
【マタハラでパートに降格!?】悪質な減給や解雇事例と対策とは
現代日本で社会問題になっているマタニティ・ハラスメント、略して「マタハラ」。これにより職場での地位や報酬が下がる事もしばしば。今や4人に1人が被害者になると言われているこの問題について、被害者や加害者にならないためにはどうするべきなのか?今回の記事を読んでぜひ知って欲しいと思います。
マタハラの実態
現在の日本では、マタニティ・ハラスメント、通称マタハラが社会問題になっています。特に悪質なマタハラが、妊娠をしたことによって正社員からパートに降格させられることです。
ここでは、実際の会社でマタハラがどのように行われているのか、実態を紹介します。
パート降格するなど雇用契約を変えられる
正社員で働いている女性は、結婚をして妊娠をすると今まで通りに働くことができなくなります。そのときに、妊娠を理由にパートに降格をさせられるなど雇用契約を変えられる行為はマタハラに該当します。
明らかに、勤務態度や能力不足の場合は、マタハラには該当しません。
しかし、「妊娠したんだから、子供のことを考えてパートに戻ったほうがいい」などと、妊娠を理由にパートに降格されられる行為はマタハラに該当します。
上司や同僚から心無い言葉を言われる
次に、マタハラの実態として多いのが、上司や同僚から心無い言葉を言われることです。
「妊娠をしたから、私の仕事が増える」
「子供作って仕事のことをちゃんと考えてない証拠だ」
という言葉は、マタハラ行為に該当します。特に、妊娠中の女性社員の場合は、精神的なダメージが胎児に影響を与えるため、悪質といえるでしょう。
4人に1人がマタハラ被害者
連合非正規労働センターが出している調査結果によると、25.6%の人がマタハラの被害にあっていると回答をしています。これは、ちょうど4人に1人が被害者であるということです。
深刻な社会問題になっているマタハラですが、このデータから身近な問題であることがわかります。
あなたも被害者だけでなく、加害者になることを考えて、マタハラについて理解しておく必要があるでしょう。
マタハラは違法になる
マタハラは男女雇用機会均等法や育児・介護休業法で定められており、違法になる行為です。
また、2017年1月1日からマタハラが起こらないように会社で取り組みをしないといけないという法改正が行われました。そのため、すべての企業では、マタハラに対して周知し、相談窓口が設置されています。
ここでは、
- 解雇や雇い止め
- 不当な配置転換
- 減給などの措置
について、マタハラの事例を紹介します。
解雇や雇い止め
妊娠や出産、育児を理由に解雇されたり、雇い止めをさせることはマタハラに該当します。
- 会社に「妊娠をした」と報告を行ったところ、退職するように言われた
- 切迫流産で入院をしたところ「退職した方がいいんじゃないか」と勧められた
などが、違法になります。
妊娠をした場合、今までバリバリに働いていた姿から一変し、長時間働くことができなくなります。仕事量が多く、社員一人一人が忙しい職場では、妊娠をして今まで通りに働けない社員を辞めさせようとする会社もあるようです。
不当な配置転換
解雇や雇い止めまでされない場合でも、妊娠、出産、育児を理由に不当な配置転換をさせられた場合はマタハラとして違法になります。
- 育児休業を取得し、復帰したら役職を降格させられた
- 出産後に時間外労働制限の申請を行ったところ、正社員から契約社員になるように勧められた
などが該当します。
これらは、一見当たり前のように行われることがあり、注意が必要です。一度、育児休業を取ったのちに、「今までの本領を発揮できるまでは、部長代理になってほしい」など、明らかに出産が理由だとわかりづらいことがあるからです。
減給などの措置
3つ目のマタハラとして、あげられるのは減給などの措置です。
- 妊娠で短時間勤務に変更したことを理由に減給させられた
のような行為はマタハラに該当します。育児でお金が必要な時期に、減給をするのは悪質といえます。
マタハラの事例
ここでは、過去にあったマタハラの事例を紹介します。
マタハラは実際に経験して、客観的に状況を把握できないと気がつかないこともあります。しっかりと事例を知っておくことで、実際に遭遇したときに気がつくことができるので、知っておきましょう。
パートに降格された、またはパートへの変更希望を受け入れられない
妊娠をした社員は今まで通りに働くことができなくなります。そのため、妊娠や出産を理由に理由に、パートに降格させられることがあります。
しかし、これは明らかなマタハラに当たりますので、その場合は相談をしましょう。
