
【就活生必見】コンビニの業界研究|事業構造・将来性・働き方など徹底解説
コンビニ業界はこの記事ではコンビニ業界の業界研究を有価証券報告書やシンクタンクのレポートをもとに、詳しくわかりやすく説明しております。この記事を読めば、コンビニ業界の業界研究は完了するでしょう。ぜひ最後まで読んで、コンビニ業界の就活に挑みましょう。
「いい気分…」は、昔の話?コンビニ業界
この章ではコンビニ業界の以下の内容について解説していきます。
- 業界構造
- 将来性
- 業界分類
- 最新トレンド
みなさんが小学生のころ2011年まで使われていたキャッチフレーズ「セブンイレブンいい気分」は、耳が覚えてしまうほど、CMが流されていました。
近所の酒屋さんがある日を境に、コンビニになるという現象が各地で起きました。
それまで、くわえタバコでビールを運んでいたおじさんが、派手な色の服を着てぎこちないレジを打つ光景は、新しい時代の幕開けでした。
その後コンビニ業界は、急成長を遂げ、単なる商店ではなく、時代に合わせ日常生活になくてはならない存在から、日常生活そのものに変移していきました。
コンビニ業界の構造
コンビニ業界は、フランチャイズ制度を背景に、店を出せばロイヤリティというマネジメント料が入るため、大量出店によるスケールメリットで収益を出していくというフィービジネスモデルを確立していきました。
日本の人口減少社会では、購買能力のある世代も、働き手世代も劇的な増加が見込めません。そのため、都市部を中心に外国人のアルバイトがほとんどで、最近では、地方都市までアジアからの外国人がレジを打っています。
彼らは、慣れない環境の中、言葉や文化の差に戸惑いながらも懸命に働いていますが、一部の日本人学生アルバイトによる「バイトテロ」が社会問題となりました。
また、休業や時短営業をめぐるフランチャイズ加盟店と本部との確執から発生した契約騒動など「事件は現場で起きている」お仕事といえます。身近な存在だけに良くも悪くも人々の注目が集まる業界なのです。
もはや名実ともに「社会インフラ」
日本フランチャイズチェーン協会のまとめた「コンビニエンスストア統計調査月報2021年3月」によると、協会加盟7社の管理するコンビニ店舗数は、全国55,828店で、この数字は、全国の幼稚園から大学までの各種学校の合計数に匹敵するほどです。
コンビニ業界1年前との比較
(日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計調査月報2021年3月」より筆者まとめ)
比較するために、いくつか例をあげますと、全国の郵便局数でも24,395局(平成30年度総務省情報通信白書)、全国のバス路線数が約25,000路線であることから、それらを上回るコンビニ業界は、「社会のインフラ」と言っても過言ではありません。
それは、店舗数だけではなく、災害発生時の帰宅困難者の受け入れ場所という簡易なライフラインとしてだけでなく、深夜営業していることから、女性の一人歩きも安心という防犯面での役割も担っています。
そのため、不動産賃貸契約の場面では、「最寄り駅からの距離」と肩を並べ、「近くにコンビニがある物件」かどうかで成約率に差が出る顧客の賃貸物件契約判断基準の一つになっているほどです。
国内で年間のべ159億人がコンビニを利用
ここに興味深いデータがあります。先に紹介した日本フランチャイズチェーン協会発表のデータによると2020年1月から12月まで1年間の総コンビニ来店客数(国内店舗)は、のべ159億人となっています。
通勤通学の途中に立ち寄る客や、昼食を購入する社会人のほか、自宅近くにコンビニがある人などは、冷蔵庫がわりにしている人も多いです。
世界の人口が78億人ですから、その2倍以上の人が国内でコンビニを利用したことになります。
客単価と「スピードくじ」の関係
レストランなどのサービス業では、決められた営業時間内に多くの売り上げをあげるために、重要な指標が二つあります。
「回転率」ともう一つは、「客単価」です。回転率とは、来店客のオーダーを手早く処理し、早く帰ってもらうことで、そうすることで次の来店客を早く迎え、その繰り返しで一日の受け入れ客数の増加に寄与できます。
コンビニ業界では、長居をする客はいませんし、長居をされても売り上げに影響はありませんが、「客単価」は、売り上げに直結します。コンビニ業界の客単価は、およそ640円が平均となっています。
