
【就活生必見!】ゼネコン業界の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説します
ゼネコンは建設業界に属する企業であり、大規模な企業が多く、就活生の人気も高いです就活生からの人気が高いため就職できる大学は限られていると言われています。そのため少数精鋭の就活生の中から勝ち残る必要があります。なので大切なことは、ゼネコンについてどれだけ正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、商社でどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事ではゼネコンの業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めばゼネコンの業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、ゼネコンの就活に挑みましょう。
ゼネコン業界とは
この章ではゼネコン業界について、以下の点から解説していきます。
- 業界構造
- 将来性
- 業界分類
- 最新トレンドについて
業界構造
建築事業
建築事業はゼネコンの最も代表的な事業であり、就活生の方がイメージする事業内容に最も近いでしょう。
ゼネコンは高層ビルやマンション、オフィス、学校、病院、商業施設、寺院や伝統建築などありとあらゆる施設や建物の建設を担っています。
例えば、大林組は虎ノ門ヒルズやスカイツリー、清水建設はちばぎんの本店ビル、片瀬江ノ島駅、大成建設であればあべのハルカスや東京ミッドタウンなど今では多くの方に知られている有名な建造物の建築事業に参画しています。
これらの建築物の建築はデベロッパーや不動産会社などの発注者から請負をして、発注者の企画書通りに設計を行った上で、発注者に再度提案を行ないます。
発注者の了承が得られればそのとおりに建築作業を開始します。
ゼネコンは建設会社という側面がありますが、ゼネコンの社員が直接建設作業に従事するわけではありません。
もちろん、ゼネコンも建設に従事する場合もありますが、ゼネコンには多くの下請け会社があり、それら下請け会社に工事を発注し、ゼネコンは下請け会社のマネジメントや指導を行ないます。
したがって、実際に工事に従事して建築物を完成させるのは下請け会社といってもいいでしょう。
ただし、ゼネコンは下請け会社に工事を丸投げするのではなく、全体のバランスが取れるように工事現場を指揮監督し、工事を円滑に進める責任があります。
最近では、下請け会社による工事のほかに生産性の向上を図るためにロボット技術を駆使した施工も行われているようです。
また、工事が完成したら終わりではありません。工事が完成すると建築物の所有権はゼネコンになり、そこから発注者に納品されますが、建築物の運営や維持・管理もゼネコンが行ないます。
土木事業・開発事業
土木事業とはトンネルやダム、橋梁、高速道路、エネルギー施設など人々の生活に必要不可欠である社会インフラの建築です。
例えば、鹿島建設の東京都丸の内駅舎の建設作業や清水建設の東京湾アクアライン川崎トンネル浮島南工区、地下鉄大江戸線上広・元浅草工区、八ツ場ダム、東京外かく環状道路本線トンネル(南行)大泉南工事などが知られています。
土木作業の場合の発注者は官公庁や地方自治体となります。
まずは国や地方自治体の政策実現のために官公庁が主体と成って企画の立案を行ないます。
この段階でゼネコンも建築のプロとして様々なアイデアを提示したり、他の地域の土木事業の事例を提示するなどして企画立案に協力します。
それらの材料や住民の声などを参考にして、最終的に官公庁が最終案をまとめます。
企画立案の段階が完了したら、調査の段階に入ります。官公庁とゼネコンが協力して、具体的にどのような建築物を建設するのかを検討します。
ゼネコンがこれまでの建築の実績から蓄積した調査やノウハウを提案し、かつ官公庁が市民の声を集約して、具体的な「モノ」を検討します。
調査結果をもとにゼネコンが設計図を策定し、官公庁や自治体に提示します。両社の協議を経て、具体的な最終案をとりまとめます。
設計図が完成したら、ゼネコンが主体となり、トンネルやダムと言った土木事業を開始します。
建築事業と同様にゼネコンだけではなく、ゼネコンの下請け会社が参加してモノづくりを進めます。
ゼネコンは工事というよりもマネジメントの立場に立って工程の管理や安全管理を担います。
状況に応じて発注者である官公庁のパートナーとして設計変更や施工管理を行ないます。
土木事業は完成したら、終わりではありません。
