
【定年後再雇用と年金】人生設計を行う上で知っておきたいこと
皆さんは年金についてしっかり考えていますか?人生百年時代と言われる現代において、定年退職後に年金だけで暮らしていくことはあまり現実的ではありません。また、少子高齢社会では年金制度の維持に疑問が浮かびます。今回は定年後に再び働き始める時、年金はどうなるのか見ていきます。
定年後働き続けると年金が出ない?
定年の延長や定年後の再雇用により、65歳まで就業する時代がきています。
年金の支給開始年齢は生年月日により異なりますが、60歳台前半に特別支給の老齢厚生年金を受けられる世代の人でも、在職中は年金が未支給のことがあります。
これから仕組みを紹介します。
基準となる額は?
年金支給額の平均は月額約28万円です。
厚生労働省が公表した平成30年度の標準的モデルの世帯の年金額は、老齢基礎年金(国民年金)が1ヶ月64,941円、老齢年金(厚生年金)が221,277円で合計286,218円です。この金額は夫婦2人分の標準的な支給額です。
上記の標準モデルの世帯は、ご主人(夫)が40年間企業に勤めて厚生年金に加入していて、奥様(妻)は40年間の全期間を専業主婦として生活をした夫婦を前提にしており、平成30年に老齢年金が支給される平均額です。詳細は毎年、日本年金機構から郵送される「年金定期便」を確認しましょう。
また、年金支給額は毎年マクロスライド制度により変動します。
短時間のアルバイトなら年金は支給される?
年金支給中に短期間のアルバイトをしたとき、何らかの影響があるのでしょうか?
在職老齢基礎年金の支給停止が適用される基準は厚生年金被保険者であったか否かによりますので、「年金ネット」などで確認しましょう。
厚生年金保険に加入していない方で、短期間のアルバイト勤務をしたときや自営業者は老齢厚生年金が全額支給されます。
厚生年金保険に加入する目安となる勤務時間は、フルタイムの3/4以上の時間が対象です。フルタイムで1週間40時間の勤務とすると、30時間以上勤務で加入(一定の規模の企業に勤務するときは週20時間以上の勤務でも加入)します。
65歳まで勤務する場合は、厚生年金保険に加入する勤務時間になるか否かを確認しましょう。
フルタイム勤務か、年金を受け取りながらアルバイトか?
フルタイム勤務や、年金を受け取りながらアルバイトをしたときの受給額は、どのようになるのでしょうか?
第一に、給与と賞与を合算した年間の収入が552万円以上あると、年金支給額はありません。
第二に、定年退職後、厚生年金保険に加入しない方で、時給1,500円×週2回勤務=月間70時間以内でアルバイト勤務をしたときは、アルバイト収入は月間105,000円になります。
そのときは年金支給額が月9万円ですので、月収は195,000円になります。年収換算すると234万円になるますので、厚生年金を加算した年金支給額が約344万円ですので、年金支給額の年収が多くなります。
「働けるうちは沢山働きたい」「フルタイム勤務を希望する」方は、フルタイム勤務でアルバイト収入を得て、年金支給額と合算して現役世代と同様な生活をする希望者は週に2回程度の勤務をすることを検討しましょう。
また、週に4日~5日勤務してアルバイト収入額で生計をたてて、年金支給開始年齢を繰り上げる方法もあります。
【定年後再雇用 】60歳以降のお得な働き方を考えよう
国内の企業は今まで定年の年齢60歳でした。年金支給開始年齢が引き上げられたことから、定年年齢65歳に延長しています。60歳以降に働き続ける場合でも、年金を受け取ることはできます。
但し、在職老齢年金の制度が適用されますが、必ず年金を全額受け取れることはできません。豊かな老後と働き損にならないように、在職老齢年金制度を上手に活用しましょう。
在職老齢年金制度について
働きながら年金を受給できる制度があります。その制度が在職老齢年金制度です。
在職老齢年金は、70歳未満の方が厚生年金に加入しながら働いた場合と、70歳以上の人が厚生年金保険のある会社で働いたときに、老齢厚生年金額と給与額(賞与含む・総報酬月額相当額)に応じて老齢厚生年金額が調整される制度です。
給与額によっては年金の全額が支給停止されることもあります。在職老齢年金制度による年金額の減額、支給停止の対象は老齢厚生年金だけです。
国民年金から支給される老齢基礎年金は対象にならず支給額が減額はありません。また、厚生年金から支給される遺族厚生年金や障害厚生年金への影響もありません。
高年齢雇用継続給付について
高年齢雇用継続給付額とは、
- 年収額が60歳時点の年収額の61%以下の場合は賃金額の15%相当額
- 61%超~75%未満の場合は低下率に応じて年収額の0.44%〜15%相当額
が支給される仕組みです。
但し、給付額には上限があります。
支給月の収入額と高年齢雇用継続給付額の合計額が357,864円(平成30年7月31日まで有効)を超える場合、超過分の支給はされません。
定年後も年金を減らされずに働き続ける方法とは?
