
【時間外労働と割増率】法定労働時間って?計算方法もご紹介致します
皆さん、時間外労働と割増率の関係についてご存知でしょうか。この記事では、法定労働時間と所定労働時間の違いや、時間外労働の種類などご紹介致します。また、時間外労働の割増率の計算方法や、労働基準法で定める割増率についても解説致しますので是非参考にしてみてください。
労働基準法と時間外労働の割増率
「働き方改革」が推進され、あらゆる法改正が進んでいますが、大きな課題のひとつとして挙げられているのが「長時間労働の是正」です。
労働者を守る法令では、長時間労働つまり「時間外労働」に対してどのような規制を設けているのでしょうか。
今回は、「時間外労働」の種類やその割増率、計算方法について、それぞれご紹介していきます。
まずは、「労働基準法」における定めについて確認しておきましょう。
労働基準法とは
「労働基準法」とは、デジタル大辞泉の解説によると、「労働者の生存権を保障するために、労働契約・賃金・労働時間・休日および年次有給休暇・災害補償・就業規則など、労働条件の基準を定める法律。1947年施行。労基法。」とあります。
つまり、労働者を守るために、労働条件の基準を定めている法律ということになります。
賃金の問題や、労働時間に関しての規制は、この労働基準法で定められています。
労働基準法で定める割増率とは
労働基準法では、労働時間(法定労働時間)は、原則1日8時間まで、週の上限は40時間(特例では44時間)までと定められています。
ここで、36協定を締結し、届け出を行うことで、法定労働時間を超えた労働が可能となります。
この場合に、事業主は使用者に対して、法定労働時間を超えた時間に対する賃金に割増率を加算したものを支給することが義務付けられています。
この割増率は、法定労働時間を超えた時間外労働の種類によってそれぞれ定められており、時間外労働の1日の時間数は分単位把握する必要があります。
時間外労働と割増率の関係
ここでは、「時間外労働」と割増率の関係について確認しておきましょう。
残業はすべて割増か
まず明確に区別する必要があるのが、「法定労働時間」と「所定労働時間」の違いです。
時間外労働として割増賃金を支給することが義務付けられているのは、「法定労働時間」を超えた労働に対してです。
例えば、ある企業で定めている1日の所定労働時間が7時間の場合、9時間の労働に対して「時間外労働」として割増賃金の支給が発生するのは、1時間分です。
これは、「法定労働時間」が8時間だからという考え方になります。
就業規則内で、所定労働時間を超える労働に対して8時間以内であっても割増賃金を支給する取り決めがあるのであれば、この限りではありませんが、労働基準法の取り決めでは、「法定労働時間」を超える残業のみが「時間外労働」とみなされるという点を注意しましょう。
休日出勤と割増率
休日出勤についても、その休日が「法定休日」か「所定休日」かによって、割増賃金の発生の有無が異なります。
労働基準法では、法定休日として「週に1回」、もしくは「4週間に4回」の休日と定めているので、もしこの法定休日に該当する日に出勤した場合は、割増賃金が該当になります。
それ以外の所定休日の出勤については、その出勤によって週の合計労働時間が法定の40時間を越えれば、時間外労働の割増対象として換算されます。
時間外労働の種類、深夜残業と割増率
ここでは、「時間外労働」の種類と割増率について確認しておきましょう。
時間外労働の種類とは
まず「時間外労働」には次の2つの種類があります。
<法定外残業>
「法定労働時間」を超えた労働を指し、割増賃金支給の対象となります。
定められた基準は原則1日8時間以内、1週40時間以内です。
<法内残業>
事業主が定める「所定労働時間」は超過しているが、法定労働時間を超えない労働を指し、この場合は割増賃金の支給は不要となります。
ただし、労働契約で定めた時間以上の労働に対しては、割増のない通常の賃金を超過時間分支払う義務があります。
深夜残業の時間は何時から割増率は?
「深夜残業」と定められるのは、午後10時以降午前5時までの労働です。
この時間帯に労働すれば、自動的に割増率が適用されることになります。
割増率として、0.25倍と設定されており、万一残業が深夜まで続き、法定外残業かつ深夜残業となる場合は、法定外残業の割増率1.25倍に深夜分0.25倍が加算され、1.5倍の割増賃金が該当時間に対し支払われることになります。
時間外労働の割増率の計算方法など
ここでは、時間外労働の割増率の計算方法を確認しておきましょう。
基本的な割増率の計算方法
基本的な割増率の計算式としては、次の方法を使用します。
<1時間あたりの基礎賃金>×<時間外労働(法定外残業)の時間>×割増率(1.25)
※<1時間あたりの基礎賃金>=月給÷1ヶ月あたりの平均所定労働時間
つまり、時給換算した給与額を法定外残業時間に乗じ、割増率をさらに乗じるという計算方法です。
基本的な割増率以外に、深夜残業や法定休日労働、1ヶ月に60時間を超える時間外労働など、労働時間によって割増率が変動します。
基礎部分から除外する手当とは
上記の計算式中の「基礎賃金」を算出する際は、従業員の属性に問わず一律支給されている手当以外は、除外して計算する必要があります。
除外対象となる手当は次の7種類です。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 臨時賃金(結婚手当など)
- 住宅手当
- ボーナス
判断基準として、従業員の属性によって額面が変動するものが除外対象になるということです。
まとめ
長時間労働の是正に向けて、企業だけではなく、厚生労働省・政府が一丸となって対策を講じており、その規制も細分化が進んでいます。
法定労働時間で確実に業務を完了させるための労働環境づくりが、企業の大きな課題のひとつとなっているのです。
従業員にとっては、割増賃金が支払われるのであれば、メリットもあるということで、長時間労働をすることへの抵抗感は弱まるかもしれませんが、長期的な展望かつ、社会全体の情勢を鑑みると、金銭での解決ではなく、抜本的に時間外労働をなくす方法に投資することを、企業だけではなく、労働者も考えていくことが重要な時代になりました。
個々が働き方、そして生産性を意識しつつ、現段階の労働基準法ではどのような規制がされていて、どのように労働者が守られているのかを理解しておくことは、社会人の常識ともいっても過言ではないでしょう。
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