【メンターになるには】役割や必要な資格を詳しくご紹介

メンターの由来とは何か

メンターはギリシャの詩人ホメロスが書いたといわれる叙事詩「オデュッセイア」に登場する老賢人メントールの名からであるとされています。

メントールは、オデュッセウスがトロイに遠征の際は王子であるテレコマスの養育を任されていて、またオデュッセウスがトロイで危機に陥ったときには勝利に導く助言をする存在で、オデュッセウスにとって信頼できるよき支援者でした。

そこからメンターは、助言者や教育者などの意味で使われるようになりました。

また、メンタリングとはメンターが若い人や未経験者と基本的には1対1で、継続的に交流し、信頼関係を作りながら、仕事や人間的成長を支援していくことをいいます。
 

メンターの発祥はどこから

メンタリングの発祥はアメリカであると言われています。

アメリカにおけるメンタリングは、100年ほど前に発足した非行少年少女の更生支援活動にまでさかのぼります。

そこから、様々な形で発展されていき、社会的な運動として1980年代後半から勢いを増してきました。

メンターを導入する企業が増えている

導入した企業の例をあげると、ある証券会社では会社が発足したてで社員教育が追いつかず、メンター制度を導入した結果、1年目はメンターの中に戸惑いがありましたが、2年目からは落ち着いて、成果も上がっているようです。

また、ある薬品メーカーでは教育のためにメンター制度を実施した結果、新人の離職率が低くなったというデータがありました。

このように、ここ数年でメンター制度を導入しかつ、結果を出している企業があることが分かります。

また、メンター制度に対するセミナーや資格の取得なども最近見るようになりました。

これは、メンター制度を導入する企業が増えているためであることが分かります。
 

メンターを導入する背景とは

アメリカでは早いうちからメンター制度が始まっていましたが日本では最近になってようやく周知されてきました。

その背景には二つ理由があると考えます。

一つは、日本の、見て真似て仕事を覚える、という考え方があるからです。特に、職人の仕事はこれが顕著だったため、質問するより、見てそして自分の中に落とし込むという文化があったからだと考えます。

二つ目は、日本人特有の遠慮をする心です。どうしても遠慮してしまい、人にものを聞くということが恥ずかしかったりしたためだと考えます。

これらのことより、日本ではメンター制度が浸透しなかったと考えます。

すでにアメリカでは、90%以上の会社がなんらかのメンタリング・プログラムを導入しており、一定の成果を出しています。

日本社会では景気の低迷やリストラ、人的資源の流動化、また国際化やIT化、更には職場環境の問題なども相まって、働く人たちが大きなストレスを抱え、その影響は社会問題にまで発展しています。

これらのストレスを少しでも軽減できるのがメンター制度であると考えられます。

独学で学ぶメリットとデメリットとは

• メンターを独学で学ぶメリット
  • 自分の好きな時間で学ぶことができる
  • 周りの目を気にせず自分のペースでできる
• メンターを独学で学ぶデメリット
  • 内容が多岐にわたるため全てをカバーするのは難しい
  • メンターは実践的なものなので、独学だと知識しか入れることができない可能性がある。
• 専門機関で学ぶメリット
  • メンターについて基礎からしっかり学ぶことができる
  • セミナーであれば実践的な内容も学べ、加えて他の受講者の方達ともコミュニケーションが取れる
• 専門機関で学ぶデメリット
  • 時間の制約がついてしまう。
  • 独学よりもお金がかかってしまう。

新入社員の入社教育とは

メンターは新入社員へ成功への道のやりがいや、楽しさを知って、モチベーションをあげてもらい、その企業に定着してもらうことが一つ目標になるかと思います。

そのためには、メンターにはメンタリングの広い知見が必要となります。

必要なことはいくつもありますがここではいくつかピックアップして書いていきたいと思います。

一つは具体的な言葉で、新入社員の行動を変えてあげることです。

人に指示をするときは、どうしても抽象的になってしまいがちですが、具体例やマニュアルを提示しながら、はじめは丁寧に教えてあげることが必要です。

二つ目は、悩ませるのではなく新人社員に考えさせることです。悩んでいるのと考えているのだと、意味合いが変わってきます。

例えば手を止めてただ、遠くを見ているような状態は悩んでいると考えます。そうではなく、とりあえず手を動かしてメモを取っている、人に何か質問しているような、考えて行動しているような状態を作ってあげることが必要です。

三つめは、感情的にならないことです。新入社員が失敗したときに感情的に怒るのではなく、なぜ失敗したかを一緒に考えてあげて、次は失敗しようようにしてあげることが必要です。
 

中堅社員のメンタルケアにメンターが必要！

メンターに配慮することは、いくつかありますが特に配慮することは時間への配慮だと考えられます。

新人社員へのメンタリングにはどうしても時間が割かれてしまいます。

メンターの社員の仕事量に配慮しつつ、メンタリングの必要性を企業内で理解してあげることが必要になってくると考えられます。

コーチングと同じ意味？メンターの相違点と類似点

• 相違点1. テーマの違い
  • メンタリングでは、仕事や人生など、その範囲は広く長期的ですが、コーチングのテーマはプロジェクトの達成など範囲はメンタリングと比べて限定的で短期的です。
• 相違点2. 求められていることの違い　
  • 上記でも書いていますが、メンタリングでは仕事や人生全般の知識に対して、コーチングでは仕事の中の一部分の知識があればよいので、求められていることが違います。
• 類似点1. 1対1の人材育成方法
  • どちらも基本的に1対1です。メンターやコーチは、様々なスキルを駆使して1対1で真剣に取り組みます。
• 類似点2. 対話による気づきを中心とした方法　
  • メンタリングやコーチングでは、対象者の自発性や成長を促すことから、指示や命令ではなく、コミュニケーションをとることによって進めていきます。

メンターの特徴を把握しましょう

メンターの特徴としては、1対1の人生育成方法で、育成する新入社員の仕事だけではなく人生のことまで幅広くカバーします。

そのため、幅広い知識と経験が必要になります。また、仕事上ではコミュニケーションを密に取りながらメンターと新入社員が一緒になって仕事を進めていきます。

メンターを育成するためには、なにより企業の中で、メンターの重要性を理解し、メンターとなる人への配慮を欠かさないことです。

特に、メンターへの配慮がなければメンター制度を導入してもメンターのほうが立ち行かなくなってしまいます。

加えて、メンターの広い知識や経験が必要です。

そのために、メンターの資格を取る、セミナーに行く、自分で勉強するなどしてメンターに関しての知見を深めることが重要です。