また、逆に「妊娠をしたのでパートに変更したい」という希望を出しても、人手不足でその希望が受け入れられない場合もマタハラになるケースがあります。しっかりと把握して、実際に起こった場合に備えましょう。
中絶を促し解雇した事例
私立の幼稚園に勤めていた女性の教諭が妊娠を延長に報告しました。まだ、女性は未婚であったため、「結婚もしてないのに妊娠するなんてありえない」というような発言をしたそうです。
また女性は、切迫流産や子宮頚管ポリープといった診断を受けていたため入院をする必要がありました。それに対しても、間接的に中絶を勧めるような言い方をしたそうです。手術後、医師からは絶対に安静にするように言い渡されていましたが、幼稚園から出勤するように言われたため、出勤して流産をしたという事例がありました。
その後、幼稚園側は女性の勤務態度などから解雇をしましたが、男女雇用機会均等法9条に違反する行為としてマタハラがあったという判決に至りました。その結果、女性の解雇が無効となり、損害賠償が支払われました。
妊娠を理由に内定取り消しされた
ある女子大学生がが印刷会社に内定をもらいました。しかし、内定期間中にその大学生が妊娠をしていることが判明し、人事部から内定が取り消されました。
印刷会社は内定取り消しの理由を「内気な性格のため」としていましたが、妊娠の報告によって取り消されたと考えて女子大学生は内定取り消しを撤回させることと損害賠償請求を求めました。
判決結果は、マタハラと判定されて、内定取り消しの撤回と慰謝料などの請求が行われました。
マタハラ防止措置
現在、日本ではマタハラが深刻な社会問題となっています。そのため、マタハラを防止する措置が施策されています。
ここでは、日本の社会におけるマタハラ防止措置を紹介します。
義務付けられた13項目
2017年1月1日の法改正によって、会社はマタハラに対する13の施策をすることを義務付けられました。
- 職場内でマタハラが起こらないように方針を明確に定めて周知する
- マタハラを起こした者へのガイドラインを就業規則などで文書化し周知する
- マタハラについての相談窓口を設置する
- 相談窓口の担当者はマタハラの相談についてしっかり対応する
- セクハラなどの問題も含めて相談や応対ができる窓口を整備する
- マタハラが起こった場合は状況把握や事実関係について正確に素早く対応する
- マタハラを受けた被害者に適切な対応を行う
- マタハラを行った加害者適正な措置を行う
- マタハラが再度起こらないように防止策を整える
- 社員一人一人の事情に合わせた業務体制の整備を行う
- 妊婦側に利用できる制度をしっかりと教育し、コミュニケーションを取りながら働く意識を持つなどを周知する
- 相談を受けた場合やマタハラ当事者などの個人情報を保護するために措置や周知を行う
- マタハラに関して相談をしたり、事実関係の確認で協力したことによって不利益を被るようなことは禁止し周知する
万が一、会社がマタハラで問題を起こしたときに、これら13項目を行なっていない場合は、会社側は民事上の責任に問われることになります。
男女雇用機会均等法の変更点
また、同じタイミングで男女雇用機会均等法が変更されました。
- 妊娠、出産を理由に不利益取扱いにすることを禁止する
- 上司や同僚から妊娠、出産に関して言動があった場合に、妊娠、出産をしている社員の労働環境が悪化しないように防止策を取らなくてはいけない
この変更によって、社員が妊娠や出産をした場合でも、会社から不当に扱われないように法律面でより一層守られるようになりました。
育児・介護休業法の変更点
さらに、育児・介護休業法の変更によって、育児をする社員の権利も守られるようになりました。
- 育児や介護での休業をした場合に不利益取扱いになることを禁止する
- 上司や同僚から育児、介護に関して言動があった場合に、育児、介護をしている社員の労働環境が悪化しないように防止策を取らなくてはいけない
今後、このような法整備が整ってくれば、マタハラが少なくなってくるのではないでしょうか。
まとめ
妊娠をして、パートに降格させられることは、悪質なマタハラに該当するでしょう。遠回しに会社を辞めさせようとしている行為とも取れます。
しかし、まだまだ日本ではこのようなマタハラが当たり前に起きているのが現状です。
そのようなことに遭遇しないためにも、しっかりと法律や制度を理解することで、マタハラが起こった場合に対応できるようにすることが大切であるといえるでしょう。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。