
リモートマネジメントの課題とは?テレワーク実態調査で見えたマネジメント課題と対策
Job総研が行った「2023年 リモートマネジメント実態調査」で、テレワークにおけるマネジメントの課題が明らかになってきました。これまでもテレワークでのコミュニケーションの課題は話題になってきましたが、今回の調査結果で、より具体的な課題が見えてきました。コロナが長期化する中で働き方にも少しずつ変化が出てきています。そのような中で働く人々が感じるテレワークにおけるマネジメントについて考察してみました。
対面マネジメントとリモートマネジメントの違い
リモートマネジメントの課題について触れる前に、まずは対面とリモートのマネジメントの違いについて整理しておきたいと思います。
対面でのマネジメントは、目の前にいる相手の様子がうかがえるので相互にコミュニケーションが取りやすいです。1on1やミーティングでも相手の表情や振る舞いから感じ取れる情報が多いので、伝えたいことが伝わりやすいというメリットがあります。
一方でリモートマネジメントはPCモニターを通してのコミュニケーションになるため、相手が実のところ何をしているのか行動が見えません。オフィスで仕事をしていれば、どのような表情で仕事をしているのか、誰とどのような会話をしているのかが見えますが、テレワークではそのような情報が得られないという特徴があります。
対面では目に見える行動や振る舞いによって、評価できることがありますが、テレワークではそうはいきません。成果やアウトプットの量と質が主に評価されることになります。このような違いを踏まえてリモートでのマネジメント課題について見ていきたいと思います。
テレワークでのコミュニケーション課題の内訳
Job総研が実施した「2023年 リモートマネジメント実態調査」で明らかになった、テレワーク環境で社員が感じている課題の内訳をご紹介いたします。
<調査概要>
調査媒体:Job総研
調査対象者:全国/男女/20代〜50代
調査条件:1年以内〜10年以上勤務している社会人/20~1000人以上規模の会社に所属
調査期間:2023年1月11日〜2023年1月19日
サンプル数:874名
調査方法:インターネット調査
テレワークか出社、働きやすいのはどちらかという質問に対しては下記のような結果がでました。
出社派が37.0%なのに対し、テレワーク派が63.0%と多数を占める結果になりました。
また、テレワークの満足度も総じて高いという結果になり、働き方が柔軟になったことで早起きして満員電車に揺られて出社というストレスが減ったことも、満足度に寄与しているのかもしれません。
一方で、テレワークでの課題を感じている人もかなり多いという結果が出ました。
下記のグラフをご覧ください。
- 上司や同僚とのコミュニケーション不足(45.0%)
- 雑談ができず、相手の心理がわからない(36.2%)
- テキストコミュニケーションの難しさ(29.9%)
テレワークでのコミュニケーションにおける課題の内訳としては上記3つが主に挙げられます。
チームで業務を進める上では、適切なタイミングでのコミュニケーションが必要になりますが、オンライン環境では相手の状況がわかりにくいこともあり、コミュニケーションが不足する傾向があるようです。
また、内容次第ではテキストでのコミュニケーションも有効ですが、テキストでは上手く伝わりきらないという課題もあります。
このように感じることは少なくないと思います。
テレワークにおける上司の印象について
続いて、テレワークにおける上司の印象についての調査結果ですが、コミュニケーション不足を感じる社員が38.0%、適切なタイミングでフィードバックがもらえないと感じる社員が24.5%と、上司に対してもコミュニケーションの課題を感じている割合が多い結果となりました。
解決策が自力で見出せない若いメンバーや、業務経験の少ないメンバーは、尚更このように感じるのではないでしょうか。
では、マネジメントサイドが感じている課題はどうでしょうか。
こちらも調査結果をご紹介します。
テレワークにおいてマネジメント層はどのような課題を感じているか
テレワークでのマネジメント経験ありと303人が回答した中で、68.0%がマネジメントの課題を感じているという結果でした。
課題の内訳としては下記が挙げられました。
- メンバーの業務進捗の把握(48.1%)
- メンバーの理解度、成長度がわかりにくい(39.8%)
- 忙しくてマネジメントの時間がとれない(12.1%)
調査の中でいただいたコメントもご紹介します。
