはロジスティクス機能とも言われ、例として、船舶などの輸送手段の手配、輸出入の手続きが挙げられます。企業が貿易を行う際には商材を運搬する物流手段の確保や物流上の手続が円滑に進むことが重要です。総合商社は世界中に幅広いネットワークを有し、陸上、海上、空輸などすべての物流手段を準備しています。また、最近では総合商社が物流事業に参入し、巨大倉庫などの物流設備の整備やIT×物流で物流情報システムを構築するなどの取り組みを活発化しています。企業は単独で取引をするのではなく、総合商社を通じて、取引や貿易を行うことで、安全性・効率性を重視した物流手段を確保できるのです。

総合商社の金融機能

「金融機能」とは購入代金の立替えや融資、保険機能の付与などが該当します。総合商社の金融機能を活用することで、買い手は商材を輸入した段階で購入代金を支払うのではなく、一旦は総合商社が購入代金を肩代わりして、総合商社と取り決めた期日に後日支払う信用取引ができます。このように総合商社を仲介業者とすることで、売り手は早期に資金を回収し、買い手は支払い猶予を得ることができます。また、総合商社は貨物の輸送に対する損害保険なども取り扱っているので、貿易をスムーズに行うことができます。これらの金融機能は豊富な資金力を有する総合商社だからこそ出来ると言えるでしょう。

総合商社の情報機能

「情報機能」とは例えば、販路開拓のための情報提供、マーケティング機能などです。総合商社はトレーディングビジネスを通じて、膨大な企業データを保有しています。それを活用してあらゆる商材の買い手となる企業を探すことができます。また、買い手だけではなく、売り手の場合も全世界にある総合商社のネットワークを駆使して、検索することができます。売り手も買い手も総合商社の情報機能を活用することで、最適な取引相手・貿易相手を見つけることができるのです。


事業投資
インターネットが普及して以降、トレーディング事業が縮小する中で、総合商社が本格的に力を入れたのが事業投資です。これは総合商社がこれまで培ってきたノウハウを活かし、ある企業へ投資を行ない、利益を得るというビジネスモデルです。総合商社がある企業に総合商社の保有するヒト・モノ・カネ・情報を投資して、新たなビジネスを創造する重要なアプローチです。

事業投資について

事業投資においては投資先の企業の株式を買収するところから始まります。企業の業績や将来性を考慮し、企業が発行する株式の全部又は一部を取得し、企業の大株主となります。総合商社は単に株式を取得するだけではなく、投資先に社員を派遣したり、製品を作るための素材を確保する、総合商社の世界中にあるネットワークを提供するなどして、企業の経営を強化し、投資先企業の企業価値の最大化を目指します。

事業投資によって、企業のバリューアップを図り、取得した株式に見合うリターンを得ます。このリターンとは「取込利益」「配当金」「キャピタルゲイン」「シナジー効果」の4つに大別されます。

取込利益とは

「取込利益」とは投資先の利益の一部を自社の利益としてカウントするという会計上のルールであり、それに基づいて投資先の利益を自社の利益に取り込むことです。取込利益は連結決算に反映され、利益の大きさは投資先企業の利益や出資比率によって決定されます。

配当金とは

「配当金」とは一般的な株主と同様に投資先が利益を上げた場合に株式を保有していることで分配される配当金です。

キャピタルゲインとは

「キャピタルゲイン」とは株式の売却の際に生じるもので、投資先の資産価値上昇によって得られます。総合商社は投資先企業に対して、社員を派遣したり、世界中の幅広いネットワークを駆使して、企業価値の向上に努めます。そして、投資先のバリューアップが達成できたら、企業の株式を売却して、投資した金額と売却した金額の差額をキャピタルゲインとして獲得するのです。

シナジー効果とは

「シナジー効果」は新規ビジネスの創出とも言い換えられます。つまりは複数の企業が協業することで得られる効果です。これこそが総合商社が事業投資を通じて追求する本質的なメリットであり、奥が深いものです。新規ビジネスは既存ビジネスの掛け合わせ、企業の協働によって生まれます。総合商社が複数の企業に投資して、それらのシナジー効果を狙っています。豊富な資金力と幅広いネットワークを有する総合商社を中核にして、企業グループを形成して、総合商社×投資先企業、投資先企業×投資先企業といったシナジー効果を最大化できます。このシナジー効果こそ、総合商社の事業投資がその強みとするポイントです。

市場規模・将来性


市場規模
総合商社大手8社の売上高合計を国際会計基準(IFRS)に準拠した形で見ると2018年には42兆円、2020年には53兆円となっており、巨大市場であることがわかります。

また、Forbesは世界の公開会社上位2000社のランキングリスト「Forbes Global 2000」と毎年公表しています。これによれば、日本の総合商社は”Trading Company”に分類され、世界の”Trading Company”上位10のうり日本の総合商社が7社ランクインしています。しかも総合商社5社が上位5社を独占するなど圧倒的な存在感を示していることがわかります。

また、ランクインした他国の商社のなかで、日本の総合商社のような取扱品目や機能の多様性、グローバルなネットワークを持ち合わせた企業はありません。


将来性のある分野
総合商社は専門商社と異なり、幅広い事業領域を持っています。なかでも最も将来性があると見られているのが「資源分野」と「医療・ヘルスケア分野」です。

人が生きていく上でガスや電気の燃料となる資源は不可欠ですが、日本は天然資源に乏しく、外国からの輸入に頼っています。したがって、貿易分野に強みを持つ総合商社は資源分野で活躍します。

また、日本では東日本大震災以来、脱原発が提唱され、資源分野ではこれまでの主力事業であった原発や石油に代わる形で再生可能エネルギーやクリーンエネルギー、レアメタルをはじめとする鉱物資源の採掘などが注目されています。