60歳の定年後も働く会社員が増加しています。法改正で65歳まで定年延長や再雇用が企業に義務付けられました。
この法改正で65歳まで労働を強いることは出来ませんが「元気で就労できれば頑張る」方は多くいるようです。
これから定年後に年金受給額を減少されずに就労できる方法を紹介します。
一定以上の収入があると年金が一部停止になるの?
一定以上の収入があると年金支給が一部停止になることがあります。
60歳~64歳までの方は月収46万円、年換算552万円以上の年収がある方は年金の支給が一部停止になります。また、月収28万円を超える収入があるときは支給停止調整になります。
65歳以上の方も同様で年収46万円、年換算552万円以上の年収がある方は年金の支給が一部停止になります。
「厚生年金に入らない働き方」をすればよい?
厚生年金保険に加入しない働き方をすると、年金支給額の支給が停止されることはありません。
厚生年金は5人以上の従業員を雇用している事業所は強制的に加入することが法律で義務化されています。5人に満たない従業員を雇用している事業所は任意で厚生年金保険に加入することができます。
年金受給額に影響がない働き方は厚生年金に加入せずに、フリーランス・自営業・個人事業主として就労すると、年収額に影響されずに年金支給が実施されます。
しかし老齢基礎年金(国民年金)は1ヶ月64,941円であるので、生計を立てることはできないようです。
【定年後再雇用】年金がカットされない働き方の問題点について
定年退職後に再雇用して就業をするとき、年金の加入状況によって支給停止がされることがあります。前章で説明しましたが、雇用保険に加入することにより高年齢雇用継続基本給付金の支給対象になります。
厚生年金に加入すると在職老齢年金の支給停止に加えて、高年齢雇用継続基本給付金の受給に対して支給停止されることがあります。
年金がカットされない働き方の問題点は、事業者が1/2を負担する厚生年金への加入状況にあります。厚生年金に加入していないときは年金がカットされないというメリットがありますが、厚生年金に加入すると支給される年金額が多くなるのです。
健康保険について
定年退職後に再雇用して年金がカットされない働き方に健康保険の加入状況があります。
厚生年金に加入すると、一緒に健康保険(政府管掌健康保険)に加入することになります。厚生年金に加入していないと、各自で国民健康保険に加入しなければなりません。
さらに65歳~74歳未満の方は「前期高齢者医療保険」、75歳以上の方は「後期高齢者医療保険」に加入する必要があります。
国民健康保険は、保険料は前年の収入と家族構成等によって変動します。前年の収入が高い方は国民健康保険が高額になる場合があります。居住している市区町村別に保険料が異なるようです。
年金について
定年退職後に再雇用して年金がカットされない働き方に国民年金の加入状況があります。
厚生年金に加入しないと、配偶者(妻)の国民年金の保険料を支払う必要があります。厚生年金に加入していると配偶者(妻)が専業主婦のときは国民年金の保険料を支払う必要はありません。
また、厚生年金に加入することで、自分自身の年金の加入期間が増えることになるので受け取る年金額がアップするようです。
まとめ
日本人の健康寿命が長くなったことで「人生100年時代」に至ると報道するメディアがあります。日本の会社員は18歳~22歳ころに入社して、約40年間就業して60歳頃に定年退職します。
60歳~100歳までは40年あります。定年の延長や定年退職後に再雇用して収入を確保する時代に遷移している状況です。収入の確保とライフプランはしっかり考えなければなりません。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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