
在宅勤務を取り入れるべき?企業側のメリットデメリットや注意点
最近よく耳にする『在宅勤務』。これまで、仕事といえば会社に出社するのが当たり前でしたが、Webの普及により、会社にいるのと同じ仕事を、自宅に居ながらできるようになってきました。では実際、在宅勤務にはどんなメリットデメリットがあるのでしょうか。今回は、在宅勤務について詳しくお伝えしていきます。
在宅勤務のメリットデメリット
会社側のメリット、デメリットは?
まず、在宅勤務を取り入れる側である、会社側のメリット、デメリットについて紹介します。
まず大きなメリットは、介護や育児等の事情で退職してしまう、優秀な人材をつなぎとめられることです。
加えて、オフィスのスペースや、社員の通勤にかかるコストを削減することができることも、メリットとして挙げられます。
一方でデメリットもあります。
在宅勤務をするということは、会社の機密情報を社外に持ち出すことになり、情報漏洩のリスクが高まります。
それを回避するにはシステムの変更などが必要でコストがかかってきます。
また、財務勤務を導入すると、従業員の労務や仕事の進捗状況の管理が難しくなることも避けられません。
正社員のメリット、デメリット
次に、従業員側のメリットとデメリットです。
まず何といっても、介護や育児をしながら仕事ができることが大きなメリットです。
保育園の待機児童問題もあり、女性が育児をしながら通勤するのは困難ですが、在宅勤務なら家を空けずに仕事を続けることができます。
そして、通勤時間ないので、その分の時間を、有効に使うことができるのもメリットです。
しかし、家事と仕事との切り替えが上手くいかないと能率が上がらず、だらだらと長時間働く傾向になりがちです。
それに同僚がいないので、分からないことがあっても気軽に相談することができず、孤独感を感じることもあります。
在宅勤務に適した業種・職種とは?
在宅勤務を取り入れやすい会社の条件は、第一にインターネットの環境が整っていることです。
そのため、インターネットがつながっていればどこでも作業ができるIT業界を皮きりに、在宅勤務の普及が進みました。
そこで、どんな業種や職種が在宅勤務に向いているのかについて具体的に紹介します。
在宅勤務を取り入れやすい業種・職種
まずは『情報通信産業』、通称IT系です。
インターネット環境があればどこでもできる仕事の代名詞ともいえるでしょう。
一人で仕事を完結できる仕事が多いためまさに在宅勤務に適している業種といえます。
具体的な職種としては、『Webデザイナー』や『ライター』、『プログラマー』があげられます。
次にデスクワークが中心となる『金融保険業』も、在宅勤務を取り入れやすい業種の一つです。
データ入力などの『事務職』のほか、外回りが中心となる『営業職』があげられます。
そして意外かもしれませんが『製造業』でも在宅勤務を取り入れることができます。
一人で仕事を行うような、『研究開発職』、『エンジニア職』は特に在宅勤務に向いています。
在宅勤務を取り入れた企業の事例
在宅勤務を取り入れる企業は年々増加傾向にあり、実際に誰もが知るような大企業も次々と在宅勤務を取り入れています。
例えば製造業の大手、パナソニックも早くから在宅勤務を取り入れています。
パナソニックの在宅勤務制度『e-Work@Home』 は、一か月の勤務日数のうち半分までこの制度を利用することができます。
実際に利用している社員多くは、女性の社員です。
育児や家事と両立が困難な日本の働き方の問題の解決方法の一つとなっています。
在宅勤務制度を設けることで、仕事の生産性が上がるというメリットが出てきています。
在宅勤務を取り入れないと時代遅れな理由
在宅勤務は今、話題に上ることも多くなんとなく広がりを感じていると思いますが、本当のところはどうなのでしょうか。
在宅勤務が求められている時代背景について説明したいと思います。
少子高齢化によりリソース不足
日本は、少子高齢化が進んでおり、今は日本国民の4人に1人が65歳以上です。
そして、今後ますます悪化する傾向にあります。
そうなると、マンパワーの不足は避けられなくなるでしょう。
これまで介護や育児などの理由で働けなかった人たちや、定年退職後の高齢者も、労働力として社会に還元する必要がでてきます。
そこで、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方である在宅勤務のメリットが活きてくるのです。
厚生省の働き方改革
厚生労働省の『働き方改革』で、副業やテレワークを推奨していることでも、在宅勤務に注目が集まっています。
