サステナビリティのメリットとデメリット｜様々な事例をご紹介します

皆さんはサステナビリティという言葉をご存知でしょうか。

近年広く知られるようになった言葉で、企業の活動にも関係しています。

こちらの章ではまず、サステナビリティの基本を紹介します。
 

サステナビリティとは？

サステナビリティとは英語のsustainabilityから来ており、sustain（持続する）とability（能力）を合わせた、持続可能性という意味で用いられます。

特に、1987年に国連がSustainable Development（持続可能な開発）の概念を発表したことで、サステナビリティという言葉が広く認知されるようになりました。

この概念は、環境と開発は互いに反するものあってはならず、開発においては環境の保全を考慮すべきであるというものです。

また、企業を含めた多くの団体においてもサステナビリティは注目されるようになっており、例えば地球環境の保護に対する取り組みや、社会貢献活動などに対しても当てはまります。
 

サステナビリティの分野はどのくらいある？

先述の通りサステナビリティとは持続可能性を指し、企業における持続可能な経営や活動は抽象的でその範囲を定義することは困難です。
 

このような現状に対し、サステナビリティの国際的基準を示すGRIスタンダードというガイドラインが作成されました。

そこにおいて、サステナビリティの要素は経済、社会、環境の3つの観点から33テーマが挙げられています。

社会の観点では多様性と機会均等、労働安全衛生、人権評価など全19項目、環境の観点では原材料やエネルギー、排出ガスなど全8項目、経済の観点では市場での存在感や間接的な経済影響など全6項目があります。
 

サステナビリティとＣＳＲの関係について

企業活動におけるサステナビリティはCSRとも深い関係にあります。

CSRとは、corporate social responsibilityの略で、企業の社会的責任、すなわち倫理的な観点から企業が事業活動を通じて社会に貢献する責任のことを指します。

企業はサステナビリティを念頭に企業活動を行い、社会的責任を果たすことでCSRを達成します。

逆に、企業はCSRを意識した企業経営を実現することでサステナビリティを向上させることができます。

よって、企業におけるサステナビリティとCSRは密接に関わりあうと言うことができます。

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▶︎【サステナビリティの意味とは】例文を用いて分かりやすく紹介します

サステナビリティは企業の経営，ファッション業界，建築業界など様々な場面で取り組まれています。

この章では、それらの場面での取り組み事例を紹介します。
 

企業のサステナビリティの事例について

例えば住宅建設業界においては、有害物質を使用しない取り組みや廃棄物をリサイクルする仕組みを取り入れることなどがあります。

また、自動車業界においては、その製造過程での排ガス量の抑制や材料の調達方法を工夫することが可能です。

それぞれの業界には特徴的なサステナビリティの取り組みがありますが、何れの業界においても従業員の雇用形態や人権尊重など人に対するサステナビリティも大切にされています。
 

ファッションのサステナビリティの事例について

ファッション業界でもサステナビリティが重視されるようになっています。

使用される素材が環境に優しいものであるか、人々の健康に害を与えないか、また製造段階において人々の労働は適切であるかなどが重視されています。

例えば、繊維素材のサステナビリティとして、人工合成蜘蛛糸繊維の製造に成功し、サステナビリティの観点から評価された会社があります。

この会社はタンパク質を用いることで、土に還る自然由来の繊維を、従来のように石油に頼らずに低エネルギーで作ることができるようになりました。

また、アパレル企画のサステナビリティとして大きく評価された会社もあります。

ある会社は環境保護と途上国支援を目的としたビジネスの実践と普及を目指して設立されました。

アパレル製品をフェアトレードで製造し、人気女優とコラボレーションして商品企画を行い、若い世代へ積極的にアプローチしました。

この取り組みは、フェアトレードと、若年層への取り組みを積極的に行った点において、地球環境の持続可能性を事業活動目的としたとして評価されています。
 

建築のサスティナビリティの事例について

建築業界においては、長期的目線で人々の生活の質を向上、維持することのできる建築がサステナビリティ建築と呼ばれています。

日本では、1998年に一般師団法人日本サステナブル建築協会が設立され、その調査や研究、開発を推進しています。

具体的にサステナブル建築とは、省エネルギーや有害物質の排出抑制、地域の気候や文化を考慮することなどがあります。

さらに近年は、実際に建築を着工する前の設計段階で環境・経済・安全・社会など多方面からの解析によって環境に優しい最適な設計を行う、サステナブルデザインも注目されています。

