
【クライシスマネジメントの意味とは?】対応内容や事例などご紹介します
クライシスマネジメントの意味とは、どのような意味でしょうか。会社で、コミュニケーションを取る時によくビジネス用語を交えて会話する事が多いのではないでしょうか。しかし、会話の中でそのビジネス用語が分からず、結局何を言っているか分からなかった経験がある方も少なくないでしょう。今回はクライシスマネジメントの意味についてご紹介します。ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか?
クライシスマネジメントとはどういう意味なのか?
リスクマネジメントは知っているが、クライシスマネジメントまでは知らないという人は非常に多いです。
しかしクライシスマネジメントは、組織や団体が正常な運営を続けていく上で欠かすことのできないものです。
ここでは、クライシスマネジメントがどういったものなのか解説していきます。
クライシスの英語の意味とは?
クライシス(crisis)とは、危機、重大な局面という意味です。
ビジネスシーンでは「経済上の危機」というような意味合いで使われます。
企業が倒産するかしないかが掛かってくるような最大級の危機を指す場合が多いです。
クライシスマネジメントを簡単に言うと?
一言で言えば「危機管理」です。
上記したように企業の存亡に関わるような大きな危機に直面した時の対応、もしくはそのクライシスが到来した場合のことを想定した準備などが、クライシスマネジメントです。
東日本大震災、リーマンショック、ニューヨーク同時多発テロなど、企業ではコントロールできない大きな事象が起こる可能性が常に存在しています。
そのような事象による影響を乗り切るためには、クライシスマネジメントが非常に重要いなってきます。
クライシスマネジメントはなぜ注目されたのか?
ニューヨーク同時多発テロや福島原発事故で得られた教訓によるものです。
ニューヨーク同時多発テロにおいては、まさか貿易センタービルに飛行機が2機衝突するというようなことを予見していなかった大企業が大半ででした。
テロ発生以後、多くの企業がパニック状態になり、大幅な損失を出すか、最悪の場合経営破綻しました。
このような経験から、大規模なテロ、未曾有の大災害、世界経済の大きな変化に対するクライシスマネジメントが注目されれるようになりました。
日本においては福島原発事故がクライシスマネジメントが注目を集める要因となりました。
何重にも敷かれていた事故防止策が機能せず、炉心溶融(メルトダウン)という最悪の結末を迎えた福島原発事故を教訓として、ありとあらゆる事象を想定したクライシスマネジメントによる組織運営が重要だという風潮が高まったのです。
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クライシスマネジメントとリスクマネジメントの違いは?
この二つのマネジメントは似て非なるものです。
非常に混同しやすい言葉同士なので、しっかりと違いを理解しておくことが重要です。
リスクマネジメントの特徴と対策タイミングについて
リスクマネジメントは「危機が起きない」ようにするための施策です。
起こりえるリスクを想定して、それに対する予防策を事前にしき、リスクを回避した組織運営を進めることが主体です。
従って、リスクマネジメントの対策タイミングは平時より常ということになります。
クライシスマネジメントの特徴と対策タイミングについて
クライシスマネジメントは「リスクマネジメントで制御しきれなかった危機が迫った時にどのように行動するか」という意思決定です。
危機はいつか必ず訪れるものであり、その時自社とそれを取り巻く環境がどのような状況かは予測が出来ないという前提の元でいかにして損失を抑えながら危機を脱するか、というところが目的になっています。
従って、クライシスマネジメントの対策タイミングは危機が発生したタイミングと同時です。
管理するタイミング、被害への意識に違いがある
リスクマネジメントは、管理するタイミングとしては平常時常に機能しています。
被害に対しては「そもそも発生しないようにする」という意識の元で運用されるものです。
対して、クライシスマネジメントは危機が発生すると同時に機能し始めます。
被害に対しては「起こってしまった危機による被害をいかに最小限に抑えるか」というところに着目しています。
クライシスマネジメントの具体的対応内容とは何なのか?
クライシスマネジメントの対象となる事象は多岐にわたります。
また、その組織の属性によっても具体的な対応内容は変わってきます。
さらに、組織を取り巻く情勢によっても対応内容は変わってくるものです。
クライシスマネジメントで対応する種類は様々にある
クライシスマネジメントの対象としては膨大な数の事象がありますが、最も重大視されることが多いのは「地震、風水害、災害」の発生です。
これらの自然現象については組織が一切コントロールできないものである上に、東日本大震災のように未曾有の危機をもたらす可能性があるものです。
このような理由により、「地震、風水害、災害」はクライシスマネジメントにおいて最も危機レベルの高いものだと位置づける組織が非常に多いです。
その他、コンプライアンス違反、法令違反などの不正行為なども重要視されています。
為替変動、法改正、価格競争の発生などの政治経済による影響も、クライシスマネジメントの対象です。
日本とアジアでのクライシスの内容とは?
