
コンピューターメーカー業界の業界研究|就活に役立つ事業構造・将来性・働き方など徹底解説します
コンピューターメーカーは日本のものづくりを代表する業界です。高い技術力を持ち、世界から高い評価を受けている業界で活躍したいと考えている学生は文理を問わずたくさんいます。激しい競争の中から内定を獲得するためにはコンピューターメーカーのビジネスモデルや業界の最新の動向について理解し、その上で自分の強みや頑張ったことを入社後にどう活かせるかを具体的にイメージし面接官に伝えることが重要です。この記事ではコンピューターメーカーについて各社の有価証券報告書や民間団体のレポートを参考にして、業界研究を行っています。ぜひ最後まで読んで、コンピューターメーカーの業界研究を完成させましょう。
コンピューターメーカー業界とは
この章ではコンピューターメーカー業界の
- 業界構造
- 将来性
- 業界分類
- 最新トレンド
について解説していきます。
業界構造
生活必需品としてのコンピューター
コンピューターメーカーは文字通りコンピューターの開発・製造を行っています。
コンピューターは家電製品の黒物家電に分類されています。
白物家電は生活に必要不可欠であり、家庭での家事の負担を軽減する家電製品を指すのに対して、黒物家電は必ずしも生活に不可欠ではなく、娯楽要素が強いため娯楽家電とも言われています。
しかし、コンピューターに関しては「情報娯楽家電」と言われています。
同じ黒物家電であるテレビやオーディオ製品、レコーダー、カメラなどと比べて生活必需品の要素が強いからです。
現代ではコンピューターやスマホが生活必需品となり、職場や家庭、学校などで子供から大人まで幅広い用途に使用される必須の家電製品です。
コンピューターが手元になければ、人々の日常生活や経済活動など暮らしの中での様々な場面で不自由するでしょう。
大量生産ビジネス
コンピューターは他の家電製品と同様にBtoBtoCのビジネスモデルとなっています。
コンピューターメーカーの販売先は流通事業者ですが、最終的なユーザーは一般消費者となっています。
そのため、一般消費者のライフスタイルや生活のニーズの変化に応じてコンピューターを開発・製造します。
コンピューターは低価格帯の製品から高価格の製品まで幅広くありますが、重電機器と比較すると価格が安価であり、薄利多売のビジネスモデルですので、同様の製品を大量に生産します。
消費者はコンピューターメーカーが製造したコンピューターが掲載されているカタログから商品を選択することになります。
同様の製品を大量に生産するわけですから、商品の販売が不発であると、大きな損害となります。
したがって、製品の開発・設計前には入念な市場調査が不可欠であり、市場のトレンドや自社製品や競合他社の製品の動向などを考慮して、家電を開発します。
近年では、中国や韓国などの新興国のメーカーも多数市場に参入しており、低価格競争が起きていますので、単に高性能な製品ではなく、性能と低価格を両立する製品を開発する必要に迫られています。
コンピューターはその性能や大きさによりますが、1,500から6,000の部品から構成されています。
これらの部品すべてを自社で製造して、組み立てまで行うのは稀であり、一般的には部品の大部分は外注され、コンピューターは最終的な組み立てを行っています。
これらの部品は主に下請け会社から直接納品され、コンピューターの最終組み立てメーカーの向上で組み立てが行われます。
一方で、コンピューター本体の組み立てにはシリコン、鉄、銅、アルミニウムなどの原材料が使用されています。
これらの原材料はコンピューターメーカーが仕入れを行う必要があります。
これらの材料は日本国内では自給できないため、多くを海外からの輸入に依存しています。
コンピューターメーカーはこれらの原材料を商社や金属系の卸売業者を通じて、海外から仕入れていますが、最近では大手を中心に仕入れ部門を内製化して、自社の調達部門で海外から直接材料を仕入れているケースもあります。
このようにして仕入れた原材料をもとに自社の工場で製品を製造し、販売しています。
コンピューターメーカーが開発したコンピューターは流通事業者を通じて、販売が行われています。
流通事業者は商社や日用品系の卸売業者です。
これらの卸売業者が販売店との仲介の役割を果たしています。
これらの流通業者が中間にいることで中間マージンが徴収されるため、販売店を経由することでさらに最終価格が上昇します。
一見すると流通事業者を仲介させないほうがお得なイメージもありますが、流通事業者がいることで販売店は様々なメーカーのコンピューターを仕入れることができるので、流通事業者は需要と供給のバランスを維持する役割を果たしています。
コンピューターは流通事業者から小売店に販売されます。コンピューターの小売店チャネルは多様化が進んでおり、家電量販店、非家電専門店、メーカー系列地域電器店、EC専業/通販事業者などがあります。
