
【就活生必見!】消費者金融の業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説します
金融業界は学生から根強い人気を誇ります。消費者金融はメガバンクや証券会社と比べると知名度はありませんが、安定性とホワイトで有名であり、実は多くの学生が志望しています。金融業界を志望する学生の多くが消費者金融を選択肢に入れており、内定者の多くが有名私大・旧帝大などの有名大学出身者です。消費者金融業界から内定を獲得するためには消費者金融業界について正しく理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを、消費者金融業界でどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事では消費者金融業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、消費者金融業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、消費者金融業界の就活に挑みましょう。
消費者金融業界とは
この章では消費者金融業界の
- 業界構造
- 将来性
- 業界分類
- 最新トレンドについて
解説していきます。
業界構造
ローン事業
ローン事業は消費者金融会社の主力事業です。消費者金融サービスは「消費者が個人で消費する財やサービスの債務に対して、消費者の信用を担保にして金銭を貸付する事業」と定義されています。つまり、顧客の「信用」を担保として、主に個人を対象に少額の資金を無担保で融資するビジネスです。
利用者は消費者金融会社に利息を支払い、利息収入が消費者金融会社の収益源となります。銀行などの金融機関が主に企業向けの大口の融資をしているのに対して、消費者金融会社は個人向けの少額資金無担保融資に注力しています。
カードローンの金利は1.5~15%と高い傾向にあり、利益率の高いビジネスです。また、ローン事業はストック型のビジネスであり、安定した収益が見込めるため今後も消費者金融会社の主力事業であり続けることが予想されています。
クレジットカード事業
クレジットカード事業の主な収益源は手数料収入です。クレジットカードの仕組みとして利用者が加盟店で利用した場合にその場で支払うのではなく、クレジットカード会社が立て替えて、後日他の支払いとまとめて利用者に請求します。
クレジットカード請求額を一括で支払う場合には手数料は発生しませんが、分割払いやリボ払いの場合には手数料が発生し、基本的には支払期間が長くなるほどリスクも大きくなるので、手数料も大きくなります。この分割払いやリボ払いの手数料が消費者金融会社の収益源です。
また、消費者金融会社は加盟店からも手数料を徴収しています。利用者がクレジットカードを利用して、商品の購入代金を支払った場合には加盟店は支払われた金額をすべて受け取るわけではなく、消費者金融会社が後日商品代金から利用手数料を差し引いた金額を振り込みます。商品代金と手数料の差額が消費者金融会社の収益源となります。
さらにクレジットカードそのものから手数料を徴収する場合があります。一般的には年会費無料のクレジットカードが多いようですが、なかには年会費が有料のクレジットカードも存在します。クレジットカードの年会費も消費者金融会社の収益源です。
クレジットカード事業ではローン事業と同じような貸出業務もあります。クレジットカードにはキャッシング機能が付帯しており、コンビニや銀行のATMから現金を借りることができます。借入ですので、後日指定された期日に返済しますが、キャッシングの利息収入が消費者金融会社の収益源となります。
信用保証事業
信用保証事業とは消費者金融会社が銀行などの金融機関と提携し、ローン商品を利用する顧客の債務を保証するビジネスです。具体的には利用者が金融機関から借入をする際に利用者と消費者金融会社が保証委託契約を締結します。
利用者には金融機関に対する債務弁済の義務がありますが、返済が不可能になった場合には消費者金融会社が利用者に代位して金融機関に代位弁済します。この債務者の保証のリスクに対して金融機関から消費者金融会社に支払われる保証料が消費者金融会社の収益となります。ちなみに保証料は保証残高に一定の比率をかけて決定されます。
市場規模・将来性(シンクタンクのレポートなどを)
市場規模
消費者金融業界の2019年から2020年の市場規模主要対象企業9社の営業収益の合計)は8,885億円となっています。2013年から6年連続の拡大基調となっています。
過去、消費者金融業界市場は2006年に貸金業法が改正され、利息返還請求が増加したことで貸出水準が減少し、市場が縮小傾向にありました。無担保の消費者向け貸付残高は2015年度末で4兆4,438億円と、2006年度末に比べ約4分の1に激減しました。また、消費者金融会社のなかでも中小業者の淘汰が進み、大手がメガバンクの傘下に入るなどして、2006年度末に1万1,832社を数えた全国の貸金業者は、2015年度末で1,926社と6分の1以下にまで減少し、業界の様相は一変しました。
