
リモートワークの意味とは?4つの種類やテレワークとの違いもまとめ
リモートワークとは。リモートワークの意味、日本のリモートワーク普及率について紹介します。テレワークとリモートワークとの違いや、リモートワークのメリット・デメリットも解説します。
リモートワークとは
リモートワークの意味とは
リモートワークとは出社せずにオフィスから離れた場所で仕事をする働き方です。時間や場所の制約を受けずに仕事をします。そのため、リモートワークであれば、育児や介護などと仕事を両立できるのがメリットです。
自由な働き方を認めるための施策としてリモートワークを認める企業は増えています。さまざまな事情のある人材を確保できるため、リモートワークは人手不足を解消するなど企業側にもメリットが多いです。今では一般的によく知られる労働スタイルとなりました。
日本のリモートワーク普及率とは
日本のリモートワーク普及率のデータとして、総務省による「令和元年通信利用動向調査の結果」を紹介します。調査によると令和元年においてテレワークを導入している又は導入予定のある企業は約3割でした。
産業別では、情報通信業の令和元年におけるテレワーク導入率が48.5%と最も高かったです。次に金融・保険業の導入割合が高く40.7%となっています。同調査では、テレワークの導入形態として在宅勤務が50.4%になっており、在宅勤務の導入割合が伸びていることがわかりました。
テレワークはリモートワークとほぼ同じ意味です。リモートワークは主に民間で使われている用語であり、官公庁ではテレワークが統一用語として使われています。
リモートワークが増えている背景とは
リモートワークが増えている主な背景は以下の通りです。
- 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため
- ワークライフバランスの向上
- 人手不足の解消
新型コロナウイルスの感染拡大の対策としてリモートワークが推奨されました。2020年以降、ほぼすべての業種でリモートワークの導入が推進されています。
また、ワークライフバランスを向上させるための対策としてリモートワークは重要です。柔軟な働き方を実現する施策としてリモートワークの採用が進められています。
他にも、少子高齢化により生産年齢人口の減少が進み、人手不足が深刻化しているため、対策としてリモートワークが注目されているのです。リモートワークであれば、介護や育児で自宅を離れられない人や高齢者なども働きやすくなります。
リモートワークの4つの種類とは
ハイブリッド・リモートワークとは
ハイブリッド・リモートワークとはオフィスで働く日とリモートワークする日が混ざった形態のことです。完全にリモートワークへ移行するのではなく、オフィスで働く形態も継続します。正規雇用の社員へ主に適用されることが多いです。
ハイブリッド・リモートワークでは、リモートワークの日は週に1日か2日程度とされています。日本ではハイブリッド・リモートワークを取り入れている企業が最も多いです。完全にリモートワークへ移行するとさまざまな問題があるため、リモートワークを部分的に取り入れた形態がよく採用されます。
フルタイム・リモートワークとは
フルタイム・リモートワークとは完全にリモートワークへ移行した形態のことです。
会社員は一切通勤することなく、勤務時間はオフィス外の場所で仕事をします。オフィスを一切利用しない形態のため、日本でフルタイム・リモートワークを採用している会社はあまり多くありません。
また、フルタイム・リモートワークで働く社員は一部に限定されている場合が多いです。フルタイム・リモートワークは、正社員を対象としています。非正規雇用を対象に関しては別の名称があるのです。
リモート・アウトソースとは
リモート・アウトソースとは、正規雇用されていない労働者が勤務時間のすべてをオフィス外で働く形態のことです。企業とは業務委託などで契約をしています。たとえば、フリーランスが企業と契約して自宅で働く場合は、リモート・アウトソースと呼べるのです。
企業が経理などの業務を外注する場合は、リモート・アウトソースで働いてもらうケースがよくあります。作業をデジタル化することで、リモート・アウトソースで対応できる業務は増えるでしょう。
テンポラリー・リモートワークとは
テンポラリー・リモートワークとは一時的にオフィス外で働く形態のことです。たとえば、子供の育児や家族の介護などで一時的に自宅を離れられない場合は、テンポラリー・リモートワークで働くケースがあります。
出社をする必要がない形態ですが、あくまでも一時的な措置であり、恒久的にリモートワークが適用されるわけではありません。社員のさまざまな事情に対応するためにテンポラリー・リモートワークを採用する企業は増えています。
テレワークの意味とは?リモートワークとの違いは?