このほかにも近年関心が高まりつつある海洋汚染問題によってプラスチック製品の利用を見直す動きがあり、新しい資源や技術への関心が高まっており、総合商社も商機を見出そうとしています。

また、日本は少子高齢化が進行し、超高齢化社会の到来に備えて、医療技術のさらなる進展が期待されています。さらにもともと人が健康で長く生きるためには医療技術は欠かせないものですので、日本のみならず、世界的にも健康志向は高まっています。日本を含む先進国や新興国など世界中で医療技術の需要が伸びる中で、医療機器の市場は今後も拡大すると考えられます。総合商社も医療分野への投資を増やしており、今後の主力事業になることが期待されます。

業界の分類


5大総合商社
5大総合商社とは三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事の5社を指します。総合商社のなかでも最も業績の良い上位5社です。

世界で最も有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が総合商社5社の株式を取得し、5%を超える大株主となったことでも知られています。
同氏は今後10%近くまで株式の取得を進める方針であり、総合商社の成長性・将来性の高さがわかります。


8大総合商社8大総合商社

以前は10大総合商社と呼ばれていましたが、業界内の再編や事業領域の縮小によって、8社に集約されました。8大総合商社とは三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事の5大総合商社に双日、豊田通商、兼松の3社を加えたものです。

最新のトレンド


資源回帰の動き
総合商社各社の決算は2018年3月期・2019年3月期ともに連続最高益を記録しました。これはそれまで主力事業であった資源分野から非資源分野に注力したことが大きな要因です。例えば三菱商事が投資したルウェーのサケ養殖会社セルマック、伊藤忠が投資した中国政府系企業の中国中信集団(CITIC)グループからの利益などがそれぞれ要因です。

総合商社は2016~2017年にかけて資源エネルギー分野を中心に多額の損失を出していました。2016年は資源価格の下落に加え、資源分野で保有する権益の評価を見直した結果の現存損出により、資源関連の損出が各社の決算を押し下げてしまいました。その後は資源価格の上昇という幸運もありましたが、この2年間大きな損失がでそうな資源投資を整理しつつ、非資源分野の事業投資に力を入れた結果が好調な決算につながりました。

しかし、2020年3月期に入るとこの流れに変化が見れれます。2020年3月期による総合商社大手5社の業績は、三菱商事が前期比8.2%減の14兆7,797億円、伊藤忠商事は同5.3%減の10兆9,829億円、三井物産が1.0%減の6兆8,850億円、丸紅が7.8%減の6兆8,276億円、住友商事が0.7%減の5兆2,998億円となりました。これは新型コロナウイルスによる世界的な感染拡大によって経済の停滞や原油価格が下落したことが要因です。このような流れの中で、総合商社は近年は資源事業への投資や業務に逆シフトしています。

例えば、三菱商事はチリに加え2018年にペルーのケジャベコ銅鉱山の権益を追加取得、2022年の生産開始に向け建設工事を進めています。また、LNG(液化天然ガス)事業にも注力し、18年にはLNGカナダプロジェクトに投資。その他、再生可能エネルギー事業の積極展開を行うオランダの総合エネルギー会社「Eneco社」に投資するなど、脱炭素に向けた動きを推進しています。

伊藤忠商事は2018年にサウス・フランク鉄鉱山の開発を発表、同年3月にはイラクの油田権益を取得。また、独自ブランドの蓄電システム『Smart Star』は国内累計30,000台以上を販売(2020年3月末時点)し、中国の車載用電池の再生事業への参入、米や欧州市場への展開を進めています。20年6月には東京電力の子会社「TRENDE社」に約10億円を出資、蓄電池や太陽光を用いた新事業をスタートさせます。

三井商事は2018年にチリの銅鉱山の権益を追加取得。三菱商事と共に大型のLNG事業である米国のキャメロンLNGプロジェクトに参画し、2020年8月には液化プラントの全面稼働を発表しました。2020年7月には丸紅、住友商事と共にミャンマーのLNG火力電所を建設。2019年にはインドの太陽光発電事業に出資、2020年6月には米国の水素ステーション事業者との協業を発表しました。

エネルギー需要においては、先進国、新興国共に引き続き拡大することが予測されています。IoTやAIなどの発展や新興国の経済成長に伴い、電力を必要とする機会は世界で増えており、従来の石油や石炭、原子力の他、電気自動車の普及に伴う蓄電分野、低炭素化に向けた再生可能エネルギーやLNG、水素など次世代エネルギー分野もさらに伸長することが予想されます。


非資源分野への注力
上述のように総合商社は資源分野への回帰の動きを見せていますが、非資源分野に注力するのをやめたわけではありません。非資源分野は市況に左右されにくく安定した業績を維持できるため各社とも依然力を入れています。特に各社が力を入れているので医療・ヘルスケア領域です。

日本は65歳以上の高齢者の割合が30%近い超高齢化社会に突入しており医療分野は成長分野となりつつあります。

例えば、三井物産は2018年11月にマレーシアのアジア最大手の民間病院IHHに追加出資を発表、同年にはインドの未病、予防医療のプラットフォームを展開するGOQii社に、19年月には医療データサービス事業のTriNetX社に出資。また、キリンHDと共同で米国のサプリメント会社にも出資するなどヘルスケア分野を加速、アジア地域の医療需要を取り込みます。伊藤忠商事はメンタルと身体の情報をインターネットを通じて一元管理する、企業向けのクラウド健康管理サービスを提供しています。

また、2018年4月にオンライン診療(自宅で診療を受けること)が保険適用されたこともあり、住友商事はオンライン診療事業を展開する企業に経営参画し、急速な普及を図っています。

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