客単価を100円上げるためには、並大抵の努力ではクリアできません。10,000円の商品を用意して100人の来店客のなかで1人買えば、初めてクリアできるものです。
ほかには、荒業として全商品一律100円値上げをすることでもクリアできます。
いずれの場合も、顧客からの反応は良くなりません。なかなか超えられない客単価700円の壁の救世主が「スビートくじ」です。
主要なコンビニでは、700円以上のお買い物に1枚のくじを配布しています。
レジで600円の客が買いやすいように100円程度のお菓子を置いている店もあります。
コンビニ業界の客単価は永遠の課題であり、店舗ごとに競わせ優績な店舗を表彰するコンビニもあります。
くじの商品は、メーカーの販売在庫、新商品切り替えなどの理由で無料同然で提供を受けたものか、くじへの印刷やコンビニのサイト、アプリで告知されますので、広告代金を物納するようなものですので、本部もメーカーも懐はほとんど痛くありません。
構図は本部と加盟店|フランチャイズの仕組み
コンビニ業界を語るうえで本部と加盟店というフランチャイズ契約という実態は理解しておく必要があります。
まず本部は、商品や設備、看板(コンビニの名称)を使って商売をすることを許可し、地区の担当者が指導をしていきます。
その見返りとして、売上総利益の30~60%をロイヤリティとして本部が受け取ります。
ロイヤリティに幅があるのは、開店時に本部が土地建物を用意したかなどの理由で変動します。
フランチャイズの仕組み
例えば、自宅で酒屋を経営していた店舗を廃業し、コンビニに切り替えた場合、土地建物をオーナーが用意できますので、コンビニ本部が徴収するロイヤリティは低率となります。
ロイヤリティが差し引かれた残りがオーナーのものとなりますが、そこから電気代やバイト賃金などを支払いますので、総売上のうち10%でも手元に残れば、それまでの酒屋をやっているときより潤いのある暮らしがおくれると思います。
そのため、本部は売上アップに貢献できる商品や、ツール、省力化につながる機器の導入をすすめ加盟店をサポートします。
この他、店舗にはコンビニ社員が店員を務める直営店もあります、ここでは、試作や調査検証、マーケティングを行うなどデータ収集が主な目的となります。
納入業者とのリレーション
コンビニに自社商品を置いてもらいたいと考えるメーカーの経営者も多いはずです。
その多くが食品関係で、すでに販売している商品は基本的には受け入れてもらえません。
コンビニが新商品を考えているとき、コンビニと納入業者どちらが先にアプローチをするかによって力関係が大きく変わってきます。
納入業者が売り込みたいとき、商談会などに参加してアピールをしても実現できる可能性はかなり低いのが現状です。
その原因は、コンビニは、店舗数が多いことがあげられます。コンビニとしては、売り切れは、販売機会の逸失としてとらえて「欠品」が続く納入業者との取引はすぐに停止されます。
それを恐れる納入業者は、売れるか売れないか未知数なのに、販売エリア全店当面の在庫を抱えておく必要があるのです。
しかも、コンビニに売り渡す売価は、通常の販売先よりもはるかに安価であるため、薄利多売を強いられ、商品自体の値崩れが起きる可能性があります。
後段で説明しますが、このように行き過ぎた納入業者への圧力は、公正取引委員会から指導や勧告を受け、対外公表されるため、ブランドイメージに傷がつきます。
反対に、コンビニ側からアプローチをした場合は、条件面などで納入業者側がアドバンテージをとれるため交渉が優位になります。
主な例としては、人気ラーメン店の味をインスタントで再現したものをプライベートブランドで販売するケースなどが該当します。
同じ300円で店頭販売する商品でも、納入業者が持ち込んだ商品は、90円でコンビニが仕入れるが、コンビニがアプローチした場合は、120円で仕入れるなども珍しくはありません。
市場規模・将来性
急成長業種の限界突破策は、異業種参入と合併・企業買収に活路を見出しています。
銀行等の異業種に参入
セブンイレブンは、持株会社の中で自前の銀行業に参入しました。ローソンも銀行を持ちます。
本家の銀行業自体は、マイナス金利下で収益基盤が脆弱となっているため新たな設備投資、システム投資には慎重に対応しています。
そのため業界としての成長は見込めない状況のうちにコンビニ業界が参入を果たしたものです。
銀行業の魅力は、顧客の入出金を管理できるため、永続的な取引が見込まれるものです。