日本の本社とアジアに拠点を置く支社では、クライシスに対する意識が大きく異なっています。
法令遵守違反をクライシスマネジメントにおける最大の優先事項であることが共通している以外はまったく見ているところが違います。
2017年の調査結果によれば、本社が法令順守違反の次に優先しているのは「子会社に対するガバナンス不全」、その後に「製品、サービスの品質管理体制の不備」、「地震、風水害、災害の発生」と続きます。
対してアジア諸国は、「市場における価格競争」、「人材流出、人材獲得の困難による人材不足」、「為替変動」という並びです。
アジアにおいては継続的に激しい価格競争が続いており、数年前からアジア拠点の支社はこれをクライシスマネジメントの上位に置いています。
また、2017年は、アジア全域での経済成長が著しかった年で、それに伴い人材の確保が困難になった背景もあり、クライシスマネジメントに置ける優先度の序列で三番目に位置するという結果になりました。
リスクもクライシスも予測することが重要である
リスクにしてもクライシスにしても、起こりえる事象を可能な限り正確に予測することが何よりも重要です。
リスクマネジメントにおいては特にそれが肝要であり、起こりえるリスクを網羅し、それを回避するような動きを続けるように管理する必要があります。
また、リスクマネジメントが綿密であれば、そのリスクを回避するために拠点の移動や体制の刷新などの施策を取る方が合理的だという結論が得られる場合もあります。
クライシスマネジメントにおいても、どのようなクライシスが予想されるのか、そのクライシスによる組織への影響はどのようなものか、どの程度の被害額、範囲になるのか推定することが重要です。
推定される被害を元に、平常時への復旧までのフローを明確化しておくことが、クライシスマネジメントには求められます。
クライシスマネジメントの事業ごとの内容とは?
クライシスマネジメントには様々な形態があります。
組織が運営している事業が何であるかによって、その在り方はさまざまで、優先されるクライシスも変わってきます。
学校におけるクライシスマネジメントの手引きとは?
学校においては、生徒の安全、および健康を確保することがクライシスマネジメントの根幹になっています。
その他、保護者やメディアなどの接触の際の不手際もマネジメントの対象です。
学校におけるクライシスマネジメントはすでに高いレベルで完成されたものがあり、「学校保健」「学校安全」「学校給食」の三つのカテゴリーに編成された形で「手引き」として運用されています。
マスコミ対策におけるクライシスマネジメントとは?
マスコミの絡むクライシスは非常に危険度の高いものです。
たった一つの失言で職位を追われたり、不買運動の風潮を高めてしまうなどの致命的な損害を受ける場合があり、このような事態を少しでも低減させるために、十分なマネジメントが求められます。
マスコミ対策におけるクライシスマネジメントの重要性は最近になって認知されるようになり、クライシス発生を前提としたメディア対応のセミナーが開催されるほど注目度になっています。
企業でのクライシスマネジメントの内容とは?
私企業におけるクライシスマネジメントは広範囲に渡って行われます。
自然災害、不正、人材、システム、あらゆる分野に対してマネジメントが実施されます。
先述したように自然災害については非常に警戒されており、多くの企業にとってクライシスマネジメントにおける最優先事項です。
企業にとってのクライシスが発生した場合、事前に準備されていたガイドラインに従って事態の収拾にあたります。
クライシスが去った、あるいは平時の状態まで回復することができたら、再発防止策を考案し、新たにガイドラインを刷新し、同じクライシスを回避するように努めます。
クライシスマネジメントの活躍した事例とは?
クライシスマネジメントは危機に対して非常に重要な役割を果たします。
クライシスマネジメントがなしでは、合理的な選択に基づいて危機を乗り越えることはできません。
既に、クライシスマネジメントによって被害を最小限に抑えながら早期の復旧を果たした例はいくつもあります。
「巨大ハリケーン」の対応について
アメリカでは「ハリケーン」が発生することが想定されており、ここに対するクライシスマネジメントのガイドラインが国家レベルで策定されています。
2005年に発生した巨大ハリケーン「カトリーナ」は未曾有の大災害を引き起こしました。
当然、この際も当時のガイドラインに基づいてクライシスマネジメントによる事態の収拾を図りましたが、マネジメントを行う役割を果たすはずの州政府そのものがハリケーンにより機能不全の状態に陥りました。
このような教訓を経て、現在のアメリカでは州政府レベルではなく国家レベルでの対ハリケーン用のクライシスマネジメントのガイドラインが策定されています。
「チロルチョコ事件」の対応について
チロルチョコ事件とは、あるユーザーがTwitterに「購入したチロルチョコに虫が混入していた」旨を写真付きで投稿したことによる一連の騒動のことです。
この投稿はすさまじい勢いでTwitter上で拡散され、販売元のチロルチョコレートには、「顧客からの信用の失墜」「製品の回収」「生産体制の見直し」など、あらゆるダメージが目の前に迫っていました。
チロルチョコレートはクライシスマネジメントを用いてこのクライシスを短時間で抑えて、平時の状態を取り戻しました。
写真に写っている虫の成長過程と製造年月日から「生産過程において虫が混入するはずがない」ことを論理的に証明し、当該ユーザーに回答、事態は沈静化を迎えます。
この対応によりチロルチョコレートは、大した損害もなく、クライシスを乗り切ることができました。
「医療現場のアクシデント」の対応について
医療現場においては患者の健康、安全、場合によっては生命を損なうクライシスが潜んでいます。
患者の症状、患っている病、怪我をした部位によって対応は様々です。
なんらかのクライシスが生じた場合、いかに医療従事者が早期に発見し、事態の収拾を図れるかがポイントになってきます。
病院全体としても、あらゆる患者の状態とそれに対応するクライシスを網羅し、クライシス発生から平常時への回復のガイドラインを策定しておくことが重要です。
まとめ
クライシスマネジメントは、リスクマネジメントと混同しがちですが、根底から全く違う役割を持っています。
リスクマネジメントは、起こりえる事象を事前に予測して、「損害の発生、対応が必要となる」事態を避けるためのものです。
大してクライシスマネジメントは、起こってしまった「危機」に対しての対応策と言えます。
いかに早期にクライシスに気づき、そしていかに被害を最小限に抑えて平時の状態に戻すか、起こったクライシスから得られた教訓をガイドラインにどのように反映するかが重要です。
自然災害、人為的ミス、経済政治の変動など、あらゆるクライシスは必ず起こってしまうものだという前提に基づいて、運用されるのがクライシスマネジメントです。
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