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損害保険 業界研究

【就活生必見】損害保険の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説

損害保険業界は金融業界のなかでも最も人気のある業界です。金融業界を志す学生の多くが損害保険業界を志望し、内定者のほとんどは有名私大・旧帝大などの難関大学です。損害保険業界は給与水準の高さや安定性は学生にとって大変な魅力となっています。採用人数も決して多くはないので、激しい競争を勝ち抜いて内定を獲得することは容易なことではありません。損害保険業界から内定を獲得するためには損害保険業界について正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、損害保険業界でどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事では損害保険業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、損害保険業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、損害保険業界の就活に挑みましょう

visibility924 |

損害保険業界とは

この章では損害保険業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造


保険料収入

損害保険保険料収入

損害保険は個人や法人を顧客とし、事前に保険の補償の範囲や対象を決定し、一定の期間に生活や事業に関わる損害が起きた場合に損害分を保険金によって補償、つまりはリスクヘッジするという仕組みです。損害保険会社は顧客に万が一の事態が起こった時に補償する代わりに顧客から損害保険料を受け取っています。これが損害保険会社の収益です。損害保険料は毎年の契約更新の際に受け取り、補償を引き受けるためのリスクに見合った額を受け取ります。

損害保険は生命保険と異なり、人に対するものだけではなく、モノに対する補償も行っています。そのため対象範囲は自動車事故、海難事故、航空機の事故、火災、地震、盗難等の犯罪、怪我、インターネットやサイバー上の問題など幅広いものとなっています。「危険のあるところに保険あり」と言われるように暮らしや産業における様々なリスクに対応しています。

損害保険会社が様々な事態に対して保険金を支払うことを考えると、加入者から受け取る保険料よりも事業運営に必要なコストと保険金の支払いが上回ると損害保険会社の経営は成り立ちません。したがって、保険料収入ー(支払い保険金+事業運営に必要なコストがプラスとなるようにしなければなりません。保険金の支払いが少ないほど損害保険会社の経営は安定することになります。

保険金の支払いを抑えるために損害保険料は「大数の法則」と「公平の原則」によって決定されています。大数の法則とは、ある事象の発生確率を算出する際に、数件のデータのみを分析するのではなく、大量のデータを分析することによって確率がより正確な値に近づくことをいいます。この法則に従って事故や災害などのデータを分析することで発生確率を予測できるようになります。

公平の原則は、保険が適用される可能性の高い人は高い保険料、確率が低い人は低い保険料として、みんなが平等になるようにすることをいいます。例えば、自動車保険の場合では、車種や被保険者の年齢で金額が変わります。過去に事故が多かった車種や、運転歴が浅い若年層ほど保険料は高めになることが多いといえます。

このように「大数の法則」と「公平の原則」によって損害保険料を決定することで保険金の支払いを抑制し、安定して収益を上げることができます。


資産運用収入

損保の資産運用収入

損害保険会社は加入者から集めた保険料をそのまま放置して、保険金の支払いに備えているわけではありません。保険業務と同時に加入者から集めた保険料は将来の保険金支払いに備えて運用する機関投資家とうしての顔も持っています。

資産運用を行っているのは生命保険会社も同じであり、その運用益も収益となりますが、生命保険会社と異なり、加入者から受け取る損害保険料は掛け捨てですので、長期積立型の運用を必要とせず、運用総額は生命保険会社ほど大きくなく、かなり小規模です。

一方で、保険料自由化の流れによって損害保険会社の競争は激化し、保険料収入だけではなかなか利益が出ない状況が続いているため、損害保険会社において資産運用が果たす役割が増しています。

市場規模・将来性


市場規模

世界的な再保険会社であるSwiss Re(スイス・リー)社発行の機関誌「sigma」によると、2016年の世界の損害保険の市場規模(147国と地域の合計)はで約229兆円となっており、米国が約86兆円(37.5%)と損害保険大国となっています。第2位が中国で約22兆円(9.6%)、第3位がドイツで約13兆円(5.7%)、第4位が日本で約12兆円(5.5%)となっています。

日本の損害保険業界の市場規模は12兆円であり、生命保険業界の市場規模40兆円には及ばないものの世界的に見て損害保険大国と言えるでしょう。損害保険業界の市場規模は2006年の約7.5兆円をピークに減少しましたが、近年では微増傾向にあります。要因としては正味収入保険料の6割を占める自動車関連保険の保険料改定や新等級制度の導入、火災保険の料率改定などがあります。

また、コーポレートガバナンスの強化が求められる中において自動車保険や火災保険など従来の分類に属さない新種保険が伸びていおり、保険のニーズが伸びていると考えられています。

一方で、保険種目別で大きな6割という大きなシェアを占める自動車関連の保険について長期的には人口減少や若者の車離れによって自動車保有台数が減少し、それに伴い自動車保険市場も縮小することが危惧されています。さらに、自動車の安全性能は日々向上しており、将来的には自動運転が実現し、事故がほとんど起こらない事態も想定されています。

