
【トライアル雇用の問題点とは】メリット、デメリットは?
皆さんはトライアル雇用という制度をご存知でしょうか?言葉は聞いた事あるけど意味まではよく分からないという方も少なくないと思います。そこで今回はトライアル雇用とはどういった制度なのかという説明から、メリット/デメリットについてなどご紹介していきますので是非参考にしてみてはいかがでしょうか?
そもそもトライアル雇用とはどういった制度か?
トライアル雇用制度とは、企業と求職者のミスマッチを防ぐために生まれた、厚生労働省が運営する制度です。職業経験が不足している等の理由で就職が困難な求職者が、企業との適性や理解を深めるために、トライアル雇用として短期間(3ヵ月間)企業で働くことができます。
企業側も求職者の能力や適性を見ることができ、企業側と求職者側がお互い適性を判断した後、両者が合意すれば本採用が決まります。入社後のミスマッチを防ぐのに有効といえるでしょう。
試用期間中は企業側に対し助成金(奨励金)が支給されます。企業側にも求職者側にもメリットの大きい制度です。
トライアル雇用制度の概要について
トライアル雇用制度の目的は、就業経験の不足・就業の長期間ブランクなどの理由で、就職が厳しいと感じる方への就業支援です。
3ヶ月の試行期間を与えることで、企業と求職者に適正や能力を見極める機会を与えます。結果、双方が合意すれば正規雇用として採用されることも可能です。
トライアル雇用制度は、厚生労働省の一定の要件をクリアした対象者が利用できます。要件は以下を確認してください。
① 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
② 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている※1
③ 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業※2に就いていない期間が1年を超えている
④ 生年月日が1968年(昭和43年)4月2日以降の者で、ハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている
⑤ 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する※3
※1 パート・アルバイトなどを含め、一切の就労をしていないこと
※2 期間の定めのない労働契約を締結し、1週間の所定労働時間が通常の労働者の所定労働時間と同等であること
※3 生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者、ウクライナ避難民、補完的保護対象者(出入国管理及び難民認定法第61条の2第2項に規定する補完的保護対象者の認定を受けている者)
トライアル雇用制度の対象にならない人
次の項目に該当する場合、トライアル雇用の対象者にはなりません。
①安定した職業に就いている人
②自ら事業を営んでいる人または役員に就いている人で、1週間当たりの実働時間が30時間以上の人
③学校に在籍中で卒業していない人(卒業年度の1月1日以降も卒業後の就職の内定がない人は対象となります)
④他の事業所でトライアル雇用期間中の人
トライアル雇用制度利用の手続きについて
まず、トライアル雇用に挑戦するには、ハローワーク等(※)の職業紹介を受けて、「トライアル雇用求人」に応募する必要があります。
ハローワークインターネットサービスを使えば、パソコンやスマホからハローワークの「トライアル雇用求人」を簡単に探すことができます。
トライアル雇用と試用期間の違い
トライアル雇用と混同されやすい言葉に「試用期間」があります。
2つの意味の違いについて見ていきましょう。
対象者が違う
トライアル雇用制度は、厚生労働省が運営する制度です。職業経験が不足していたり、ブランクがあったりなどの理由で就職が困難な人が、トライアル雇用を経て、無期雇用に移行することを支援する制度です。
トライアル雇用制度は、ハローワークの紹介を介して行われることがメインです。また、すべての人がトライアル雇用制度の利用対象者ではなく、条件を満たしている人のみが利用できる制度です。トライアル期間後は、企業と求職者の双方の同意がある場合、無期雇用に移行することができます。
一方で、試用期間は、採用を前提として行われる雇用の際、企業が設けるトライアル期間です。よほどの大きな理由がなければ、試用期間が終了した後も採用が継続されることが特徴です。
試用期間が異なる
トライアル雇用期間は、原則3ヶ月と厚生労働省によって定められています。3か月間の間に、企業と求職者は適性を見極める必要があります。
一方で、試用期間は国によって期間が定められているのではありません。1カ月という企業もあれば、中には1年間を試用期間としている企業もあり、企業によって期間が異なるのが特徴といえます。
