
業績連動とはどういう意味か|ストックオプションとの違いなど詳しくご紹介
皆さんは業績連動という言葉の意味を正確に把握できていますでしょうか。今回は業績連動という言葉の詳しい説明や時代と共に変わったところ、ストックオプションとの違いについてまとめました。
業績連動報酬とは
かつて報酬は事前に提示された額をもらうのが一般的でしたが、最近では業績連動報酬を採用している企業が増えています。
業績連動報酬とは、給与や賞与と言った報酬が、会社の業績と連動して決定される報酬制度のことです。
聞きなれない言葉かもしれませんが、簡単に言うとインセンティブや歩合給と似たような意味合いになります。
業績連動報酬の開示について
業績連動報酬を導入するに当たっては、報酬の基準をきちんと開示するよう気をつけなければなりません。
業績連動報酬の算出方法が開示されておらず、報酬の根拠が明確でないと、トラブルの原因になってしまう可能性があります。
業績連動報酬の導入企業について
給与や賞与などで業績連動制を導入している企業は増えており、大手広告代理店の電通の他、オムロン、富士通と言った大企業もまた、業績連動性を導入している企業の一つです。
営業職など多くの企業で導入されている歩合やインセンティブケースは個人の業績と連動している報酬ですが、業績連動報酬といった場合は、主に会社の売上や株か、営業利益などの会社自体の業績と連動しています。
普段支払われる給与を業績連動性にしている場合もありますが、ボーナスを業績と連動して決定している企業が多いです。
業績連動給与とは
業績連動給与とは読んで字のごとく、会社の業績によって給与がいくらもらえるかが決定する給与体制で、主に経営陣である役員給与に用いられています。
業績連動給与の届出について
業績連動給与を用いて役員給与を支払う場合、事前に届出をしなければ、『損金』つまり会社の経費として認められません。
届出は所轄の税務署で行い、さらに有価証券報告書にも業績連動給与の利益についての取り決めを、記載する必要があります。
業績連動給与の開示について
業績連動給与では、給与算出の根拠となる内容を開示しないと従業員とのトラブルの原因になります。
さらに、役員報酬に業績連動給与を用いる場合、内容を開示しないと経費として計上できなくなってしまうので注意が必要です。
業績連動給与の改正について
業績連動給与は、平成29年に税制が改正されるまでは『利益連動給与』と言う名前で呼ばれていました。
また、この税制改正によって以前は非同族会社のみ導入できたのが、非同族会社の完全子会社になっていれば同族会社でも導入できるようになったのです。
さらに、以前は業績の指標が利益のみだったのに対し、株式や売り上げも指標として認められるようになりました。
業績連動賞与とは
業績連動報酬の中で、一般社員にもよく使われているのが業績連動賞与です。
夏季のボーナスは○か月分、冬季は○か月分とあらかじめ決めずに、その時の会社や個人の業績によってボーナスが決定されます。
業績連動賞与の会計処理について
ボーナスの支払いに業績連動型を用いている会社は多く、全体の3割以上です。
業績連動型であっても、固定の場合であっても、従業員の賞与は労働の対価という認識で、働きた期間において計上します。
例えば、11月から4月に働いた分を6月に支給するとしている場合、3月決算の場合は支給の前期の決算で計上しなければなりません。
実際に支払していないものになるので、その分は賞与引当金として計上します。
業績連動賞与の損金とは
業績連動賞与は、会社の業績が良かった時には、利益の一部を従業員に還元するという考え方です。
しかし、従業員の賞与については職務の対価という認識なので損金に算入する方法が一般的になります。
一方で、役員賞与を業績連動にするのであれば、役員報酬と同じように一定のルールに基づき事前届け出をしないと、損金算入ができません。
業績連動賞与の引当金とは
賞与を従業員に支払うとなると、決して少なくない金額が必要となります。
そのため、前もって定期的に少しずつお金をプールしておくのが引当金です。
業績連動型の役員報酬とは
2017年の法人税法の改正を受けて、多くの企業で、業績連動型の役員報酬を導入するようになりました。
それは、役員報酬の体制によっては、損金算入ができなくなる可能性が出てきたためです。
業績連動型の役員報酬の税務について
税法上では、役員報酬は利益の分配とされるのが基本なので、本来は役員報酬分も法人税の対象となってもおかしくありません。
しかし、一定のルールを満たしていて、事前の届け出があれば損金として計算ができます。
そのルールに基づく給与制度がこの業績連動型の役員給与なのです。
他に損金計上できるのは、『定期同額給与』『事前確定届出給与』ですが、それぞれに厳格なルールが定められています。
業績連動型の役員報酬の損金とは
役員報酬を損金として計上するためには、内容の開示をしなければならないと税法で決められています。
まず、肩書ごとに報酬の算定方法を設定しなければなりません。
そして、その算定に関する指標や、算定方法、そして報酬の交付時期にもルールがあり、それを満たさないと損金として算入できなくなります。
役員報酬は、その金額も大きいのできちんとルールを守って損金算入できるようにしましょう。
業績連動型ストックオプションとは
ストックオプションとは、自分の会社の株を事前に決められた価格で購入することができる権利のことを言います。
その決められた価格を株価が上回ったら、その差額分が利益としてもらえるという報酬制度です。
業績連動型ストックオプションとは、この株式購入権の価格を現在の株価に設定されるので、業績が上がり株価が上がると、その分が利益になります。
業績連動型株式報酬制度について
業績連動型株式報酬制度とは、業績連動型報酬の一つで、その報酬が金銭ではなく株式で給付されるものです。
役員報酬にこの業績連動型株式報酬制度を利用する企業が多く、株価が上がれば上がるほど、自分の試算も増えることから、経営のモチベーションアップにつながります。
ストックオプションの種類について
ストックオプションには『業績連動型』や『通常型』の他にも、『株式報酬型』『有償型』という種類があります。
『株式報酬型』は、非常に低い価格で購入権が発行されるもので、株式そのものを報酬でもらうのとほとんど同じです。
また『有償型』は、新株予約券をその時の価格で発行するタイプのストックオプションを指します。
業績連動型株式報酬制度とストックオプションの違いについて
株式報酬制度とストックオプションの大きな違いは、ストックオプションはあくまで株価を購入する権利である点です。
ストックオプションの場合、株価が規定値を上回らないと権利を行使することができませんが、株式報酬制度であればその時点で業績に応じた額の株を受け取ることができます。
まとめ
報酬の支払いを業績と連動させる企業は増えており、何らかの業績連動性を用いている会社は全体の3割以上に上ります。
業績連動報酬は、社員のモチベーションアップにも繋がるほか、業績連動型にすることで役員給与を損金算入できることがメリットです。
メリットの多い業績連動報酬ですが、明確な算出ルールを作り、その内容を開示しなければなりません。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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