
【監査役の役割を知っておこう!】取締役に対しての監査も業務の一つ
皆さん、「監査役」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?監査役は健全な企業経営を進めていく上で、とても大切な役割を担っていて、実際に監査役の役割を担ったことが無い人には、その仕事内容はイメージし難いものだと思います。今回は、監査役の主な権限や会計限定監査役設置の場合の株主の権限についてなど、詳しくご紹介します。
監査役の役割とは
会社には取締役や役員などの重要なポジションがあります。
労働者として働いている際には、このそれぞれのポジションについても、何となくぼんやりとしたイメージで捉えている人も多いのではないでしょうか。
そんな役員の中でも、監査役はさらに実際の業務ともかけ離れていますので、不透明なところも多いかと思います。
ここでは監査役の役割について、解説していきます。
監査役の基本的役割
監査役の基本的な役割として、会社が健全的に経営されることを目的に設けられています。
監査は、基本的には企業の中では役員と同等のポジションとして扱われますが、立場的には取締役や役員からは独立した立場であり、株主に対して不利益なことが行われていないかを管理・監督・監査を行う立場を担っています。
そして、監査する内容としては大きく分けて、業務監査と会計監査の2つになります。
業務監査と会計監査
監査役が行う職務は大きく分けて「業務監査」と「会計監査」があります。
「業務監査」とは、株主に対して不利益となるようなことが無いように、取締役の職務の執行を監査します。
また、監査役は取締役または役員、労働者に対して、職務内容の報告などをいつでも求めることができます。
そして、その企業が社会の信頼に応え、良質な企業として持続した経営を行っていくように推し進めていく責務をおいます。
「会計監査」とは、計算書類ならびにそれに附属する明細書類の監査を行います。
また、連結計算書類についても監査を行い、報告書などの作成を行うのも監査役の重要な仕事です。
法令で定められている監査役の義務
会社を運営していくにあたり、会社法の元で運営を行っていなかければなりません。
監査役についても、会社法の中で定められている義務があります。
法令で定められている監査役の義務について、内容を見ていきましょう。
取締役会出席・意見陳述
監査役は取締役会への出席が義務付けられています。
これは会社法383条で定められており、取締役会への出席が原則です。
そして、取締役会での意見陳述も規定されています。
ただし例外として、監査役の権限が会計監査に限定されると定款の定めがある場合には、取締役会への出席義務はありません。
計算書類・事業報告・附属明細書の監査
監査役は計算書類やそれに附属する明細書、ならびに事業報告の監査を行うことも義務付けられています。
計算書類とは、損益計算書や書ぬ主資本など変動計算書、個別注記表などと言った書類になり、それに関連した付属明細書もあわせて監査します。
事業報告書も同様に付属明細書とともに監査を行い、株主総会の際には株主に提供される書類として用いられます。
監査報告作成
監査役は、監査報告書の作成も義務付けられています。
監査報告書の内容は、会社の財産ならびに損益状況の全て、また重要な点において適性に表示しているかなどを記載します。
また監査の方法や、もし結果が相当でないと認めた時にはその理由なども記載しなくてはいけません。
株主総会議案・提出書類の調査
取締役が株主総会に提出しようとしている議案内容の監査、ならびにそれに関する提出書類内容についても調査しなければいけません。
万が一、その内容が定款もしくは法令に違反している、または著しく不当な事項であった場合には、その調査結果を株主総会で報告しなければいけないと定められています。
会計監査人が欠けた場合の一時会計監査人の選任
選任していた会計監査人が死亡・辞職・欠格など、なんらかの事情で掛けた場合には、監査役会で仮の会計監査人を選任しなくてはいけません。
仮の会計監査人の基本任期は、次期の株主総会までとなります。
常勤監査役の選定及び解職
監査役会が設置されている場合には、常勤監査役を選定しなければいけません。
また、常勤監査役が死亡・破産手続きの開始決定などといった、何らかの理由で任期途中で退任する場合には株主総会の特別決議にて決議されます。
