
【留職とは】社員の育成方法について目的やメリットを徹底的に解説
皆さんは「留職」という言葉をご存知ですか?これは留学という言葉から派生したもので、社員を海外に派遣して、そこで新しい価値観の形成や目標達成を目的とした行うものです。今回は「留職」という言葉に関して解説していくとともに、それらのメリットについても解説していきたいと思います。
留職を行う目的とその意義を解説
皆さんは留職という言葉を聞いたことはあるでしょうか。近年ではグローバル化や考え方の多様化に伴って、様々な働き方を選択する人がいます。
その中でも近年登場した留職という考え方について、この記事で紹介します。
そもそも留職ってなに?
そもそも留職とは何でしょうか。
人事労務用語辞典によると留職とは、留学をもじった言葉で、企業に所属する人材がグローバル感覚を養うために現在の組織を一旦離れ、一定期間、新興国などの海外で働くことを指します。
特に近年企業の関心を集めているのは、現地NPO法人など社会セクターや公的機関に従業員を派遣し、本業で培ったスキルやノウハウを活かして社会課題の解決に取り組むプログラムです。
また、先進企業が自社のグローバル人材育成や新興市場の開拓に活用する事例も増えていると言えます。
企業が注目している留職プログラム
先ほど述べたように、近年は現地NPO法人や社会セクターなど公的機関に従業員を派遣するプログラムが注目を浴びています。留職プログラムを実施するNPO法人もいくつかあり、企業はそれらに委託してプログラムを実行することも可能です。
基本的に、従業員は数ヶ月の間会社を離れ、そのスキルを活かして留職団体先で勤務をします。その多くがアジア新興国のNPOまたは企業で、貧困、エネルギー、教育、環境、衛生、雇用などの問題に向き合います。
例としては、電機メーカーでITエンジニアとして働いている従業員が、インドの社会的企業にて3ヶ月間業務効率化ソフトウェアの開発に携わることなどがあります。
また、教育関連企業で企画職に従事している人がインドネシアのNPO法人にて6ヶ月間、教員向けの研修の企画や実施を行うことなどもあります。
この他にも様々なプログラムが実施されており、企業や従業員に適したプログラムを見つけることができるでしょう。
人材育成と新興国の新規市場開拓いずれも解決
そもそも留職が注目されている背景として、グローバル化が急激に進む現代社会において、事業の拡大と海外進出は切っても切れない関係にあると言えます。
しかし、国外に進出することは多くの日本企業にとって未知の領域であり、特に情報の少ない新興国などの地域に対しては市場の開拓が非常に難しいという問題があります。
すなわち、現在、企業の多くは新興国の新規市場開拓に課題を抱えていると言えます。
また、日本企業にとってはリーダーの育成が長年に渡り大きな課題であるとされています。リーダーに適した人材の育成が必要なものの、それがなかなか実施されていないという課題も解決する必要があります。
これらの2つの課題を解決するには留職を活用することが可能です。留職を通し、新興国の新規市場開拓のヒントを掴むだけでなく、そこでの経験を通してリーダーシップの育成に繋げることができるためです。
留職の現在の状況と仕組みとは?
それでは実際に、どれほどの企業が留職に取り組んでいるのでしょうか。また、その仕組みやプロセスはどのようなものなのでしょうか。
こちらの章ではそれらについて説明します。
大手企業を中心に導入が進む留職
近年では留職が注目を浴びていると述べましたが、実際、パナソニックやハウス食品など大手企業でも導入が進んでいます。パナソニックはインドネシアで小規模水力発電による農村開発に取り組みました。
また、ハウス食品グループ本社のエンジニアは、農業支援の一環として、現地のグァバを使ったドレッシングやお茶を開発し、商品価値を高めるプログラムを実施しました。
このように、自社のスキルやノウハウを活かして新興国の新規事業領域に踏み出す企業は多くあります。
留職者の対象とはどのような社員が選ばれるの?