厚生労働省では『テレワークではじめる働き方改革』というガイドラインを発表しています。
これによるとテレワークとは『ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方』のことで、在宅勤務の他、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務を含めた働き方の事を指します。
厚生労働省は国を挙げてテレワークを推奨し、このテレワークの導入企業を2020年には2012年度比で3倍にすることを普及の目標に挙げています。
海外のテレワーク事情
では、欧米ではテレワークについてどのように考えられているのでしょうか。
EU圏の中でも北欧では、10年も前からテレワークを積極的に取り組んでいたようです。
一方で、南欧やアメリカではパンデミック発生以降は徐々にテレワークが推進されてきていますが、それまではテレワークがあまり推進
されておらず、北欧はリモートワークに柔軟に対応できていたと言われています。
※参考:欧米のテレワークの現状
在宅勤務制度を導入する際に気を付けるべきポイント
実際に在宅勤務制度を導入するには、先に挙げたデメリットを克服する必要があります。
導入する際に気をつけたい点についてまとめてみました。
労務管理の注意点について
在宅勤務のデメリットとして、従業員の労務管理が難しくなることがあげられます。
従業員が何時から何時まで勤務したのかが見えにくく、労働時間の管理が不明確になってしまいます。
それでは、どのような労働時間制度を活用すればいいかが分からなくなってしまいます。
そこで、始業・終業時に従業員にメールや電話で報告させるなど、ICT技術を利用した勤怠管理システムの導入が必要になってきます。
情報漏洩の注意点について
次に、仕事を会社の外に持ち出すことによる情報漏えいリスクも、忘れてはならない在宅勤務のデメリットです。
情報漏えいを回避するためには、まずセキュリティーポリシーといったルールを明確化し、従業員に教育・啓蒙しなければなりません。
実際に情報漏えいが発生した際の対処方法の周知や、ウィルスチェックの義務化、USB利用のルールなどを周知する必要があります。
さらに、具体的なセキュリティー対策としては、ネットワークの暗号化、不正アクセス・ウィルスへの対策を徹底することが重要です。
テレワークの導入をしよう
在宅勤務のデメリットが解消できたら、テレワークの導入まであと一歩です。
導入する前に、もう一度テレワークについて慎重に検討してみましょう。
テレワークを導入するメリットとは
テレワーク・在宅勤務のメリットは、会社にも従業員にもたくさんありますが、せっかく制度を導入しても、利用しにくいという意見もあります。
年配の従業員の中には、インターネットを使った在宅勤務のシステムに馴染めなかったり、テレワークの制度を導入することで、制度を利用しない社員に負担がかかったりするためです。
しかし、労働力不足の問題は避けて通れない問題です。
在宅勤務の最大のメリットは労働力を確保できることです。
せっかくテレワークを導入しても、利用しやすい会社の風土がなければ意味はありません。
テレワークをうまく活用する方法を合わせて検討して、メリットを生かせるようにしましょう。
在宅勤務を取り入れて検証する
在宅勤務については、会社によって上手に活用できる場合と、上手くいかない場合もあります。
しかし、やり方次第では会社にも従業員にも双方に利益をもたらします。
在宅勤務と一言で言っても、時間単位で取り入れるのか、完全に在宅勤務を認めるのか、職種を限定して取り入れるのか、やり方も様々です。
情報を集め、トライアルを実施するなど、必ず検証して、自分の会社に取り入れ可能か分析していくことをお勧めします。
そして、導入するだけでなく、持続的に運用していけるようにしましょう。
最後に
在宅勤務は、会社側にも働く側にもメリットがありますが、デメリットもあります。
しかし、在宅勤務は少子高齢化による労働力不足の解消法として、国を挙げて奨励しています。
デメリットを上手く解消すれば、会社にも従業員にもメリットのある制度になるでしょう。
まずはじっくり検証して、長期間持続できるように分析してから取り入れるようにしましょう。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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