【コンピテンシーの使い方とは】メリットやデメリットもご紹介

ビジネスで使われる言葉に「コンピテンシー」というものがあります。

聞いたことはあるけれどよく意味は知らない、という場合もあるのではないでしょうか。コンピテンシーとは一体どのような意味を持っているのか見ていきましょう。

コンピテンシーの定義について

コンピテンシーとはある業務に対し「成果を出すという点で共通している行動の特徴」です。成果を出せるのには理由があるわけで、その行動を分析して特性を突き止め、定義したものがコンピテンシーとなります。

コンピテンシー=能力ではなく、「どれだけ成果を上げることにつながっているか」というところがポイントです。会社内でコンピテンシーを設定する場合には、モデルとなる人材の選定が不可欠です。その人物にヒアリングを行って行動を分析し、コンピテンシーのモデル化を行います。

職種や役職によって対象のモデルが変わってくるので注意が必要です。そして、出来上がったコンピテンシーをその業務の評価基準として挙げることで、全体のパフォーマンスを上げることがコンピテンシーを起用する最大の目的となります。 

コンピテンシーの具体例について

では、コンピテンシーの具体例はどのようなものが挙げられるでしょうか。コンピテンシーは会社により異なりますので、あくまで一例となりますが、営業で受注件数を上げている社員がいたとします。

その社員の行動を見てみると、商品を売り込む際に商品の詳細だけではなく、「提携したときのメリット」や「アフターサービスの充実」なども説明し、顧客の信頼を得ていました。

特別なスキルがあったというわけではなく、プラスアルファの行動が受注につながったということになります。この行動がコンピテンシーと言えるのです。

現在、コンピテンシーは色々な場面で活用されています。

具体的にどこで活用されているのか見ていきましょう。

コンピテンシーの活用シーンについて

コンピテンシーは採用面接や研修、人材評価などのシーンで実際に活用されています。

・採用面接
採用する際に「コンピテンシー面接」を行い、応募者が自社の求める行動特性と合っているかを確認します。自社で設定したコンピテンシーが判断材料となるのです。

・研修
人材育成を行うにあたり自社のコンピテンシーに合った研修を受けさせると、パフォーマンスの向上に必要な能力を習得しやすくなります。また、社員も自分たちに求められていることを理解しやすくなるでしょう。

・人材評価
人材評価の際もコンピテンシーを実現できているかで判断を行い、合致した人物を役職に就かせるなど評価基準にもなります。

コンピテンシーを活用する際の注意点について

コンピテンシーを活用する際には、注意点もあります。まずはコンピテンシーを活用するということは、モデルの行動をそのまま真似するということではない、という点です。

真似することにより同じ成果が必ずしも出せるわけではありません。成果を導き出すためにどのような行動を取ればよいのか目標を立て、実際に成果に結び付く行動ができることが重要になってきます。

また、コンピテンシーの活用は組織全体の成果やパフォーマンスを上げることが目的で、評価をすることが本来の目的ではありません。評価はあくまで判断のための手段です。そして、コンピテンシーだけを全ての判断基準にしてしまうのもよくありません。

ビジネスにおける成功の要因は、行動の特性以外にも性格や経験、仕事への満足度なども関わってくるからです。多角的に見ることにより成功の要因が見えてきます。また、設定されたコンピテンシーが現場で活用されているのか、見直しをすることも必要になってくるでしょう。

では、コンピテンシーを使用する際のメリットとデメリットにはどのようなものがあるでしょうか？

コンピテンシーを使うメリットについて

メリットとして挙げられるのは、まず「業務の方向性が定まる」というところです。曖昧な判断基準ですと、社員もどのように動けばいいのか分からない場合もあるでしょう。

また評価の判断基準が分からないと、なぜ自分の評価が上がらないのかはっきりした理由が分からず、不満が溜まる原因にもなりかねません。

そして評価という点においては、コンピテンシーを設定することで「会社にいる個人を客観的に見て評価することができる」というメリットもあります。

人によっては「自分に合っている人物をより高く評価する」という場合も考えられるからです。また、採用の際にコンピテンシー面接を行う場合には、自社でパフォーマンスを発揮できる人材を採用できるといったメリットもあるでしょう。

コンピテンシーを使うデメリットについて

コンピテンシーを作るにあたりまずはモデルが必要になりますが、「その人材自体がいない」という可能性もあるでしょう。

その場合、コンピテンシーを作成する基準となる対象をどこから取得するか、検討し調査しなければなりません。職種や役職によって求められるコンピテンシーは変わってきますので、それごとにモデル探す必要も出てきます。

また、コンピテンシーはいつも同じというわけではありません。年月を経て企業が求めるものが変わる場合もあるからです。その点では、作成後も常に見直しが必要であると言えるでしょう。そして、作成したコンピテンシーが常に正しいとも限りません。

本当にそのコンピテンシーにより成果が上がっているのかも検証することが重要です。その結果、調整が必要になる場合もあるでしょう。

コンピテンシーに似た言葉は色々あります。意味の違いはあるのでしょうか？

コンピテンシーによく似た言葉とその意味について

コンピテンシーによく似た言葉とその意味について挙げていきます。

・コア・コンピタンス
コア・コンピタンスは経営学者であるゲイリー・ハメル氏と大学教授のC.K.プラハラード氏によって定義されたビジネス用語です。

「顧客に利益をもたらす」「競合他社が真似できない」「商品や市場において推進できる」以上3つを全て満たす自社能力、と定義されています。コアが「核」という意味なので、「企業にとって核となる特長」ということになるでしょう。

コンピテンシーはある業務に特化していますが、コア・コンピテンスはもっと規模の大きい、企業単位での強みであると言えます。

・コンピテンス
コンピテンスは英語で「技術」や「能力」といった意味です。

「積極性」「協調性」「リーダーシップ」「コミュニケーション能力」「向上心」などの能力がそれにあたり、一般的に社会人として必要とされるものとされます。そのため、行動特性を示すコンピテンシーとは意味が異なるでしょう。

・コンピテンシーズ
コンピテンシーズはコンピテンシーの複数形で、コンピテンシーモデルを指すときに使われます。

「コンピテンス」と同じく、コンピテンシーより意味が限定されていると言えるでしょう。次に、よく似た意味の言葉についても見ていきましょう。

・スキル
スキルはその業務に対し必要となる技術や知識です。それに対しコンピテンシーはもっと広い範囲を含んでいます。

仕事をする上でスキルはもちろん必要ですが、他に他者とのコミュニケーションや調整なども必要になってくるからです。スキルがあることが前提で、他の行動という部分に重点を置いていると言えます。

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業務のモデルとされるコンピテンシーですが、それを高める方法はあるのでしょうか？

コンピテンシーの高め方について

コンピテンシーを高めるには、まず「具体的な目標の設定」が必要です。会社で何か経営方針が設定されていれば、それに沿った目標を掲げることです。

目標ができたら、次にどうしたらそれを実現できるか考えて、実際に行動しましょう。行動した後には見直しが不可欠です。それによってうまくいかなかったことを改善するため、次の新たな目標や行動が見つかるでしょう。

また、他にコンピテンシーを高めるために「常に成果を意識する」という方法もあります。「成果を達成するために行動できているか」、また、「自分の考え方が成果を意識し、それを行動に反映できているか」などを振り返るという行為が重要です。

コンピテンシーを活用することは、企業にとって非常に有意義なことと言えるでしょう。

しかし、時としてそれにばかり頼ると思わぬ弊害を生むこともあります。人間や企業には様々な側面があることを理解したうえで、うまく活用していきたいものです。