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人材 業界研究

人材業界の業界研究|就活に役立つ事業構造・将来性・働き方など徹底解説します

人材派遣業界は比較的ニッチな業界ですが、利益率が高く、業績が安定している企業が多いため、安定志向の学生から根強い人気を誇ります。大手企業も多く、都内の有名私立大学や旧帝国大学の学生が志望するため難易度は高いと言えるでしょう。就活を有利に進めるために人材業界のビジネスモデル、業界のトレンド、各社の動向など業界に関する情報を徹底的に研究する必要があります。この記事では各社の有価証券報告書やシンクタンク、公的機関のレポートをもとに業界研究を詳細に行っています。ぜひ最後まで読んだ上で面接対策を行って内定を獲得してください。

人材業界とは

この章では人材業界の

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。
 

業界構造(Tier1・2や商流やメインビジネス(稼ぎ方))

人材派遣

人材派遣(紹介)業は労働者派遣法に基づいて厚生労働大臣の許可を得て、労働者を派遣するビジネスです。
ビジネスモデルとしてBtoBビジネスとなります。
人材派遣業には一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業があります。

一般的に人材派遣と言う場合には一般労働者派遣事業を指し、これは主としてオフィスワーカーや製造業務・営業・販売業務に携わる労働者として一時的な登録型の派遣労働者を派遣する事業です。
派遣スタッフとしての仕事を希望する労働者は人材派遣会社に登録を行い、派遣スタッフと人材派遣会社の間で雇用契約が締結されます。
ただし、派遣スタッフと人材派遣会社の間の雇用関係は派遣スタッフの派遣先が決定した時点で発生し、派遣先の企業で働いている間のみ成立します。

一方で特定労働者派遣事業とはシステムエンジニアなど専門技能を持った人材をメーカーなどに派遣する技術者派遣などが代表的な事例であり、派遣会社が正社員か契約社員として契約する常用雇用労働者のみ派遣できる形態です。

派遣スタッフと人材派遣会社は無期限の雇用契約を締結します。

雇用契約は派遣先の決定の有無に関わらず成立しており、派遣契約の終了後も業務が継続しているとみなされます。

人材派遣会社は顧客企業の要請に応じて、自社サービスに登録している派遣スタッフのなかから顧客企業のニーズにマッチする人材を顧客企業に派遣し、派遣スタッフは顧客先での指揮命令で働きます。
人材派遣会社は対価として派遣料金を受け取りますがあくまで雇用主は人材派遣会社になります。
給与や社会保険料の支払い義務は人材派遣会社に発生します。

したがって、人材派遣会社の収益は顧客企業から支払われる派遣料金と派遣スタッフに支払う給与の差額となります。
このビジネスモデルでは売上高=単価×時間×人員となりますので、売上の見通しが立てやすいというメリットがあります。
サブスクリプションサービスと似ているところがあり、一度派遣スタッフを派遣すれば、安定的かつ継続的に収益を生み出すことができます。
一方でビジネスモデルが簡単で、参入障壁が低いので多くの企業が市場に参入しており、各社のサービスの差別化が難しいという課題があります。

ちなみに人材派遣会社が労働者の管理を行いますので、派遣先の企業は管理コストや人材育成コストを削減することができます。
 

人材紹介

人材紹介業は正式には「有料職業紹介事業」と呼ばれています。
有料職業紹介事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要になります。
人材紹介とは求職者とクライアントである企業の仲介を行い、双方のマッチングを実現することです。
求職者にはオフィスワークのみならず、製造業務に携わるブルーカラーや営業・販売業務従事者がいます。
人材紹介会社には求職者から求職の申込みや就職の斡旋を依頼され、顧客企業から求人の申込みが行われます。
人材紹介業はBtoBビジネスであり、求職者と顧客企業のマッチングが成立した場合に顧客企業から成功報酬として手数料を受け取ります。

顧客企業にとってはマッチングが成立した場合に手数料を支払う成功報酬型ですので、投資分の効果が必ず得られます。
また、採用コストを軽減したり、公募では時間が足りないような状況でも迅速に求職者を探すことができます。

人材紹介会社は顧客企業を担当するリクルーティングアドバイザーが顧客企業から希望する人材像や求めるスキル、採用計画についてヒアリングを行い、人材紹介の依頼を受けます。
一方で求職者からもヒアリングを行い、就職や転職を希望する求職者の希望する仕事や職歴、スキルなどを聞いた上で、求人を紹介します。
求職者が求人への応募を希望する場合には顧客企業に紹介します。
選考の過程で人材紹介会社は求職者をサポートして内定へと導きます。
求職者は必ずしも一つの人材紹介会社に登録しているとは限らないので、競合他社の動きや求職者の就職活動・転職活動の状況を把握する必要があります。