監査の方針等の調査や監査役の職務執行に関する決定
監査を行うにあたって、監査の基本方針を始めとした年次計画や監査の重点項目・計画といったものを決定しなければいけません。
そして、その監査計画書としてまとめておくことが定められています。
該当した際に必要な法令上の監査役の義務
基本的な監査役の行うべき内容については、上記にてご紹介しました。
以下よりご紹介するのは、不規則的に発生した場合に監査役が請け負う義務について、ご紹介します。
該当した際に必要な法令上の監査役の義務について、解説します。
取締役の不正行為等の取締役会報告
監査役は、取締役の執行内容についても監査する義務があります。
その上で取締役が不正な行為、もしくは著しく当該行為に該当するおそれがあると判断した場合には、滞ることなく取締役会に報告しなければいけません。
万が一、取締役の不正行為を見逃した場合には、監査役にも賠償責任が課せられる可能性があります。
それは、その時に監査役が事実を認識していたかどうかの有無に関わらず、取締役の不正行為に関する監査を怠ったとして、過去に監査役に賠償責任が生じた判例もあります。
株主総会における質問への説明
株主総会において、監査役に質疑応答が求められた場合には、その質問に対する説明をしなくてはいけません。
主な質問として、「監査役の退任および欠席理由」「業績悪化時の監査について」などがあります。
また、稀に監査役の個人的な資質について質問に及ぶことがあります。
このような質問に対する受け答えを行わなくてはいけません。
取締役・会社間の訴訟等において会社を代表
取締役や会社間で訴訟が行われる場合には、監査役が会社側の代表となり行います。
例えば、株主代表訴訟のような、株主が原告となって、会社が取締役の責任を追求するために行われる訴訟の場合には、監査役が会社の代表として訴えを提起する立場となります。
監査役の主な権限とは
続いては、監査役の主な権限についてご紹介します。
取締役の職務の執行を監査する業務監査
監査役は、いつでも取締役に対して事業の報告を求め、必要と判断した場合には取締役会の招集を請求することができます。
監査役の重要な職務に、取締役の監査があります。
健全な会社として業務を推進するために、職務が法に基づいて正しく遂行されているか、また株主に対して損益を与えるような職務が行われていないか、監査する必要があります。
計算書類等の監査を行う会計監査
監査役の主な業務に会計監査があります。
会計監査では、会社が作成した計算書類やそれに伴う附属明細書の監査を行います。
また、計算書類だけでは無く、事業報告書やそれに伴う書類などの監査も実施しています。
非公開会社は監査役の役割を会計監査へ限定が可能
監査役の設置は、全ての会社に義務付けられている訳ではありません。
設置条件を満たす会社のみ、監査役の設置を行わなくてはいけません。
非公開会社の場合には、監査役の役割を会計監査のみの限定することも可能です。
ここでは、非公開会社の監査役の役割限定についてに、説明します。
会計限定監査役とは
監査役の主な業務は「業務監査」と「会計監査」の2つであると、ご紹介しました。
この監査役の役割を「会計監査」業務のみに絞ることが可能です。
会計監査業務のみに絞った監査役を会計限定監査役と呼びます。
なお、会計限定監査役が可能となるのは非公開会社であり、定款によって定めることになります。
会計限定監査役設置の場合の株主の権限
監査役を会計限定監査役に限定した場合、株主による経営監督機能が強化されることになります。
取締役は著しい損害や業績低下となる恐れがある場合には、その事実を株主に報告しなければいけません。
また、株主は企業の営業時間内であればいつでも、取締役会の議事録等の閲覧・模写をすることができる権限を得ることができます。
まとめ
監査役の役割について、まとめました。
健全な経営を行い、またそれを外部にも承知のものとするためにも、企業の中で大事なポジションとなる監査という役。
その役割は重要であり、責任も重いものです。
もし監査役を選任された場合には、きちんと役割を果たして頂きたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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