さらにカードローンや住宅ローンなどの利息収入が、黙っていても毎月入るのは効率的な業務運営のノウハウが詰まったコンビニ業界の得意分野といえます。
生き残りをかけた業界再編は加速する
大手コンビニが台頭するなかで、広島市に本社を置く中堅コンビニのポプラは、経営戦略を大きく見直しました。
2020年にポプラは、すでに資本・業務提携をしているローソンと契約し、ポプラの店舗を、「ローソン」もしくは、「ローソンポプラ」に切り替えると発表しました。
このため、東京だけでなく地方都市でも、同一のコンビニが近所に隣接するケースがでてきました。
ローソンは、コンビニ買収などを繰り返し成長していった歴史があります。
生き残るためには本部の戦略が大きく将来を左右します。
この提携後、ポプラの新規出店は、企業内施設、工場内施設、官公庁内施設への出店を行い、場所を間借りする営業方針に切り替えています。
カラーを出す・出さない
コンビニにはそれぞれ強みがあります。
先に紹介したポプラでは、弁当のごはんをその場で店員が炊飯器から入れてくれるサービスをしています。
特徴のある弁当は、いつしか「ポプ弁」と呼ばれ、ごはん大盛も無料であることから、育ち盛りの高校生や、体力勝負のお仕事のランチに根強い支持があります。
このように、コンビニは他社との差別化、特「色」を出すことが必要です。
しかし、これは大手コンビニでは真似ができません。
本部は、店舗のオペレーション(動き)が煩雑になることを極端に嫌います。手間が増えるとレジ待ちの原因になり、加盟店や来店客から苦情を多く受けるためです。
一方で、ローソンは青、ファミリーマートは緑などのコーポレートカラーがそれぞれあります。
その色についても最近では、地元の景観や地域の実情に合わせて店舗の色をこだわらない店舗が続々登場しています。
ローソンについて国際的な観光地である京都では、色を抑えた白地の看板など各自治体や地域に配慮した店舗づくりをしています。
最新のトレンド
自治体との包括連携協定
コンビニ業界は、地域貢献も重要な使命です。
地域にねざした店舗経営をするときに、本部側では地域とgive and takeの関係を目指すのではなく、giveのみを行うことで、地域や株式市場から高い評価を受けることがあります。
セブンイレブンでは、2020年11月に政令指定都市である広島市と包括連携協定を締結しました。
その中でも、セブンイレブン店舗駐車場で患者を乗せた救急車と、医師を乗せたドクターカーがドッキングできる場所として提供することや、夏場の熱中症で患者搬送機会の多発する時期などに、連続出動する救急隊のリフレッシュできる休憩場所として店舗駐車場を全国で初めて提供する(A-pit・エーピット)などは、患者搬送を終えた救急隊員が救急車でコンビニに立ち寄り、水分補給ができると大反響がありました。
救急隊員がコンビニで買い物をしているとさぼっていると勘違いする市民からのクレームがくることが他の都市でありましたが、これがきっかけとなり「命を救う場所」「命を救う人を救う場所」として、コンビニの社会的評価がさらに高まりました。
新型コロナウイルス流行する数年前からコンビニ業界は、医療従事者にovationをしていました。
フードロス対策
2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の項目のひとつに、「作る責任・使う責任」があり、廃棄する食品を削減することが国際的な共通認識として定義されることととなりました。
それまで、コンビニは、売り切れや欠品を防ぐことに主眼をおき、大量陳列して廃棄というサイクルを繰り返してきました。
特に毎年2月、節分の時期にプロモーションされる「恵方巻」は、その最たるものでした。
完全予約販売にするという単純な解決対処方法ですが、競争の激しいコンビニ業界において、他社より先に後退する販売方法を選択することはできませんでした。
国際目標のおかげで「意地の張り合いから解放」されたものとなりました。
優越的地位の濫用
コンビニ業界は、本部と加盟店、本部と納入業者という商流構図が出来上がっており、その中心に本部があります。
力関係でいくと扇の要にあたるため、相対的に本部が強くなります。
しかし、本部がその地位を利用して、納入業者に対し、不当に仕入価格引き下げ要請や、販売支援を強要することは独占禁止法により禁止されています。
