
ピボットの意味とは?簡単にわかりやすくまとめ
ピボットの意味とは?簡単にわかりやすくまとめ。ピボットが成功した企業事例、ピボットピラミッドを紹介。ピボットする際の注意点も含めて解説します。
ピボットの意味とは?簡単にわかりやすくまとめ
ビジネスシーンで、ピボットは「方針変更」の意味で使われる
ビジネスにおいてピボットは「方針変更」や「方針転換」といった意味で使われています。企業が経営の方向変更を図ることをピボットと呼ぶのです。
企業の周囲を取り巻く環境は急激に変化していきます。変化に対して柔軟に対応しなければ企業は競争力を維持することができません。
そのため、企業にとってピボットは重要なことといえます。企業が新規事業を立ち上げるケースは珍しくありません。
ただし、失敗する可能性もあるため、ピボットは重大な経営判断になります。
ピボット(pivot)の本来の意味は「回転の軸」
ピボットとは英単語の「pivot」のことです。英単語としての本来の意味は「回転の軸」であり、時計や計測器などの構造に含まれています。
「回転の軸」という本来の意味から転じてビジネスでは企業の方向転換という意味で使われるようになりました。
また、バスケットボールの動作を指す用語としてピボットが使われることがあります。この場合は、片足を軸にもう一方の足を動かす技術がピボットです。
ピボットは使われる場面によって意味が変わるケースがあるため注意しましょう。
エクセルにはピボットテーブルの機能もある
ピボットテーブルという機能がエクセルにはあります。エクセルのクイックソート機能であり、ソートの基準データを意味するのがピボットです。
たとえば、データからピボットを取り出すことができます。ピボットを基準にしてデータの整理や抽出などができるため、ピボットテーブルは便利な機能として活用されているのです。
特に最近はビッグデータがブームになっていて、さまざまな現場でピボットテーブルは活躍しています。データ解析でよく使われる機能です。
ベンチャー企業におけるピボットとは
ベンチャー企業においてピボットの活用は重要です。ベンチャー企業はニッチな分野を見つけることが成功の鍵を握ります。
ピボットを戦略として活用して、競合企業が少なくて需要の高いニッチな市場へマーケットを変更するのです。
ベンチャー企業の生き残り戦略としてピボットは有効な方法といえます。ベンチャー企業は規模の小さな会社のため、比較的簡単に会社の方針を転換できるのが特徴です。
ピボットはベンチャー企業に適した戦略といえます。
リーンスタートアップにおいてピボットはどのような意味?
リーンスタートアップはこれまでにない新しい製品やサービスを生み出すことです。リーンスタートアップは具体的に以下のような考え方とされています。
- 必要最小限の機能でリリースする
- リリースのサイクルを短くする
- ユーザーからの反応をフィードバックし、科学的な判断に基づいて意思決定する
リーンスタートアップを活用すれば、コンパクトにピボットを取り入れられます。機能を最小限に抑えるため、少ないコストで方針変更ができるのです。
ピボットが成功した企業事例とは
【国内】ピボットが成功した企業事例とは
任天堂|コンピューターゲームへの方針転換に成功
任天堂はもともとトランプや花札を専門としていた企業でした。それが1970年代後半頃からコンピュータゲームの開発に着手したのです。
ピボットによって新しい製品・サービスの開発に挑戦した結果、任天堂は家庭用ゲームの世界で大成功しました。
特に1985年に発売したスーパーマリオブラザースが世界的に爆発的なヒットを記録して、世界の娯楽産業のトップの地位を確立したのです。任天堂はピボットの代表的な成功事例といえます。
TSUTAYA|Tポイントカードの成功
TSUTAYAはレンタルビデオ事業で成功しており全国各地に店舗を展開しています。近年はTポイントカードによるマーケティング活動でも注目されている企業です。
Tポイントカードによって、他企業と連携してTポイントを活用できるシステムを整えました。
Tポイントカードから得られるデータにより、顧客の趣味や行動履歴などをデータ化してマーケティングに役立てているのです。
