
【ソフトウェア業界の業界分析】就活生必携の将来性やトレンドについてもご紹介
近年、就活生の人気を集めているのがソフトウェア業界です。文系・理系を問わず多くの学生がエンジニアとしてソフトウェア業界で働くことを志望しています。「自由な働き方」「IT業界の最先端で働ける」といった要素に惹かれて、多くの学生が志望しているようです。しかし、ソフトウェア業界は比較的新しい業界ですので、就活の選択肢に入れていても、「いまいちよくわからない」という方もいるとおもいます。この記事ではソフトウェア業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、ソフトウェア業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、ソフトウェア業界の就活に挑みましょう。
ソフトウェア業界とは
この章ではソフトウェア業界について、以下の
- ソフトウェア業界の業界構造
- ソフトウェア業界の将来性
- ソフトウェア業界の業界分類
- ソフトウェア業界の最新
について解説していきます。
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業界構造
WEBシステムソフトウェア開発
そもそもソフトウェアとはユーザーのニーズやマーケティング上の目標をコンピューター上で動作するプログラムに変換する作業です。
多くの個人や企業、学校などで普及している表計算ソフトExcelや文章作成ソフトWord、アプリケーションやゲームソフト、OSの開発などもソフトウェアに該当します。
これらのソフトウェアを設計して、販売することがソフトウェア開発です。
ソフトウェア開発のなかでもWEBシステムソフトウェアとは、コンピュータ内で使用するWEBプラウザ上で動かすソフトウェアを指します。
WEBシステムソフトウェアとはインターネット環境があれば、いつでもどこでも利用できることが特徴です。
ソフトウェア開発ビジネスの工程は以下のとおりです。
- 要件定義
- 開発
- テスト
- リリース
- 運用・保守
要件定義とは企画提案にもとづいて、システム化する業務や必要な性能をはっきりさせる作業のことを指します。
要件定義を行うためには既存システムの業務フローを把握し、システム設計書を確認します。
システム開発の明確化が目的ですが、開発側と顧客側の役割分担をはっきりさせることで、相互の必要な業務を明確化し、齟齬が出ない状態を作ることも目的です。
ちなみに要件定義では、要望を設計に落とし込めるように解決策も検討していきます。
開発とは仕様書や設計書にある内容をもとにJavaやCといったプログラミング言語を使ってプログラムの記述を行います。
エンジニアやプログラマーが逐一、仕様書通りになっているか確認しながら慎重に作業を進めていきます。
テストとはシステムが設計書の通りに動くかをテストします。
テストには以下の4つがあります。
- 単体テスト(プログラム単体の検証)
- 統合テスト(複数プログラムの検証)
- システムテスト(システム全体の検証)
- 運用テスト(顧客が実際に扱うデータによる検証)
テストを通じて、システムが正常に動くかどうか確認をします。
正常に動かない場合はシステムやプログラムのソースコードにバグがありますので、バグを削除する作業が必要になります。
すべてのテストでバグが解決したらテスト完了です。
多くのソースコードが必要となるソフトウェアの場合にはテスト作業にも膨大な時間がかかります。
リリースとは顧客にソフトウェアを納品することです。
開発現場で作成したマニュアルやシステムの設計書、プログラムも一緒に贈ります。
顧客が使い方に不安がある場合は一連のオペレーションなどの操作説明を開発会社から派遣されたエンジニアが行う場合もあります。
ソフトウェアを納品したら完了ではありません。
運用中の障害発生時のサポートやデータのバックアップなども開発会社の重要なビジネスです。
顧客から新規機能追加の依頼や制度改正の要望が合った場合には納品後に機能追加の対応をすることもあります。
アプリケーションソフトウェア開発
アプリケーションソフトウェアとはユーザーの特定目的に応じたプログラムや機能を作成したソフトウェアを指します。
例えば、表計算ソフトExcelや文章作成ソフトWord、メールサービスGMail、データ共有システムDropboxなどが該当します。
これらはユーザーが利用したい作業をスムーズに実行することに特化したソフトウェアです。
特定の機能だけを搭載したソフトウェアのほか、複数の機能を組み合わせて構成されたソフトウェアなども多くあります。
開発するソフトウェアの規模に応じて開発期間や費用が変化しやすくなっています。
アプリケーションソフトウェア開発ビジネスの工程はWEBソフトウェア開発同様に以下のとおりです。
- 要件定義
- 開発
- テスト
- リリース
- 運用・保守
組み込みシステム開発
組み込みシステムとはスマートフォンや家電製品、ロボット、機械に組み込まれているソフトウェアを指します。
ebシステムソフトウェアやアプリケーションソフトウェアのように、用途に合わせて機能を使い分けるというよりは、ひとつの機器の機能に特化したシステムを組み込むことを言います。
例えば、炊飯器の炊き出し機能や保温機能、洗濯機の選択機能や乾燥機能、AEDなどの医療機器を動かすために内部に組み込まれたシステムが挙げられます。
機器を制御するという特性上、組み込みシステムの開発にはハードウェアに精通したエンジニアが欠かせません。
