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宇宙開発 将来性

【就活生必見】宇宙開発業界の業界研究!事業構造や将来性などについてご紹介

就活生の間で人気急上昇中なのが宇宙開発業界です。まだまだ成長産業である宇宙開発ビジネスですが、文理を問わず、好奇心あふれる学生から根強い支持を受けています。宇宙飛行士を目指す学生や国家公務員を目指す学生、重工メーカーを志す学生が併願するなど就活優等生の併願先としても人気となっています。JAXAをはじめとする宇宙開発事業者は都内の有名私立大学や旧帝国大学の間で人気を集めており、就活の難易度は高めです。この記事では政府の研究レポートや各社の有価証券報告書をベースに宇宙開発業界の業界研究を行っています。記事をしっかり理解して、就活対策を万全にしてください。

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宇宙開発業界とは

この章では宇宙開発業界

  • 業界構造
  • 将来性
  • 業界分類
  • 最新トレンドについて

解説していきます。

業界構造

人工衛星ビジネス

宇宙開発業界の最も代表的なものは人工衛星ビジネスです。

アメリカでは人工衛星は2000年代は政府主導、それ以降は民間企業によって商業化が進んでいますが、日本では政府主導の色が濃いのが特徴です。

日本政府は2017年に「宇宙産業ビジョン2030」を発表し、2030年までに宇宙開発の市場規模を倍増させることを掲げていますが、商業化が進んでおらず達成は不透明です。


人工衛星ビジネスの商業化が進む背景には急速に進行するデジタル化とそれに伴うデータ通信容量の増大があります。

2020年以降は次世代通信システム5Gが普及し始め、通信環境の整備が必要となっています。


宇宙開発ビジネスに登場するプレイヤーは人工衛星の発注者、製造者、運搬者の3つです。

発注者は人々に情報インフラを提供している情報通信会社です。

身近な例ではソフトバンクやNTTドコモなどの通信会社が挙げられます。

これらの発注者が衛星を製造する製造者に発注をします。

製造者は資本財メーカーや精密機器メーカーなどで人工衛星の製造を担います。

また、運搬者にもロケットや打ち上げ設備の発注が入ります。

運搬を担うのは航空会社や半導体メーカーなどです。

この結果、打ち上げられた人工衛星は様々な人工衛星利用サービスを提供します。

例えば、政府向けにGPSの位置情報サービス、携帯電話会社向けに測位情報提供サービス、物流会社に人工衛星画像、農業業界に対して気象情報を提供しています。

 

宇宙探査

宇宙探査とは宇宙探査機を用いて、惑星、衛星、太陽、彗星、小惑星など地球以外の天体などを探査することをいいます。

ほとんどが無人機による無人宇宙探査ですが、人間がロケットなどに乗車して宇宙探査を行う有人宇宙探査も少なからずあります。


宇宙探査の目的は宇宙利用や地球上のインフラ開発ではなく、人類の活動範囲を宇宙空間に広げることにあります。

例えば、アラブ首長国連邦が火星に移住する計画を発表している他、企業ではスペースXが月や火星への移住計画を作成しています。


宇宙探査の分野は将来的に大きな発展が見込まれる分野ですが、人類が宇宙空間に居住するまでにはまだ相当長い期間を要すると考えられていることから本格的なビジネスにはなっていません。

宇宙旅行

宇宙旅行といえば2021年の5月にロシアの宇宙開発機関ロスコスモスがZOZOTOWN創業者の前澤氏がソユーズ宇宙繊維登場して国際宇宙ステーションに旅行することを発表しました。

滞在期間は12日間であり、料金は約39億円と予想されています。


宇宙旅行はこのように莫大な費用がかかりますので、一般市民向けに商業化されていません。あくまでも富裕層をターゲットとしたビジネスです。

しかし、アメリカのヴァージン・ギャラクティック社やブルー・オリジン社などの宇宙開発会社は宇宙旅行の商業化を目指して、宇宙船の開発を行っています。

民間の旅行事業も同様に黎明期は富裕層向けのビジネスであったことを考えると、いずれはコストも下がり、広く普及することが期待されています。

市場規模・将来性

市場規模

日本の宇宙開発ビジネスの資金の出し手は9割が政府と政府主導が明確でしたが、2008年に宇宙基本法が施行されたことを機に民間企業の宇宙ビジネスへの参入が増えました。