TSUTAYAはTポイントカードで得たマーケティングデータを企業に提供しており、BtoBサービスへのピボットに成功しています。
mixi|スマホゲームで成功
mixiはSNSサービスを提供して成功しました。当初は日本で最も使われているSNSだったのですが、フェイスブックが登場したことにより危機に陥ります。
そこで、mixiは状況を打開するためにピボットを活用したのです。新しい事業展開としてスマホゲーム市場に活路を見出しました。
その結果として、mixiは復活劇を果たします。今ではスマホゲームの成功により黒字に回復しており、東証一部への上場も実現しているのです。
【海外】ピボットが成功した企業事例とは
Amazon|Amazonマーケットプレイスの成功
Amazonが出てきた当初は事業で上手くいかないことが多かったです。イーベイに追撃することを目的としてオークション事業への参入を試みました
。決済企業の買収などを行ったのですが、結果的には失敗したのです。競合であるイーベイからオークション事業の買収を持ちかけられることもありました。
そこで、Amazonは買収の話を断り、オークション事業のピボットに着手したのです。
その結果生まれたのはAmazonマーケットプレイスであり、今ではオークション事業を大きく成長させています。
Instagram|写真共有アプリへの方針転換に成功
Instagramはもともとソーシャルチェックアプリであるburbnが前身でした。burbnは現在地や写真を共有できるアプリだったのですが、目新しさがなく注目度は低かったのです。
そこで、ユーザーの分析をしたところ写真の共有を目的とした利用が多かったことがわかりました。その結果、写真共有アプリに特化することに方針転換したのです。
位置情報共有機能を利用した写真共有サービスとして現在では世界中でInstagramは広く利用されています。
Facebook|学生向けサービスが世界規模のSNSに
もともとFacebookはハーバード大学の学生が利用する目的で生まれたサービスでした。その後、Facebookの評判が徐々に広まっていき、会員条件が開放されていったのです。
最終的に全米の8割以上の学生が利用するまで成長したため、ピボットが実施されて企業のアカウント開設を認めました。
ターゲットを変えたことでFacebookはさらなる成長を遂げて、今では世界最大規模のSNSに成長したのです。ターゲットを少し変えただけの方針転換が大きな成功をもたらしました。
ピボットピラミッドとは
グロース階層のピボットとは
ピボットピラミッドの頂点にあるのがグロースです。グロースは成長という意味であり、グロース階層は成長戦略についてのピボットを指します。
具体的には「新たな実験を行う」「PDCAを回す」といった施策が考えられるでしょう。
ただし、グロースのピボットを行うことでコストがかかりすぎる場合があります。
あるいはチャネルが飽和状態にあるといった問題も多いです。グロースのピボットに取り掛かる際には、リスクがある点を考慮して施策を考える必要があります。
テクノロジー階層のピボットとは
下層部のピボットに成功したとしてもテクノロジー面における問題が生じることがあるため、テクノロジーのピボットは重要です。
たとえば、需要に合ったサーバーを用意できないといった課題を解決するためにテクノロジーのピボットに取り組みます。
場合によっては、テクノロジーサービスの全部を作り直さなければいけないケースもあるのです。
ただし、現在はクラウドコンピューティングが発達しているため、以前のように大規模なテクノロジーのピボットが行われるケースは減っています。
ソリューション階層のピボットとは
ソリューションのピボットに取り組むことで顧客や課題を変えることなく課題を解決できます。既存のソリューションの問題を解決するために優れたプロダクトを作ることが大事です。
既存のソリューションが顧客のニーズに合っていない場合は、ソリューションの内容が適切なものであるか疑いましょう。
顧客や課題をきちんと把握できているならば、ソリューションに問題がある可能性が高いです。ソリューションのピボットに成功すれば市場の反応が高まります。
課題階層のピボットとは
顧客の抱える課題の認識を誤っていた場合に課題のピボットが行われます。たとえば、マーケティングを進めていくうちに当初とは課題が違っていたと気づくケースがあるのです。