また加盟店に対しても、正当な理由なくフランチャイズ契約解除をちらつかせて従わせることも同じく禁止されています。
これらは、同法で「優越的地位の濫用」と分類され、優越的な立場を利用して、経済合理性のないことを強要する行為を指します。
仮に法に抵触することがあっても一般消費者には、関係はありませんが、ブラック企業として企業イメージダウンは必至です。
エンドユーザーが一般消費者であることから、世間からの評判は他のどの業種よりも敏感になるものです。
そのため、高度なレベルでコンプライアンス遵守が求められる業界です。
特殊詐欺未然防止
高齢者を狙った振り込み詐欺が社会問題となっている中で、コンビニ業界もその事件現場となるリスクが増えてきました。
これまで、犯人グループの手口は、銀行振込をさせるものでしたが、金融業界全体の取り組みで振込による送金金額に制限がかかるなどしたため手口が電子マネー、プリペイドカードの購入に代わりつつあります。
そこで高齢者が一度に多額の電子マネーを購入することにおかしいと感じるコンビニ店員が増えてきたことは、本部や店舗オーナーの指導の賜物です。
都道府県警察のホームページを見ると未然防止を果たしたコンビニ店員に感謝状が贈呈されている様子が多く公開されています。
コンビニ業界の主要会社を比較
コンビニの御三家である3社を比較してみたいと思います。
売上も明暗が出ています。
コンビニ大手2社の売上高の推移(2016/2期を100とした割合)
(2021年5月1日時点で公開されている通年有価証券報告書から筆者作成)
なお、ファミリーマートについては期間中吸収合併などがあり数値のブレ幅が大きいため割愛しています。
セブンイレブン
他社の追随を許さない圧勝の横綱相撲
株式会社セブン&アイ・ホールディングスという持株会社で決算開示がされていますが、コンビニ分野での数字を見ていきます。
セブンイレブンは、ホールディングス内で、 (株)イトーヨーカ堂に代表されるスーパーストア事業の次に稼ぎ頭の国内コンビニエンスストア事業で、営業利益9,208億円(2021年2月期決算)をあげています。言わずと知れた日本を代表するコンビニエンスストアの頂点に君臨しています。
セブンイレブンの最近の話題は、加盟店とのトラブル
社会インフラとしての役割がある以上、加盟店オーナーが自由にシャッターを下ろされてはいけないとし、本部が統制をかけています。
しかし、ボタンの掛け違いから、加盟店オーナー側からは、「休みが取れない・旅行などの余暇が過ごせない」という不満が噴出して問題となりました。
フランチャイズ契約では、休みを取る場合は、本部から応援が来ると思わせる記載があり、その履行を求めるなど昨今の働き方改革とは逆行したやりとりがなされていました。
それをうけ、セブンイレブンでは、加盟店オーナーとの対話を重視し、加盟店への特別慰労金(10万円/店)や従業員特別感謝手当(クオカード6万円分/店)を支給するだけでなく、「オーナー様意見交換会」という場を設け、ひざをつきあわせた改善に取り組んでいます。
業績動向
2021年2月期の決算では、国内コンビニエンスストア事業の営業収益は、前年比大きく減少しました。
新型コロナウイルス感染症の影響が出たもので、緊急事態宣言により外出を控えた国民がコンビニにこれまでと同じようには利用していなかったという特殊要因によるものです。
コロナ関連の費用としては、加盟店支援や消毒費用あわせて年間69億円を使って対策を講じた結果、減収にはなったものの大きな混乱なく乗り切った2021年2月期でした。
ローソン
待ったなしの環境問題に迅速対応
ローソンは、大手商社三菱商事の子会社です。
決算内容には、連結対象にスーパーの成城石井などが含まれているため、コンビニエンスストア事業のローソン単体で考慮すると加盟店からの収入他から構成される営業収入は、前年比93.7%の3,216億円となりましたが、「マチのほっとステーション」として目に見える営業活動を行ってきて規模は業界2位です。
ローソンは、地球環境問題に力を入れる
フードロス対策のために、天候や人流を意識した発注の精度向上に取り組み、適量発注に取り組んでいます。
また、環境配慮素材への切り替え推進として紙製弁当容器等を取り入れる、レジ袋削減などマイクロプラスチックによる環境破壊・生態系への影響を抑止する取り組みにも極めて前向きです。
さらに省エネ機器の導入など二酸化炭素排出量削減に向けて、わかりにくい二酸化炭素排出量の削減という課題を、だれが見てもよくわかる成果につなげる活動を行い、企業の社会的責任を果たしています。