従来はコンピューターの品揃えが豊富な家電量販店がメインのチャネルでしたが、家電量販店は、消費者の来店頻度を高め、家電製品の購買に繋げるべく、日用品等の非家電製品の取扱いを増やしており、売上高に占める非家電製品の構成比は上昇しています。
また、消費者のライフスタイルの変化に対応するためにECサイトでの販売が進んでいます。
このようにコンピューターメーカー→流通事業者→小売店という流れでコンピューターが販売されますが、利益構造としては総合電機メーカーから流通業者に販売された段階で利益が計上されます。
そして製品が顧客や消費者に渡った後は、消耗品を除いてコンピューターメーカーはコンピューターのアフターサービスを行うという流れになります。
また、近年では中国や韓国などの新興国の家電メーカーとの価格競争が激しいことから、海外で最終組み立てまで行うEMS(電子機器受託生産)の導入も加速しています。
これはEMS企業が設計に基づいた部品調達と組み立てを行い、完成品まで仕上げる方式です。
コンピューターの輸出
日本のコンピューターの品質や技術は世界的にも高い評価を受けていますので、海外への輸出も行われています。
一般的な商流としてはコンピューターメーカーが工業製品を開発・製造して後に、国内もしくは海外の代理店に販売されます。
この時点でコンピューターメーカーの利益として計上されます。
代理店に販売された機械は海外の販売手に販売され、最終的に現地の顧客企業に納品されます。
しかし、最近ではコンピューターメーカーの輸出は鈍化しつつあります。高度経済成長時代は世界の市場を席巻するほどの競争力を持っており、国内生産を拡大させることによって輸出を拡大していました。
しかし、1990年以降はバブル崩壊後の経済停滞から脱却できずにいる中で円高を背景とする価格競争力の低下や中国・韓国などの新興国企業の躍進、製品のコモディティ化が進み、日本の総合電機メーカーが得意としてきた高品質・高性能の優位性が崩れつつあります。
以前は日本で製造していた製品を輸出するという商流が一般的でしたが、現在では海外で生産し、現地販売を行っているほか、日本国内で販売している製品も海外で生産し、日本国内に逆輸入しているケースが多いです。
2000年代中頃は輸出入が均衡していたものの、2008年以降は輸入超過の拡大が続いており、輸入超過が定着しています。
また、最近では最はヨーロッパを中心とする海外のコンピューターメーカーが日本国内で販売を伸ばしています。
市場規模・将来性
市場規模
IT専門調査会社であるIDCジャパンが発表したレポートによれば、2020年の国内サーバー出荷額は4,943億円(前年比△4.1%)、出荷台数は44万6,000台(前年比△13.5%)となりました。
このうち、パソコンサーバーの出荷額は3,712億円(前年比△11.4%)、出荷台数は43万3,300台(前年比△15.4%)、大型汎用機(メーンフレーム)の出荷額は487億円(前年比△30.4%)となりました。
コンピューター関連の市場規模は2020年に縮小しましたが、これは前年にあったウインドウズサーバー2008のサポート終了によるサーバー更新需要がなくなったのと、新型コロナウイルスの感染拡大が逆風となったことが要因です。
業界団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が、2020年5月に発表した2020年度(2020年4月~2021年3月)の国内PC出荷実績によると、出荷台数は前年比27.5%増の1,208万3,000台となりました。
【出荷台数】
(単位:千台)
合計 前年比 | 前年比 | |
デスクトップPC | 1,308 | 50.80% |
オールインワン | 387 | 64.40% |
単体 | 921 | 46.70% |
ノートPC | 10.775 | 156.10% |
モバイルノート | 5,694 | 344.00% |
ノート型・その他 | 5,081 | 96.80% |
合計 | 12,083 | 127.50% |
2020年のコンピューターの出荷台数は前年比127.5%とWindowsXPのサポート終了に伴う買い替え需要と、消費増税前の駆け込み需要が重なった2013年に匹敵する伸びとなりました。
2020年は2020年1月のWindows7のサポート終了に伴う需要増が落ち着き、3割程度のマイナスが見込まれていましたが、実際には新型コロナウイルス感染症の影響で企業の働き方改革が進み、テレワークが普及したほか、小中学校のノートパソコン1人1台整備が進んだことで需要が旺盛となったようです。
なかでもノートPCの需要が旺盛であり、デスクトップPCは前年比50.8%と減少しましたが、ノートPCは前年比156.1%の1,077万5,000台となり、調査開始以来、初めて1,000万台を突破しました。
【出荷金額】
(単位:億円)
合計 | 前年比 | |
デスクトップPC | 1,347 | 58.20% |
オールインワン | 589 | 69.60% |
単体 | 758.000 | 51.60% |
ノートPC | 7,515 | 113.70% |