テレワークの意味とは?定義まとめ
テレワークとは、「ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のことです。
Tel(離れて)とWork(仕事)を組み合わせた造語であり、ICT(Information and Communication Technology)をフル活用し、オフィスから離れた場所で働くことを意味します。
テレワークは、働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、移動中や移動の合間に行うモバイルワーク、サテライトオフィスやコワーキングスペースといった施設利用型テレワークのほか、リゾートで行うワーケーションも含めてテレワークと総称しています。
雇用型テレワークの意味とは
雇用型テレワークとは「事業者と雇用契約を結んだ労働者が、自宅等で働くこと」です。
つまり、会社に雇用されながらテレワークを行うことで労働生産性を上げる働き方です。
具体例として、自宅で働く「在宅勤務」や本拠地とは違う場所で働く「サテライトオフィス勤務」などがあげられます。
国も今日のテレワークの増加に向けて導入を支援しており、今後ますます普及することが予想されるでしょう。
雇用型テレワークとは|被雇用者の労働形態のひとつ
雇用型テレワークとは、会社に雇用されながらも会社から離れて働く、被雇用者の労働形態のひとつです。
雇用型テレワークは、主に以下の3つに分類されます。
1. 在宅勤務
在宅勤務とは「自宅で働くこと」を意味しますが、終日在宅だけではなく、1日の1部は在宅で働く「部分在宅」を導入している企業もあります。
子育て中の人や自宅介護を行なっている人にとっては、とてもメリットのある働き方です。
2. モバイル勤務
モバイル勤務の「モバイル=可動性」を意味し、PCやスマートフォンなどのデバイスを使用することで、場所にとらわれずどこでも働くことができるのが特徴です。
代表的な例では、カフェや仕事での移動中、取引先などが挙げられます。
3. サテライトオフィス勤務
サテライトオフィス勤務のサテライトには「衛生」の意味があり、本拠地から離れた場所に設置されたオフィスで働くスタイルのことを指します。
サテライトオフィスには専用型と共用型があり、共用型ではコワーキングスペースなどが代表的です。
自営型テレワーク
自営型テレワークとは、「個人事業者や小規模事業者がICTを活用して行う労働形態」のことです。
個人事業者や、小規模事業者に多く、「SOHO(Small Office Home Office)」とも言われています。
テレワークとリモートワークの違いとは?
結論として、どちらも「社外で働く」という意味でほぼ同等ですが、「テレワーク」については日本テレワーク協会が定義をきちんと定めています。
テレワークという言葉は、中央省庁や比較的政府と強い結びつきがある会社で多く利用されており、リモートワークという言葉はIT会社で使われることが多くなっています。
【企業側】リモートワークのメリット・デメリットとは
リモートワークを導入するメリットとは
優秀な人材を確保できる
リモートワークを導入することで優秀な人材の確保につながります。働きたいけれども、障害や育児、介護などの理由から就労を諦める人は多いです。
優秀なスキルや知識を持っていて、働きに出るのが困難な人を雇うための方法としてリモートワークは高い効果を期待できます。リモートワークを認めることで、これまで雇えなかった優秀な人材を確保できる可能性が高まるのです。
通勤が難しいなどの事情を抱えている人を対象に幅広く人材採用を進められます。
コストを削減できる
リモートワークを取り入れることで企業はコスト削減できます。
たとえば、データのやり取りをすべてデジタル化することで用紙代や印刷代を節約できるからです。また、出勤する人を減らせばオフィスの縮小化を実現できて、家賃などのコスト削減につながります。
リモートワークが増えれば、交通手当などの支給を減らすことができるのもメリットです。テレワークを全面的に導入してオフィスを完全閉鎖する会社もあります。全従業員がテレワークで働く場合はオフィスの家賃などは完全に不要になるのです。
事業継続性を確保できる
リモートワークを取り入れれば、震災や台風などの自然災害のときでも事業を継続できます。コロナ禍のようなパンデミックが起きても、リモートワークを推進していれば社員は業務を続けられるのです。
オフィスに出社できない不測の事態が起きても事業を継続できる環境を整えるためにリモートワークを活用できます。事業が中断した場合の損失を抑えられるのがリモートワークを導入するメリットです。非常事態においても事業を継続できれば、機会損失も避けられます。
リモートワークを導入するデメリットとは
セキュリティ上の問題が生じる
リモートワークを導入するとセキュリティ上の問題が起きるケースがあります。社外で秘密情報を扱う場合があるため、情報漏洩や重要情報の消失といったリスクがあるのです。
マルウェアなどの被害が生じることもあります。セキュリティ上の問題に備えてしっかりとセキュリティ対策を進めておかないと、リモートワークの導入に失敗するでしょう。社員の自宅も含めて十分なセキュリティ体制を構築する準備を整えておく必要があります。
マネジメントが困難になる
リモートワークの推進で社員のマネジメントが困難になります。たとえば、勤怠管理や評価をする上で支障が生じることがあるのです。リモートワークをしている社員がきちんと業務に取り組んでいるか確認するのが困難になります。
