
【原子炉主任技術者の資格とは】試験の内容やキャリアパスを解説
震災以降原発の安全性が問われていますが、それでも日本には核のゴミなど解決しなければならない問題が山積しています。そのような状況下で「原子炉主任技術者」という職業の重要性は増していると言えます。この記事では「原子炉初任技術者の資格」について見ていくほか、キャリアパスや将来性を解説します。
原子炉主任技術者の資格について
さて、皆さんは原子炉主任技術者という言葉をご存知でしょうか。恐らく、多くの方にとって馴染みのない言葉だと思います。
そもそも原子炉主任技術者とは、核燃料物質の取り扱いに関する保安や監督を行う技術者のことです。
加工事業者および再処理事業者などは核燃料物質の取り扱いに関しての保安の監督を行わせるために、核燃料取扱主任者免状を有するもののうちからそのような人を選任しなければなりません。
そこでこの記事では、原子炉主任技術者と、原子炉主任技術者になるための資格試験「核燃料取扱主任者試験」について紹介します。
資格の概要
核燃料取扱主任者試験は、筆記による一次試験と、口答による二次試験に分かれています。
試験日程としては、一次試験が1月中旬から下旬、口答試験が6月中旬から7月上旬に行われます。受験地は東京で受験料は52,100円です。
資格取得に必要な条件とは
資格取得に必要な条件として、まず受験資格を説明します。一次試験には特に制限がありません。
二次試験は、筆記試験合格後に6ヶ月以上の原子炉運転実務経験をする必要があり、以下の講習機関で講習過程を修了する必要があります。
- 日本原子力研究所国際原子力総合技術センターの原子炉一般過程
- 日本原子力発電(株)東海研究所の運転研修過程
- アメリカペンシルベニア州・シッピングボート原子力発電所訓練過程
- アメリカテネシー州・オークリッジ国立研究所原子炉技術学校運転管理過程
など10の講習機関があります。
原子炉主任技術者の資格はどうすれば取得できる?
資格取得に必要な費用はどれくらい?
資格取得に必要な費用としては、まず受験に52,100円の受験料がかかります。受験対策としては予備校に通わなくても、テキストなどを用い、独学することができるようです。
ただし、広い試験範囲をカバーする必要があるため、テキストを用いた基礎学習だけでなく本試験に備えた過去問の復習が必要になるでしょう。
資格取得試験の実施概要について
受験資格は先ほど説明した通りで、一次試験では特に定められていません。
試験内容としては筆記試験が3日に分けて実施され、1日目は原子炉に関する法令と原子炉理論2日目は原子炉の設計と原子炉の運転制御3日目は原子炉燃料および原子炉材料と放射線測定および放射線障害の防止について問われます。
また、二次試験の口答試験では原子炉運転の実務知識が問われます。合格基準としては、一次試験では各科目100点満点中、全科目の平均が60点以上であり、科目毎の得点が60点未満が2科目まで、50点未満が1科目までで、かつ40点未満がない者が合格となります。
そのほか二次試験では、各科目100点満点中、60点以上の得点で合格となります。
どんなスキルが必要?試験内容、難易度について
試験内容は先ほど述べた通りです。
- 原子炉に関する法令と原子炉理論
- 原子炉の設計と原子炉の運転制御
- 原子炉燃料および原子炉材料と放射線測定および放射線障害の防止
以上のことが問われます。よって、これらの知識を身につける必要があります。
また、一次試験合格後には実務を経て二次試験に備える必要があり、そこで培った経験を試験で発揮しなくてはなりません。
難易度としてはやや難しいと言われており、近年の合格率は一次試験で13.3%、口答試験で27.6%程度と言われています。
原子炉主任技術者の資格取得後、仕事を見つける方法
原子炉主任技術者の仕事はどこで募集している?
就職先としては、電力会社などが考えられます。原子炉の設置者は、原子炉主任技術者を選任することが義務付けられているため、原子炉のある場所では仕事があると考えて良いでしょう。
原子力発電所で安全を管理する仕事に就きたい人は是非、資格取得を目指してみましょう。
未経験者でも仕事はすぐに見つかる?
未経験者でも仕事がすぐに見つかるかどうかは難しいところです。
しかし現在は原子炉の安全性がより注目されていますので、以前よりは仕事が探しやすい状況にあると言えます。
原子炉主任技術者のキャリアパスや将来性について
原子炉主任技術者の収入や将来性
最後に、原子炉主任技術者の収入や将来性などについて確認しておきましょう。
原子炉主任技術者は電力会社特に発電院で働くことになると述べました。データによれば発電院の平均年収は624万円となっていますので、原子炉主任技術者の給料収入もこれに準じる形となります。
ただし原子力発電だけの平均年収ではありませんので、原子炉主任技術者の平均年収の場合、原子力という危険手当分若干高くなるかもしれません。
また、将来性としてはご存知の通り、現在は以前に増して原子炉の安全性が注目されています。原子炉が存在する限りは安定した職業と言えるでしょう。
ただ、原子炉を完全に撤廃した場合にはなくなる可能性のある職業とも言えます。
どんなキャリアパスがある?具体的な事例を紹介
具体的なキャリアパスとしては、最終的には管理職に就くことが考えられます。
また、専門的な職業なので大学、短大、専門学校などにおいて専門的な知識を持っていたり、博士課程で詳しい研究をすることでその後のキャリアに良い影響を与えることが考えられます。
まとめ
以上、原子炉主任技術者に関する資格やその後のキャリアパスなどについて紹介しました。あまり馴染みのない言葉だと思われた方も多かったと思いますが、理解していただけたのではないでしょうか。
少しでも興味を持たれた方は、さらに詳しい情報を探してみてください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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