
新卒フリーランスはあり?やめとけと言われる理由や末路を解説
フリーランスやパラレルワーカーが増える中、新卒でフリーランスになる場合は「やめた方がいい」と思われることも少なくありません。この記事では新卒でフリーランスになるメリットや、「やめとけ」と言われる理由について詳しく解説します。
会社員とフリーランスの違い
会社員とフリーランスは、働き方だけでなく収入を得る方法や社会保障といった面で条件が大きく異なります。それぞれの特徴や違いは以下の通りです。
【フリーランス】
- 働き方:個人事業主
- 収入:業務委託などで事業報酬を得る
- 社会保障:国民年金保険、国民健康保険
- 福利厚生:なし
- 確定申告の義務:あり
【会社員】
- 働き方:企業務め
- 収入: 毎月固定の金額が企業から支払われる
- 社会保障:健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険
- 福利厚生:あり
- 確定申告の義務:原則なし(人によっては申告義務が発生することもある)
フリーランスと会社員では、平均年収に大きな開きがあります。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリアフリーランス協会「フリーランス白書2020」によると、フリーランスの平均年収は約200万円でした。一方、会社員(正社員)の場合、国税庁の調査で平均年収は約508万円と示されており、フリーランスと会社員では2.5倍も収入に差があることがわかります。
他にもフリーランスと会社員の違いに、収入の取得方法が挙げられます。
会社員は毎月固定の収入を受け取る「月給制」や「年俸制」が採用されている一方、フリーランスは基本的に成果報酬制です。成果物を提出することで、その内容に見合った金額を得るという仕組みになっています。他にも自分が開発しているサービスなどから得た報酬を受け取る場合もあります。
このようにフリーランスは成果物の量や完成度によって得られる報酬が変わるため、豊富な知識や高い能力を有する方に向いています。
参考:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリアフリーランス協会「フリーランス白書2020」
参考:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」
新卒でフリーランスになるメリット
新卒でフリーランスになることで、具体的にどのようなメリットを享受できるのでしょうか。ここでは、新卒でフリーランスを選ぶメリットを4つ紹介します。
働き方を自分で決められる
働く時間や場所を自分で決められるのはフリーランスならではのメリットです。会社員になるとほとんどの時間を会社に奪われることから、自由がなくなり窮屈に感じる場面が必然的に多くなります。
特に、大学院進学や起業といった目標がある場合などは、息苦しさを感じる方が多いかもしれません。
その点、フリーランスであれば「今月は1週間の連続休暇を取ろう」「平日の9時から2時の間だけ働きたい」といったように、自由に働き方を決められます。
自宅でできる仕事がほとんどで、通勤の必要もありません。また、どのような仕事を請け負うかについても自分で選択できます。やりたくない仕事は断ることも可能です。
ただし、働き方によっては会社員よりも長い時間仕事をするケースもあります。自由度が高いからこそ、自分でスケジュールを管理する能力が必要となります。
得意なことでお金を稼げる
好きなことや得意なことを仕事にできるのもフリーランスの魅力です。やりたくない仕事に就いてもストレスを感じやすく「何のために働いているのだろう」「仕事を辞めたい」と悩むことになるでしょう。
特に在学中から自分のスキルで仕事を行い、収入を得ていた人にとっては、会社に就職することがリスクに映るかもしれません。
一方、フリーランスとして好きなことを仕事にすれば、やりがいを感じられやすくなります。毎日「仕事をしたくない」と感じる機会が減り、生き生きと働くことができるでしょう。
また「得意なことを仕事にする」→「生き生きと働く」→「パフォーマンス力が向上する」→「利益が増える」といったように好循環が生まれることで、収入の増額も期待できます。
就職活動をしなくて済む
就職活動にかかる負担を軽減できるのは、学生にとって大きな利点となるでしょう。
就職活動では「自分は社会に必要とされていないのでは」「こんなに採用をもらえないなんで自分に魅力がないのでは」といったように、精神的なストレスを感じる方も少なくありません。「何十社とエントリーしたのに、数社しか採用をもらえなかった」というケースもあります。
一方、フリーランスは個人事業主とも呼ばれており、企業に属する必要がないため就職活動をする必要がありません。「落ち込んだり傷ついたりしたくない」「面接で人前に出るのが怖い」などと、就職活動に対する不安を感じている方にとってストレスを軽減させる方法の1つとなります。
ただし、フリーランスとして仕事をもらうためには、企業にかけあったり人脈を広げたりする必要があり、営業活動や対人コミュニケーションは必須です。
時には就職活動よりも辛いと感じる場面もあるかもしれません。そのようなことも覚悟の上、フリーランスになる必要があります。
