
【休業手当の計算方法】休業の種類や色々な場合での計算方法についてご紹介
休業手当は企業側の都合で休業を余儀なくされる労働者に対して支給される手当であり、賃金と同じ扱いを受けます。この記事では休業手当の概要を説明したうえで、休業手当の支給額の具体的な計算方法についても解説します。ぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
休業手当と計算
業績悪化などの理由で労働者を休業させる場合は、企業は労働者に対して休業手当を支給することが必要になります。ここでは、休業手当の概要と支給額の計算方法を説明します。
休業手当とは
休業手当とは、使用者に責任がある事由で、労働者を休業させる際に支払われる手当のことです。休業手当の支払いについては労働基準法第26条で定められており、支払義務のある使用者は必ず休業手当を労働者に支払わなければなりません。
使用者に責任がある事由とは、受注減による減産体制で労働者を休業させる場合などが該当します。
本来であれば労働者は仕事を休むと賃金が支給されませんが、休業手当の制度があることで、労働者は操業停止などで仕事を休んだ時でも、賃金を受け取ることができるようになります。
休業手当とよく似ているものに休業補償がありますが、休業補償は労災保険の制度であり、休業手当とは全く異なるものです。
休業手当の計算方法
休業手当は本来受け取ることができる賃金の総額が支給されるのではなく、支給額は平均賃金の60%以上の金額になります。企業は60%以上になるように支給率を定め、それを就業規則に明記することが必要です。
平均賃金とは直近3ヶ月の賃金の総額を暦日で割ることで算定し、その金額に支給率を掛けた金額が休業手当の金額になります。
平均賃金が8,500円で、支給率が70%の場合だと、次の計算式で算定された金額が休業手当の支給額になります。
8,500円 × 70% = 5,950円
法律で決められている休業の種類など
休業手当が支給されるのは、使用者に責任がある事由で労働者を休業させる場合ですが、休業にはいろいろな種類があります。
ここでは、法律で定められている休業の種類について解説します。また、休業手当と休業補償の違いについても言及します。
法律で決められている休業の種類
会社の休みは休日と休暇があります。休日とは労働者に労働の義務が課せられていない日のことで、あらかじめ決められています。土日祝日や年末年始を休日にする会社が多いですが、シフト制の勤務体系だとシフトを決める際に出勤日と休日が決められます。
休暇とは、本来は出勤して労働に従事しなければいけない日に、何らかの理由で労働が免除される休みのことをいいます。年次有給休暇や育児休業、介護休業、看護休暇などが休暇に該当し、休業手当の休業も休暇としての扱いを受けます。
休業手当と休業補償の違いと計算
休業手当とよく似たものに休業補償があります。休業補償とは、業務中や通勤途中の病気やケガが原因で仕事を休業する際に、国から受けられる補償のことです。
休業手当の支払いは企業が行いますが、休業補償の支払いは国が行います。休業手当は賃金に含まれますが、休業補償は賃金ではない点が両者の違いになります。
休業補償は平均賃金の80%であり、ケガや病気が治癒するまで支払われます。ただし、支給期間は最長1年6ヶ月であり、1年6ヶ月を経過しても治癒しなかった場合は、傷病補償年金に切り替わります。
平均賃金が8,000円で休業期間が30日だった場合の休業補償の金額は、次の計算式で算定した金額になります。
8,000円 × 80% × 30日 = 192,000円
内定者や派遣社員の休業手当の計算
休業手当は正社員だけでなく、採用内定者や派遣社員も受け取ることができるのでしょうか。ここでは、採用内定者と派遣社員の休業手当について説明します。
採用内定者の休業手当と計算
企業が業績悪化で採用内定者に自宅待機を命じた場合、採用内定者が既に企業側と労働契約を締結していれば、まだ全く働いていない採用内定者にも休業手当が支給されます。
採用内定者に支給される休業手当の計算は、採用内定者が受け取る見込みの平均賃金に企業側が定めた60%以上の支給率を乗じた金額になります。
平均賃金が8,000円で、企業側が定めた支給率が60%の場合だと、採用内定者の休業手当は次の計算式で算定された金額になります。
8,000円 × 60% = 4,800円
派遣社員の休業手当と計算
派遣社員の給料は時給制ですが、時給制の派遣社員であっても、企業側の都合で休業を余儀なくされる場合には休業手当は支給されます。
ただし、派遣社員が雇用契約を締結しているのは派遣会社ですので、休業手当は派遣先の企業ではなく、派遣会社から受け取ることになります。
休業手当の計算方法は通常の場合と同じで、派遣社員の平均賃金が9,000円で、企業側が定めた支給率が60%の場合だと、派遣社員の休業手当は次の計算式で算定された金額になります。
9,000円 × 60% = 5,400円
休業手当の計算方法
休業手当の計算方法は、直近3ヶ月間の平均賃金に、企業側が定めた60%以上の支給率を乗じることで計算できますが、ここでは、2ヶ月にわたる休業手当の計算方法と、時給制と日給制の休業手当の計算方法を解説します。
2ヶ月にわたる休業手当の計算
休業の期間が2ヶ月に及んでしまった場合でも、平均賃金の算定では直近の3ヶ月間の賃金が対象になります。
休業期間が10月と11月の2ヶ月間に及んだ場合には、10月分の休業手当を計算する時の平均賃金は直近3ヶ月の7~9月分が対象になり、11月分は8~10月分が対象になります。
時給制と日給制の休業手当の計算
給与の算定方法が時給制の労働者における休業手当の計算では、直近3ヶ月間の賃金総額をその期間の労働日数で割った金額が平均賃金に該当します。その平均賃金に企業側が定めた60%以上の支給率を乗じた金額が時給制の休業手当の金額です。
日給制の休業手当は先に説明したように、直近3ヶ月間の賃金の総額を暦日で割ることで平均賃金が算定されますので、その平均賃金に企業側が定めた60%以上の支給率を乗じた金額が日給制の休業手当の金額になります。
まとめ
休業手当は企業側の都合で休業を余儀なくされる労働者に支給される手当(賃金)であり、労働契約を締結している採用内定者や派遣社員にも支給されます。
時給制で働いている労働者も日給制で働いている労働者も休業手当の計算方法は同じで、平均賃金に企業側が定めた60%以上の支給率を乗じたものが休業手当の金額になります。
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