
【個人事業主の従業員】雇用する際に気をつける点を徹底解説
個人事業主というと1人で仕事をするイメージがありますが、業務が忙しくなれば従業員を雇うこともあります。この記事では、個人事業主が従業員を雇用した際に社会保険や、雇用保険などの詳しいことを解説致します。また個人事業主で従業員を雇った場合、気になる給与の支払いや年末調整について、ご紹介します。
個人事業主で従業員に支払う給料の決め方や年末調整について
個人事業主が従業員に支払う給料の決め方
従業員に支払う給与は、まず各都道府県で提示している最低金銀を上回る金額で設定しなくてはいけません。
例えば、月間売上の何%を給与にするという、いわゆる完全歩合制による給与の決め方の場合には労働基準法に違反することになってしまいます。
最低賃金を上回る固定給を支払い、さらに売上に対する歩合給を支給する分には、問題ありません。
従業員の給与明細や給与計算方法
従業員の給与明細には、その月の労働時間・課税支給額・通勤手当の金額・控除額を記載します。
また、給与とは別ですが、有給休暇があれば残休暇日数なども記載します。
従業員の年末調整はどうすればいいの?
個人事業主は確定申告を行うことで年末調整は必要ありませんでしたが、従業員を雇った場合には年末調整を行わなければいけません。
11月中に必要書類を準備し、12月には年末調整後の所得税を反映させた給与を支払います。
なお、必要な書類とは、従業員が準備する書類(保険の控除証明書や前職の源泉徴収票など)と、雇用主が準備する書類(扶養や雇用の控除申告書など)がありますので、余裕を持って準備しましょう。
個人事業主で雇っている従業員の退職金はどうするの?
従業員が退職するにともない、色々な手続きが発生しますが、その中でも気になるのが退職金の支払いです。
個人事業主の場合でも、従業員が退職する時には退職金を支払わなくてはいけないのでしょうか?
従業員の退職金の相場
勤続年数によって大きく変わる退職金ですが、相場はどの位なのでしょうか。
東京都産業労働局の中小企業への退職金事情アンケート2016年度版によると、平均退職金額は下記のとおりです。
- 勤続3年 23.6万円
- 勤続5年 44.0万円
- 勤続10年 114.8万円
- 勤続15年 225.1万円(大卒および自己都合による退職金平均)
勤続10年を境に大きく変わってくるようです。
個人事業主の元で働いていた従業員の雇用形態にもよりますが、もし社員として働いていいたのであれば、年齢および勤続年数を考慮して支給金額を決定する必要があります。
従業員の退職金の計算方法
退職金には「退職一時金」と「退職年金」があります。
途中で自分の理由で退職する場合には、退職一時金となりますが、この退職一時金でも「基本給連動型」「定額型」「ポイント型」など、いくつか計算の仕方があります。
どの方法を用いるかは、その企業によりますが、今回は一番一般的な「基本給連動型」の計算方法について、ご紹介します。
「基本給連動型」とは、その名の通り、基本給を元に退職金を算出します。
その計算式は、下記のとおりです。
基本給 × 勤続年数 × 給付率 =退職一時金
従業員の退職金は経費になる?
従業員の退職金も、個人事業主の経費として計上することができます。
取り扱いは、通常の給与と同じように経費に計上していただければ結構です。
個人事業主が従業員を雇う場合の雇用保険・労災保険の加入条件
個人事業と言えど、従業員を雇うのであれば雇用保険・労災保険への加入が基本必須となります。
雇用保険・労働保険の加入条件を確認しておきましょう。
従業員を雇う場合の雇用保険の加入条件
雇用保険への加入条件として、週の労働時間が20時間以上なおかつ雇用契約期間が31日以上という条件があります。
以上の条件に該当するのであれば、例え雇用形態は正社員ではなくてパートタイマーとしても雇用保険加入に該当します。
従業員を雇う場合の労災保険の加入条件
労災保険は法人登録していなくても、従業員を1人でも雇ったのであれば、加入する義務があります。
加入条件に労働時間や雇用形態は関係ありません。
働く上で、事故や怪我に備えるための従業員の勤務時の安心を確保するための保険ですので、加入は必須になります。
個人事業主の従業員の社会保険について
社会保険とは、労災・雇用・健康・厚生というそれぞれの保険を総称したものを言います。
先程、労災保険と雇用保険について説明しましたので、ここでは社会保険とは健康保険と厚生年金に戻づいてお話していきたいと思います。
個人事業主は従業員1人で社会保険に加入できる?
社会保険(健康保険・雇用保険、以下略)は、従業員5名以上雇用した場合に、加入する必要があります。
5人以下の場合には、任意加入となりますので、必須ではありません。
個人事業主は社会保険料は経費になる?
個人事業主が従業員に払った社会保険料は経費として計上できます(社会保険料の支払いは、従業員と事業主で半々です)。
ただし、個人事業主が自分の分で支払った社会保険料は経費にはなりません。
確定申告の際に申告します。
個人事業主の社会保険料の計算方法
個人事業主は、健康保険は国民健康保険への加入となります。
国民健康保険は、前年度の年収から算出されますので、個人事業主となった初年度が前年度よりも収入が低い場合には、健康保険の負担額が重荷に感じるかもしれません。
国民健康保険の金額については、各市町村のホームページなどでご確認ください。
また、年金に関しても国民年金への加入となります。
国民年金は、その年によって金額が異なりますが、だいたい16000円前後の負担金を毎月支払います。
個人事業主で働く従業員は有給休暇はどうなるの?
個人事業主の従業員に有給休暇を与えないといけない?
個人事業主や法人、また正社員やパートという雇用形態に関係なく、従業員は有給休暇を取得することができます。
ただし、6ヶ月以上継続して勤務し、かつ8割以上出勤するという条件があります
雇用主は、上記条件に当てはまる従業員には有給休暇を付加しなければいけないと、労働基準法に記されていますので、確認しておきましょう。
まとめ
個人事業主が従業員を雇用した際について、色々な疑問点をまとめました。
個人事業主と言えど人を雇用した時点で、従業員に対する責任が生じます。
保険や税金の関係など、難しいと思う部分も多いかと思いますが、しっかりと確認して、長く勤めてもらえる雇用環境を確保しましょう。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。