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医療機器 将来性

【就活生必見】医療機器業界の業界研究!事業構造や将来性などについてご紹介

医療機器メーカーは高齢化や医療技術を背景として不況に強いことから安定志向の学生から圧倒的な人気を誇ります。また、日本企業が得意とするものづくりに携われることから理工学部の学生からも人気が高いという特徴があります。ぜひ読み込んで万全の準備をしてください。

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医療機器業界とは

この章では医療機器業界の

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類

最新トレンドについて解説していきます。

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業界構造

医療機器の製造・販売

医療機器業界は各種医療機器、医療用サプライの中間流通を主要事業として手がける企業で構成される典型的なBtoBビジネスです。

医療機器は消耗品ではなく、各医療機関で長期にわたって使用されることを前提としています。

したがって、顧客となる医療機関のマーケティングやそれに基づくニーズに応じて、製品の開発・設計を行い、製品のテストを繰り返します。

テストの結果、医療機器がユーザーの要求水準を満たす場合は製造に移りますが、その後もメンテンナンスやシステムの更新等の関係が続いていきます。

医療機器は一般消費者向けの製品ではないので、全く同じ機械を大量生産するビジネスモデルではなく、個別の医療機関や医師のニーズに一つずつ丁寧に答えていくビジネスです。

医療機器メーカーの顧客は直接医療機関や研究機関ですが、直接これらの顧客に納品するわけではなく、販売会社や医療機器商社、医療機器の卸売業者に販売し、これらの業者が顧客に製品を販売します。

これらの業者は医療機器メーカーから医療機器の仕入れを行い、医療機関に製品の販売・配送・適正使用支援、メンテナンスを含むアフターサービスなどのサービスをワンストップで行っています。


単一の医療機関が、あらゆる疾病に対応できるほどの在庫を保有することは不可能です。

取扱商材にもよりますが、医療機器卸業は医療機関に代わって「在庫調整機能」を担っています。

医療機器メーカーの営業やサービスエンジニアは納品後の医療機器の適性使用支援を行いますが、医療品卸業者も自ら、あるいはメーカーと役割分担を決めて手術、検査時における医療機器の説明、あるいは手術、検査等に立ち会いを行い医療の安全体制をサポートしています。

医療機器業界の特徴として厚生労働省の影響下に置かれていることが挙げられます。

一般的な製造業は自社で製品を開発したら、市場動向によって販売価格を自由に決定できますが、医療機器の価格は厚生労働省の影響を受けます。

価格決定権のないビジネスモデルにおいて、自分たちの力だけで、継続的に事業を拡大し、利益を出し続けるのは簡単なことではありません。

厚生労働省の影響で価格決定権が弱く、資金がなければ在庫負担等に耐えられないなど医療機器メーカーは決して楽観視できません。

医療機器納品後のアフターサービス

医療機器メーカーの事業として単に医療機器を納品するだけではなく、納品後のきめ細かなアフターサービスが挙げられます。

一般消費財のように市場のトレンドに左右されるわけではなく、技術や経験、ノウハウを蓄積して、医療機関をはじめとする顧客にワンストップソリューションを提供し、その後も長い関係を構築して、アフターサービスで収益をあげます。

医療機器のアフターサービスには大きく分けてセルフメンテナンスと有償メンテナンスがあります。

一方で有償メンテナンスとは機器に故障やトラブルが起きた場合に医療機器メーカーや医療機器商社、医療機器卸売業者から専門家を派遣して、対応します。

医療機関や医師に対する情報提供

医療機器の販売やアフターサービスのほかに直接医療機関の医師やスタッフ、購買部門に対して情報提供や納品後のサポートを行っています。

情報提供とは自社製品の情報のみならず、新しい医療技術に関する情報も含まれます。

優秀な医師は、症例や医療技術に関する情報に加えて、最新の医療機器に関する感度が高いです。

医師によっては医療機器メーカーや卸売業を「ハブ(情報の中継点)」にして製品開発に関与する方もいます。

したがって、医療機器メーカーの営業には医療機器の専門家として高い製品知識と医学知識が求められます。

高度化していく基礎研究機器、治療用・診断用機器を販売するには、実際に扱う医師や専門技師から信頼を得て、パートナーとしての関係を築かなくてはなりません。 

また、医療機関に対して、医院の経営に関するサポートや医院の開業支援など従来の医療機器メーカーの枠を超え、より総合的・専門的なサービスを提供していくことが求められています。

このように医療機関にとって医療機器メーカーや卸売業は情報収集の面からも重要な役割を担います。

市場規模・将来性

市場規模

業界動向リサーチによれば、2019年-2020年の医療機器業界の業界規模(主要対象企業31社の売上高の合計)は4兆4,062億円となっています

厚生労働省が2020年12月末に発表した令和元年薬事工業生産動態統計年報によると、2019年暦年の医療機器市場の規模は国内生産が前年比21.8%増の2兆5,678億200万円、輸入が同68.0%増の2兆7,299億9,000万円となっています。

合計では5兆2,907億9,200万円であり、このうち国内への出荷は4兆2,817億円(残りは輸出分)でした。

2019年の国内生産品を製品名称別に見ると、内臓機能代用器が3,049億2,100万円、医療用エックス線装置・エックス線管が2,258億5,100万円、血液検査用器具が1,822億5,000万円、内臓機能検査用器具が1,300億7,700万円と上位を占めています。

経済産業省 商務・サービスグループ医療・福祉機器産業室が2021年2月に発表した「経済産業省における医療・福祉機器産業政策について」によれば、医療機器の市場規模は以下のように推移しました。

単位(億円)

