
【名ばかり管理職の年収】給与の仕組みや裁判の事例まで詳しく解説
皆さんは「名ばかり管理職」という言葉をご存知ですか?ブラック企業に多いイメージがありますが、実際のところ給与の仕組みはどうなっているのでしょうか?また、自分がそのような立場になってしまった場合、どのような対応をすればよいのでしょうか?しっかり解説していきます。
管理職の給料はどのように決まるのか
企業の雇用者を何年か勤めると「管理職」へ昇格するときがあります。係長・課長・次長・部長・本部長などの「長」が付く「管理職」の辞令を受けます。
就業規則・社内規定で「管理職」手当の規定があるので、現在支給されている月額給与に管理職手当が加算されます。
管理職とは
管理職とは「労働現場で労働者を指揮して組織の運営に従事する者を指す」ことです。会社の経営方針に基づき、組織運営の権限と責任を持つ役職者を示します。
一般的に「課長」「部長」などの職位や、「マネージャー」と横文字の役職を設けている企業が多くあります。
管理職の残業代について
管理職に昇格したときに残業代は支給されるのでしょうか?一般的に課長代理・課長補佐職以上昇格すると残業代が支給されないと言われています。
企業では、課長代理・課長補佐以上を労働基準法で定める「管理監督職」とみなしているからです。
管理監督者は経営者と一体的な立場で仕事をすることになります。職務における権限が大きくなり、責任も重くなります。自分自身が管理するサイドになるため、労働時間を管理されることがありません。
管理監督者は休憩や休日、労働時間の定義がなくなるので、残業手当や休日出勤手当がなくなるようです。
【名ばかり管理職】管理職に就いた場合、給料は上がるの?下がるの?
「名ばかり管理職」と言う言葉をご存知でしょうか?
企業独自の基準で管理職と決められた肩書きだけで、部下が存在せずに残業手当・休日出勤手当などの割増賃金が支給さない職位です。
一般的に「専任課長」「専任部長」「特任部長」「特命部長」などの職位があるようです。
管理職の給料が上がるのはどのような場合か
管理職に昇格すると、給料が上がるケースはどのような場合なのか紹介します。
先述のように、企業には就業規則・社内規定の中に給与規定があります。
その給与規定には役職手当の記載があります。例えば、係長手当が2万円、課長代理手当が4万円、課長手当が5万円、次長手当が10万円、部長代理手当が15万円、部長手当が20万円などの手当が月額給与に加算されて支給されるようです。
つまり、管理職に昇格すると管理職手当が加算されることで、一般的に2万円〜20万円の増額が見込め、基本給プラス管理職手当の支給がポイントになります。
企業の給与規定によって変動しますので、就業規則・社内規定を確認するか人事担当者に「いくら増額されるのか」に確認することが重要です。
管理職の給料が下がるのはどのような場合か
管理職に昇格すると給料が下がるケースはどのような場合なのか紹介します。
今回は、以下の2つのケースを紹介します。
- 「裁量労働制」が適用されるケース
- 管理職手当に切り替わることで減少するケース
第一に、管理職に昇格すると「裁量労働制」が適用されるケースです。
「裁量労働制」とは、労働時間や仕事の進め方が労働者個人の裁量に委ねられている労働制度です。労使協定によりあらかじめ一定の時間勤務したものとみなして賃金が支払われる制度で、みなし労働時間制とも言われています。
裁量労働制で賃金契約が年俸制に変更されるケースでは、一時的に給料が下がることが見られるようです。
第二に、管理職に昇格すると管理職手当に切り替わることで、今まで支給されていた手当がなくなるケースです。
一般的に課長代理・課長補佐以上から、残業手当・休日出勤手当などの支給が無くなり管理職手当に移行されます。課長代理・課長補佐に昇格する前までは、残業手当・休日出勤手当を多く支給されていたケースでは一時的に月額給与が下がることがあるようです。
管理職に昇格すると繁忙期・閑散期に関係なく一定の手当が支給されるようになるので、昇格前と比較して一時的に月額給与が下がっても中長期的にみると、プラスに転じることを実感するようです。
管理職に昇格すると残業手当・休日出勤手当の支給がなくなることが、就業規則・社内規定の給与規定に明記されています。残念なことに、管理職に昇格すると精勤手当や皆勤手当などが違法にカットする企業が散見されるようです。
昇格時の処遇に関しては、人事部給与担当に事前に十分確認することが大切です。
