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生命保険 業界研究

【就活生必見】生命保険の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

高給・安定で知られているのが生命保険業界です。大手の生命保険会社の場合は30代になる頃には年収1,000万円に達すると言われており、学生にとっては憧れの業界です。金融業界を志望する学生であれば、一度は就活の候補に入れる業界であり、内定者のほとんどが有名私大・旧帝大の学生が集まる、まさに就活最難関業界です。当然、倍率も高いので、内定を獲得することは容易なことではりません。激しい競争を勝ち抜き、内定をもらうためには生命保険業界について正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、商社でどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事では生命保険業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、生命保険業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、生命保険業界の就活に挑みましょう。

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生命保険業界とは

この章では生命保険業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造


生命保険保険料収入

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生命保険会社のもっともベーシックなビジネスモデルは保険の加入者から長期的かつ定期的に保険料を受け取り、加入者が死亡した場合や病気になった場合に生命保険会社が加入者に保険金を支払い、受け取った保険料と支払う保険金の差額が生命保険会社の利益となるものです。ちなみに契約期間が満了しても、加入者が生存している場合にはそれまで加入者の保険料で積み立ててきた元利金から満期保険金を支払います。

生命保険は人の命に関わるリスク管理をすることで保険料という手数料を徴収します。つまり、加入者に代わって、生命保険会社が生命や健康に関わる不慮の事態に備えてリスク管理を行ない、未来への安心を届けることと引き換えに手数料をもらっているのです。

生命保険は戦後の高度経済成長期に働き手である男性が死亡した場合に備える手段として、広く普及し、現在では死亡以外にも医療保険、がん保険、養老保険など様々な保険商品が登場しています。

生命保険会社にとっては支払う保険金が少ないほど収益が上がるわけですので、事前に不慮の事態が起こる可能性を予測し、それに合わせた保険商品を作ることで安定したビジネスモデルを構築しています。また、例えば医療保険であれば病気になる人が少ないほど支払う保険金が少なくなるので、生命保険会社の方から加入者が健康でいることを支援・推奨するサービスを多く提供しています。

例えば、健康診断の結果を生命保険会社に提出すると保険料が割り引かれたり、保険商品に加入すると心と体の健康をサポートする生命保険会社独自のサービスが利用できる、などです。


資産運用収入

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生命保険会社は加入者から受け取った保険料を保険金の支払いに備えてそのまま放置しているわけではありません。実は生命保険会社は資産運用会社という側面も持っているのです。

加入者全員が死亡したり病気になるわけではないので、生命保険会社の手元には保険料から保険金を差し引いた金額が残ります。その手元に残った資金を保険料を株式や国債、社債、不動産などに投資し、安定的に運用しています。

生命保険会社は一般の投資会社と異なり、加入者の保険金支払いに備える必要があるので、ハイリスクの投資は行っておらず、安定・長期の運用をしています。ちなみに生命保険会社のホームページでは保険料をどのように運用しているかが公開されているので、気になる方は確認してみましょう。

このように生命保険会社が資産運用によって増やした資産運用益も生命保険会社の収益となっております。したがって、投資や運用に興味のある学生にも生命保険業界はおすすめです。

市場規模・将来性(シンクタンクのレポートなどを)


市場規模

日本は生命保険の世帯加入率が約90%であることから生命保険大国と言われており、市場規模は年間の生命保険料ベースで約40兆円となっています。90%という数字は100世帯のうち90世帯が生命保険商品に加入しているという驚愕の数字です。一方で、市場として成熟しており、毎年微増・微減を繰り返しているので、大きな成長性は見込めないでしょう。

Swiss Re社発行の機関誌「sigma NO.3/2017」によると、2016年の世界の生命保険の市場規模は約2兆6,100億ドル(約283兆円)で、市場規模1位の米国の約5,500億ドル(約60兆円)に次いで日本は全体の13.5%に当たる約3,540億ドル(約38兆円)を占めています。第1位の米国が世界シェア21.4%、第2位の日本が13.4%となっており、まさに米国と日本が世界の生命保険市場における「二大大国」と言えます。