トライアル雇用制度は、企業に助成金が出る
トライアル雇用制度は厚生労働省が管理している制度です。制度を取り入れた企業のうち、条件を満たした場合は、国から助成金を受け取れます。
一方で、試用期間は企業が本採用の可否を決める制度であり、導入をしたとしても国から助成金を受け取ることはできません。
トライアル雇用制度のメリット
トライアル雇用制度にメリットとデメリットがあります。
まずはメリットから見ていきましょう。
求職者側から見たトライアル雇用制度のメリット
求職者側の最大のメリットは、就業してみなければ分からない職場環境・雰囲気・風土・業務内容が、実際にトライアルできることです。
常用雇用に移行されたとき、正規雇用従業員としての毎日のイメージを体験できます。就職・転職後に「こんなはずではなかった」「最初の話と違う」というミスマッチを防げます。業務内容を深く理解して、納得して就業することが可能です。
雇用者側から見たトライアル雇用制度のメリット
トライアル雇用制度は、雇用者側にもメリットがあります。最大のメリットは、トライアル採用中に就業者の適正や能力を見極めることができる点です。その上で確実な正規雇用を行うことができます。
本採用後のミスマッチが減少することは、人事担当・配属部門の労力面・コスト面で大きなメリットになります。
トライアル後の常用雇用は義務ではないので、期間が満了すれば自社意向の契約解除も比較的容易な制度です。
加えて、トライアル雇用制度は要件を満たせば助成金(奨励金)が支給されます。採用コストを抑制し、人材採用や人材育成を充実させることが可能になるようです。
トライアル雇用制度の問題点やデメリット
トライアル雇用制度の問題点はどのようなことがあるのでしょうか?
これから雇用者側と求職者側それぞれの観点で問題点を紹介していきます。
求職者側から見たトライアル雇用制度の問題点やデメリット
デメリットは、トライアル雇用から常用雇用への移行は確約されていない点です。不採用となれば3カ月で解雇という職歴が残ります。
トライアル雇用の職歴が残った場合、就職活動の際に企業側に理由を聞かれる可能性が高いです。なぜトライアル雇用が本採用にならなかったのかを、納得できる説明を考える必要があります。
また、トライアル雇用制度で採用中は、複数の企業に応募することはできません。企業の選択を慎重に行う必要があります。
トライアル雇用制度で自分自身を試して就業する方にはメリットがありますが、今すぐに正規雇用従業員・常用雇用を求める方には、通常応募が効率性は高いと言えるでしょう。
雇用者側から見たトライアル雇用制度の問題点やデメリット
トライアル雇用制度をする際、企業側は申請手続き・計画書・終了報告書などの事務手続きが必要になります。それぞれのフェーズで規定のフォーマット用紙を提出する必要があり、少々手間かもしれません。
トライアル雇用制度で雇用した就業者が多いと人事担当者や採用担当者の事務処理が大変になるといえるでしょう。
また、企業はトライアル雇用求人で未経験人材の応募も多く、教育や育成・指導が長期になる可能性があります。その育成体制を整えて対応していくことが必要になるようです。
本当にトライアル雇用から正社員に採用されるの?
トライアル雇用から正規雇用従業員に常用雇用されるのでしょうか?
未経験者でも採用可能なトライアル雇用制度ですが、常用雇用の割合が低いと制度を導入したことが良い政策ではありません。
トライアル雇用から正社員に採用される確率について
2018年に更新されている厚生労働省のレポートによると、平成29年にトライアル雇用をした人のうち、常用雇用へ移行した人は74.4%、移行しなかった人は25.6%でした。
さらに、常用雇用へ移行しなかった人のうち、「自己都合」で退職した人が、半分以上の56.7%の割合を占めることが分かりました。
このことからわかるのは、求職者側の理由で常用雇用を断る人が多いということです。企業側の求める移行要件を満たしていれば、企業側から採用を断られることは低いといえます。
参照:トライアル雇用助成金事業
まとめ
本来のトライアル雇用制度の目的は、企業と労働者(労使)相互の理解を深め、その後の常用雇用への移行や雇用機会作りを支援することです。
求職者は就業先への体験入社・技術の習得ができます。
企業は常用雇用する社員を見極めることができます。
労使ともにメリットがあります。応募する前にハローワーク相談員に十分に確認してから行動しましょう。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。
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