
リファレンスチェックを勝手に行うのは違法?違法になるケースと注意点
リファレンスチェックを勝手に行うのは違法なのでしょうか。また、候補者に許可を取らず無断にリファレンスチェックを行われた場合、内定取り消しや選考に落ちることがあるのでしょうか。候補者や推薦者にリファレンスチェックを拒否されてしまうケースについても解説していきます。
リファレンスチェックを勝手に行うのは違法の可能性
リファレンスチェックを勝手に行うのは違法の可能性があります。
法令上、企業が採用候補者から許可を得たという証拠を取得しておくことが必要です。
つまり、リファレンスチェックを採用候補者の許可なく無断で実施することはできません。
リファレンスチェックが違法になるケース
リファレンスチェックが違法になるケースとして、以下の2つが挙げられます。
1. 勝手にリファレンスチェックを行う
先述の通り、候補者の同意なく勝手にリファレンスチェックを行うことは個人情報保護法に反する行為であるため、違法になります。
リファレンスチェックが必要な場合、企業側は候補者の許可を事前に取ることが必要です。
2. 個人情報を第三者に提供する
リファレンスチェック時に限らず、個人情報を第三者に提供することは違法です。
企業は個人情報の取り扱いに関する社内体制を徹底するようにしましょう。
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違法ではないが注意が必要なケース
リファレンスチェックを行う場合、法には触れませんが注意なケースがいくつかありますのでご紹介します。
1. 候補者の同意なしに知人やSNSを使って情報取得を行う
何に対しても基本的に「候補者の同意なし」に情報取得をすることは法律に触れる可能性があることを覚えておきましょう。
特にSNSは容易に候補者の情報を多方面から得ることができるため、閲覧のみはいいですが、選考等の情報に使用してはいけません。
2. リファレンスチェック後に内定取り消しをする
リファレンスチェック後に内定を取り消すと、解雇権濫用に該当する可能性があります。
ダイレクトな違法行為ではありませんが、候補者によっては違法と捉えてしまうケースもありますので注意が必要です。
リファレンスチェックを行うときの5つの注意点
1.知人やSNSなどから求職者の情報を入手してはいけない
リファレンスチェックを実施する際、FacebookやTwitterなどのSNSや知人から候補者の情報を入手してはいけません。
候補者からの許可がないアカウント情報の閲覧やリファレンス取得は個人情報保護法に違反したり、プライバシーの侵害に該当する可能性があります。
2.質問内容に気をつける
リファレンスチェックでは、質問内容にも気をつけましょう。
採用面接でも同様ですが、リファレンスチェックでも候補者に対する差別やプライバシーの侵害になるような質問をしてはいけません。
リファレンスチェックを利用してなんでも聞いていいわけではありませんので注意が必要です。
3.リファレンスチェック後の内定取り消し
リファレンスチェック後の内定取り消しは、リファレンスチェックの結果によって認められる場合と認められない場合があります。
リファレンスチェック後の内定取り消しが認められるのは以下のケースです。
- 学歴・経歴詐称
- 申告内容の相違
- 反社会勢力の一員と判明
- 自己PRの過剰評価
- 懲戒処分の経験あり
既に決まった内定を取り消す場合、解雇権濫用法に該当するため注意が必要です。
そのため、リファレンスチェックのタイミングは内定を出す前に行うのがよいでしょう。
4.企業内での個人情報の取り扱いを徹底する
個人情報の取り扱いに関しては最も重要であり、取り扱い方を間違えてしまうと、個人情報保護法に違反してしまいます。
個人データを第三者に提供する場合、原則として本人の同意が必要とされているため、勝手なリファレンスチェックは法に触れる可能性があります。
参照:個人情報保護法
5.リファレンスチェックを使わずに候補者を知る方法もある
リファレンスチェックを勝手に行うことで違法の可能性があるとされていますが、リファレンスチェックを使わずに候補者の情報を得られる方法もあります。
在職証明書を提出してもらう
過去に在籍していた企業に関して詐称があるかを確認する手段として、在職証明書の提出を候補者に依頼することができます。
ただ、候補者側の立場からして、在職証明書の提出を依頼された場合、疑われている意識を持ってしまう可能性が高いため、何度も要求することはおすすめしません。
経歴を確認する目的であれば職務経歴書を要求することも可能ですが、在職証明書の提出依頼は職務経歴を詐称している可能性がある場合が望ましいです。
リファレンスチェックが拒否された場合の対処法
候補者が拒否する場合
採用候補者には、リファレンスチェックを断る権利があります。
このようなケースでは候補者に何かしら問題がある可能性があると考え、内定取り消しを検討するかもしれません。
しかし、リファレンスチェックの拒否が理由で内定取り消しをする場合は「労働契約法16条」が定める「解雇権濫用の法理」に違反してしまうため、注意が必要です。
候補者が拒否する理由は以下の2つが考えられます。
1. 頼める関係性の人がいない
候補者がリファレンスチェックを拒否する場合、周囲に頼める人がいない可能性があります。
周囲と友好な関係が気づけていない場合もありますし、転職経験が浅く推薦者を指定しにくい場合もあるでしょう。
このような場合は、取得が出来ない理由を詳細に確認してください。
理由に妥当性がある場合、無理に依頼することは避け、別の選考方法で候補者の確認を行うのがよいでしょう。
候補者がリファレンスチェックを拒否する理由が納得のいくようなものであれば、リスクを考慮したうえで採用判断をすることをおすすめします。
2. 経歴詐称をしている
候補者が面接で虚偽の内容を伝えている場合、前職や現職の同僚や上司に連絡がいきます。
この場合、虚偽申告の事実が発覚することを恐れてリファレンスチェックを拒否する場合があります。
虚偽申告として以下の内容が考えられるため、入念にチェックをしましょう。
- 学歴詐称
- 実績や役職の過大評価
- 不祥事やトラブルの隠蔽
- 職務履歴の詐称
推薦者が拒否する場合
推薦者がリファレンスチェックを拒否するケースとして、以下の4つが考えられます。
1. 候補者に退職してほしくない
候補者と一緒に働いていた仲のいい上司や同僚の立場として、転職されてしまうと、優秀な人材の損失や新しい人材の確保の手間が発生するなどのデメリットがあります。
このような場合、推薦者がリファレンスチェックを拒否することがあります。
2. 重要な確認の一部に関わりたくない
リファレンスチェックは、転職時の重要な情報確認の一部です。
リファレンスチェックの内容によっては候補者が不採用になってしまう場合もあるため、推薦を頼まれた側はリファレンスチェックに関わることを避けようとする場合があります。
3. 忙しくて時間がない
候補者との関係も良好で推薦すること自体にも賛成していても、時間がなく忙しい場合、推薦者がリファレンスチェックを拒否する場合があります。
また、リファレンスチェックの推薦者になったからといって、報酬が発生することはないため、回答の依頼を断る推薦者もいます。
4. 候補者との関係性が悪い
回答を依頼されたとしても、候補者との関係性が良好ではなく転職活動に協力したくないという気持ちがある場合、回答を断ってしまう可能性があります。
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まとめ
リファレンスチェックを候補者の許可なく勝手に行う場合、主に個人情報保護法に違反する可能性があります。
また、リファレンスチェック後の内定取り消しは解雇権濫用に値してしまう可能性もあるので注意が必要です。
確認調査を行う場合は、事前に候補者からの許可を得るようにしましょう。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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