橋やトンネル、ダムなどは数十年という長期に渡って利用するものですので、定期的な点検作業が必要になります。長寿化を目的に維持管理を行ったり、定期的な調査や点検作業もゼネコンが担います。
必要に応じて、補修の設計を行ったり、それに基づいて補修の工事を行ないます。
市場規模・将来性
市場規模
「業界研究」によれば、2019年から2020年の建設業界の市場規模(主要対象企業62社の売上高の合計)は16兆9,788億円となっています。
約17兆円という規模は全産業136業界のなかで第21位と比較的大きな産業という位置づけに成っています。
また、建設経済研究所(RICE)の「主要建設会社決算分析」によれば、年間の受注高ベースでは大手ゼネコンは約6.5兆円、準大手ゼネコンで4兆円規模、中堅ゼネコンでは2.2兆円規模と、全体で約13兆円の規模となっています。
ゼネコン業界の建設投資額を市場規模に見立てると約52兆円となっています。日本のGDPが約500兆円ですから、日本のGDPの約10%を占めていることになります。
この約52兆円という規模は介護・医療とほぼ同額です。介護・医療は少子高齢化社会のなかで需要が高い産業ですから、ここからも建設業界が大きな産業であることがわかると思います。
約52兆円という建設投資額の内訳を見てみると、民間工事が30兆円、公共工事が約22兆円となっています。民間工事の約80%が住宅や向上などの建設工事が占めています。
また、公共事業の約90%は道路やトンネル、橋などの土木事業となっています。
国土交通省の建設工事の発注実績及び一般社団法人日本建設業連合会の調査結果によると、建設投資額は1992年に84兆円という過去最高額を記録しました。
これはバブル崩壊後の景気刺激策が背景に有りました。
しかし、2010年には約40兆円ほどに落ち込み、建設投資は底をつきます。
その後も低迷が続きましたが、東日本大震災の復興や民間投資の回復により、再び50兆円を回復しました。
2020年には2019年の2補正予算等に係る政府による建設投資が見込まれることから、総額として63兆1,600億円となる見通しです。
現在の建設投資を発注者別に見ると、民間投資が62%、政府の公共事業投資が28%となっています。
工事別では建築事業が62.4%、土木工事が37.6%を占めています。
民間投資の大半は建築工事、政府投資の大半は土木工事です。
建設投資を地域別構成比でみると、 2010年度までは、公共投資抑制の影響を受けた地方圏の縮小に対し、大都市圏では民間投資が相対的に堅調であったことから、特に関東地方の比率が拡大しました。
2011年度以降は東日本大震災被災地の復旧・復興に向けた投資の集中により東北地方の比率が拡大するとともに、都心の再開発や東京オリンピック・パラリンピック関連施設建設により関東地方の比率も拡大しています。
将来性
日本のゼネコン業界の投資額は横ばいで推移すると予測されているいますが、住宅投資は明るい予測が少ないです。
短期的には増税の影響で、中長期的な視点では日本は少子高齢化・人口減少社会であるため、住宅建設は供給過多となりそうです。
野村総合研究所の調査結果によると、2040年にはマンションの40%近くが空室になると試算されています。
つまり3軒に1軒は空き家という家あまりの時代ですので、マンションの価格が下落し、住宅建設が進まないと予測されています。
現状でも建設業界は打撃を受けており、建設業の許認可を得ている建設業者の数も2000年の60万社をピークとして減少を続けており、現在では約47万社と2000年の約8割以下となっています。
地方の消滅も住宅建設と密接に関連しています。人口減少問題検討分科会によると、2040年には896の市区町村が消滅する可能性があると言われています。
現在は1741の市区町村が存在するので、市区町村の数はほぼ半分になります。
したがって、人口の少ない地方の建設会社から順番に、より早いペースで淘汰が進んでいくことは間違いないでしょう。
一方で、建設業界ではオリンピックの後も大規模な開発が予定されていますので、大規模な建設工事を担うゼネコンは高い需要の恩恵を受けると見られており、建設業界全体の好景気はしばらく続きそうです。
例えば、2022年の東京メトロ銀座線の全駅のリニューアル、2025年の大阪万博、2017年のリニア新幹線の開業、日本のカジノ開発などの大型案件が控えています。
老朽化が進む高速道路やマンションの大規模修繕など今後も高い需要が続きそうです。
また、日本は地震大国であり、地震の後には必ず復興工事があります。