2013年まで縮小傾向は続きましたが、銀行の消費者ローンの信用供与額が増加したことに伴って、2013年以降回復しています。貸出に規制がかけられている消費者金融会社の貸出残高は減少しているものの、全国にある銀行の支店やブランド力を活用して、新規貸出が増加していることが背景にあります。さらにローン事業やクレジットカード事業に次いで信用保証事業を強化し、銀行の融資拡大を消費者金融会社の利益に取り込むビジネスモデルを構築しています。
一方で、借入需要は旺盛である一方で、総量規制や上限金利規制などによって回復力は限定的となっており、2013年以降も微増にとどまっています。また、貸金業法の改正によってハイリスク層への貸出が制限され、業界内でターゲット層の棲み分けができなくなりつつあり、限られたパイを奪い合う状況となっています。
また、これまで新規性のあったモバイルやポイントプログラムを活用した戦略も、最近は業界内のあらゆる企業が注 力しており、他社との差別化戦略を打ち出すことが難しくなっています。
メガバンク傘下の寡占化が進む
前述の通り、消費者金融業界では過払い金請求や貸金業法の改正より、事業者の収益環境が悪化し、市場が縮小しました。それに伴い2000年代後半から業界内の再編が進みました。
特にメガバンクを中心に消費者金融業界の再編が進み、三井住友銀行がプロミスを完全子会社化、三菱UFJフィナンシャルグループがアコムを事実上統合しました。収益力が低下した事業者がメガバンク傘下に吸収され、統合が進んだことで、メガバンクが消費者金融業界を取り囲みました。
2009年には三井住友フィナンシャルグループがOMCカード、セントラルファイナンス、クオークの3社を合併させセディナに再編しました。さらに三井住友銀行傘下のプロミスが2007年に三洋信販を完全子会社化、続いてアットローンを吸収しました。さらにプロミスは2014年にはモビットを買収しています。新生銀行は2008年にゼネラル・エレクトリックからレイクや個人金融部門を買収しています。
業界の分類
専業大手
消費者金融会社のなかでも消費者金融業を主力事業としている会社であり、2000年から2009年の間に会社自体が上場していた、もしくは親会社が上場していた会社をさして、専業消費者金融会社と言います。中でも貸付残高や資産規模が大きい、武富士・アコム・SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)・アイフル・レイクALSAが消費者金融業界における専業大手と位置づけられています。
銀行系消費者金融
消費者金融会社のなかでもメガバンク等の銀行と専業大手との合弁によって2000年から2002年に設立された消費者金融会社を政府系消費者金融といいます。顧客ターゲットとしてサラリーマンや公務員などの継続的・安定的収入のある層を対象にしています。
また、銀行系カードローンでは収入・職業などの面で信用に劣り、融資が受けられない一方で、専業大手では信用力が十二分にある層、つまりは銀行系カードローンと専業大手の中間層をメインの顧客ターゲットとしています。例えば、SMBCモビットや楽天カードなどがこれに該当します。
クレジットカード系
消費者金融会社のなかでもクレジットカード事業を本業とするノンバンクの子会社をクレジットカード系消費者金融と言います。例えば、セゾンファンデックス、エー・シー・エスファイナンス、アルフォオーエムシー。アプラスパーソナルローンなどが該当します。
最新のトレンド
過剰融資と規制の強化
かつて消費者金融は強引な貸付や取り立て、借金苦による自殺などが社会問題化しました。自己破産件数の増加に伴い、2010年には借入総額を年収の3分の1以下に制限する総量規制を含む改正貸金業法が施行され、自己破産件数は減少しました。
しかし、マイナス金利政策で経営環境の厳しくなった銀行系の消費者金融事業者が高金利の個人向けの小口の融資を過剰に行ない、結果として個人の返済能力を超えた融資が増加し、2016年頃に再び自己破産件数が増加しました。これを受けて、金融庁は、2016年に各銀行の個人向け融資の実態を調査すると発表しました。
また、自己破産件数の増加や金融庁の調査を受けて、銀行側でも収入証明書の提出基準額の引き下げ(メガバンク3行が提出基準を50万円に設定)や融資上限額の引き下げ(みずほ銀行が融資額の上限を年収の1/2から1/3へと引き下げ)、カードローン広告の規制(三菱UFJ銀行がCM自粛)など自主規制が始まり、カードローンの審査が独自基準で厳しくなりました。
一方で、消費者金融の利用者としては貸金業法の改正によって、借入限度額に制限が設けられたことによって、多重債務者の減少につながった反面で健全な返済能力を有する高属性の個人の借入を制限するという結果を招いてしまいました。
また、いわゆるハイリスク層の借入が制限され、闇金などに流れる事態が懸念されています。結果的に高金利を対価に小口・迅速な借入を必要とする消費者の資金ニーズが満たされない状況が続くことが予想されています。