業績動向
セブンイレブン同様、新型コロナウイルス感染症の影響が決算に色濃く出ました。
しかし、ニューノーマル(巣ごもり消費・買いだめ)対応による品ぞろえの改変を的確に行い、ニーズのある冷凍食品や生鮮品、酒類のラインナップ拡大強化をいち早く取り組むなど行ってきました。
政府からの不要不急の外出自粛や、緊急事態宣言によるイベント、コンサート中止の影響から、ローソン店内マルチメディア端末「Loppy」利用目的の来店客が減少した(分母が少なくなった)関係で、客単価は前期702円から2021年2月期は、740円へと大幅に増加しました。
ファミリーマート
加盟店に愛される理由
ファミマという愛称で親しまれているファミリーマートは、伊藤忠商事の子会社です。
それまで東証一部上場のコンビニでしたが、伊藤忠商事の子会社化となることに伴い、発行済み株式を1株に併合したため、2020年11月12日上場廃止しました。
このことは、経営上の施策であり心配をするようなものでは一切ありません。
一般的な話として、株式を公開していると、株主総会で資産価値を高めるために質問や提案をする株主もいるので、株式を5億株発行しているファミリーマートとしては、2株にまとめて、親会社に譲渡したというだけのものです。ファミリーマートの特徴としては、他社に比べ加盟店からの評判が良いことがあげられます。
2020年6月から開始している時短営業制度は、「加盟店判断による」時短営業ができるようにするもので、業界でも画期的なものでした。
加えて、加盟店の資金繰り支援や、契約更新時などの奨励金の拡充などコンビニエンスストアの「富の源泉」である加盟店と良好なパートナーシップを掲げ、実践しています。
業績動向
ファミリーマート単体の2021年度2月期の事業利益(営業収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した額)は、432億円で前年比21%減となりました。
例にもれず、新型コロナウイルス感染症の影響ですが、公開されたデータによると加盟店の売上減少幅は、平均7%程度ですので、本部側の経費負担が多かったものと思われます。
感染者を加盟店から出さないこと、来店客が安心して買い物ができるようケアのために本部ではお金を使い、加盟店も持ちこたえたという良好なパートナーシップを数字が示しています。
コンビニ業界の仕事
コンビニ業界の仕事のうち本部業務について紹介します。
本部業務
営業部門
営業部門は、現場に一番近い部門です。
店舗戦略部署では、新規出店について付近の商圏などの市場調査や、平日昼夜の人口増減、曜日による住民の行動変容を多角的に分析します。
最近では、市場調査の一部についてAIを活用する開発も進んでいますが、これは、データだけで見た最適立地と、既存店の中からモデルに近い店舗を探し出し収支モデルを組み立てることまでしかできません。
現時点では、人間の実地調査による判断が一番となります。
この部署は、不動産情報に精通していることが求められます。
具体的には、この土地を売りたい人がいるという未公開情報をいち早く不動産業者から仕入れる力と人間関係の構築が必要です。
フランチャイジー部門
次にフランチャイジー部門です。
こちらは、担当者が加盟店を管理統率していく部門です。
毎日のように各加盟店を回り、陳列や販売方法の確認、新商品の説明、オーナーとの情報共有など忙しくしています。
販売目標のあるクリスマス商材などを店頭デコレーションする方法などはこの担当者のセンスにかかっています。
また、近隣学校の運動会の予定があれば、お弁当の発注数を増やす指示をすることや、近隣企業のイベントなど地域情報へのアンテナを高くすることでオーナーとの強い信頼関係が構築されます。
担当者の中には、タクシー会社にコネクションがあり、配車予約からイベント内容を察知する能力のある人なども活躍し、大量の弁当発注を行い、見込み通り完売させることで、加盟店からも感謝されるという事例もあります。
このように、努力が実れば、すぐに数字となって出てきます。
ここでノウハウを身に着けた人が退職後、経営コンサルタントとして開業する人もいます。
経営管理部門
一般的な企業にある人事労務管理をする部門のほかに、広報部署があります。
マスコミへのプレスリリースや、取材対応は、購買意欲に直結するため一般企業に比べて多忙となりがちで、年中取材対応をしています。
