退職は何ヶ月前に伝える？法律とマナーに基づく適切な期間と手順

退職を伝えるのに適切な時期は、何を基準にするかによって変わります。ここでは「法律」「就業規則」「マナー」「業界の慣習」の4つの視点から、おすすめのタイミングを解説します。

法律で定められた退職の通知期間

民法第627条では、期間の定めのない雇用の解約の申入れ（＝正社員等の退職の意思表明）について、次のように定めています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元：民法 第627条 | e-Gov法令検索｜

上記からわかるように、正社員をはじめとする期間の定めのない雇用契約の場合、退職の2週間前に申し出れば法的な問題はありません。この規定により、労働者は退職の自由を保障されています。

JobQには、次のような質問と回答が寄せられました。

退職したいと申し出たのに、退職できないどころか自然退職を狙われてる様で困ってます。 

現在うつ状態で休職をしていますが、診断書が今月で切れてしまいます。
復職できる状態ではなく、医師からは「再度診断書を出すから気にしなくていい」と言って頂けてますが、会社の方から１ヶ月前の面談を最後に何も連絡がありません。

会社を辞めるのに理由も会社の許可も必要なくて、一方的にこの日に辞めますと言って、その日から行かなければいいだけです。
２週間より先の日付で…続きを見る

回答内で言及されている通り、退職届の提出は必須ではなく、口頭での申し出でも法的に有効です。とはいえ、証拠を残す意味で、書面での提出がおすすめです。

就業規則で定められた退職の通知期間

多くの企業では、就業規則に退職の通知期間を定めています。一般的には1ヶ月前の通知を求めるケースが多いですが、企業によっては2ヶ月前や3ヶ月前の通知を要求する場合もあります。

就業規則は法律より優先されるわけではありませんが、円満な退職のためには従うことが望ましいでしょう。自社の就業規則を確認し、それに沿った行動を取ることが重要です。

マナーとして望ましい退職の通知期間

マナーとしては、一般的に1〜2ヶ月前に退職の意思を伝えるのが望ましいとされています。これは、会社側が後任の採用や、業務の引き継ぎ準備をする時間を確保するためです。

特に重要なポジションや専門性の高い職種の場合は、さらに余裕を持って伝えることが推奨されます。早めに伝えることで、会社との良好な関係を維持しやすくなります。

業界ごとに望ましい退職の通知期間

業界によって望ましい退職の通知期間は異なります。

IT業界や小売業界では1〜2ヶ月前が一般的ですが、製造業や金融業では3ヶ月前が望ましいとされています。これは、製造業では生産ラインのスケジュール調整が必要であり、金融業ではコンプライアンスや規制の厳しさから引き継ぎに時間がかかるためです。

医療業界や教育業界ではさらに長く、3ヶ月〜半年前の通知が望ましいとされています。患者や学生への影響を最小限に抑え、後任の採用や研修に十分な時間を確保するためです。

自身の業界の慣習を把握し、適切なタイミングで退職を伝えましょう。