
【代表取締役の基礎知識】就任承諾書とその書き方とは?
代表取締役になると就任承諾書が必要になります。就任承諾書とは、一般的には会社の役員への就任を承諾したと証明するための書面のことを言います。しかしながら、必ず必要になる訳ではありません。では、どのようなタイミングで必要になるのでしょうか?今回は就任承諾書について詳しくご紹介します。ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか?
就任承諾書とは
代表取締役が就任するときに必要となる就任承諾書とは、一体どのようなものなのでしょうか。
就任承諾書とは
まず、そもそも就任承諾書は、どういった性質を持つ書類なのかを確認しておきます。
就任承諾書は、一般的には、会社の役員(今回の記事では代表取締役)への就任を承諾したと証明するための書面を言います。代表取締役を含む役員は、会社との委任契約で就任するため、承諾が必要となるのです。
就任承諾書を出すタイミング
次に、就任承諾書は、いつまでに作成し、どこに提出するのかを解説しておきます。
就任承諾書は、設立登記申請書に添付する書類です。したがって、設立登記申請書を法務局に提出するときまでに作成しておく必要があります。
代表取締役になった場合は必ず必要か
代表取締役に就任する場合に、必ず要求されるかというと、そうではありません。
設立時の場合、定款に設立時取締役と設立時代表取締役の選任・選定の記載があり、かつ発起人でもある場合には、就任承諾書の作成は不要です。
この場合、前述した設立登記申請書の該当項には、定款の記載を援用する旨記載すれば大丈夫です。
代表取締役の就任承諾書の書き方とは
では、具体的にどのようにして就任承諾書を作成すれば良いのでしょうか。
記載する内容について
まず基本的に記載すべき事項は、次の通りです。
-
日付
選任された日の日付を記載します。
-
取締役の住所
選任された取締役の現住所です。
この要否については、後ほど詳しく説明します。
記載する際に注意すべき点としては、略記号を用いた住所の記載は
認められないということが挙げられます。
〇丁目〇番地〇号と省略せずに記載しましょう。
-
取締役の氏名
選任された取締役の氏名を記載します。
通称名などではなく、印鑑証明書通りに正確に記載してください。
-
会社名
定款に記載されている商号通りに会社名を記載してください。
-
取締役の押印
後述するように、選任された取締役個人の実印で押印します。
- 取締役の捨て印
これらを記載し、本文には取締役への就任を承諾した旨の記載をしてください。
就任承諾書に使用する印鑑について
代表取締役が新たに選任された場合、就任承諾書に使用する印鑑は、個人の実印です。
これには印鑑証明書を添付しなければなりません。これに対し、再任された場合には、認印でも大丈夫です。
代表取締役の就任承諾書に住所は記入するのか
前述した通り、就任承諾書に代表取締役の住所を記載する必要がありますが、その根拠について解説していきます。
商業登記規則61条7項が就任承諾書に印鑑証明書の添付を必要としない取締役等について、「就任を承諾したことを証する書面に記載した氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない」とされていることが法的根拠になります。
一見すると良くわからないと思いますが、ここでいう「就任を承諾したことを証する書面」が就任承諾書のことを指し、これ「に記載した氏名及び住所」と規定されているため、住所の記載が必要ということになります。
就任承諾書のほかに必要な書類
就任承諾書のほかに必要な書類はあるのでしょうか。
就任承諾書以外に必要書類は?
まず、前述のように、就任承諾書に使用した代表取締役個人の実印の印鑑証明書の添付が必要となります。
また、代表権を持つ取締役を変更する場合、新たな代表者を選任したことを証明するための書類について、選任手続(株主総会、取締役の互選、取締役会など)に出席した役員の実印を押印し、その出席役員全員の印鑑証明書の添付も必要です。
さらに、就任承諾書に印鑑証明書を添付しない場合、別途本人確認書類(住民票や運転免許証の写しなど)が必要となります。
就任承諾書は他の物で援用できるのか
就任承諾書の代わりに他の物で代用できる場合、その添付が不要となる場合があるのでしょうか。
株主総会議事録の援用について
選任された者が決議(取締役会非設置会社の場合は株主総会決議、取締役会設置会社の場合は取締役会決議)をする会議に出席し、その席上で就任承諾をしている場合、以前はその議事録を提出してそれを就任承諾書の代わりに援用できるとされていました。
しかし、前述の商業登記規則61条7項で就任承諾書に「住所」の記載が必要とされていること、およびそのことを明らかにする通達が平成27年2月20日に出されて以降、議事録に住所が書かれていない限り、代用することは不可となりました。
また、取締役会非設置会社の場合において、定款に基づく取締役の互選によって選定された場合であっても、定款の提出のみでは足りず、就任承諾書が必要になります。
この場合、取締役の就任承諾書のほかに代表取締役としての就任承諾書が必要になりますので注意が必要です。
外国人が代表取締役に就任した場合
では、外国人が代表取締役に就任した場合、就任承諾書について何か注意すべき点はあるのでしょうか。
就任承諾書の書き方
まず、就任承諾書の書き方について違いの有無を解説していきます。
この点については、代表取締役に就任する人が外国人であっても、基本的には変わりません。前述した内容の通りに作成してください。ただ、外国人の場合、印鑑がないことが通常ですので、その点が違ってきます。
用意する書類について
外国人が代表取締役となる場合、特別に用意する必要があるのは、サイン証明書です。
これについては、その外国人の本国の官憲が作成した証明書のほか、その外国人が居住する国等に所在する当該外国人の本国官憲が作成した証明書でも良いとされています。
つまり、アメリカ国籍の人がフランスに居住しているときに代表取締役に就任する場合、アメリカ本国の官憲のほか、駐仏アメリカ大使館の官憲や駐日アメリカ大使館の官憲が作成した証明書でも良いということです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は、代表取締役の就任承諾書について解説してきました。就任承諾書の意味や書き方、添付書類について理解できたかと思います。
もっとも、会社の形態によって細かな手続が違ってくる場合もありますので、どうしても心配な場合には、司法書士などに相談することをおすすめします。
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