新卒社会人よりも稼げる可能性がある
フリーランスは実力次第で初任給よりもお金を稼げることもあるため、高いスキルや専門的な知識を持っている方に適した働き方です。日本では年功序列制度は崩壊しつつあるものの、経過年数と共に給与が増加していく仕組みは未だに残っています。
そのためある程度の年齢や役職を与えられるまでは、そこまで大きな金額を得るのが難しい傾向にあります。
実力のある社員が思うように活躍できないというケースも多く、「給料が変わらないなら頑張る必要もない」と感じる方は少なくありません。
しかし、フリーランスでは頑張れば頑張った分だけ報酬を受け取れます。仕事量や報酬次第では、新卒社員の平均年収を超えることもあるでしょう。
新卒フリーランスはやめとけと言われる理由
新卒フリーランスは「自由」「やりがいがある」といったイメージから、憧れを抱く方も多いでしょう。しかし実際は、「やめたほうがいい」という意見を聞くことも多く、フリーランスにはデメリットもいくつかあります。
なぜ、新卒ならフリーランスにならないほうがよいと言われるのでしょうか。ここでは、フリーランスのデメリットやリスクについて解説します。
新卒カードが使えない
日本では新卒入社が一般的です。若くフレッシュで、長く企業に勤められるという魅力は、企業にとって大きなメリットとなっています。
転職活動においては経験やスキルが求められる一方、新卒採用はポテンシャルで判断されることが多いのが特徴です。
終身雇用制度がなくなった今でも、「新卒」「第二新卒」は就職時のアピールポイントとなっており、新卒の方が大手企業や優良企業にも入りやすい傾向にあります。
しかし、新卒ブランドを利用できるのは、大学や高校を卒業してすぐの時期だけです。 一度フリーランスになると、新卒のアドバンテージがなくなるため、就職が難しくなる可能性があります。
収入が不安定
会社員は月給制や年俸制などが採用されているケースが多く、休日数や仕事内容に関わらず固定の給与が支払われます。一方、フリーランスの仕事は基本的に成果報酬制です。
成果物を納めその対価として報酬が支払われるか、自ら運営したサービス等で得た報酬を受け取ります。
提出できる成果物が少なかったりクオリティーが低かったりすると、報酬が低くなる可能性があります。また、病気や家庭の都合などでお休みをするとその分収入が減るため、会社員に比べると収入に安定性がありません。
収入が不安定であるという理由で、クレジットカードや住宅ローンなどを組むのが難しくなるケースもあるため注意しましょう。
キャリアを築きづらい
キャリアを築きづらくなるのも、フリーランスのデメリットです。正社員の場合は職歴にカウントされるため、社会経験や経歴を生かして、キャリアアップを目指した転職も可能です。
しかし、フリーランスでの勤務経験は、職歴とみなされない場合が多く、いつか会社に就職したいと思っても履歴書のブランク期間が仇となり書類選考で落とされるリスクがあります。
独立してスキルや知識が身についても、アピールできる機会がなくなれば能力を活かすチャンスも減ります。 将来的に会社員になる可能性がある方は、デメリットも考慮して慎重に判断しましょう。
仕事を教えてくれる人が居ない
会社員の場合、通常は先輩社員や上司から、社会人としての基本的なマナーやルールを教えてもらいます。特に新入社員の時は研修も多く設定されており、学びながらゆっくりと仕事に慣れていくことできます。
しかしフリーランスでは、会社員のように1から仕事を教えてくれる人はおらず、仕事上の必要なスキルや知識も全て自身で学んでいく必要があります。
そのため「困ったことがあっても、誰にも質問できない」「空き時間に勉強をして、新しい知識を補充するしかない」といった事態に陥る可能性もあります。フリーランスになる前に、一度社会に出て、経験や実績を積むのも方法の1つです。
会社員であれば「研修やセミナーなどを受講する」「上司や先輩社員に教えてもらう」など、学習の機会を得られます。能力を向上させてからのほうが独立後に成功できる確率も上がるでしょう。
自分で仕事を探さねばならない
会社務めをする場合、業務は会社から自動的に与えられるため、仕事がなくて困るということはありません。
一方、フリーランスは自分で仕事を探さなければ、仕事(収入)がなくなる可能性があります。時には企業の方と直接会ってミーティングをしたり、積極的に営業活動を行ったりするともあるでしょう。
そのためフリーランスには、コミュニケーション力や前向きな精神、自己アピールする力など積極性が必要不可欠です。会社員よりもこうしたスキルが求められる可能性もあるかもしれません。仕事獲得に向けて営業を行う中で働くことの難しさを実感し、会社員になっておけば良かったと後悔することもあるでしょう。
経理管理で苦戦しやすい
個人事業主として働く場合、確定申告が必要です。確定申告とは所得税額を申告する手続きで、1月1日から12月31日まで間に得た所得の金額と、所得に応じた税金の額を求めて、税務署に申告書を提出します。
確定申告の際は青色申告決算書が必要になることもあり、会計や税務の知識が欠かせません。このような知識がない場合、経理管理で苦戦する可能性があります。
確定申告の内容が間違っていたり無申告になったりすると、税務調査により追徴課税のペナルティが発生することもあるため注意しましょう。