組み込みシステム開発ビジネスの工程はWEBソフトウェア開発同様に以下のとおりです。
- 要件定義
- 開発
- テスト
- リリース
- 運用・保守
市場規模・将来性
市場規模
業界動向リサーチによれば、2019年-2020年のソフトウェア業界の業界規模(主要対象企業15社の売上高の合計)は6,443億円となっています。
富士キメラ総研がソフトウェアの国内市場の調査結果をまとめた「ソフトウェアビジネス新市場 2019年版」によれば、2019年度の市場規模は1兆3,961億円となりました。
内訳は、パッケージが8,315億円、SaaS(Software as a Service)が5,646億円でした。
富士キメラ総研によれば、2023年度の市場規模を1兆7,550億円、SaaS比率は46.6%に増加すると予測しています。
経済産業省「特定サービス産業実態統計調査」によるとソフトウェア業の市場規模推移は以下の通りです。
2009年にソフトウェア開発の市場規模は15兆636億円に達しましたが、翌年の2010年にはリーマンショックの余波によりIT業界の投資が減少したことで市場は大きく縮小し、市場規模は13兆2,101億円と僅か1年で1兆8,534億円も減少しました。
その後、政府の経済対策や日銀の金融緩和の影響もあり企業のソフトウェア投資は活発になり2013年には市場規模13兆9,282億円と回復の兆しがみえてきました。
2014年は、消費税増税後の影響により12兆6,189億円と市場は一時的に縮小したものの、 2015年には12兆9,922億円と3,733億円増加しました。
業のソフトウェア投資に対するマインドは改善の方向にあります。
また、株式会社バルテスによれば、現在の日本国内のソフトウェア開発市場は15.5兆円程度、海外では120兆円程度と言われています。
その中でテスト工程が占める割合は約1/3、つまりソフトウェアテストの潜在市場は日本国内では約5.5兆円、海外では約40兆円と言われています。
将来性
ソフトウェア開発の市場規模は今後も拡大すると予測されています。
世界の企業の時価総額ランキングを見てみると上位5社は1位Apple、2位Amazon.com、3位Alphabet(Googleの親会社)、4位Microsoft、5位Facebookとなっています。
上位10社はほとんどソフトウェア関連の企業が占めており、ソフトウェアを含め、IT関連の業界は世界のトップ産業であると言えます。
株価は企業の将来性に期待して上下します。
ソフトウェア関連の企業が上位にランクインしているということは多くの投資家がソフトウェア開発の将来性に期待しているということです。
また、AIやIoTなどの最新技術の発展、ビッグデータやクラウドなどが大きな注目を集めており、これらの技術が必要となるソフトウェアの需要の拡大も期待されています。
業界の分類
明確な定義はありませんが、大手のソフトウェア開発会社として日本オラクル、トレンドマイクロ、オービック、ジャストシステム、ミクロ情報サービスなどが挙げられます。
最新のトレンド
ソフトウェア業界は堅調に推移
ソフトウェア業界の市場規模の推移を見てみると、2009年までは拡大が続きましたが、2009年から2012年まではリーマンショックの影響でIT関連投資が減少したことから市場は縮小しています。
しかし、2013年以降は政府の経済対策や日銀の金融緩和の影響もあり増加に転じています。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2020年のソフトウェアの売上高は前年比6.8%増の9兆3,247億円でした。
2020年の受注ソフトウェアの販売額は前年比3.4%増の7兆4,923億円、製品ソフトウェアの販売額は前年比23.2%増の1兆8,324億円でした。
近年のソフトウェア業界は緩やかな上昇基調にあり、2020年は大きく増加しました。
2020年はとくに、製品ソフトウェアの増加率が高くなっています。
ソフトウェア業界は、2014年ごろからインターネットの普及と回線の高速化により「クラウドサービス」が台頭しました。業界の新たなけん引役となっています。
クラウド、SaaS、CRMが市場の成長を牽引
ソフトウェア業界は世界的な需要の高まりを受けて、堅調な成長を続けています。
特にソフトウェア開発を牽引しているのがクラウド、SaaS、CRMです。
例えば、企業や個人のクラウドに対する関心やニーズは上昇しており、システムをクラウド上に移行する際に使われる仮想化ソフトの需要が見込まれています。
SaaSとは必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアのことであり、これまでパッケージ製品として提供されていたソフトウェアを、インターネット経由でサービスとして提供・利用する形態となっています。
データをインターネットに保存して、サーバ経由で簡単に使えることや複数の人が共有し、編集できる点が特徴です。
会議ソフトやファイル共有ソフトが代表的です。
CRMは、Customer Relationship Managementの略語で、日本語では「顧客関係管理」や「顧客管理」などと訳されます。
トヨタやNEC、JA全農など、多くの成功企業で導入されていることで知られており、顧客の情報を収集・分析して顧客満足度の向上や新たなニーズの発掘を行い業績の向上を目指すものです。
CRMの成長率は高く、現在注目されている分野です。
近年のソフトウェア業界はクラウド、SaaS、CRMなど注目を集める分野が多く、こうした分野をいかに収益化していくかが今後の課題となります。