あくまでも顧客ターゲットを変えずに、アプローチする課題を変えます。ユーザーの抱える課題を正しく認識していないとニーズに合わない製品やサービスを展開することになり失敗するのです。
課題のピボットに取り組む場合は、ソリューションやテクノロジー、グロースといった上位階層のピボットも再検討しなければいけません。
顧客階層のピボットとは
誰をターゲットとするのか再検討することが顧客のピボットです。ピボットピラミッドにおける土台となるのが顧客のため、顧客のピボットは上の4つの階層の再検討が必要になります。
顧客のピボットは影響が大きくなり、失敗するリスクもあるため注意が必要です。日本のスタートアップ企業においては、あえて顧客のピボットに取り組むケースもあります。
ただし、ピボットの原則となるのは軸足を変えないことのため、顧客のピボットのリスクをよく理解した上で検討しましょう。
ピボットする際の注意点とは
ピボットの実施は慎重に判断するべき
安易にピボットに取り組まないことが大切です。ピボットは必ず有意義なものであると確証を得てから実施しましょう。
安易にピボットを行うのは、単なる現実逃避であり根本的な問題を解決できない可能性が高いです。
なぜビジネスで失敗したのか、どのように事業を展開するべきだったかなど徹底した検証をしましょう。
失敗した理由を考えた上で解決策が他にないのか検討を行い、必要であればピボットを実施すべきかどうか判断すると良いです。
軸を固定してピボットをするべき
ピボットはあくまでも回転軸を変えることであり、軸そのものの変更を伴うべきではありません。企業の軸となるのはビジョンやミッションといったものです。
企業の根幹をなすビジョンやミッションの変更を伴うと大きなリスクが生じます。顧客や市場の声に反応するのは大切なのですが、真正面から受け止めすぎるのは問題です。
あくまでも顧客の深層心理に注目してインサイトを発見することを目指しましょう。ピボットに取り組む際には、企業のビジョンやミッションを固定することを前提にします。
企業の成熟段階を考慮する
企業にはそれぞれ成熟段階があるため、企業の現在の段階に合わせてピボットに取り組むことが大切です。急成長できる段階もあれば、安定期もあります。
急成長が求められる際には、スピード感のあるピボットが最適です。逆に安定期にある場合は、ピボットも安定性の高い施策を考える必要があります。
企業の成熟段階とピボットの内容が一致していないと失敗する可能性が高いでしょう。
ピボットに取り組む際には、企業の成熟段階を正しく把握することから始めると良いです。
ピボットでよくある質問とは
ピボットってどういう意味?
ピボットとは「回転軸」という英単語がもとであり、ビジネスでは方向転換という意味で使われています。
ピボットに取り組むことで企業はビジネスの課題を解決して成功の糸口をつかむことができるのです。
スタートアップ企業の場合は、大胆なピボットに取り組むケースがよくみられます。体力のないスタートアップ企業は早めに路線変更を検討しなければ取り返しのきかない状況になるからです。
ただし、闇雲にピボットを行うのはリスクがあります。
ピボットの読み方は?
ピボットは英単語の「pivot」であり、日本語にする場合はそのままピボットと発音します。
英語のpivotはカタカナ読みをしても通用しない可能性があるのですが、日本で日本語でピボットと発音する場合は意味が通じるでしょう。
ピボットはいろいろなジャンルで使われている言葉ですが、ビジネスにおけるピボットは「方針転換」という意味が定着しています。
ピボットはなぜ必要?
サービスや製品を展開しても上手くいかないときに状況を打開するための方策としてピボットは効果的です。
ビジネスで失敗するのは、顧客や課題、テクノロジーなどの階層において問題が生じている可能性が高いでしょう。
そこで、各階層ごとに方針転換の必要性を検討します。ピボットに取り組むことで、顧客のニーズを掴んだ製品やサービスを提供できるようになるのです。
ただし、ピボット以外の方法で問題を解決できるケースもあるため、ピボットをするかどうか慎重に検討しましょう。
「ピボットする」とはどういう意味?