テレビ番組でよくある「売れ筋ランキング」「社員が選ぶオススメ」ものについては、商品別販売額を公開しないため、正確な販売個数や販売額とランキングは、一致していない場合があります。
今でも1位のものを1位と公開するよりも、5位のものを1位と公開すれば、両方が売れるという戦略に近い「知恵」によるものです。
エビデンス(証拠)を公開しないものは、検証できませんし、「売れ筋」という言葉は、「売上額」とは違います。
また「社員が選ぶ」は、身内が選んだものですので、プロモーションが含まれていると思った方がいいです。
企画開発部門
そのテレビ番組で良く出てきます新商品開発場面ですが、さまざまな野菜や食材を調理してその良さを最大限発揮できるように絶妙な調整を行います。
その中で、多くの商品が開発されていますが、実際に世の中に出ることができるのは、その中のごくごく一部です。
それは、「おいしいもの」と「安全なもの」という尺度があったとき、いくら味が100点でも、わずかでも安全面に脆弱性がある場合は、絶対に販売をしません。
例えば、炭火で焼いた川魚を竹串に刺し、トレーに入れて販売する商品はコンビニにはありません。
いくらレンジで加熱するようにアナウンスしていても、購入客は、そのまま食べるかもしれません。
魚も串も細菌発生の可能性を100%排除できないものは、どんなにおいしくても販売しません。
企画開発部門には、加熱時間を監督し衛生状態を確認、判断する部署もあります。
このほか、新商品は、これまで販売している商品と調理方法があまりにも違う場合、工場のラインを追加、変更しなくてはならなくなります。
その場合、コストがかかるためラインを追加、変更するのは極めて困難で、やむを得ず製造できる企業を探すことになります。
しかし、コンビニの食品を製造する工場は、徹底した衛生管理が求められます。
例えば、製造工場に外気を取り込む窓を認めていません。
工場には、エアシャワーが装備され、毛髪や微細な糸くず、小さな虫が混入することを徹底排除するためです。
わずかな混入が全商品回収という莫大なロスにつながるためです。
そのため店頭に並ぶ商品は、企画開発部門のおかげで安心して食べることができます。
コンビニ業界の年収
先程紹介したコンビニ御三家の平均年収は、規模の順と同じで以下のようになっています。
セブンイレブン | 約750万円 |
ローソン | 約650万円 |
ファミリーマート | 約600万円 |
いずれも社内外の資格取得という自己啓発や、業績目標への貢献度を評価の基準とされています。
コンビニ業界で求められる人物像・スキル
小売業の宿命 前後左右すべて「人」の業種
コンビニ業界は、対人スキルが必要です。
かけひきや交渉をする場面が多く、どこまで譲歩できるか、交渉の落としどころはどこかを見極める力がある人は出世が早いです。
人あたりが良いだけでは、立ち回れない
温厚な性格だけでは、物足りなさを感じます。
見方を変えると、弱腰に見えます。時に厳しく自分の意見を言い、相手の話を真剣に聞き、解決策を提案し、懐に入ることができるとどんな部門でも活躍できます。
使命感、責任感
社会人としては標準装備されないといけないものですが、ポジティブな考え方で常に前を向くことが求められます。
目標やノルマに感謝し、置かれた状況に苦言を言わない
販売目標は、自己実現のための基準の一つとして、「押しつけ感・やらされ感」を感じないことが大切です。
目標が大きなものであるほど、「血沸き肉躍る」という前向きな思考は、必須です。
また、仮に目標達成できなくても、その理由のすべてを気候や社会情勢など外部要因にしないように気を付けることです。
外部要因は、すべてのコンビニ、すべての社員が同じ条件ですから、自分に固有のものではありません。
それよりも、次にどう活かすかを切り替えで行ける人は、立ち直りも早いです。
徹底したリサーチ力
ここでいうリサーチは、ネットサーフィンで得た真偽も分からない情報を言いません。
web公開情報はリサーチにあらず
リサーチは、ネットで調べるだけで満足してはいけません。
その情報の鮮度や、真偽もわかりません。
この業界で活躍する社員の特徴は、人脈が広いことがあげられます。
例えば新しい食材の情報は、ネットの情報だけでなく生産者にヒアリングすることや、商社に情報提供を依頼することもできます。
出荷できない野菜や肉の部位をおいしく食べている農家や生産者はたくさんいます。