2001 2002 2003 2004 2005 2006
19,558 19,666 19,622 20,596 21,105 22,587
2007 2008 2009 2010 2011 2012
21,314 22,239 21,760 23,154 23,860 25,935
2013 2014 2015 2016 2017 2018
26,758 27,857 27,479 28,870 30,206 29,028

国内の医療機器市場規模は、2004年以降、増加に転じ、2兆円超で推移していました。 2017年は、約3兆円となり、過去最大の市場規模となりました。

日本の医療費は2016は42.1兆円となり、医療機器市場は、うち約7%となっています。

一般的に治療機器の成長率が高く、市場規模も大きくなっていますが、治療機器は輸入比率が相対的に高い傾向にあります。

厚生労働省の「薬事工業生産動態統計」によれば、2018年時点の機器別の市場規模及び輸入品シェアは以下のとおりとなっています。

単位(億円)

画像診断システム 監視システム
・ 生体現象計測
医用検体検査機器 関連装置及び用具
画像診断用X線
施設用機器
2,620 1,918 521 232 342
40.90% 40.20% 41.80% 50.90% 4.20%
代行機器
・生体機能補助
処置用機器 治療用又は手術用機器 鋼製器具 眼科用品
及び関連製品
6,594 8,388 1,572 664 2,750
67.00% 50.80% 79.30% 79.50% 79.30%
歯科材料 家庭用医療機器 歯科用機器 衛生材料及び衛生用品  
1,451 1,061 509 407  
17.00% 43.00% 38.40% 85.40%  

輸出入額は、2018年時点で、約9,529億円の輸入超過となっています。

厚生労働省の「薬事工業生産動態統計」によれば、医療機器の輸出入の推移は以下のようになっています。

単位(億円)

  2013 2014 2015 2016 2017 2018
輸出 5,305 5,723 6,226 5,840 6,190 6,676
輸入 13,008 13,685 14,249 15,564 16,492 16,206
貿易収支 -7,703 -7,962 -8,023 -9,724 -10,302 -9,529

将来性

日本における65歳以上の人口は1947年には374万人でした。それが戦後一貫して増加し1970年には739万人、1995年には1826万人、2015年には3384万人にまで増加しています。

「内閣府令和元年版高齢社会白書」によると、日本の65歳以上人口(高齢者人口)は3,558万人で総人口に占める割合(高齢化率)は28.1%でした。

高齢化率は上昇を続け、2036年に33.3%、2065年には38.4%に達して、国民の約2.6人に1人が65歳以上となる社会が到来すると推計されています。

高齢化の進行によって、さらに医療機器の需要は高まっていくと思われます。

世界の医療機器市場も拡大が見込まれています。

世界市場は先進国の高齢化と新興国の経済成長を背景に、2020年代には40兆円市場に成長する見込みとなっています。

これをにらみ、政府は医療機器の輸出拡大を成長戦略の柱の1つに位置付けており、2013年に日本の医療関連機器やサービスを海外に売り込む官民共同の新組織「メディカル・エクセレンス・ジャパン」を立ち上げ、三菱重工業や東芝、日立、ソニー、テルモなど医療機器メーカー40社が参加しています。

業界の分類

医療機器業界は今後成長が見込める市場であるので、異業種から多くの企業が参入しています。

明確な定義はありませんが、大手と言われる医療機器メーカーとしてはソニー、キヤノン、オリンパス、テルモ、富士フイルム、オムロン、コニカミノルタなどが挙げられます。

最新のトレンド

市場は拡大傾向

厚生労働省が発表している「医薬品・医療機器産業実態調査」によれば、2019年度の医療機器売上高は3兆2,692億円(前年比△2.1%)となりました。

内訳としては国内製品が1兆9,055億円(前年比+9.4%)、輸入製品が1兆3,637億円(前年比△6.5%)となりました。

医療機器は人々が生きていく上で不可欠ですので、景気の影響を受けにくい業界であると言われています。

日本国内では今後高齢化が進むほか、日本以外の先進国でも高齢化が進するので、医療機器の需要は高まると言われています。特に予防医療が重視されるようになり、診療関連機器の需要が拡大しています。

また、新興国においても人口増加や経済発展に伴い医療水準の向上が期待されているので、医療機器業界は堅調に推移すると予想されています。

今後もアジアを中心に人口増や経済発展を遂げる国が多くあり、世界的な医療機器需要はさらに拡大する見込みです。

このような業界環境のなかで異業種からの医療機器業界への参入が相次いでいます。

2012年に旭化成はアメリカ医療機器メーカーのゾール・メディカルを22億1,000万ドル、日本円に換算して1,800億円で買収しました。

2013年にソニーとオリンパスは医療事業の合弁会社ソニー・オリンパスメディカルソリューションズを設立し、ソニーのデジタル映像技術、オリンパスの内視鏡の開発技術を組み合わせ、新型の外科用内視鏡や手術室向けの映像機器を開発し、全世界で事業展開する予定です。

また、2016年にはキヤノンが東芝メディカルシステムズを買収し、子会社化しました。

同社は従来のプリンタやカメラが苦戦する中、キヤノンは医療機器事業を将来の主力事業に位置づけたい公算です。

医療機器の高度化と高価格化

近年では医学や医療技術の進歩によって、医療機器の高度化が進んでいます。

カテーテルや内視鏡、超音波診断装置、CTスキャン装置、MRI診断装置、ロボット手術など先進的な技術は現在では医療現場で日常的に使われていますが、近年開発された機器です。

これらの医療機器は様々な疾病の治癒に大きく貢献しており、昔は治療が困難であった疾病の治療も可能になりました。

一方でこれらの医療機器は精密かつ複雑であり、大変高価になっています。

高価な医療機器の開発が医療費増大の要因となっており、これからはより適切なコストによる高度医療の実現が求められる時代となるでしょう。

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