
【キャリアラダーとキャリアパスの違い】ビジネス用語の使い分け
人材不足が社会問題となっている現代において、人材教育は最も重要な課題の一つです。それには様々な考え方がありますが、今回は「キャリアラダー」と「キャリアパス」の違いについて解説していきます。用語の意味や必要性、実践例など詳しく見ていきますので、参考にして頂ければ幸いです。
キャリアラダーについて
あらゆる人材教育方法が提唱される中、「キャリアラダー」制度を導入することで、従業員の能力開発を目指す業界があります。
今回は、「キャリアラダー」という制度について、「キャリアパス」と比較しながら、その導入例などもご紹介します。
キャリアラダーとは?
「キャリアラダー」とは、英語の「career(経歴)」と「ladder(ハシゴ)」を組み合わせた言葉です。
ビジネス用語としては、「キャリアアップのためのスキル・能力開発をするプラン」を意味しています。
人材教育として導入する業界も多く、職務内容や難易度を細分化し、段階を踏んでキャリアアップできるように設定された仕組みです。
キャリアラダーの特徴は?
「キャリアラダー」の特徴は、職務における能力レベルだけではなく、管理職におけるキャリア開発能力や組織としての目標達成能力を定義し多角的な設定が可能になります。
また、人事評価制度と連携させることで、評価基準と目標設定を公正で明確にできるという特徴をもっています。
キャリアラダー制度の導入方法は?
実際に「キャリアラダー」制度を導入するためには、段階的な方法が求められます。
- キャリアの階層化
- 評価システムの設定
- キャリア研修の導入
- 目標管理制度
1.キャリアの階層化
まず「キャリアラダー」の軸となる階層を設定していきます。それぞれの階層のレベル感をバランスよく設定する必要があります。
2.評価システムの設定
「キャリアラダー」を進むための、各階層での評価基準の設定も公正に共有しなければなりません。
3.キャリア研修の導入
細分化された階層を上がっていくための、能力開発の研修の導入、そして経験のある教育指導者を確保します。
4.目標管理制度の導入
社員の能力開発意欲の向上と人材管理のためにも、「キャリアラダー」と併せて個人が目標設定や自己管理ができるシステムを導入することで、相乗効果が期待できます。
キャリアパスについて
ここでは、「キャリアラダー」と同じような場面で多用される「キャリアパス」という言葉の意味について確認してみましょう。
キャリアパスの意味は?
「キャリアパス」とは、企業や組織において、どのような経験を積み、目指す職位に到達するのかを示したルートのことを意味します。
新卒社員からのスタート、中途採用からのスタート、それぞれがどのようなルートを辿って目標とするポジションに到達できるのかを企業側が明確にその道筋を提示するということです。
キャリアパスの必要性について
働き改革が推進され、雇用形態が多様化する中で、企業側は優秀な人材を確保・育成する環境を整備することが求められています。
その中で従業員それぞれがどのような「キャリアパス」があるのかを明確に理解できるようにすることで、意欲をもって業務に取り組むこともでき、企業としても優秀な人材の流出を回避することが可能になります。
キャリアパスの作成方法について
「キャリアパス」は、自身のキャリアプランを明確化するため作成するのも効果的です。「キャリアパス」を作成するためには、次の点を明確化することが必要になります。
- キャリアの目標
- 自分の業務適性
- 自分の市場価値
まずは、どのような働き方がしたいのか、自分自身の目標をまず明確にすることから始めます。
どのような業務が自分に「合っている(適性がある)」のか、日頃の業務の達成度・やりがいを参考に判断し、現状の経験値・スキルで転職した場合の市場価値を転職サイトなどの情報を参考に算出します。
この作業をすることで、自分の現状と目標を明確にし、キャリアパスを作成することができます。
キャリアラダーとキャリアパスの違いとメリットについて
ここでは、「キャリアラダー」と「キャリアパス」の相違点とそれぞれのメリットについて確認してみましょう。
キャリアラダーとキャリアパスの違いは?
「キャリアラダー」とよく似たビジネス用語に「キャリアパス」という言葉があります。
「キャリアパス」は企業内での職務や職責にどのような経験を積み、どのようなルートでキャリアアップしていくかを示した道筋を指しています。
双方とも、キャリアアップのためのものである点では同じですが、「キャリアパス」は職種そのものも変更していく一方、「キャリアラダー」は特定の職種を専門職としてその技能を高めていくために設定されるもの、という点で異なります。
キャリアラダーのメリットについて
「キャリアラダー」のメリットは、その企業におけるキャリア形成が組織としてどのような段階で設定されているかが明確になるということにあります。人事評価制度の基準としても公正なものとして活用することができます。
また、キャリア階層が明確になることで、従業員は自身の能力開発の目標設定がしやすくなり、意欲を高めることが可能になるというのも、大きなメリットです。
キャリアパスのメリットについて
「キャリアパス」を示すことで、従業員側は自分が希望するキャリアと合致しているかを公正に判断することができ、また明確な目標を立てることが可能になります。
企業側にとっても、人事評価システムと連携させることで、経営目標達成のためにどのレベルの人材を確保する必要があるのかが把握しやすくなり、人的資源を確保・維持する上で有効に活用することができます。
キャリアラダーと看護師の例について
ここでは、看護師に導入されている「キャリアラダー」について確認してみましょう。
看護師へのキャリアラダーの導入例は?
看護の中でも介護職では、日本介護協会で「クリニカルラダー」と呼ばれる定義があり、各病院でそれをベースにそれぞれの「キャリアラダー」を設定しています。
日本看護協会では、4つの項目(「ニーズを捉える力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」)と5段階のレベルの「キャリアラダー」があります。
看護師とキャリアラダーシステムの例は?
日本看護協会が設定した「キャリアラダー」をベースに、病院それぞれの「キャリアラダー」を定めているケースがほとんどです。
実務経験歴・活動範囲に応じて5段階のラダーを設定し、それぞれ「看護実践能力」「役割遂行能力」「教育・研究能力」の3つのカテゴリーに分け、レベルごとの到達目標が明文化されています。
エンジニアとキャリアパスの例について
エンジニアにはどのような「キャリアパス」があるのでしょうか。ここでは、エンジニアの「キャリアパス」についてご紹介します。
エンジニアのキャリアパスとその多様化とは?
業界の変革が著しいIT業界では、そのIT業界も多様化しています。
現在では、プロジェクトマネージャーからITコンサルタント・ITアーキテクト・ITスペシャリストといった特定の技術をもつ、スペシャリストが求められるようになりました。
以前までのエンジニアのキャリアパスは?
エンジニアのキャリアパスといえば、
プログラマー
→システムエンジニア
→プロジェクトリーダー
→プロジェクトマネージャー
という道筋が一般的と認識されていました。
プログラマーとしてキャリアを積みながらステップを進んでいくというのが以前までのエンジニアのキャリアパスでした。
キャリアパスの専門分野ごとの年収はどのくらい?
エンジニアのそれぞれのキャリアパスにおける年収は次のような範囲とされています。
- プログラマー/ システムエンジニア:約460万円
- ITコンサルタント:約620万円
やはり専門知識を必要とするステップになると年収も高額になることがわかります。
まとめ
働き方改革が進み、これからはいかに自分のキャリアに対して能動的に動けるか、高い意識をもっているかが重要になると考えられます。
自分のキャリアパスを明確にし、キャリアラダー制度を活用しながら、社会における存在価値を向上させることが、大きな貢献になるでしょう。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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