また、食べ物以外にも東京近郊の会社が作る容器が、食べ方に革命をもたらした例もありました。
フランクフルトに、ケチャップとマスタードを同時に付けることができるバキットという商品のおかげでホットスナックの食べやすさが向上し、売り上げアップに貢献しました。
いろいろなものに興味を持ち、それを自社商品にどう使うかをイメージしていくことで、他社と差がつきます。
コンビニ業界のES・面接対策
コンビニ業界は、多くの志願者がいるので、端的に自分の考えを伝えることが他のどの業種より必要です。
ES対策
バイト経験エピソードや好きな商品は、書かない余裕で差がつく
志望動機に多い例が、店舗でのバイト経験を記入したものです。
バイトとして支えてくれたことには感謝しますが、採用面接は、別物です。
仮にどんなに良いエピソードがあっても内容が頭に残らず埋没してしまう可能性があります。
次に多いのが、特定の商品をほめて、新たな商品を開発したいというものです。
採用面接を担当する社員に商品の論評は不要です。
その時間を自分のPRに充てる方がはるかに高評価です。
変化への順応を表現できれば合格、さらに言えば目まぐるしく環境が変わる世の中で、学生時代にどういうことにどう対応していったかの記載があると興味深いです。
記載内容に「松竹梅」を付けるとしたら、「梅」は、変化へ対応したことだけの記載。
「竹」は、変化へ対応することの過程も記載されたもの。
「松」は、変化の前兆に気づいて、その対応を事前に考えその結果をどう評価反省したかを記載されたものです。
変化への対応は、社会人として常識で、それを察知する力や、対応を振り返ることが、学生時代にできる人は、有意義な学生生活を送った人物として評価されます。
面接対策
競合他社の商品を批判しても加点評価されない
面接で学生がやってしまいがちな間違いは、他社商品を批判することです。
批判のポイントが深い考察に基づくものであれば、問題ありませんが、単にコストや味などの個人の主観を上辺だけの印象で好き嫌いの批判をする人とは、一緒に仕事をしたいとは思いません。
学生さんからすると、他社の批判をして、結果的に自社をもちあげる意図があるのですが、現役社員以上の分析はできませんから、空虚な時間となることは間違いありません。
それなら自社で販売していない商品を熱く語ってくれる学生さんの方が、まだ魅力を感じます。
他社の内定状況を聞かれた次に聞かれること
面接の中で、他社の内定状況を聞かれることがあります。内定があるということは、別の企業がその学生の何かを評価して内定を出したものですから、正直に話すといいと思います。
その次は、「弊社とは業種が違うが‥」という質問が必ず来ます。
そのため、そこで狼狽することなく「御社が第一志望である」理由と、就活を終えていない理由を力説すると良いでしょう。
裏返せば、面接官が自己PRする機会を与えてくれたチャンスボールに他なりません。
また、同業他社であった場合は、どちらに行きたいのかと本気度を見られます。
この質問に対する答えは、事前にシミュレーションできるものですから、よく考えて面接に臨んでみてください。
小売業は、あなたが商売人かどうかだけを見られている
商売人に必要なスキルは、「人柄」「誠実さ」「変化順応」「コスト感覚」です。
いずれが欠損してもよい商売は成り立ちません。
「誠実さ」とは、こういうことを言います。
どんなに優秀な人物でも納期を守らない人は、ビジネスパートナーとして致命的で失格です。
これは、コンビニ業界だけではありませんが、全国展開しているコンビニ本部で起きれば、騒ぎになります。
例えば、希少価値のある海外のチョコレートを日本のコンビニで自社だけが仕入れることに成功したとしても、2月15日に店頭に並べていては意味がありません。
優秀な社員であれは、その前兆を察知した時点で、アフターバレンタインとして納期遅れを前面に出してプロモーションにつなげることができるかもしれません。
仕事とは、思うように進まないことが多いです。どんな困難があっても商売人であれば、必ず結果はついてきます。面接官は、そこを見ています。
まとめ
内定を獲得するためには徹底した業界研究とES・面接対策が必要です。
この記事を再度読み直し、自分らしいアピールポイントを作り上げて見てください。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。