販売チャネルの多様化とネット販売の増加

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1990年代に開始した金融自由化によって生命保険の販売チャネルが多様化しています。従来は、営業職員が個別に訪問して契約するというのが最も一般的でしたが、最近ではライフプランナー、保険代理店、銀行の保険商品窓口販売、来店型ショップなど販売チャネルが大きな変化を遂げています。

特に勢いがあるのがインターネットを通じた保険商品の販売です。いわゆるネット保険は対面で販売していた従来の手法と異なり、スマートフォンやパソコンでいつでも加入ができ、保険料も比較的安価に設定されています。保険内容もシンプルなものが多いですが、自身のライフスタイルや人生設計に合った保険商品の選択や保険金が必要になった時の対応が不明確などのデメリットもあります。

ネット販売が増加している背景には2つの要因があります。

まず1つは消費者の関心の高まりです。インターネットの普及や「貯蓄から投資へ」の流れの中で消費者の保険商品に対する関心や知識が高まり、営業職員が説明しなくても自分で保険商品を選択して、購入できる消費者が増加しました。

2つ目は長引く景気低迷です。所得水準の停滞や非正規雇用や失業の増加によって、保険商品のみならず、様々な財やサービスに関して消費者の低価格志向が強まっています。この流れは生命保険にも及んでおり、生命保険文化センター「平成24年度 生命保険に関す る全国実態調査」の調査によれば、2000年では、生命保険会社の営業職員のチャネルが占める割合が77.6%と最も高く、銀行や証券会社を通したチャネルが占める割合は、1.3%、インターネットチャネルが占める割合は、わずか0.2%でした。

しかし、 2012年になると、生命保険会社の営業職員のチャネルが占める割合 は、68.2%まで減少し、銀行・ 証券会社を通したチャネルが占める割合が4.3%、インターネットチャ ネルが占める割合が4.5%へと増加しました。

ネット保険はインターネット上で保険商品の説明から加入までが完結するため、従来、生命保険会社にとって大きなコストとなっていた人件費やテナント費などを削減でき、全く同じ内容の保険商品よりもより低価格で消費者に提供することができます。

今後もネットを通じた販売チャネルは拡大していくものと見られ、生命保険各社はネット販売チャネルの開発・拡大に注力しています。


InsuTech

InsurTechとはInsurance(保険)とTechnology(技術)を組み合わせた造語であり、テクノロジーを活用して従来の生命保険のサービスの効率性・収益性を高めることや革新的なサービスが誕生することが期待されています。矢野経済研究所のリサーチによれば、InsuTechの国内市場規模は2019年度で約890億円であり、その後さらに拡大し、2022年には2,450億円に達すると予測しています。

InsurTechの活用事例としてはAIによる不正検知を含めた支払査定などの保険金・給付金の支払い、疾病管理プログラム、ビッグデータと生命保険の紐付けなどがあります。最近の例だと、住友生命がベンチャー企業と手を組み、住友生命の健康サポートプログラム「Vitality」で扱う「健康診断書」画像のデータ化技術を検討し業務に取り入れていく方針であると発表しました。今後差にAIやRPA(ロボットによる業務自動化)の適用領域が広がることが予想されます。

業界の分類

メガ生保

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メガ生保とは日本の生命保険業界の歴史をリードしてきた国内資本の生保会社であり、一般的には日本生命、第一生命、明治安田生命の3社を指します。資産規模や保険料収入、資産運用規模も日本で最大です。「生保レディ」といわれる生命保険の外交員の営業活動がメインであり、最新の保険商品の開発や付随サービスの開発に力を入れています。


