
【航空業界】基幹社員とは?仕事内容と合わせて詳しくご紹介します
各航空会社の基幹社員は、主に総合職と呼ばれています。総合職は、将来的に現場で働く専門職を陰ながらにして支えるスタッフとしての活躍や、会社を支えるマネジメント職への成長が大いに期待されています。長きに渡り、様々なステップを踏むことで、航空人としての総合力が磨かれていき、人としての成長も感じることができます。
はじめに
航空会社の総合職は、「事務職」と「技術職」の2つに分けられます。
総合職は、各航空会社の考え方や制度によって、必ずしも総合職という位置づけが用意されているとは限らず、会社運営をその道の専門職で形成している会社もあります。
事務職、技術職共に、入社から10年程度までは、複数の仕事を通じて、キャリアを積み重ねて航空業界の専門性とマネジメント力の基礎を作り、10年目以降にはキャリアを活かした活躍や、能力の更なる深化をさせていきます。
事務職は様々な部署へ配置転換がなされ、個々によってキャリアパスは様々です。
対して技術職は、航空機整備の幅広い業務を通してキャリアを形成し、エンジニアのプロフェッショナルとして整備に特化した能力を養っていきます。
将来的に総合職は、会社の経営と運営を行う重責を担う部門へと配置され、活躍が期待されています。
ここでは、部門横断的に幅広いキャリアを積んでいく、事務職の仕事内容について触れていきたいと思います。
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事務職の初期配置と仕事内容
総合職の事務職は、各航空会社の方針によりますが、多くの航空会社では、現場で活躍する専門職の部門へ配置されることが常です。
初期に配置される部門は決まっている訳ではありません。
個々によって配属先は異なりますが、主にグランドスタッフ部門(以下、旅客部門)や、運航管理部門に配属されます。配属先では、専門職のスタッフと同様に、航空業界の基礎知識を学び、初期訓練とOJTを経て、現場で慣熟を目指していきます。
グランドスタッフの仕事は、航空券の予約・発券とチェックイン業務、搭乗口改札業務、到着業務を行い、
カウンター責任者(カウンターインチャージ)、ゲート責任者など、各配置における責任者業務を担います。
責任者業務は、各ポジションでの纏め業務が主となり、スタッフの配置決め、オーバーセール(座席数に対して予約数が上回っている状態のこと)の対応や、新人のサポートも含めて幅広い視野と判断力が養われます。
そして最終的には、旅客部門を統括するスーパーバイザー業務も担います。
スーパーバイザーは、運航イレギュラー発生時の代替便への振替方針の決定、臨時着陸便のお客様を目的地へ輸送するチャーターバスの手配や欠航対応の金銭管理など、イレギュラー時の対応をメインとした判断業務が中心となります。
もう一つ運航管理部門は、航空機の運航を地上から支える、オペレーションの中心的存在の部門で、運航を支援する運航支援者(補助者)と飛行実施計画を策定する運航管理者に分かれています。
初期段階では、運航支援者として配属されます。
運航の基礎知識を学び、業務経験を積んだ後に、運航管理者の資格を取得していきます。
運航支援者の仕事は、機長及び運航管理者に対する運航管理の援助として、各種の情報を収集し、機長及び運航管理者に対して主に、以下の情報提供や収集を行います。
- 各種気象情報の収集と提供
- 航空情報の収集
(滑走路の運用状況や航空灯火の状況確認) - 使用機材に関する情報の収集
- お客様及び搭載手荷物に関する情報の収集
- 航空機の重量及び性能計算
運航支援者の業務を最低でも1年以上行い、国家資格である運航管理者を取得した後に、運航管理者の主な仕事である飛行実施計画書(フライトプラン)の作成を実施します。
フライトプランとは、飛行機の出発時間、便名、航空機の型式、巡航速度、巡航高度、目的地空港、飛行時間、飛行経路等が記された飛行に関する計画内容です。
初期配置ではこのように、各現場で十分なキャリアを積んだ後に、本人の意向や適性などが考慮されて数年後に新たな部署へ配置転換されます。
キャリア形成期の配置と仕事内容
入社から数年後に、複数の部門を通じて専門性とマネジメント力を確立させていくため、グループ会社への出向や海外配置も含めて多くの部門に配属されます。
初期配置同様に、個々によって配属先は異なり、営業部門、客室部門業務サポート、ダイヤ調整部門など多岐に渡るため、仕事内容については配属先をピックアップしてお伝えしていきます。
営業部門の仕事内容は、主に旅行商品の企画・造成、旅行パンフレット制作や、ツアー料金の単価設定などであり、ツアー商品が1つ出来上がるまでに半年以上かけて行います。
また、飛行機の座席や宿泊施設のお部屋の必要数を、各社と交渉して確保する業務も行います。
客室部門業務サポートは、現場で働いている客室乗務員のサポートを行います。
仕事内容は、航空機の運用計画に基づいて、客室乗務員の乗務スケジュール作成や調整を行います。
当日欠勤など、不測の事態が発生したとしても、便を遅延させることなく複雑な勤務を調整していきます。
ダイヤ調整部門は、航空機のダイヤ編成を行っています。
ダイヤ編成は、航空会社にとって生命線と言っても過言ではないほど、重要な業務になります。
仕事内容は、使用機材や飛行ルートを確定して時刻表を作成していきます。
時刻表完成までには、国土交通省への申請と認可、各空港の離発着数制限による調整などを経て、完成させていきます。
このように、配置転換される部門は様々であることが、お分かりいただけたかと思います。
入社から約10年以上に渡り、様々なステップを踏み、専門性とマネジメント力を養っていきます。
専門性とマネジメントを活かす配置と仕事内容
入社から10年以上になると、各部門で培ってきたキャリアとマネジメント力を発揮する部門へ配置転換がなされます。
キャリア形成期同様に、配置部門は個々によって様々ですが、配置される部門の中でも、中心的存在として実力の発揮が求められます。
仕事内容を簡単に申し上げると、各社との業務提携の調整や、収入の管理など重責ある業務を担当します。
最後に
基幹社員(総合職)の仕事は、個々のキャリアパスによって異なるため、幅広い業務を担当していくことがお分かりいただけたかと思います。
配置転換の多い総合職は、1つの部門にじっくりと腰を据えて、専門性をとことん追求することに限度はあります。
しかし、専門職の職員と同様の教育内容を受け、現場でお客様と向き合っていくことや、職員を全面的にサポートしていくことは、航空人の基礎であり、積み重ねによって磨きがかけられます。
自律的な成長を果たすことができるのです。
多くの部門で様々な苦労を経験してきた総合職こそが、お客様や一緒に働く仲間のことを思いやることができる、航空のエキスパートと言えるでしょう。
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