また、リモートワークをしている社員とオフィスにいる社員を公正に評価できないケースも出てくるでしょう。
リモートワークを導入するならば、勤怠管理ツールの導入や社内制度の整備、適正な労務管理などが必要になります。
【社員側】リモートワークのメリット・デメリットとは
リモートワークで働くメリットとは
ワークライフバランスが改善される
リモートワークを取り入れればワークライフバランスが改善されます。通勤時間が短縮され、プライベートに使える時間が増えるからです。自宅で仕事をしながら、プライベートの用事や趣味などにも時間を使えるようになります。
仕事と仕事以外の生活の両方を充実させられるようになるのです。仕事と生活のバランスを上手く取れるようになり、仕事で感じてきたストレスは軽減します。心身の健康を維持できるようになり、仕事にも仕事以外にもプラスの効果をもたらすでしょう。
育児や介護と両立しながら仕事を続けられる
リモートワークにより自宅で仕事できるようになれば、育児や介護などと仕事を両立させられます。これまでは育児や介護などの事情で仕事を辞めなければいけないケースが多かったです。
リモートワークであれば、可能な限り仕事を続けられるため、キャリアの中断を避けられます。育児や介護を続けながらキャリア形成を進めることができ、自分の思い描くキャリアアップを目指せるようになるのです。育児や介護が落ち着いた後は、スムーズにオフィスへ戻ることもできます。
仕事に集中できるようになる
リモートワークにより仕事に専念できる環境が生まれます。通勤にかかる労力が減り、心身の疲れが減少するために集中力が上がるからです。また、リモートワークでは割り込み作業が入りにくく、目の前の仕事にだけ集中しやすくなります。
仕事をする環境を自分の好みに整えられる点もメリットです。デスクや椅子などは自分の好みのものを揃えることができます。上記の理由からリモートワークでは仕事に集中できるようになり、業務効率が改善されるのです。仕事のパフォーマンス向上を期待できます。
リモートワークで働くデメリットとは
仕事とプライベートの区切りが曖昧になりやすい
リモートワークは仕事をする場所とプライベートの空間が同じです。そのため、仕事とプライベートの区切りが曖昧になりやすい点が問題になります。仕事をしていても集中できない、あるいは逆に長時間働いてしまうといったケースがあるのです。
きちんと自己管理できる人でないとリモートワークで怠けてしまう場合もあります。プライベートとの区切りが曖昧なため、逆にストレスを感じる人もいるのです。明確に生活空間と労働空間を区切ることができない点が、リモートワークのデメリットといえます。
孤独を感じやすい
リモートワークは周りに上司や同僚などがおらず、ずっと1人で働き続けることになります。孤独が苦手な人にとって、リモートワークはストレスを感じやすいです。
他者とコミュニケーションを取る機会が極端に減るため、不安や悩みを吐露できずストレスや孤独感を抱えるケースがあります。リモートワークには向き不向きがあるため、コミュニケーションを重視する人にはストレスになりやすいです。
特に一人暮らしの場合は、1日中誰とも会話しない状態になり、辛さを感じるケースがあります。
リモートワーク制度を機能させるためのポイント
万全なセキュリティ対策の実施
社外で情報をやりとりするため、セキュリティ面での対策や間違って第三者へ情報を発信しないように細心の注意を払う必要があります。
セキュリティソフトを使用した安全なネット環境構築はもちろんのこと、社員が守るべきルールを明確に策定しておくことが大切です。
勤怠管理システムの導入
リモートワークでは会社への出勤がないため、勤怠管理も非常に大切なポイントです。
就業規則や評価制度の見直し、フレックスタイム制の導入などが対策として挙げられますが、段階的にリモートワークを導入することもおすすめです。
例えば、規則の見直しも行いながら最初は週2日のリモートワークを取り入れ成果を評価し、認められれば週3日に増やしていくなどです。
一気に導入をすると企業や社員の負担も大きくなるため、徐々に取り入れていくことがポイントです。
リモートワーク研修の実施
リモートワークを行う前に、リモートワークに慣れていない社員のためにも研修を実施することで業務がスムーズに進みます。
研修では導入目的や必要なツールの使い方、操作方法など基本的なことを行い、実際に操作してみることで疑問点などがあれば解消しておき、それをマニュアル化しておくと良いでしょう。
コミュニケーションツールの統一化
さまざまなコミュニケーションツールが存在しますが、使うツールを統一をしておくことで全員が同じように情報を伝えることができます。
特にZoomなど一般的によく使用されるツールは操作を覚えておくことで、社内だけでなく社外との打ち合わせや取引をスムーズに行うことができます。
データ共有ツールの統一化
社内で情報を共有するにあたり、どこにどの情報が保存されているかを明確に統一しておく必要があります。
また、各々で自由にデータを共有ツールを使ったり、保管をしたりすると統一性がなくなり業務に支障が出ることは言うまでもありません。
リモートワークの特性上、頻繁にデータの共有を行うため無駄なコミュニケーションコストを抑えるためにも必ずルールを決めておきましょう。
リモートワークについてよくある質問とは
リモートワークの導入事例とは?