新卒でもフリーランスで活躍しやすい仕事
新卒でフリーランスになる際は、活躍しやすい仕事を選ぶことが大切です。すでにある程度スキルや経験がある仕事だと、なお良いでしょう。新卒フリーランスにおすすめの仕事は以下の通りです。
- エンジニア
- デザイナー
- イラストレーター
- ライター
- 動画編集者
- YouTuber
- インストラクター
- パーソナルトレーナー
「リーダー」や「ディレクション」、「マネージャー」のように他者を統括・牽引するような仕事の場合、経験や実力が不足している方では仕事を獲得するのは難しいでしょう。
未経験から始められる仕事もいくつかありますが、仕事を獲得するには実力が必要となるため、上記のような仕事であっても基本的には経験者の方が有利とされています。
新卒でフリーランスを選んだ人の末路
新卒でフリーランスになった方は、その後どのような人生を歩んでいるのでしょうか。フリーランスになるときだけでなく、なった後の未来も想像しておくことで、自分の理想に叶う仕事かどうかが判断しやすくなります。
新卒でフリーランスを選んだ方のその後について、よくあるパターンを2つ紹介します。
収入が伸び悩む
フリーランスになれるかどうかと、フリーランスとして継続的に収入が得られるかどうかは別の問題です。未経験でできる仕事は、報酬が低く設定されているケースが多く、思うように収入を得られない可能性があります。
収入が伸びなければ、仕事を長く続けるのも難しいでしょう。また、預貯金が思うように進まなければ、家を借りたり結婚したりすることも厳しくなり、将来の計画が狂う恐れがあります。
本気でフリーランスを目指す方は、あらかじめ仕事を獲得するスキル・ノウハウを身につける、あるいは人脈を広げるなどして、スムーズに仕事を見つけられるよう基盤を作っておきましょう。
就職のハードルは高くなる
年齢を重ねてから正社員の仕事を探す場合、就職時のハードルは新卒時よりも高くなります。例えば、25歳で初めて正社員として働く方と、大学を卒業してから3年間別の会社で実務経験を積んできた方では、後者の方が採用をもらいやすいでしょう。
新卒以外の採用では、「経験者のみ」「実務経験3年以上」といったような条件を設定している求人も少なくありません。年齢が上がると即戦力としての期待値が高くなるため、未経験での就職は新卒時よりも難しくなります。
結果として、就職できる企業グレードは新卒時に就職する場合よりも落ちる可能性が高いと考えられます。高収入を目指す方や労働環境のよい職場で仕事をしたい方は、新卒で正社員での就職を検討しましょう。
内定辞退して新卒フリーランスになるのはあり?
職種やスキル、人脈を持っており、すぐにでも一定の収入を稼げるのであればフリーランスになるのも方法の1つです。仕事を始めてすぐに高収入を得る方もいます。
一方、フリーランスになったとしても仕事をもらえる確証がない場合は、一度就職して社会に出るのが得策です。働きながら知識を増やしたりコネクションを作ったりして地盤を固めておくことで、スムーズに独立できるようになります。状況に合わせて的確に判断しましょう。
JobQに寄せられた上記に関するQ&Aをご紹介します。
Q.内定を辞退して新卒でフリーランスになるべきでしょうか?
建築の専門学校を出て今年の4月から建築系の会社に入社することになりましたが、内定承諾後、違う分野の仕事に魅力を感じてしまい、こちらの仕事でフリーランスとして食べていきたいと思っています。
どちらの道を選ぶべきでしょうか?
質問者さんがその違う分野の仕事についてどれだけスキルとコネをもっているかわからないのですが、
すぐに食えるだけの仕事がもらえ…続きを見る
内定を辞退して新卒フリーランスになるのはありでしょうか?
すでに就職活動が終わり内定ももらっているのですが、辞退することを考えています。
理由は2つあって、1つが本当に行きたかった企業ではないこと。
2つ目が、フリーランスの働き方に憧れていることです。
これらの理由から内定を辞退してフリーランスになろうと思っているのですが、この考え方は甘えでしょうか?
新卒フリーランスという選択肢はありなのでしょうか?
全然あり!迷ってるならやってみることをおすすめします!
ぼくも独立経験ありですが、仮に失敗したって…続きを見る
新卒フリーランスは甘くない!就活も視野に入れよう
フリーランスは自由に働けるイメージがありますが、実際は「収入が不安定」「自分で仕事を獲得しなければならない」などデメリットも複数あります。そのため「就職活動をしたくない」といった理由でフリーランスを目指すのは避けるのが無難です。
新卒は仕事の成果はさほど求められず、新しいことをたくさん吸収できる貴重な時期でもあります。新卒カードを活かせば、優良企業に就職できる可能性も高まります。
近年は働き方の多様化が進んでおり、コアタイムを導入したり週3勤務を始めたり副業を解禁したりしている企業もあります。そのような企業に就職できれば、ワークライフバランスを充実させやすいでしょう。
このように新卒ならではの強みがたくさんあるため、まずは正社員就職をしてみてはいかがでしょうか。ぜひ今回紹介した内容を参考に、自分にとって最適な判断につなげてください。
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