名ばかり管理職とは
「名ばかり管理職」とは、全く管理職としての権限を与えられない不遇な境遇にある状況を指します。
残業手当・休日出勤手当が支給されないように、企業の都合の良い部分を利用されたということができます。
管理監督者と名ばかり管理職の違い
管理監督者と名ばかり管理職の相違点を説明します。
管理監督者は、企業内で相応の地位と権限を与えられた上で、業務結果の管理や業務遂行の監督を行う者のことです。管理監督者の地位は労働基準法で定義されています。
名ばかり管理職は、上記の管理監督者の条件を満たないケースで職位が与えられる者です。地位と権限がなく、業務を管理監督する部門の従業員(一般的な部下)がいない状況で、職位が与えられた名誉職と言えるでしょう。
名ばかり管理職が生まれる理由とは
名ばかり管理職が生まれる理由は、企業が人件費削減を目的にして職位を作っているからです。
企業は、労働基準法で定められた管理監督者の「残業手当・休日出勤手当の支給をしなくて良い」「規定の休憩時間を支給しなくて良い」ことに注目して、管理職を利用しているようです。
名ばかり管理職は、企業内で相応の地位と権限がなく業務結果の管理や業務遂行の監督を行わない者です。勤務年数が相当年数あり管理監督者に昇格できない従業員の残業手当・休日出勤手当の支給を抑制するために名誉職を与え、コストを削減するようです。
名ばかり管理職の事例を紹介します
名ばかり管理職は残業手当・休日出勤手当の支給対象外になる名誉職です。
しかし、残業手当・休日出勤手当の支給がないことで、トラブルになるケースがあるようです。
事例1について
弁当製造販売チェーンで店長に昇格した30歳代の従業員が名ばかり店長であることから訴訟に至ったケースです。働いていた当時は、残業手当・休日出勤手当の支給がされませんでした。
該当の従業員の年収は社内平均よりも50万円も低額で、時給換算するとアルバイト従業員とほとんど同額で裁量権もありませんでした。
その従業員は裁定を裁判所に訴え、未払いの残業手当・休日出勤手当を約1,000万円勝ち取りました。
事例2について
ハンバーグショップで店長に昇格した40歳代の従業員が、管理職として勤務時間が莫大に増加し、報酬は以前より減少したことに対し、残業代の支払いを求めて訴訟に至りました。
該当の店長の残業時間は毎月100時間を超え、63日連続勤務と58日連続勤務があったにも係わらず、報酬が店長昇格前と比べて減少していることから管理監督者ではないと判断され、未払い残業代の755万円を勝ち取りました。
名ばかり管理職が残業代を獲得する3つの方法とは
名ばかり管理職の人が、残業代を獲得する方法は、
- 会社との直接交渉
- 労働基準監督署への申告
- 法的手段
の3つです。
会社と直接交渉する
名ばかり管理職が残業手当を獲得する方法の一つは、会社と直接交渉することです。
自分自身が「管理監督者」に該当しないことを明確に伝えて、残業手当の支払いを請求する権利があると主張しましょう。但し、該当の会社に在籍しながら権利を主張すると、社内に波風を起こすことになるので覚悟をしてから臨みましょう。
一般的にはリスクが高い方法と言えるでしょう。
労働基準監督署へ申告する
名ばかり管理職が残業手当を獲得する方法の二つ目は、労働基準監督署へ申告することです。
残業手当の支払いが認められない管理職で、その扱いが不当なときは労働基準監督署へ連絡をすることで、調査の結果次第で残業手当が支払われる可能性があります。
法的手段に出る
名ばかり管理職が残業手当を獲得する方法の三つ目は、法的手段に出ることです。
裁判所に労働審判を申し立て、法的に会社と争う手段があります。労働審判は個人で申し立てることもできます。
会社は弁護士を立てるケースが多く、残業代請求では十分な成果が得られないケースが高位になります。
そのときは弁護士に相談することや弁護士を立てることも有効ですが、弁護士費用は高額であることを認識しましょう。
まとめ
名ばかり管理職の年収は、就業規則・社内規定の給与規定に基づき、管理職手当が毎月の月額報酬に加算されます。
管理職手当が月10万円とすると、年収が120万円アップします。残業・休日出勤手当の支給がなくなったとしても、120万円の差は魅力が大きいと言えます。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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