
【就業規則を変更する届出の期限とは】5つの章から方法や注意点を徹底解説
会社で働く上でのルールとなる就業規則は、創業時に作成する会社がほとんどです。しかし、就業規則を変更せざるを得ないケースも出てくると思います。そこで今回は、就業規則を変更する方法や注意点をまとめました。就業規則を変更しようと検討されている場合は、ぜひ参考にしてみてください。
就業規則を変更する
どのような場合に就業規則を変更するのか?
就業規則を変更するケースとして多いのが、労働基準法などの法律が改正されることによる場合です。
その例としては、最近法律が改正になった育児休暇制度や健康保険制度が挙げられます。
コンプライアンス上、法律が改正になった場合は速やかに、変更した方が良いでしょう。
また就業規則を変更する理由として多いのが、M&Aや会社の分割により、会社の経営状況の変化です。
そして、時代の変遷による就労関係や物価変動なども就業規則を変更する理由になっています。
就業規則を変更する方法
まずは担当部署で就業規則の変更の案をまとめるのが最初のステップです。
次のステップでは、法務などの部署で変更が法律上で問題がないかの確認をします。
法律上の問題がなければ、取締役会などを開催して、経営サイドからの承認を受けるのが社内での流れです。
就業規則を変更する際の注意点
就業規則の変更は、それが従業員にとって不利益となるものでも変更できます。
しかし、その場合は、その変更が合理的でありそれ相当の理由がないと認められないので注意が必要です。
就業規則の変更の届出に関する注意3点
就業規則を変更した際には、行政への届け出が義務付けられています。
そこで、行政へ就業規則の変更を届け出る際の注意点について紹介していきます。
管轄の労働基準監督署に届け出ることが原則
就業規則は本来、事業所ごとに作成されるものなので、変更届も事業所を管轄する労働基準監督署へ届け出るのが原則です。
しかし、事業所が複数ある会社の場合で、全ての事業所で同じ就業規則を使っている場合は、本社で一括して届け出ることができます。
従業員代表者から意見書を添付する
就業規則の変更の届け出をする際は、変更届の他に従業員の過半数の代表者の意見書を添えなければなりません。
従業員の過半数が加入している労働組合がある会社の場合は、労働組合の意見書でも可能です。
例え意見がなかった場合であっても、『従業員に意見を聞いた』証拠として、特になしと記載した意見書が必要になります。
変更届は「2部」提出する
変更を届け出る際は、変更届と意見書をそれぞれ2部ずつ提出しなければなりません。
そのうちの1部は受付印が押されて戻ってくるので、それは会社で保管する用の書類になります。
変更届と意見書の2部のうちの1部は、コピーでも問題がないので2部とも原本を用意する必要はありません。
就業規則の変更を10人未満の事業所でも行う方法
就業規則の制定は常時10人以上の従業員がいる会社にとっては法律上の義務ですが、10人未満の会社の場合も制定や変更はできるのでしょうか。
10人未満の会社の就業規則の効力が発生するには
従業員が10人未満の会社であっても、就業規則を作成している会社は多く、全体の約9割以上が作成しています。
ルールが明確になることで、社内の秩序も保たれ、従業員とのトラブルも減るなどメリットは多大です。
そして10人未満の会社が就業規則を作成した時は、従業員にそれを周知することで効力を発生します。
手続上の特別規制は周知義務のみ
10人以上の会社では、就業規則の作成や変更には、行政への届け出と周知は法律上の義務ですが、10人未満の場合は届け出の必要はありません。
変更の際も同様で、10人未満の会社では変更しても届け出は不要です。
従業員に知らせて、プリントアウトした就業規則を手に取れる場所に設置や、社内イントラにアップするなどすれば、手続き上はそれだけで変更が完了になります。
ただし、意見書の作成は義務ではありませんが、就業規則の変更の際には従業員の代表の意見は聞かなければなりません。
就業規則の変更届について
就業規則の変更を労働基準監督署に届け出る際の必要書類である就業規則変更届はどのようなものなのでしょうか。
就業規則の届出書は様式自体は決められていない
就業規則の届け出の際に必要な変更届や意見書については、決められたフォーマットはありません。
必ず記載しないといけない項目が網羅されていれば、自分の好きなフォーマットで作成することができます。
また、労働局のサイトや、社労士の個人事務所のホームページなどで、無料フォーマットが掲載されていますので、それらを利用するとスムーズです。
就業規則変更の届出の提出期限に定めはない
最後に、就業規則を変更したら一体いつまでに変更の届け出をすればよいのか、その提出期限について紹介します。
就業規則を変更した場合「遅滞なく」所轄の労働基準監督署長に届け出る
従業員が10人以上の会社のケースでは、就業規則の変更について所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があると労働基準法に明記されています。
しかし、届け出をする時期については、変更したら『遅滞なく』届け出るとされているものの、変更決定の何日以内や施行してから何日以内、といった具体的な期限についての法律の定めはありません。
期限はないが速やかに届け出よう
就業規則を変更した場合、具体的に決められた期限はありませんが、『遅滞なく』というからには、遅れや滞りなく届け出る必要があるのです。
業務の都合上などのやむを得ない事情で、しばらく届け出ることができず施行後になってしまうケースもあるでしょう。
しかし、いくら具体的な期限がないとはいえ、常識的に考えると『遅滞なく』が許されるのはせいぜい1カ月が限度です。
届け出が遅れたことに対する罰則は、よほど悪質な場合でなければありませんが、それでもできるだけ速やかに届け出るようにしましょう。
まとめ
就業規則の変更は、法律の改正や会社の経営状況の変化など、時の流れと共にどうしても必要です。
10人以上の従業員がいる会社が就業規則を変更する時には、制定の時と同様に所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。
また従業員に意見を聞かなければならず、意見書は変更時の届け出の必要書類です。
従業員に不利益となる変更も可能ですが、合理性がなければ認められず慎重に行わなければなりません。
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