その結果、日本航空宇宙工業会によれば、宇宙機器産業の2020年度の売上高(飛翔体・地上施設・ソフトウエア合計)は3,216億300万円(前年度比2.0%減)となりました。

政府は2030年代までに宇宙関連産業の市場規模を約2兆4,000億円と倍増させる目標を打ち出しています。

日本航空宇宙工業会の「令和元年度宇宙機器産業実態調査報告書」によれば、国内の需要は前年度より202億円減少し、 3,161億円となりました。

内需の内、最終需要先への売上高は2,259 億円で、前年度より127億円減少し、 内需の71%を占めました。

中間需要先への売上高は902億円であり、前年度より75億円減少し、内需の29%を占めました。


日本航空宇宙工業会「宇宙産業データブック」によれば、日本の航空宇宙工業生産(売上)高の長期推移は以下のようになりました。

(単位:百万円)

2001 2002 2003 2004 2005
361,777 336,184 240,684 218,849 223,669
2006 2007 2008 2009 2010
234,794 226,424 259,086 269,663 250,124
2011 2012 2013 2014 2015
265,034 316,016 308,126 355,441 337,793
2016 2017 2018 2019 2020
326,972 357,180 353,168 328,488 321,603

 


また、宇宙関連産業の分野別の売上高は以下のようになりました。

(単位:百万円)

分野 固体ロケット 液体ロケット 打上げサービス・関連経費 宇宙ステーション補給機
売上高 18,046 21,272 49,475 32,570
構成比 5.5% 6.5% 15.1% 9.9%
分野 システム・バス機器 ミッション機器 追跡管制・運用/その他 宇宙ステーション
売上高 74,058 56,222 8,681 7,249
構成比 22.5% 17.1% 2.6% 2.2%
分野 開発試験用装置・設備 ロケット打上げ支援用装置・設備 人工衛星追跡装置・設備 通信・放送衛星利用設備
売上高 1,865 12,591 7,036 224
構成比 0.6% 3.8% 2.1% 0.1%
分野 観測衛星データ処理設備 衛星測位利用設備 地上における実験装置 その他の地上設備
売上高 884 0 0 12,174
構成比 0.3% 0.0% 0.0% 3.7%
分野 ソフトウェア開発 データ処理・解析    
売上高 16,918 9,223    
構成比 5.2% 2.8%    

 

 

続いて、世界の宇宙開発ビジネスの市場規模について見てみましょう。

MUFG INNOVATION HUBによれば、世界規模での宇宙ビジネスの市場規模は2010年には約27兆円だったのが、2017年には約38兆円まで成長し、このペースで市場拡大が進めば2030年代には約70兆円にまで達すると言われています。

また、各国航空宇宙工業会によれば、 主要国の航空宇宙工業の生産額は以下のとおりになりました。

国名 アメリカ イギリス フランス ドイツ カナダ 日本
生産額(億円) 269,076 47,165 90,072 50,528 27,584 21,854

 

将来性

宇宙開発ビジネスの市場規模の予測については2017年に世界の大手投資銀行によって宇宙ビジネス市場の長期的な予測レポートが発表されており、2040年代にグローバルで1兆ドル以上に成長すると予測されています。

例えば、「The Goldman Sachs Group, Inc.「Space: The Next Investment Frontier」によれば、ゴールドマン・サックスはロケットや衛星のコスト低下を契機としてと宇宙ビジネスへの参入障壁が低下し、既存の通信衛星サービスが伸張するとともに宇宙観光、小惑星採掘、軌道上サービス等の新しい産業が実現することで2040年代に宇宙ビジネス市場規模が1兆ドルに達すると予測しています。

「Morgan Stanley.「Space: Investment Implications of the Final Frontire」によれば、モルガン・スタンレーは再利用ロケットや衛星技術の成熟により衛星打ち上げコストが下がり、短期・中期的には衛星ブロードバンド通信の拡大が期待され、また潜在的には人間の宇宙旅行などの機会も期待されることから2040年代に宇宙ビジネス市場規模が1.1兆ドルに達すると予測しています。

そして、「 Bank of America Merrill Lynch.「To Infinity And Beyond」によれば、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは再利用ロケット等のイノベーションが民間企業により実現されるなどして打上コストが低下し、また新興国の宇宙ビジネスへの参入する等の推進要因により、官需だけでなく民需も拡大することで2045年までに宇宙ビジネス市場規模が2.7兆ドルまで成長すると予測しています。