東日本大震災の後にも大規模な復興需要があったように今後も地震の度に復興需要が生まれるので、建設業界は一定の需要があります。
さらに日本だけではなく、海外に目を向ければ、需要はまだまだあります。
日本のゼネコンは国内で培った高い技術力とノウハウを武器に海外で高く評価されています。
実際に多くの建設会社が海外に進出しています。
業界の分類
スーパーゼネコン
ゼネコンの中でも規模が大きく、売上高が1兆円を超える会社をスーパーゼネコンと呼びます。
日本の大きな建築事業や開発事業はほとんどスーパーゼネコンが請け負っています。
スーパーゼネコンは全部で5社存在し、鹿島建設・清水建設・大成建設・竹中工務店・大林組の5社となっています。
準大手ゼネコン
準大手ゼネコンはスーパーゼネコンに次いで規模が大きく、売上高が3,000億円を超えるゼネコンです。
大型の建築事業や土木事業、開発案件を手掛けています。
代表的な準大手ゼネコンは長谷川コーポレーション、五洋建設、フジタ、前田建設工業、戸田建設、三井住友建設、西松建設などです。
マリンコントラクター
マリンコントラクターは通称「マリコン」とも呼ばれ、ゼネコンのなかでも港湾・護岸工事、海底トンネル工事などの海洋土木を専門に取り扱っているゼネコンです。
日本のマリコンは世界的に見ても評価が高く、国内だけでなく海外の工事を受注することもあります。
代表的なマリコンには東亜建設工業株式会社、東洋建設株式会社などがあります。
最新のトレンド
人材不足
建設業界は好調に拡大を続けていますが、人材不足に悩まされています。
建設の仕事は機械だけではなく、人力でしかできない業務が多いため、豊富な建設需要に対応するためには多くの人材が必要となります。
現状では東日本大震災の復興需要やオリンピック需要に対応できるだけの必要な人材が集まっていません。
建設業界では官公庁や民間企業から大手のゼネコンが建設や土木事業を受注し、下請け会社が工事に取り掛かりますが、ゼネコン側の施工管理者や下請け会社の現場の指揮官や工事を行う人材のいずれも不足しています。
特に建設業界では高齢化が進み、若者の新規参入が少なくなっています。
このままでは次世代の建設業界を担う若者を育成できないまま人材が枯渇していしまいます。人材への依存度の高い建設業界では致命的です。
建設業界の就業者の推移を見てみると、過去10年で500万人で横ばいに推移しています。
日本建設業連合会によると、500万人の就業者のうち建設現場で働く「技能労働者」は約330万人との試算がありますが、こちらも就業者同様、頭打ちが続いています。
このような状況の中で未消化工事高と呼ばれる「手持ち工事」が増加しています。
これは受注しているもの工事が完了していない金額のことで、人材不足を原因として多くの工事が未消化となっています。
人材不足を解決するために建設業界でも様々な取り組みがされています。建設業界が人材不足に陥りやすい原因として、肉体労働という体力的にきつい仕事であるにもかかわらず、賃金が低いという問題があります。
したがって、経済面での待遇の改善や福利厚生の充実によって就労者を増やす試みがあります。
また、建設業界の過度な人材への依存を減少させるためにIT化が提唱されています。
これまで人が人力で行っていた情報の管理などの仕事を機械が行うことで人の力が必要な分野に人力を集中させようという試みです。
また、AIやドローンなどを活用して、本来は人力が必要な分野でも機械で代用しようという試みも始まっています。
一方で、IT関連の機械は初期の導入費用が高いほか、現場の大半を占める高齢の労働者がITに慣れていないことからスムーズに進んでいないのも事実です。
建設バブル
建設業界はリーマンショック以後は長期に渡って需要が低迷していましたが、最近では東京オリンピックの需要や旺盛な民間の建設投資、東日本大震災からの復興需要など好調な動きを見せています。
オリンピック需要が一段落すると建設需要が減退し、ゼネコンは不況を迎えるのではないかと予測もありましたが、実際にはオリンピックの後も堅調な推移を見せると予想されています。
例えば、2022年の東京メトロ銀座線の全駅のリニューアル、2025年の大阪万博に向けた各種インフラの整備、2027年のリニア新幹線の開業、日本のカジノ開発によるIRリゾート施設の建設、国土強靭化関連の公共投資の増加によって建設バブルが加速すると見られています。
これらは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けても予定通り実施される見込みであり、建設業界の旺盛な需要はまだまだ収まる傾向が見られず、ゼネコン業界は旺盛な需要を享受できそうです。