モバイルノート | 2,966 | 160.80% |
ノート型・その他 | 4,549 | 95.40% |
合計 | 8,862 | 99.30% |
一方で、減少が目立ったのが出荷金額です。
出荷台数ベースでは前年比127.5%で推移しましたが、出荷額ベースでは99.3と減少しました。
これはコンピューターの平均単価が低下していることに起因します。
2019年度の平均単価は9万4,206円でしたが、2020年度の平均単価は7万3,343円と、1年で22.1%も下落しています。
特に、モバイルノートの平均単価は5万2,090円となり、前年の11万1,353円から、わずか1年で、半値以下となっています。
コンピューターは中国や韓国などの新興国メーカーと激しい競争にさらされており、今後さらに低価格化への圧力が増しそうです。
将来性
短期的にはコンピューター市場は縮小すると見られています。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって企業におけるテレワークの導入が進みましたが、政府の要請である「在宅7割」には到底及んでいないのが現状です。
現状、導入している企業においてもテレワーク需要は一巡しており、今後急激な需要増加は望めません。
また、学校においてもオンライン授業が普及しましたが、小中学校でのコンピューターの導入は一服しており、需要は低下する見込みです。
実際に量販店のPOSデータを集計しているBCNが明らかにしたデータによると、2021年4月のPCの販売台数実績は、前年同月比21.1%減と大幅な減少でした。
2020年度の業績が良かった分、業界では反動によるマイナスを警戒しています。
また、長期的にも国内におけるコンピューター需要は旺盛とは言えません。
国内では人口減少によって市場の縮小が進んでいるほか、中国や韓国などの新興国メーカーが多数国内に進出しており、縮小するパイを奪い合う構図となっています。
コンピューターを含め家電製品では世界でコモディティ化が進んでおり、これら新興国メーカーは高度な技術力がなくても家電製品を製造できており、激しい低価格競争にさらされています。
また、コンピューターを含む家電製品特有の課題として、技術の進歩スピードが早く、家電に搭載されている技術は2~3年で更新されていきます。
しかし、商品の買い替えのスパンは3~10年前後であり、このズレによって商品は売れにくくなっています。
これらの状況を考慮すると、各メーカーは徹底的なコスト管理や製造・販売管理計画が必要になると言えます。
コンピューターはもはや生活必需品となりつつありますので、今後も一定の需要は見込めますが、急激な需要増加は見込めません。
今後は高機能を求める層やシンプルな操作・機能を求める層など、多様化する消費者の嗜好とニーズを満たす新製品の開発が必要になってくるでしょう。
また、国内の市場縮小に対応するため、海外への進出も進み、低価格を武器とする海外メーカーとの激しい競争にさらされそうです。
汎用性の高い最新技術の開発・活用などが成長戦略になると予想されます。
業界の分類
国内大手メーカー
国内のコンピューター大手メーカーとしては東芝、富士通、パナソニック、NECなどが挙げられま す。
中でも富士通は2020年のメーカー別出荷額シェアが27.4%で首位となっています。
欧米系メーカー
欧米系のコンピューターメーカーとしてはMicrosoft、DELL、Appleなどが挙げられます。
なかでも Appleは世界のメーカー別出荷台数において32.5%と1位となっています。
新興国系メーカー
韓国や中国などの新興国系のメーカーが躍進しています。
例えば、世界市場において首位のAppleについで、韓国サムスン電子が19.1%と2位、中国の華為技術(ファーウェイ)が9.8%と3位となっています。
最新のトレンド
新型コロナウイルス感染症の影響
業界団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が、2020年5月に発表した2020年度(2020年4月~2021年3月)の国内PC出荷実績によると、出荷台数は前年比27.5%増の1,208万3,000台となりました。
2013年以来の大幅な伸びとなった背景にはテレワークの普及とGIGAスクール計画があります。
総務省の調査によれば、日本企業のテレワークの導入率は2017年に13.9%、2018年に19.1%でしたが、緊急事態宣言が発令された2020年4月以降は27.9%へと2倍以上も上昇しました。
これによって企業を中心に従業員用にコンピューターの需要が伸びたほか、長時間のビデオ会議を通じて、PCの性能に関心を持つ人が増えたり、巣ごもり需要によってコンピューターの需要が伸びました。
一方で、政府が提唱する「在宅勤務7割」には到底及んでおらず、緊急事態宣言解除後には通常出社に戻すことを検討している企業も多いことから需要は一巡したと言えます。
また、GIGAスクール構想もコンピューター需要の増加を後押ししました。