「ピボットする」とはビジネスの方針転換を図るという意味です。
ピボットには「方針転換」という意味があるため、それを動詞にした「ピボットする」はビジネスの方針転換を図るための行動に出るという意味になります。
たとえば、「ピボットする」の例文は以下の通りです。
- 「スタートアップ企業がピボットする事例は多い」
- 「ピボットするタイミングを慎重に検討するべきだ」
- 「大胆にピボットする企業はビジネスチャンスをつかめる」
「ピボットする」という表現が文章に出てきたときには「方針転換」と読み換えましょう。
ピボットするメリットとは?
ピボットすることで以下のメリットがあります。
- 新たな事業展開を模索できる
- ニッチな市場を見つけられる
- 販路を拡大できる
ピボットすることで新たな事業展開を模索できます。ニッチな市場を見つけられるチャンスがあり、競合企業との競争で優位に立てるケースがあるのです。
ピボットによって注目されれば新しい顧客を獲得でき販路を拡大できるチャンスもあります。
ただし、ピボットすることにはリスクも伴うため注意が必要です。コストと時間がかかり、失敗するケースもあります。
ピボットには10個の型がある?
ピボットの型を10個にまとめると以下の通りです。
Zoom-in pivot(ズームイン・ピボット) | 製品の機能の一部をメインプロダクトに変更する手法 |
Zoom-out pivot(ズームアウト・ピボット) | 機能の一部を強化・拡大し、製品全体における主要機能に変更する方法 |
Customer segment pivot(顧客セグメント・ピボット) | ターゲットとするユーザーが定まった場合に対象顧客のセグメントを変更する手法 |
Customer need pivot(顧客ニーズ・ピボット) | 顧客そのものを見直しサービスの課題を再検証する手法 |
Platform pivot(プラットフォーム・ピボット) | 「アプリケーションのプラットフォーム化」または「プラットフォームの放棄」を行う手法 |
Business architecture pivot(ビジネスモデル・ピボット) | 収益構造を「高利小売」から「薄利多売」に変更、もしくはその反対を行う手法 |
Value capture pivot(収益モデル・ピボット) | 定期的な収入の発生源を変更する手法 |
Engine of growth pivot(成長エンジン・ピボット) | 成長エンジンの考え方を別の考え方に変える手法 |
Channel pivot(チャネル・ピボット) | 販売経路または流通経路を変更する手法 |
Technology pivot(テクノロジー・ピボット) | 最新技術を用いて同じ問題を解決する手法 |
闇雲にピボットを行っても効果がないため、上記10個の型に当てはめてピボットの方法を検討すると良いでしょう。
FXにおけるピボットの意味とは?
FXにおいてピボットとは「リアクション・トレンド・システム」のことです。テクニカル指標の1つであり、前日の高値や安値、終値から当日の相場を分析します。
したがって、あくまでも当日に限り有効な指標です。短期取引に向いているテクニカル指標であり、長期的な相場分析には向いていません。
また、ピボットを発展させたフィボナッチピボットという指標もあります。フィボナッチピボットは、ピボットよりも精度が高いのが特徴です。
バスケにおけるピボットの意味とは?
ピボットとはボールを持っているプレイヤーが片足をフロアに固定した状態でもう一方の足を動かすことです。ピボットの本来の意味である「軸の回転」にもとづいた用語といえるでしょう。
バスケにおける基礎的な技術であり、バスケのプレーヤーは必ず習得することを求められます。
足を上手に使いこなせるようになるためには毎日の練習が欠かせません。ピボットによってターンすることができ、ディフェンスのすきを突いて攻撃できるようになります。
まとめ
ピボットの意味は、以下のとおりです。
- ビジネスにおいてピボットは「方針変更」や「方針転換」といった意味
- 企業が経営の方向変更を図ることをピボットと呼ぶ
ピボットは失敗する可能性もあるため、重大な経営判断になります。
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