選考の結果、求職者が内定を獲得し、顧客企業との間で雇用契約が締結された場合は顧客企業から成功報酬として手数料を受け取ります。
人材派遣業のように継続的に手数料を受け取れるビジネスではありませんが、求職者と直接雇用契約を締結することはなく、人件費や組織運営のコストがかからないので、利益率が高いビジネスです。
成功報酬の金額は人材紹介会社と顧客企業の合意によって決まりますが、法律の上限を超えてはいけません。
だいたい求職者の年収の30%程度です。

人材紹介会社には登録型・サーチ型・再就職支援型の3つの類型があります。
最も一般的な形態が登録型であり、上述のように顧客企業から求人の依頼を受けてから、求職者に企業を紹介します。
サーチ型はヘッドハンティングとも呼ばれ、求人の依頼を受けてから、顧客企業のニーズに合致する求職者をスカウトします。
再就職支援型はリストラされた求職者の再就職を支援するサービスです。

人材紹介業界はアメリカ初のサブプライムローン問題やリーマンショックの影響で2000年代後半から衰退していましたが、その後の景気回復に伴って市場は安定しています。

近年ではIT技術の進歩によってIT技術者や海外展開を背景にしたグローバル人材などを中心に人材需要が旺盛になっています。
 

人材広告

人材広告業とは企業の求人情報を自社の求人サイトや自社が運営する求人情報誌やフリーペーパーに掲載し、求職者に求人情報を提供するサービスです。
人材広告業はBtoBビジネスであり、顧客企業は求人情報を掲載する代わりに人材広告会社に対して手数料を支払います。
手数料の金額は期間によって異なり、1週間あたりや月単位で決められています。
代表的な人材広告のサービスとしてリクナビやマイナビなどがあります。

顧客企業から支払われる広告の掲載料金は前払いで支払われるので、求職者の応募の有無や採用の可否に関わらず、支払われます。
人材広告会社としては求人が掲載されている間は手数料が支払われるので、サブスクリプションサービスのように安定した収益を見込むことができます。
一方で顧客企業が求人情報を掲載したいと考えるようなメディアを作るためにCTR(クリック率)・応募数・内定承諾率などの数字を上げることや掲載コストを下げるなどの工夫をすることが求められます。

近年では、上記のビジネスモデルに加えて、応募課金モデルという形態の人材広告ビジネスも登場しています。
従来の人材広告業が求職者の有無に関わらず掲載料を徴収していたのに対して、新しいモデルでは求職者より求人への応募があった時点で料金が発生します。
成果報酬型ですので、より多くの顧客企業に掲載したもらえる可能性がありますが、求職者がいない、または少ない場合はわずな掲載料しか得られません。
 

人材コンサルティング

人材コンサルティングとはコンサルティング事業の一つであり、企業の採用支援や社員の教育支援、人事戦略の立案、人事評価制度の構築支援などに関するコンサルティングサービスを提供します。
人材派遣業、人材紹介業、人材広告は企業の採用を支援するサービスですが、人材コンサルティングは企業の人事に係る課題全般に対応しています。

提供するサービスも幅広く、リストラに伴う社員の再就職支援や採用活動のサポート、退職金制度の設計など人事に係るほぼすべての領域が守備範囲となります。

収益モデルはいたってシンプルで、人材会社が顧客企業に対して、人事戦略や制度に関するコンサルティングサービスを提供する対価として顧客企業からコンサルティングフィーを獲得します。
コンサルティングフィーは提供するサービスの内容やプロジェクトに関わるコンサルタントの人数、プロジェクトの期間などによって左右されます。
 

市場規模・将来性(シンクタンクのレポート)

市場規模

業界動向リサーチによれば、2019年-2020年の人材派遣業界の業界規模(主要対象企業51社の売上高の合計)は4兆4,897億円となっています。

人材派遣業は企業と求職者のマッチングによって、収益を上げていますので、景気の動向を強く受けます。
2009年のアメリカ初のサブプライムローン問題やリーマンショックによる景気後退によって市場は縮小しましたが、近年の景気回復によって再び市場が拡大。
矢野経済研究所によれば、2019年の人材派遣業界の市場規模は6兆6,800億円(前年度比+4.7%)となりました。

矢野経済研究所によれば、2019年の人材紹介業界の市場規模は3,080億円(前年度比+1.7%)となりました。

人材派遣業界同様に経済情勢の影響を受けますが、リーマンショック後の景気悪化の影響から立ち直り、2010年度意向は市場は緩やかに回復しています。
近年はIT関連の技術者や企業の海外展開を背景にしたグローバル人材などを中心に人材需要は活発となっています。