中堅生保

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メガ生保には及ぼないものの、長い歴史を誇り、資産規模・保険料収入ともに大きな基盤を有しています。営業活動は生保レディが中心となっており、伝統的手法を多用しているようです。一般的には富国生命、朝日生命、ソニー生命などが該当します。


外資系生保

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外資系生保とは日本国内法人である無いを問わず外国資本による生命保険を指します。営業形態として日本国内会社の生保レディとは異なり、乗合代理店(一定の基準を満たして複数の保険会社)、男性保険外務員などを用いています。例としては、メットライフ生命、アフラック生命、ジブラルタ生命、アクサ生命などが挙げられます。


損保系生保

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損保系生保とはその名の通り、損害保険会社の子会社として設立または傘下となった生保会社のことです。外交員や営業マンによる営業よりも代理店販売が多く、もともと損保の代理店も多いですが、生保を得意とする代理店が扱うケースも多数あります。損保系生保としては東京海上日動あんしん生命、SOMPOひまわり生命、三井住友海上あいおい生命などがあります。


インターネット専業生保12959_生命保険_将来性_インターネット_8.jpg

インターネット専業生保とはネットを通じて申込ができる生命保険会社の総称です。生命業界でもトップクラスに保険料は安い一方で、保険のラインナップは今のところ限られています。対面での営業活動は基本的に行っておらず、インターネット上の代理店経由または保険会社への直接申込が原則です。インターネット専業生保としてはライフネット生命、楽天生命、SBI生命などがあります。

最新のトレンド

マイナス金利政策

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現在、日本銀行はデフレ脱却のために物価上昇率2%を目指して、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を実施しています。生命保険会社の大きな収益源の一つとして資産運用収入があり、一般の資産運用会社と異なり、生命保険会社は保険金の支払いに備えなければならないので、安全性を重視した運用をしています。資産運用対象は株式、外国証券、国債などがありますが、運用の主軸は国債です。

ところが、日銀のマイナス金利政策によって、国債の運用利回りが著しく低下しており、運用のメインである国債で利益をだすことが出来なくなりました。こうした情勢のなかで生命保険各社は国債から外債、ESG債などにシフトし、運用効率を高めています。

また、マイナス金利政策の影響を受けにくい外貨建ての保険商品や保障性の保険商品の開発に力を入れています。このような流れは日本がデフレを脱却して、日銀がマイナス金利政策を中断するまで続きそうです。


海外進出

生命保険業界は歴史的に岐路に立たされています。なぜなら、少子高齢化や人口減少によって、これまで生命保険会社がターゲットとしてきた働き盛りの若者の絶対数が減少する一方で、高齢者が増加するので、保険料を支払う加入者は減少するにもかかわらず、保険金の支払いが増えるという事態に直面しているからです。

総務省によれば、2021年現在日本の総人口は約1億2500万人ですが、2040年には約1億1,090万人、2050年には1億人を下回ると推測されています。また、若者の保険離れも進んでおり、今後、生命保険業界では加入者減少による保険料収入の大幅な低下が予想されます。これまでのように国内市場で事業を展開しているだけでは限られたパイを奪い合う苛烈な競争が予想されます。

このような状況で生命保険各社が力を入れているのが海外進出です。

現地の生命保険会社の買収によってアメリカやオーストラリア、東南アジアなどに生命保険会社が続々と進出しています。特に東南アジアなどの新興国では生命保険の普及率が日本ほど高くないので、まだまだ開拓の余地があります。また、経済成長が著しく、生命保険の対象となる人口が増加しているので、生命保険市場の拡大が続いている魅力的なマーケットです。

生命保険会社は新会社の設立や海外の現地の生命保険会社を買収し、基盤を固めており、最近では、三井住友海上あいおい生命などを傘下に加えるMS&ADインシュアランスグループホールディングスは新たにベトナムへの生保保険事業を開始しています。国内市場は縮小する一方なので、今後は各社とも海外市場に進出することで収益アップを目指す流れが続くことが予想されます。

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