GIGAスクール構想とは義務教育を受ける全国の児童や生徒のために1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する文部科学省の計画です。
当初は5年間かけて取り組む予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、計画が前倒しになり、2020年内に小中学校への端末導入がほぼ完了する見込みとなっています。
このGIGAスクール構想によって小中学校を中心にコンピューターの需要が増加しました。
Apple一強
コンピューターメーカーではAppleの一強体制が続いています。
国内の出荷台数ベースでのシェアは富士通が27.4%、日本HPが16.1%、Dellが14.2%、シャープが5.8%に対して、Appleは5.5%に過ぎません。
しかし、世界ではAppleのメーカー別出荷台数は32.5%で1位となっており、圧倒的な存在感を誇ります。
Appleが販売しているMacは性能面で優れていることもありますが、Macを使っていることが一種の「ステータス」となっており、ブランド力が業績の伸びに貢献しています。
日本においてはWindowsを使っている人が多いものの、Appleのシェアは微増傾向であり、国内における存在感も高まりそうです。
コンピューター業界の主要会社を比較
ここではコンピューターメーカーの中から
- 富士通
- NEC
- パナソニック
を取り上げて解説していきます。
それぞれの企業の強みなどが明確にわかるようになります。
それぞれの企業での面接アピールポイントの参考にしてみてください。
富士通
富士通は1935年に通信機器のメーカーとして創業しました。
現在ではICT分野において、各種サービスを提供するとともに、これらを支える最先端、高性能かつ高品質のプロダクトおよび電子デバイスの開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供する、トータルソリューションビジネスを行っています。
コンピューターの開発・製造を担っているのは富士通の「ユビキタスソリューション」部門です。
同部門では富士通クライアントコンピューティング、富士通コネクテッドテクノロジーズおよびそのグループ会社がパソコンやスマートフォンの開発、製造などを行っています。
パソコンは高品質・高性能にこだわったデスクトップパソコンやノートパソコンなどを、スマートフォンはarrowsNXや、誰にでも使いやすいらくらくホンシリーズなどを提供しています。
高品質製品の生産のため、製造や組立を国内で一貫して行っています。
ポジショニング/強み/特徴
富士通のパソコンは品質の高い国内生産、分かりやすいマニュアル、豊富なデザインなどが特徴です。初めての一台としても使いやすく子供からお年寄りまで安心して使うことができるため、日本国内で根強い人気を誇ります。富士通は2020年のメーカー別出荷額シェアが27.4%で首位となっています。
また、スーパーコンピュータなどICT技術に強みを持ちます。
富士通においてコンピューティング技術の研究開発を担当しているのが、ICTシステム研究所です。
同研究所では富士通が培ってきたハイパフォーマンスコンピューティング、スーパーコンピュータの技術をベースに、小規模から大規模へスケールする並列処理の汎用型コンピューティング技術、特定の領域を対象に高速処理を実現する特化型コンピューティング技術の研究開発に取り組んでいます。
ICTシステム研究所ではこれまでに、理化学研究所計算科学研究センターの最新スーパーコンピュータ「富岳」、産業技術総合研究所の大規模AIクラウド計算システム「ABCI;AI Bridging Cloud Infrastructure」などのスーパーコンピューティング、その技術を応用した東京証券取引所の株式売買システム「arrowhead」など様々な新技術の開発に携わってきました。
業績動向
2021年3月期有価証券報告書によれば、当年度の売上収益は3兆5,897億円と、前年度比で2,680億円、6.9%の減収となりました。
ネットワークビジネスで5G基地局を中心に増収となったほか、世界的な半導体需要の高まりを受けて電子部品の所要が高いレベルで推移しましたが、全体としては減収です。
営業利益は2,663億円と、前年度比で548億円の増益となりました。
税引前利益は2,918億円と、営業利益の増益などにより前年度比で632億円の増益となりました。
当期利益は2,135億円と、前年度比で531億円の増益となりました。
当期利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,027億円の利益で前年度から426億円の増益、非支配持分に帰属する金額は108億円の利益で前年度から105億円の増益となりました。
引用・参考:有価証券報告書-第121期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
NEC