公益社団法人全国求人情報協会によれば、人材広告業界の市場規模は2019年時点で9,528億円(前年度比+11.7%)となりました。

矢野経済研究所によれば、2019年度の人材コンサルティングの市場規模は1,286億円(前年度比+2.5%)となりました。
景気拡大や人手不足を背景に市場は拡大しています。
 

将来性

直近では新型コロナウイルス感染症の影響が危惧されています。
感染の収束が見えず、飲食や運輸業界を中心として採用を控える動きが広がっています。
新卒採用市場も売り手市場から一変し、企業は採用人数を減らすなどの対応をしています。

しかし、中長期的には景気拡大や人手不足を背景に市場は拡大する見込みです。
新型コロナウイルス感染症が収束し、景気が再び拡大すれば、人材業界の市場は好調に推移するでしょう。
特に一般事務やITエンジニア、介護系人材の需要は高まっており、それらに関連する人材業界全般(人材派遣、人材紹介、人材広告、人材コンサルティング)の需要は拡大する見込みです。
また、少子高齢化に伴って新卒採用に苦戦する企業が増えており、優秀な人材を求める企業の採用意欲は根強いです。
日本経済新聞社の新卒採用計画調査(最終集計)によれば、2022年春の大卒の新卒採用計画は2021年春実績比で4.4%増12年連続で増加しており、新型コロナウイルス感染症による影響下にありながら、堅調に推移しています。

一方で人材業界は参入障壁が低く、利益率が高いことから多くの企業が参入しており、今後も競争の激化が予想されます。
競争環境によっては市場からの退場を余儀なくされる企業もあるでしょう。
 

業界の分類

人材派遣業界

国内の人材派遣業の最大手はリクルートホールディングス(HD)です。
同グループは傘下にリクルートスタッフィングとスタッフサービス・ホールディングスなどを持ちます。
ほかにパソナグループ、アデコなどがあります。
 

人材紹介業界

人材紹介業での最大手は、リクルートホールディングス(HD)のグループ会社であるリクルートキャリアです。
2位はパーソルホールディングス、3位はアデコとなっています。
 

人材広告業界

代表的な企業としてリクルートホールディングス(HD)のグループ会社であるリクルートキャリア、マイナビ、レバレジーズなどがあります。
 

人材コンサルティング業界

業界最大手はリクルートホールディングス(HD)のグループ会社であるリクルートマネジメントソリューションズ。
次いで、リンクアンドモチベーション、マーサージャパンと続きます。
 

最新のトレンド

慢性的な人材不足が追い風に

株式会社矢野経済研究所によれば、人材業界の市場規模は拡大しています。
「雇用は経済を映す鏡である」と言われるように雇用情勢は経済の影響を強く受けます。
人材業界は雇用関連の事業ですので、景気回復期には業績が良くなり、景気後退期には業績が悪化するという特徴があります。
 

【人材業界の市場規模】

年度 2015 2016 2017 2018 2019 2020
規模(億円) 42,709 54,380 57,729 67,086 70,128 65,098

 

人材業界の市場規模の推移としては1985年以降のバブル景気の時代には有効求人倍率が急激に上昇し、それに伴って市場が拡大しました。
しかし、バブル崩壊とともに「就職氷河期」と呼ばれる時代が訪れ、市場は縮小。
その後、景気回復とともに再び拡大しますが、2008年のアメリカ初のサブプライムローン問題やリーマンショックによって有効求人倍率が低下し、それに伴って人材業界の市場も縮小しました。

近年の傾向としては2012年以降は景気が回復傾向にあり、企業の人材確保の動きが活発化しているほか、就労人口の減少や働き方改革を起因とする労働力不足を背景に需要が拡大しています。
また、IT技術の進歩に伴って、ITエンジニアの需要が高まっているほか、介護系人材は需要の高まりに対し人材の供給が逼迫する状況が続いています。
 

新型コロナウイルス感染症の影響

2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響によって、経済が停滞し、採用活動を縮小する企業が増えています。
有効求人倍率は2019年12月時点で1.68倍でしたが、2020年に入ってからは8ヶ月連続で下落し、2020年8月には1.04倍になっています。
具体的には商業施設や飲食店などの小売業、自動車関連などの製造業、旅行・ホテルなどのサービス業が挙げられます。
オリンピック景気が期待されたものの、無観客開催となり、経済効果は限定されました。
経済の先行きが不透明な中で未経験者や新卒採用など緊急性の低い人材の確保に企業が消極的になっています。

一方で医療、介護、食品、物流などの業界では依然として需要が高く推移しています。
また、業界問わずハイクラス人材やIT関連の人材需要は高く、新型コロナウイルス感染症の影響は軽微にとどまっています。

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