リモートワーク導入事例で代表的な1つに、「味の素株式会社」があります。
「どこでもオフィス」という名称で、自宅やサテライトオフィスの他、セキュリティが確保され、集中できる場所であればどこでも勤務できるテレワーク制度の導入に成功しました。
導入ポイントとして「最大週4日まで、終日のみならず 30 分単位で活用できる」や「コアタイムなしのフレックスタイム制や時間単位年休との併用が可能」などが挙げられます。
リモートワーク制度を運用する際の注意点とは?
リモートワークを行う上で、最も注意したい点は「セキュリティ面」です。
仕事のほぼ全てを社外のネット上で完結させていく特性があることから、第三者への情報漏洩や端末の紛失などは避けなければなりません。
現代はITが発達しているため、重要な情報が漏れてしまうと一気に拡散される可能性があります。
リモートワークを行う際は、セキュリティ対策に万全を期して行いましょう。
リモートワークとあわせて知りたい言葉とは?
リモートワークとあわせて知っておきたい言葉に、以下の5つが挙げられます。
- 在宅勤務
- モバイルワーク(モバイル勤務)
- ノマドワーク
- サテライトオフィス勤務
- クラウドソーシング
意味・働く場所 | |
在宅勤務 |
・自宅での勤務。 ・終日在宅や部分在宅など、企業によって形態が異なる。 |
モバイルワーク(モバイル勤務) |
・PCやスマホ・タブレットを使い仕事を行う ・取引先や移動中に仕事を行う。 |
ノマドワーク |
・遊牧民を意味する「ノマド(nomad)」と「労働者(worker)」を組み合わせた言葉。 ・cafeやコワーキングスペースなど、場所に縛られずに仕事をする人。 |
サテライトオフィス勤務 | ・本拠地とは別に、会社が設置したサテライトオフィスやレンタルオフィスを利用して仕事を行う。 |
クラウドソーシング |
・仕事を発注したい人(企業含む)が、インターネットを使用して不特定多数の人々に仕事を依頼するためのWebサービスの名称。 ・仕事を選べ、好きな時間・場所で働ける。 |
リモートするには何が必要か?在宅ワーク前に準備したほうがいいこととは?
リモートワークでは会社以外の場所で働くことから、事前に準備をしなければならないものがいくつか存在します。
最低限準備する必要があるのは、以下の3つです。
- ネット環境
- PCやタブレット
- ネット会議で使うツールや知識
ネット環境 |
・リモートで仕事を行うため、どちらも必須となります。 ・仕事に支障が出ないよう、ある程度のネット環境やスペックを持ったPCなどが必要。 |
PCやタブレット | |
ネット会議で使うツールや知識 | ・メールやチャット以外に、会議をする際のツールについて知っておく必要がある(zoomやSkypeなど) |
その他にもデスク周りや椅子など、仕事を快適にするための物もあると便利ですが、上記3点は必須であるため、必ず在宅ワーク前には準備をしておきましょう。
まとめ
リモートワークの意味は、以下のとおりです。
- リモートワークとは出社せずにオフィスから離れた場所で仕事をする働き方
- 新型コロナウイルスの感染拡大の対策としてリモートワークが推奨された
リモートワークは人手不足を解消するなど企業側にもメリットが多い働き方でもあります。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。
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