日本電気株式会社は(NEC)は、1899年に岩垂邦彦がウェスタン・エレクトリック社と共に合弁会社として設立した日本電気株式会社を起源に持ちます。
NECは有線・無線通信機器、コンピュータ及びITサービスを中心に事業を展開しており、スマートグリッドなどの社会インフラやFinTechなど最新の技術開発にも注力しています。
2011年にレノボとNECの合弁会社であるLenovo NEC Holdings B.Vの完全子会社として、NECパーソナルプロダクツのパソコン部門を分社化してNECパーソナルコンピュータ株式会社が設立されました。
同社は、NECブランド及びLenovoブランドのパソコンを製造・販売している電機メーカーです。
ポジショニング/強み/特徴
NECのコンピューター部門の特徴は豊富なラインナップです。
種類が豊富であり、幅広いスペックから選択できる使いやすさと、国内メーカーならではのサポートの充実度が魅力です。
高価格・高機能のタイプから低価格志向の消費者用のコンピューターなど消費者のニーズに合った商品を多数展開しています。
近年、展開中の「Lavie」シリーズでは、初心者向けの便利なソフトを搭載したモデルを多くラインナップしています。
価格は比較的高めですが、機能が充実しており、初めての一台としても人気があります。
また、学生が求める条件を徹底的に追求して作られたモデルも人気です。
NECは、High Performance Computing(HPC)関連事業においてスーパーコンピュータの開発を行っています。なかでもSXシリーズはJAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)が運用するスパコン「地球シミュレータ」にも代々採用されており、2021年3月に運用を始める次世代モデルはVEを5,472台搭載する予定です。
業績動向
2021年3月期有価証券報告書によれば、当連結会計年度の売上収益は2兆9,940億円(前連結会計年度比3.3%減)、営業損益は1,538億円の利益(同262億円改善)、調整後営業損益1,782億円の利益(同324億円改善)、税引前損益は1,578億円の利益(同339億円改善)、親会社の所有者に帰属する当期損益は1,496億円の利益(同496億円改善)、親会社の所有者に帰属する調整後当期損益は1,654億円の利益(同542億円改善)となりました。
パナソニック
パナソニックは1918年に「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助によって大阪で創業された松下電気器具製作所に起源を持ちます。
現在では家庭用・業務用電子機器、電化製品、住宅関連機器、FA機器、情報通信機器、電子部品、および車載製品などの生産、販売、サービスを行う総合エレクトロニクスメーカーとなっています。
コンピューターの開発・製造は「家庭用・業務用電子機器」に分類されます。パナソニックはグループ体制で運営していますが、パソコン事業は「エンターテイメント&コミュニケーション事業」が担っており、パソコンの他にもAV機器、デジタルカメラ、コミュニケーション機器等を事業領域としています。
ポジショニング/強み/特徴
パナソニックのパソコン事業の特徴は同事業をコア事業と位置づけている点です。
日本のパソコンメーカーはかつては世界のパソコン市場を席巻しましたが、東芝をはじめとして事業売却や撤退が相次いでいます。
事業を保有している企業であってもパソコン事業の非コア化などによって縮小が続いています。
しかし、パナソニックのパソコン事業は順調に成長を続けており、2021年度を最終年度とする中期経営計画ではPCを含む現場プロセス事業を「基幹事業」に位置づけています。
2018年度実績は、96万台と過去最高を更新しています。
パナソニックの「ノートPC」部門は、「レッツノート」「タフブック」を提供しており、顧客満足度で17年連続で1位となっています。
顧客満足度調査では「性能・機能」「信頼性」「運用性」「サポート」など多くの項目での高評価が目立っています。
同社の堅調なパソコン事業を支えているのは「パナソニック」というブランド力です。
パナソニックのパソコンは中国や韓国などの新興国メーカーと比べると、価格は高価ですが、性能に優れ、故障も少ないことから同社の人気商品『Let’snote』がビジネスパーソンの中で絶大な支持を得ています。
業績動向
2021年3月有価証券報告書によれば、当年度の連結売上高は、6兆6,988億円(前年度比11%減)となりました。
国内売上は、空気清浄機などの増収はあったものの、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、住宅関連事業の非連結化影響もあり、減収となりました。
営業利益は、2,586億円(前年度比12%減)となりました。
税引前利益は、2,608億円(前年度2,911億円)となりました。親会社の所有者に帰属する当期純利益は、1,651億円(前年度2,257億円)となりました。