
【中小企業診断士とは?】独学で合格するための勉強法などご紹介
皆さん、「中小企業診断士」についてご存知でしょうか?中小企業診断士とは、その名の通り「中小企業の診断」を行うことができる国家資格です。公認会計士や税理士等と同じ「仕業(しぎょう)」にあたり、中小企業が抱えている経営面の課題に対して、診断し助言を行うスペシャリストです。今回は中小企業診断士に関連する資格・検定についてなど、詳しくご紹介します。
中小企業診断士について
日本には多くの資格が存在していますが、「中小企業診断士」という資格はご存じでしょうか。
ビジネスマンなら1度は耳にしたことがあるかもしれませんが、「よくわからないけど難しそう」や「何を勉強するのか知らない」といった方が多いのではないでしょうか。
今回は、そんな中小企業診断士についてご紹介をしていきます。
中小企業診断士とは
中小企業診断士とは、その名の通り「中小企業の診断」を行うことができる国家資格です。
公認会計士や税理士等と同じ「仕業(しぎょう)」にあたり、中小企業が抱えている経営面の課題に対して、診断し助言を行うスペシャリストです。
「経営コンサルタント」という肩書で活動されている方もいます。
また、経営課題の解決以外にも、企業と行政機関をつなぐパイプ役や、金融機関との連携など、多岐にわたる活動が期待されている資格です。
中小企業診断士の魅力
国家資格である上に難易度が高めなので、中小企業診断士の資格を持っているとあらゆる面で有利に働きます。
- 国家資格なので、クライアントから信用を得やすい
- 難易度が高く、転職する際に有利
- MBA取得の準備段階として効率がいい
なんといっても難易度が高いので、独立開業しないビジネスマンが取得した際にも、上司や周りから一目置かれることは間違いないでしょう。
また、MBA(経営学修士)の試験内容に似ている部分が多く、MBAをいつか受けたいと思っている方は事前学習のつもりで受験してみるのもオススメです。
中小企業診断士になる方法
中小企業診断士になるには、1年に1回実施される試験に合格する必要があります。
ここでは、どのような条件で中小企業診断士の資格取得ができるのかご紹介していきます。
経験や資格、条件
受験資格については特に条件はありません。
社会人経験も問わないため、高校生や大学生でも受験可能です。
締め切り前に申請書類を取り寄せて提出すれば、誰でも試験を受けることができます。
試験科目については後述しますが、一部の科目で受験しなくてもいい「科目免除」が適用される方もいます。
経済学の大学教授や、公認会計士、不動産鑑定士等、該当の資格を既に持っている方は「その科目を受験しなくてもいい」ので、受験前に確認しておきましょう。
関連する資格・検定
中小企業診断士の試験科目は全部で7科目あり、会社の経営に関わるあらゆる分野を広範囲に渡って学習します。
実施科目によっては、既に取得されている資格や検定と関連があることもあり、そうなるとほとんど学習をしなくていいのでラッキーだといえます。
<試験科目> | <関連する資格や検定> | |
1 | 企業経営理論 | |
2 | 財務会計 | 公認会計士、税理士等 |
3 | 運営管理 | |
4 | 経済学・経済政策 |
不動産鑑定士、公認会計士等 |
5 | 経営情報システム | 情報処理技術者試験等 |
6 | 経営法務 | 社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー等 |
7 | 中小企業経営・中小企業政策 |
「企業経営理論」は大学等で経営学を専攻していれば知識を活かすことができます。
また、「運営管理」は工場のラインで勤めている人や、その管理者等は見慣れた図が出題されます。
このように、得意科目があるだけで、後述する勉強時間に余裕が出てきます。
中小企業診断士の難易度
中小企業診断士は一般的に「難易度が高い」と言われています。
元々経営コンサルタントや公認会計士であっても、試験の範囲が広くて深いため、得意科目以外は苦戦するでしょう。
なぜ難易度が高いのか、またその合格率は何%なのか、ご紹介していきます。
合格率
中小企業診断士の試験は1年に1回行われ、以下の様な3段階に分けて実施されます。
それぞれの試験の合格率を見てみましょう。
※数字は2013年~2017年の合格率を参照しています。
- 一次試験(マークシート方式):17.7%~26.0%
- 二次試験(記述・面談):18.5%~24.3%
- 実地試験:未公開のため不明
一次試験はマークシート方式で行われ、全部で7科目あります。
合格点数は100点満点中60点ですが、7科目全てを60点取る必要はなく、全体の60%を取得すれば合格となります。
(つまり全部足して420点になればセーフです。ただし1科目でも30点以下を取ると420点でもアウトとなります)