事故減少によって、保険料率がさらに低下し、損害保険市場の牽引役であった自動車保険市場の縮小によって、損害保険市場全体が収縮する可能性も否定できません。


業界再編

日本の損害保険会社は保険業法が改正された1996年時点で国内資本だけで27社ありました。しかし、現在では合併や統合による再編を繰り返して、3つのメガ損保グループに集約されつつあります。要因としては3つあります。

1つ目は他業界からの参入です。近年、金融の自由化政策によって外資系や通販系の損害保険会社が相次いで損害保険業界に参入してきました。また、生命保険会社が損害保険業界に参入する例もあり、競争が激化しています。

2つ目はインターネット保険の台頭です。インターネットで保険商品を販売する会社が増えたのですが、これらの会社は店舗や膨大な人員がいないためコストがかかりません。結果として、保険料が安い傾向にあり、各社ともコスト削減競争に追われています。

3つ目は国内市場の縮小です。国内の人口減少や若者の車離れ、自動車の電子化・自動化による事故の減少により、収益源である自動車保険市場が縮小しており、損害保険会社の経営が厳しくなっています。

以上のような市場の変化に対応するために損害保険会社が合併と統合を繰り返し、業務コストの削減と効率化、規模の追求を図ってきました。その結果、いわゆるメガ損保グループが大きなシェアを占める構造になり、現在ではメガ損保だけで日本における損保市場の収入保険料の88%を占める寡占化市場となっています。

業界の分類


3メガ損保

3メガ損保

損保ジャパン株式会社、東京海上日動火災海上保険株式会社、三井住友海上火災保険の3社を指して、「3メガ損保」と言います。保険の販売チャネルとして代理店型と通販型の両方の保険会社を持っており、全国で多面的に展開しています。この3社で損害保険保険料収入の9割以上を占めているという寡占市場になっています。


中堅損保

中堅損保

3メガ損保に比べると保険料収入や資産規模で圧倒的に劣りますが、独自サービスを展開しているほか価格競争力を活かした営業活動をしている会社もあります。例えば、共栄火災、朝日火災、大同火災海上、明治安田などが該当します。


外資系損保

外資系損保

外国資本の損害保険会社の日本支社です。以前は外資系損害保険会社にネガティブなイメージを持っている人も多かったですが、最近では日本に定着しつつあります。メガ損保と差別化を図るため、独自のサービスや商品を展開したり、通販に特化した会社もあります。

通販型はCMで営業活動を行い、加入者との連絡をすべてネット上やコールセンターで完結するのが特徴です。例えば、アメリカンホーム、アクサダイレクト、チューリッヒが該当します。

最新のトレンド


海外進出

国内損害保険市場は世界第4位の規模ではあるものの人口減少の煽りを受け、保険料収入は毎年ほぼ横ばいとなっており、成熟産業となっています。そんな中、収益性の向上のために新たな収益源の確保が求められる業界大手の3メガ損保は2010年頃より海外事業拡大を加速させています。損害保険市場の拡大が期待できる東南アジアをはじめ、アメリカ、イギリス、スイス、ブラジル、トルコ、インドなどで現地の損害保険会社の買収や合弁会社設立を活発化しています。

例えば、東京海上日動火災保険はアメリカのHCCとデルファイを買収、三井住友海上火災保険はイギリスの編む輪、BIGを買収、損保ジャパン株式会社はイギリスのキャノピアス、アメリカのエンデュランス・スペシャルティ・ホールディングスを買収しました。

また、三井住友海上火災保険は東南アジアの損害保険会社に資本参加を行っています。今後も収益性向上のため海外の損害保険会社の買収や提携による海外事業の拡大は続くと予想されます。

一方で、東京海上日動火災保険では海外事業の純利益が国内事業を上回っており、海外展開が進んでいますが、他の損害保険会社は海外の大手グローバル保険会社と比較すると海外事業の割合がまだまだ小さいのが現状です。未だ国内事業中心のビジネスモデルであることに変わりはなく、早急な構造改革が求められています。

3メガ損保は国内に営業員及び代理店網を張り巡らし、盤石なシェアを握っていますので、短期・中期的には成長が見込めますが、より長期的には東南アジアを中心とした海外市場の成長を取り込まないとグローバルな保険会社に太刀打ちできなくなりそうです。


自動車保険の失速

自動車保険は損害保険会社の保険料収入の約6割を占める主軸となる商品です。しかし、近年では若者の「自動車離れ」が進んでおり、マイカーを持たない人が増えています。

今後、人口減少によって市場が縮小することやレンタカーやカーシェアリングなどのサービスが充実することを考慮すると自動車の需要が減少し、自動車保険市場は縮小すると予想されます。各社とも自動車保険に代わる主力商品の開発や海外市場の開拓によってこの危機を乗り越えていく姿勢です。

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