サステナブルデザインの実現によって、環境的な責任を負った、収益性が高く、住居や職場として健康的な場所であるグリーンビルディングが生まれます。

地球環境に大きな影響を与える建築業界においては、上述のようなサステナブル建築やサステナブルデザインの実行が求められています。

以上、サステナビリティの概要と事例を説明しました。

この章では、サステナビリティを実行することによるメリットや実行する方法を紹介します。
 

サステナビリティのメリットについて

企業はサステナビリティに取り組むことで、以下に挙げるような様々なメリットを得ることができます。

1.ブランドの成長

環境や社会に配慮した製品やサービスを利用したいという消費者のニーズに合わせたブランドを展開することで、自社の成長に繋げることができます。

2.コスト削減

製品製造過程において、エネルギーや廃棄物の量、原材料の使用量削減や効率化を求めることで、コストの削減にも貢献することができます。

3.リスク低減

材料調達を安定させるために、農業やエネルギーなどの新規ビジネスを展開することにより、気候変動や資源価格の変動に伴うリスクへの対応力が強化されます。

4.信頼の強化

サステナビリティを重視する経営活動そのものが消費者だけでなくステークホルダーからの信頼を得ることに繋がります。
 

サステナビリティが求められる理由は？

サステナビリティに取り組むことによって以上のようなメリットがありますが、そもそもサステナビリティが近年着目されているのはなぜでしょうか。

以下にその理由を紹介します。

1.世界的に持続困難な状態が進行

近年は人口増加や食糧不足、資源の枯渇や開発による環境問題に加えて人権問題や貧富の差の拡大など様々な問題が出現し、社会的に持続困難な状況が進行していると言えます。

その直接的な解決策の一つとして、企業によるサステナビリティが求められています。

2.持続可能な開発目標（SDGs）の採択

2015年の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」と呼ばれる、2016年から2030年までの国際目標が採択されました。

それにより、「貧困、不平等・格差、気候変動のない世界を目指す17の目標」を達成するために各国で取り組みが始められています。

SDGs達成のための取り組みより、推計データに寄れば最大12兆ドルの経済成長と3億8千万人の雇用が新たに生まれるとされています。

また、その実現のためには各企業が新たな事業を創造する必要があるため、イノベーションを起こす契機にもなると考えられます。

このように、莫大なビジネスチャンスとなり得るSDGsの採択も、近年サステナビリティが求められている理由と言えます。
 

サステナビリティを取り組む方法は？

サステナビリティに取り組むことで、持続可能な社会をつくることに繋がるだけでなく、企業が成長することも可能だと明らかになりました。

サステナビリティをビジネスモデルに取り込むに当たっては、慈善活動や環境負荷の軽減などの社会貢献を中心とするよりは、ブランドの成長や競争力の機会を得るような事業戦略を検討することが大切だと言えます。

サステナビリティのデメリットについて

一方、サステナビリティには、中途半端に環境活動に取り組むことで機会損失やコスト上昇に繋がるなどのリスクが伴います。

例えば従来使用していた素材を、より環境に優しいものに置き換えるにあたり、コスト低減と顧客確保を確実に行うことは難しいことです。

サステナビリティを実現するためには、それらのリスクを承知した上で挑戦する必要があると言えます。

また、特に大企業ではサステナビリティと関連してCSR部が設立されていることが多くあります。

そのような企業において、サステナビリティは企業全体として取り組まなければ効果が出にくいにも関わらず、CSR部が孤立しやすいというデメリットもあります。

サステナビリティを実現するためにはこれらのデメリットを把握する必要があります。
 

サステナビリティの今後の課題について

さて、サステナビリティの今後の課題としては、以上にあげたデメリットを踏まえ、企業全体、社会全体がサステナビリティの意識を持つことが重要です。

環境問題や人権問題は、一部の企業や人々が取り組んで解決できる問題ではありません。

いずれの国においても、全ての企業が、またそこで働く全ての社員がサステナビリティの意識を持つことが求められるでしょう。
 

サステナビリティに必要な要素とは？

最後に、2005年の世界社会開発サミット（World Summit on Social Development）にて示されたサステナビリティに必要な3つの要素を紹介します。

1.経済発展

将来的にも持続可能な経済発展であるかどうかに焦点を当て、製品製造段階でのエネルギーや素材の消費削減や効率化などを考える必要があります。

2.社会開発

人々の健康を促進し、人口を適正に維持することで、人間が人間らしい生活を送ることを将来に渡って持続させます。

3.環境保護

文字通り、自然保護と健康的な維持発展を目指した活動が求められます。

いかがでしたでしょうか。

以上、サステナビリティのメリットについて紹介しました。

近年話題となっているサステナビリティには多くのメリット、デメリットが存在します。

また、サステナビリティが求められる背景には社会問題があることも分かりました。

メリット、デメリットが存在することを理解した上で、企業や個人はサステナビリティに取り組む必要があるのではないでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。