さらにモルガン・スタンレーの予測では宇宙開発の各部門の市場は次のように推移します。

(単位:億円)

  ロケット・宇宙ステーション補給機 人工衛星・宇宙ステーション 地上設備
2016 1,356 1,556 357
2050(予測) 3,665 2,633 12,031
  観測分野 電気通信事業 コンシューマサービス
2016 16 1,254 6,554
2050(予測) 4,523 4,983 16,097

 

 

また、宇宙関連エンタメ産業市場は、家計における教養娯楽費のうち10%を宇宙関連エンタメにて消費すると仮定すると、2050年時点で約2兆円の市場が創出されると予想されます。

業界の分類

宇宙関連 搭載装置製造

宇宙開発業界のなかでも搭載装置を製造している企業には以下のような企業があります。

宇宙関連 材料・化学等

宇宙開発業界のなかでも化学材料を製造している企業は以下のような企業があります。

 

商社

商社の事業部門として宇宙を扱っている商社は以下のとおりです。

伊藤忠商事株式会社、住友商事株式会社、三井物産株式会社、双日エアロスペース株式会社、兼松エアロスペース株式会社、丸紅エアロスペース株式会社

最新のトレンド

官主導の宇宙ビジネス

日本の宇宙関連ビジネスの市場規模は2020年時点で3,200億円程度です。

これはアメリカの約10分の1程度であり、イギリス・フランス・ドイツなど他の先進諸国と比べても小さい市場規模となっています。

日本では宇宙関連ビジネスは商業化が進んでおらず、業界が活況を呈しているとは言えない状況です。


アメリカでは2000年以降に国家宇宙政策といわれる国策によって宇宙開発が進められてきましたが、2015年には「宇宙法」が制定され、政府主導で宇宙ビジネスの商業化が進められ、民間企業が多数宇宙ビジネスに参入し、市場規模も大きくなっています。

アメリカをはじめとする海外で民需の掘り起こしが進んでいるのとは対象的に日本では宇宙関連ビジネスの9割を官需が占めます。

これには国が主体となった官需主導の下で、国と民間をつなぐ唯一の機関である宇宙航空研究開発機構JAXAを通じて産業育成が行われてきたという背景があります。

これによって日本では宇宙ビジネスの商業化が遅れており、欧米に大きな差をつけられています。

このような事態に対して、2016年に「宇宙活動法」が成立し、民間企業の宇宙関連ビジネスへの積極的な参入が目標とされました。

この法案によってロケットの打ち上げや商業衛星の運用において民間企業が主体となった運営が期待されます。

また、2017年に内閣府によって発表された、「宇宙産業ビジョン2030」のなかで⺠間企業の役割拡⼤を通じて宇宙産業の市場規模を2030年までに倍増させることを掲げています。


さらに2018年3月には日本政府が宇宙ベンチャ ーに 1千億円の出資を表明したほか、11月には「宇宙活動法」 が施行され、宇宙ビジネス活性化が掲げられました。

富裕層を中心に有人宇宙旅行が開始

2021年7月にIT大手のアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が自身が設立した宇宙開発企業「ブルー・オリジン」が開発した宇宙船に登場し、短時間の宇宙旅行に成功しました。

ベゾス氏は宇宙開発ベンチャー「ブルー・オリジン」の事業に専念するためアマゾンのCEOを退任していました。


また、ロシアの宇宙機関ロスコスモスはZOZOTOWNの創業者で実業家の前澤友作がロシアの宇宙船のソユーズで国際宇宙ステーションにドッキング後、12日滞在する予定だと発表しました。

このように富裕層を中心に有人宇宙旅行が開始し、世界の宇宙開発起業が宇宙旅行の商業化に向けて、動き出しています。

日本も例外ではなく、旅行代理店のHIS とANAホールディングスが名古屋のベンチャー企業であるPDエアロスペース株式会社と資本提携を発表しました。

2007年設立のPDエアロスペースは航空宇宙、自動車、IT技術の研究開発などを行う技術企業で、そのなかでも主軸事業として宇宙機開発を進めており、3社は民間主導による宇宙機開発を行うことに合意し、宇宙旅行をはじめとする宇宙輸送の事業化を目指しています。

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