マネジメントサイドもテレワーク環境では色々と気を遣いながら、コミュニケーションをとっていることがわかります。
上司が部下の業務進捗を把握し、仕事の理解度、成長度を確認できれば改善するかもしれません。ただし、忙しくてマネジメントの時間がとれないという根本的な問題をまずは解決する必要がありそうです。
以上を踏まえてどのような対策ができるか考察していきたいと思います。
大事なのは心理的安全性の確保
リモートマネジメントを上手く行うには、テレワーク環境において心理的安全性を確保することが重要になります。
テレワークの課題は、お互いが見えにくいことに起因しています。
これにより、不安感が膨らむだけではなく、スムーズな連携ができなくなり、チーム全体の生産性が落ちていきます。気軽に相談したり、困った際に聴いたりすることが難しく、悩んでいるメンバーが多い状態になりやすいのです。
だからこそ、いかにメンバーが安心して働くことができるか、信頼してコミュニケーションを取ってもらえるかを考える必要があります。
まずは、メンバーが話しやすい環境をつくること、そして業務進捗が把握できるように見える化し、いつでも課題を共有できる状態にすることが大切です。なにより大事なのは、上司から歩み寄ることです。
マネジメントの時間を確保する
「忙しすぎてマネジメントの時間がとれない」
これは、多くのマネージャーが抱えている課題だと思います。テレワーク環境では、ミーティングや商談を隙間なく入れることができてしまうために、スケジュールが簡単に埋まってしまいます。
しかしながら、メンバーを育てることはマネージャーにとって非常に重要な仕事です。メンバーに任せられないから忙しいという理由は、マネージャーとして、本末転倒です。商談やミーティングと同様の優先度で適切にメンバーと対話の時間を確保することが重要です。社内のメンバーとのミーティング、1on1の時間は予め確保しておくのが良いでしょう。
業務の見える化・進捗の把握の方法
マネジメントの時間が確保できれば、業務進捗も把握しやすくなりますが、頻繁に対話の時間が取れるわけではありません。そこで重要なのはいかに日々メンバーの業務進捗を見える化し、定期的な1on1などでメンバーが行き詰まっている課題に対してサポートできるかです。そのための方法をいくつかご紹介します。
- 業務管理ツールを使ってタスクやプロジェクトの進捗率、課題を見える化する
- Excelやスプレッドシートでタスク表を作成しタスク毎の進捗率の見える化とコメントで補完してもらう
- Slackなどのコミュニケーションツールで毎日定刻に業務進捗を共有してもらう
重要なのは業務の見える化なので、タスクに漏れがないかは最初にしっかりと確認する必要があります。ここがしっかりできると、業務進捗を正しく把握でき、適切なタイミングでサポートができるようになるはずです。
仕事の理解度、成長度を把握する
業務進捗の把握ができたら、より細かくメンバーの理解度、成長度を確認していきましょう。業務に対してどこまで理解できているか、どこまで成長しているかを把握するには、対話を通じて確認していくことが有効です。
基本的にはメンバーに自分の言葉で話してもらうことで理解度は確認できます。
「どんな業務をしましたか?」
「どのような成果がありましたか?」
「なぜそのように思ったのですか?」
「このプロジェクトはどのように進めればいいと思いますか?」
例えばこのような問いかけに対する回答を聞けば、概ねどれだけ理解しているか、成長しているかは理解できるようになります。
まとめ
テレワークはメンバーにとっても、上司にとっても「見えない」ことが課題であることがわかりました。見えないからこそ工夫と、コミュニケーションの機会が大切です。
リモートマネジメントを成功させるには、上司から部下に歩み寄る姿勢がまずは重要で、そこから必要な工夫が生まれていくものです。
自宅で孤独な作業をしている若いメンバーは、どんなことを感じながら仕事しているのだろう?
共働きで子育て中のメンバーは自宅でどんな環境で仕事をしているのだろう?
見えないからこそ相手の状態を想像することが大切です。
人によって仕事をする環境、状態が異なり、それが見えないのがテレワークの特徴です。
相手の状態を想像し、配慮しながらコミュニケーションをすることもリモートマネジメントにおいて大切なことなのです。
より働きやすい環境を目指していきましょう。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。
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