現在働いている会社とは別の環境に身を置いて新たな経験をしたい社員や、将来はリーダーとして活躍させたい社員に、留職は適していると言えます。
企業側としても、将来的にビジネスを展開する新興国に関する知識を広げるため、そのような実力のある社員を登用するでしょう。
留職の仕組みとプロセス
それでは留職の仕組みとプロセスについて説明します。
現在ではNPO法人が日本の企業と新興国の間に立ち、調整することが多いです。NPO法人は事前事後のプロセスを含めて社員の成長と現地での活動をサポートします。
大まかな流れを以下に説明します。
- 企画設計(約3ヶ月 日本)
スキルに応じた団体と業務内容の調整を行い、決定します。 - 事前研修(約2ヶ月 日本)
社員に対し、業務内容の理解を促し、成長目標の設定を行います。 - 現地業務(1~6ヶ月 受け入れ先)
課題解決に向けた実践業務を行います。期間は相談して決めます。 - 事後研修(約2ヶ月 日本)
現地での学びを振り返りをし、成果報告会を行います。
留職を行うことで社員が得るメリット
それでは留職を行うことで社員はどのようなメリットを得られるのでしょうか。
様々な価値観が自分のものになる
働いている会社を離れて新興国で新たな経験をすることになるため、様々な価値観に触れることになるでしょう。
現地で学び、考えたことはその後のキャリアの糧になること間違いありません。
目標達成するための強い意志が身に着く
限られた期間で自ら設定した目標を達成しなくてはなりません。未だ誰も踏み込んでいない新興国の会社と共同することで、必ず目標を達成しようという気持ちは強くなります。
そこで目標を達成するだけでなく、様々な場面で出くわす困難に立ち向かうことで、それを乗り越える強い意志が身につきます。
経営者としての視点が身に着く
新興国では自らがリーダー的存在として社員に指示したり、自ら行動したりする必要があります。
今までは経営者としての視点を得られることの少なかった社員であっても、経営者としての視点が身につくと考えられます。
社員が留職することで企業が得るメリット
一方、留職を行うことで企業側が得られるメリットには以下のようなものがあります。
次世代のリーダー、経営者の育成
まずは、次世代のリーダーとして活躍できる社員の育成に繋がります。
発展途上国の抱える様々な問題に立ち向かう力は、日本国内で上司のもとで働いていて得られるものではありません。
臨機応変な対応を求められることから、実践的な課題解決の力を身に付けることができ、現在企業が問題視しているリーダー不足の問題の解決に繋がるでしょう。
社内の活性化が期待できる
留職を通して広い視野を手に入れた人材が企業に戻ることで、現場で働く他の社員にとって大きな刺激をもたらすことができます。
リーダーシップを身につけた社員の言動から、これまで諦めていた多くの課題に再挑戦するきっかけを生み出すと考えられます。
他国文化の理解と融合ができる
日本国内でのみ働くのではなく、新興国で働くことで、多文化を理解し一緒に働くとはどのようなことか、を理解することに繋がるでしょう。
グローバル化の進む現代において、多文化の理解と融合は大きなポイントと言えます。
留職によって発生するデメリット、抱える課題
最後に留職によるデメリットと課題を説明します。
経済的な負担が大きい
まずはじめに、経済的な負担が大きいということが挙げられます。
留職に社員を派遣している間はその社員の担当業務を他の社員に任せることになるだけでなく、エージェントの利用や新興国とのプロジェクト立案に多くの経済的負担がかかるでしょう。
活用できるフィールドを用意できない
ま社員のもつスキルやノウハウを活かすことのできるフィールドを用意することができなければ、社員に満足のいく留職を提供することが難しいでしょう。
そのようなフィールドを設定することが大きな困難となっているとも言えます。
留職先の価値観に染まる
留職を通して海外の価値観に染まってしまった場合、その後会社にフィードバックを得られない可能性があります。
会社が金額を負担してフィードバックを得られなければ大きな損となってしまいますので、そのようなことのないようにしなくてはなりません。
まとめ
以上、留職について説明しました。
近年注目を浴びている留職について、ご理解いただけたでしょうか。興味のある方はさらに詳しく調べてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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