また、一次試験は1回で7科目制覇せずとも、「科目合格」制度が利用できます。
「今年は財務会計と経済学だけ合格を目指して、他の科目は来年頑張ろう」といった計画を立てることも可能です。
二次試験は記述式となり、あらゆる経営課題に対する経営診断結果を制限時間内に出し、限られた文字数の中でまとめる文章力が求められます。
ちなみに、一次試験を1発合格し、同年に二次試験を受けて合格する「一次・二次ストレート合格率」は毎年約4%となっています。
いかに難易度が高い試験か数字で見てとることができます。
勉強時間
難易度の高い中小企業診断士試験は、勉強時間もかかります。
一般的なサラリーマンが受験する場合、1000時間以上の勉強が必要だといわれることが多いです。
12か月で割ると1か月100時間以上勉強するという計算になり、普段勉強慣れしていない方はこの時点で驚くかも知れません。
勿論この想定勉強時間は、受験者が持っている知識や能力によってピンキリですが、上述した資格取得者(科目免除の方達)以外は広く深い試験範囲に苦戦を強いられることでしょう。
独学で中小企業診断士を狙う場合の難易度
中小企業診断士は、難易度が高いため多くのスクールで講座が開かれています。
スクールや通学期間によりますが多くのスクールが数十万単位の学費を必要としており、なかなか時間もかかります。
それでは、スクールに通わず独学で資格取得を狙う場合、難易度に差はあるのかというとそうでもありません。
中小企業診断士は、学んだ知識を使ってロジカルに答えを導く必要がある試験です。
論理的に考えることが出来れば、独学でも十分に合格可能な内容となっています。
中小企業診断士に独学で合格するための勉強法
試験の合格率からも、いかに難関である試験かがおわかり頂けたかと思います。
ただ一方で、努力次第で必ず受かる試験でもあります。
合格するためにはどのように勉強を進めればよいかご紹介していきます。
独学者で合格するために
・必ず過去問題集を履修する
中小企業診断士は、大手スクール各社が監修した丁寧な説明付の過去問題集が毎年発行されています。
大体の問題集は過去5年分が収録されており、1冊1科目を1周するだけでもかなりの時間を要しますが、最も効率的な勉強方法です。
問題の難易度は年度によって違いがあるものの、おおよその出題傾向は毎年似ており、問題のパターンを知っておくだけでも効果があります。
特に独学で合格を目指す方は、時間の許す限り過去問題を繰り返し解くとよいでしょう。
・一次試験は全科目420点を目指す
幅広い範囲の勉強が必要なので、すべてを1から100まで勉強していたらいくら時間があっても足りません。
合格ラインは60点なので、過去問題集を参考に確実に出る問題を押さえて、取れる問題は必ず正解するのが重要になってきます。
毎年どの科目でも一定数の「超難問」が出題されますが、考えても解けない問題はさておき、60点が確実に取れるよう試験を受けましょう。
・二次試験は時間との勝負
記述式である二次試験は、早い段階で少しでも過去問題に触れておくことが重要です。
人によっては二次試験の問題を読んでいるだけで時間を半分使ったという人もいますので、文章に慣れるということがポイントにもなります。
また、導き出した答えをコンパクトにまとめる文章力が必要になるため、独学でどうしても難しいと感じた方は大手スクールが開催している「二次試験対策」を受講してみることをオススメします。
独学合格のための勉強スケジュール
税理士試験程ではありませんが、それでも膨大な暗記知識を必要とする試験なので、勉強スケジュールを組み間違えると試験1~2か月前に慌てても追いつけないことがあります。
まずは、理解が深まっていないと回答することができない科目に早くから取り掛かることをお勧めします。
特に「企業経営理論」「財務・会計」「運営管理」は二次試験(記述式)に直結しますので、ただの暗記では太刀打ちません。
問題に対する回答を人に説明できるレベルになっているとよいでしょう。
「経済学」は二次試験にこそ出ませんが、丸暗記では解けない内容となっています。
大学等で経済学を学んでいない人は序盤で苦労するかもしれませんが、出題傾向がパターン化していることが多いので過去問題をしっかりと行って克服しましょう。
暗記量が膨大なのが「経営情報システム」「経営法務」「中小企業経営」です。
ほぼ丸覚えと言っていい出題内容なので、試験の1~2か月前から暗記に取り掛かるとよいでしょう。
まとめ
中小企業診断士は確かに難関資格ではあるものの、独学でも努力次第で合格することができる資格です。
独学で合格している方も毎年一定数おり問題集も充実しているので、自分で勉強スケジュールが組める方は是非独学でチャレンジしてみてください。
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