
【社会保険と雇用保険の違いについて】加入手続きや金額についてなどご紹介
皆さんは社会保険と雇用保険の違いはご存知でしょうか。従業員の場合だと、自ら手続きを行うことは少ないので、あまり意識はしないかもしれませんが、保険にも目的別で様々な種類があるのです。今回はそれぞれの保険の内容と、保険料の計算方法などご紹介していきますのでぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか?
社会保険と雇用保険の違いを解説
まず、社会保険と雇用保険の違いを解説していきます。
それぞれの保険の内容と、保険料の計算方法なども異なってきますので、そのあたりを確認していきましょう。
社会保険とは?
社会保険とは、国が運営する社会保障制度の1つであり、病気、高齢化、介護、失業、労働災害などのリスクに備える保険のことです。
細かく分けると健康保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つに分類することが出来ます。
このうち、健康保険、年金保険、介護保険については全国民が強制加入となります。
雇用保険とは?
雇用保険とは、社会保険の1つですが、強制加入ではありません。
労働者が加入する保険のことで、労災保険と合わせて「労働保険」と呼ばれています。
雇用保険の適用事業に雇用される労働者は、原則として、その意志にかかわらず被保険者となります。
労働者出なければ強制加入では無いですが、労働者として雇用されると自動的に被保険者になるということです。
雇用保険と社会保険の計算方法
雇用保険料の計算方法は以下の計算式になります。
給与額(賞与額)×雇用保険料率
雇用保険料率は事業によって変わり、毎年失業保険の受給者や積立金の残高に合わせて料率が見直されています。
具体的な料率は厚生労働省のホームページで確認が出来ます。
社会保険料、ここでは代表的な健康保険料や厚生年金保険料の計算方法を紹介します。
- 健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率
- 厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率
これらの保険料率も職種や家族によって変わってきますので、ご自身の料率を知りたい場合は、日本年金機構のホームページ等で確認しましょう。
社会保険と雇用保険の加入手続きについて
次に社会保険の加入条件と手続き方法、雇用保険の加入条件と手続き方法について、それぞれ確認していきましょう。
加入が遅れてしまった場合の対処法も合わせて紹介します。
社会保険の加入条件と加入手続き方法
社会保険は国の社会保障制度の一環であるため、条件にあてはまる事業所とその従業員は、当人の意思に関わらず加入する義務があります。
事業所の加入条件
- 従業員が1人以上いる法人事業所
- 従業員が常時5人以上いる、法定16業種の個人事業所
- 従業員が5人未満の個人事業所
- 法定16業種以外の個人事業所
従業員としての加入条件は下記の通りです。
- 適用事業所に使用されている従業員(健康保険は75歳未満、厚生年金保険は70歳未満)
- 1週あたりの所定労働時間と1ヶ月あたりの所定労働日数が、一般社員の4分の3以上の従業員
- 上記に加え、以下のすべての条件に該当する従業員
- 所定労働時間が週20時間を超えている
- 月給が8万8000円(年収106万円)以上である
- 1年以上継続して適用事務所に勤務している(もしくは勤務する見込みがある)
- 学生でない
- 社会保険の対象となる従業員規模が501人以上の事業所に勤務
事業所としての加入手続きは以下の通りです。
- 提出期限…加入条件の発生から5日以内(強制加入の場合)
- 提出物…「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」
- 提出先…事業所の実際の所在地を管轄する年金事務所、または都道府県ごとの事務センター
- 提出方法…郵送、持参、電子申請など
雇用保険の加入条件と加入手続き方法
雇用保険の加入条件は以下の通りです。
- 勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること
- 1週間あたり20時間以上働いていること
- 学生ではないこと
手続きについては、事業所設置の翌々日から10日以内に、管轄のハローワークへ「雇用保険適用事業所設置届」及び「保険関係成立届」を提出する必要があります。
(同時に、従業員数分の「雇用保険被保険者資格取得届」も提出します。)
社会保険と雇用保険の加入が遅れた場合の対処法
どちらの保険も加入の期日がありますが、遅れてしまった場合はその時点で加入窓口に相談し、対応するようにしましょう。
基本的には少したくらいであれば、そこまで大きな問題になることはなさそうです。
社会保険と雇用保険と厚生年金の金額について
次に、社会保険と雇用保険の金額を確認していきましょう。上記2つの保険と併せて、厚生年金の保険料も加えて紹介します。
また、これらの保険がセット加入になるのかどうかについても確認していきます。
社会保険と雇用保険はいくら?
社会保険料(健康保険料)は会社によっても異なりますが、およそ5%程です。
厚生年金はおよそ9%になっています。雇用保険は0.3%程で、他よりは安くなっています。
合計すると、14.3%程が毎月給料から引かれています。
雇用保険と社会保険はセット加入になる?
一般的には社会保険に加入した場合は雇用保険も加入しますので、「セットで加入」ということになることが多いと言えます。
社会保険と厚生年金のセット加入になる?
通常ほとんどの人は厚生年金と健康保険とがセット加入となります。
加入条件が両方とも同じであるため、片方に加入すればもう一方にもセットで加入するのが通常です。
パートは雇用保険に入ったほうがいいの?
パートで働く人は、雇用保険に加入する方が良いのでしょうか。
給料から天引きする金額が増えると辛いですが、メリットもあるのでしょうか。そのあたり詳しく確認していきましょう。
雇用保険に入ると扶養は外れる?
雇用保険は扶養控除とは全く別の制度です。
その為、雇用保険への加入の有無で扶養から外れるなどの問題が生じることはありません。
扶養範囲内の103万円と雇用保険の関係
雇用保険を旦那さんなどの扶養家族となって控除を受けられる、いわゆる"103万円の壁"と混同している人を見かけますが、雇用保険は扶養控除とは全く別の制度です。
年収103万円を超えると、所得税がかかってきます。
その為、パート労働の人は年収103万円を超えないようにシフトを調整したりしますが、雇用保険とは関係ありません。
パートで雇用保険に入るメリット
雇用保険に加入する最も大きなメリットとしては、例えパートであっても雇用保険に入っていれば、失業保険が給付されるという点です。
もうひとつのメリットとして、育児休業給付金が貰えるという点があります。
条件はありますが、これから子供を授かる予定がある人には大きなメリットと言えるでしょう。
社会保険と労働保険の適用について
最後に、社会保険と労働保険の違いについて確認していきます。
それぞれの違いや、社会保険と労働保険の加入手続き、労働保険料の計算方法についても紹介します。
社会保険と労働保険の違いとは
まず、社会保険というのは病気やケガ、一定の年齢など誰もが起こり得ることに対する生活の保障が目的で存在しています。
一方で労働保険とは、雇用保険や労災保険のように、再度働くための一時的な休業のために生活を保障するという性質のもので、社会保険とは内容が異なります。
社会保険と労働保険の加入手続き
社会保険の従業員個人の加入条件については以下の通りです。
- 雇用の見込みが2ヶ月以上ある
- 労働時間が正社員の4分の3以上ある
労働保険の加入条件は以下の通りになります。
- 所定労働時間(休憩時間を除く労働時間)が1週間で20時間以上
- 雇用見込みが31日以上ある
労働保険料の計算方法
労働保険料は、労働者に支払う賃金の総額に労働保険料率(労災保険率+雇用保険率)を乗じて得た額となります。
それぞれの保険料率は厚生労働省のホームページで確認出来ます。
まとめ
以上、社会保険や雇用保険について紹介させて頂きました。
従業員の場合だと、自ら手続きを行うことは少ないので、あまり意識はしないかもしれませんが、保険にも目的別で様々な種類があることを認識して頂ければと思います。
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