【ワークシェアリングの意味とは？】タイプ別分類やメリットなどご紹介

ワークシェアリングとはよく耳にしますが、その知識は正しいでしょうか。

自信がない人は、ぜひこちらの記事で確認してください。
 

ワークシェアリングの意味を簡単に言うとどんな意味か

ワークシェアリングとは、ひとりで担当していた作業を複数の人でおこなうことによって、ひとりひとりにかかる負担を軽減し、効率的で生産性の良い業務運営を目指す働き方のことをいいます。
 

日本と海外の導入タイミングの違いとは

10年以上前、海外では労働運動が激しく、この状況によって労働をシェアすることで雇用状態を維持するためにワークシェアリングが導入されました。

ただ、日本ではあまりいいイメージとして受け入れられなかったため、その時代には普及しませんでした。
 

近年活発になった理由とは

テレワークやリモートワークといった働き方、そしてアウトソーシングが一般化したことで、ワークシェアリングが注目を浴びることになりました。

その結果、このように近年はワークシェアリングが活発化しています。

ワークシェアリングのタイプ別の内容とその目的について、それぞれご紹介しましょう。
 

雇用維持型ワークシェアリングの内容と目的とは

一次的な景気の悪化を乗り越えるため、緊急の措置として行うワークシェアリングです。

従業員ひとりあたりの労総時間を短くすることで、社内で少しでも多くの人が働ける環境を維持します。
 

雇用創出型ワークシェアリングの内容と目的とは

失業者に新しい雇用の機会を与えることを目標に行なうワークシェアリングです。

国や企業単位で労働時間を短くし、多くの労働者に働くことができるチャンスを与えます。
 

多様就業促進型ワークシェアリングの内容と目的とは

正社員の勤務形態を多様化し、女性や高齢者に多くの労働の機会を与えます。

ワークシェアリングの導入事例をご紹介します。
 

トヨタの導入事例とは

実はトヨタは、日本企業の中でも珍しく、すでにワークシェアリングを導入しています。

対象となっているのは、アメリカにある6つの工場で働いている12,000人の従業員です。

理由は業績の悪化です。けれど、雇用を維持しつつ状況を改善させようと、ワークシェアリングの導入が決定されました。

具体的にはひとりあたり1割ほどの労働時間を減らし、給与も削減をすることで、企業の支出を削減しました。

そしてその結果、不況を乗り越えて会社を存続させることができたのです。
 

オランダでのワークシェアリングの導入事例とは

1980年の前半に、オランダでは「オランダ病」と呼ばれる経済の危機が訪れました。

そして、この危機を脱するために労働法の改正が行われたのです。

その結果、ワークシェアリングが進み、企業は労働時間を短縮して雇用を確保し、政府は雇用所得の減少を食い止めるために減税と社会保障の負担額の削減を行いました。

そして1996年には「同一労働同一労働条件」という宣言によりフルタイムとパートタイムでの労働条件が同じになりました。

さらに2000年には、労働者自らがフルタイムからパートタイムになるなどの動きがあり、これらのワークシェアリングによってオランダの失業率は1983年の11.9％に比べ、2001年には2.7％にまで低下したのです。

ワークシェアリングのメリットを感じているのは企業ばかりではありません。
 

ここでは、個人が感じているワークシェアリングのメリットをご紹介します。
 

多様な働き方が認めてもらいやすくなる

パートタイムや在宅勤務などのさまざまな働き方が増えることで、多様な形態が認めてもらいやすい世の中になってきたことは、ワークシェアリングのメリットであるといえます。
 

ワークライフバランスの充実ができる

これまで長時間労働を強いられていたのものが、短時間労働になるため、自由な時間が増えることになります。

すると余暇を家族と過ごそうとしたり、自分にとって有意義な時間の使い方をしようとしたりする考えが強まり、ワークライフバランスの充実が可能になります。

また、これまで働きたくても働けなかった人が、ワークシェアリングによって仕事ができるようにもなります。

すると、働けるようになった人の生活が充実し、余裕が生まれるようになるのです。
 

自由な時間ができるので趣味やスキル習得ができる

ワークシェアリングは経済効果も生み出します。

これまで、自由な時間を楽しむ暇もなく働いていた人が、ワークシェアリングによって余暇を楽しむようになります。

結果的に個人消費が促され、景気を回復傾向に動かすことができるのです。

また、ワークシェアリングによって自由な時間が増えることが、少子化問題の解決にも役立つという声もあります。

では、ワークシェアリングによる企業のメリットを具体的にみていきましょう。
 

優秀な人材が流出するのを防ぐことができる

フルタイムでの仕事の継続が難しいという従業員がいたとします。

この場合、ワークシェアリングを導入することで、この従業員は仕事を継続することができることになり、雇用機会も広がるのです。

また、この従業員が会社にとっては重要な存在である優秀な従業員で合った場合、優秀な人材の流出を食い止めることができるというメリットもあります。
 

従業員満足度を上げることができる

仕事よりも家庭を大事にしたい、プライベートな時間を多く持ちたいという人の従業員満足度が上がります。

そのため、従業員はより企業に貢献してくれるようになり、仕事に対するモチベーションも上がるのです。
 

生産性向上を期待できる

ひとりあたりの労働時間が減るということは、生産性が向上するというメリットを生みます。

長時間ひたすら仕事に打ち込むよりも、適度に休みを挟みつつ、短時間で集中する方が作業の効率は良いからです。

また、従業員ひとりひとりの生産性が良くなれば、企業全体としてもプラスの効果を生み出すことになるでしょう。

ワークシェアリングについての歴史、企業や個人のメリットについてまとめてお話しました。

具体的な事例も読んでいただければ、ワークシェアリングの良さが理解いただけるはずです。

今後も必要に応じてワークシェアリングを活用できる企業が増えていくことでしょう。