
【福利厚生費を解説】どんなルールがあるの?事例と合わせてご紹介
皆さん、福利厚生費についてご存知でしょうか。この記事では、福利厚生費や、福利厚生費と法定福利費との違いなど詳しく解説致します。また、個人事業主における福利厚生費や、福利厚生費の事例についても具体的にご紹介致しますので是非参考にしてみてはいかがでしょうか。
福利厚生費について
まずは福利厚生費とはどういったものなのかを説明したいと思います。
福利厚生費とは
福利厚生費とは、住宅補助や社員旅行のように会社が従業員の生活向上や労働環境改善することを目的にした支出費用のことを指します。
経理上、使用した経費をどのような科目で計上するのかとなった際に、福利厚生費という科目があり、計上することができるという認識を持ってもらえたら問題ありません。
福利厚生費の種類は?
では、福利厚生費にはどのようなものが該当するのかについて列挙いたします。
以下のようなものが会社が福利厚生費として計上されます。
- 慶弔見舞金
- 通勤費
- 健康診断費用
- 忘年会、新年会、社員旅行等の費用
- 社宅
- 食事代の補助
- 外部の福利厚生サービスの利用費
福利厚生費として計上できるものは非常に多岐にわたります。
ただ、福利厚生費として計上できるものは、多岐にわたりますが平等かつ妥当な金額であるということが必要となります。
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福利厚生費と法定福利費との違いについて
法定福利費とは法律で、会社が必ず福利厚生費として負担しなければならないと義務付けているものを指します。
これに該当するものは以下の4点です。
- 健康保険
- 介護保険
- 社会保険
- 労働保険
すなわち、各種保険=法定福利費の認識でいてもらえたら問題ありません。
福利厚生費の事例について
次に福利厚生費の事例をご紹介します。
福利厚生費を経費として計上できる要件について
福利厚生費を計上するためには上述でもお伝えした通り、平等で妥当性のある金額であるという要件が整っていることが求められます。
原則、全社員が福利厚生費を受ける対象でなければならない、一部の社員だけしか対象にならないというのは福利厚生として成立しないというのが税法上のルールとなっています。
また、高額すぎる福利厚生費というのも税務調査においてひっかかってきます。
何をもって高額すぎるというのかは主観によりますし、具体的な金額が定まっている訳ではありませんので、経費をチェックする経理担当者等は会社の規定と常識的な感覚をもって経費処理にあたることが求められます。
福利厚生費の事例は?
では、福利厚生費に関してはそれぞれどのようなルールがあるのか、事例とあわせて説明をさせていただきます。
- 健康診断費用
全役員、従業員が健康診断の対象者となり、全員分の費用を負担する、また健康診断を受けた全員分の費用を会社が負担する、また健康管理上必要とされる程度の常識の範囲内の費用であることが健康診断においては必要な要件です。
- 社員旅行の要件
社員旅行に関しては、他の福利厚生費より高額になるためか、要件が細かくなっています。
実際、旅行期間が4泊5日以内、また、全社員数の50%以上が旅行に参加しているか、役員のみの参加になっていないか、旅行に行かなかった人に現金を支給しないか、接待ではないかといったことが要件として挙げられます。
福利厚生費と税金について
では、福利厚生費と税金の関係についても言及いたします。
損金に算入できる福利厚生費とは?
まず、前提として、税金は利益に対してかかります。
裏を返せば費用として使ったものに対しては原則税金はかかりません。
つまり、損金、すなわち利益と見なされない使ったお金に該当するか、利益として税金対象になるかが論点となります。
では、福利厚生費が損金としてみなされるのか否かについては、結論上述に該当する以下の要件を全て満たせば損金としてカウントされます。
- 役員を含めた会社の全従業員を対象とするものであること
- 支出する金額がおおむね一律で費用が高額ではなく、一般常識の範囲内であること
- 現金支給ではないこと
まずは以上をご理解ください。
忘年会や新年会の飲み会費用を会社が負担する場合は?
結論、上述の3要件が揃えば損金として処理することができます。
具体的に言えば、全社員を対象に実施され、費用負担が一律であり、かつ負担金額が、一般常識から外れなければ損金として計上ができます。
逆に役員や管理職のみが対象となるなど開催範囲を限定した場合は接待費として計上されるため、一部のみ税金控除の対象になります。
従業員等の冠婚葬祭時に慶弔金を支給した場合は?
結婚祝い、出産祝い、香典など、従業員等の慶弔金についても福利厚生費として損金として計上可能です。
慶弔金については、慶弔見舞金規程を定めておき、そこに定めた一般的な金額を支払うことで損金として計上ができます。
なお、他の福利厚生費とことなり、領収書は不要で、支払ったことさえ分かれば問題ありません。
個人事業主と福利厚生費について
では個人事業主における福利厚生費についてお話をいたします。
個人事業主は福利厚生を利用できるのか?
結論から言えば従業員がいれば、個人事業主でも福利厚生費用を利用することができます。
逆に言えば、従業員がいないと福利厚生費を利用できません。
従業員がいるかいないかが焦点となります。
専従者は福利厚生を利用できるのか?
専従者とは、納税者の配偶者や親族で、納税者が営む事業における従業員を指します。
では、専従者は福利厚生費を利用できるのかという点ですが、個人事業主、専従者、以外の従業員が在籍している会社であれば福利厚生費が認められます。
しかし、個人事業主と専従者だけの福利厚生費を利用することはできませんのでその点は認識してください。
交際費や会議費との違いについて
福利厚生費、交際費、会議費については混同しやすい方もいらっしゃるかと思いますので違いを説明いたします。
交際費は、従業員を対象にしたものてはなく、得意先仕入れ先など協力会社を対象にした接待、贈答などを目的とした支出が該当します。
また、会議費とは、対象は従業員、協力会社の方双方が該当しますが、会議室代、資料代、会議時の飲み物代、会議時の弁当代など会議に限定した業務上の支出が該当することになります。
すなわち、従業員に対する慰労、健康増進などを目的にした福利厚生費とは目的や支出対象が異なると言えるのです。
法定福利費の計算について
最後に、法定福利費の計算についてお伝えいたします。
法定福利費の計算方法は?
結論から言えば、法定福利費は労務費×対象となる保険の企業負担料率で計算することができます。
例えば40万円の月収の方がいて、その方の健康保険の負担については月収に応じて以下の掛け率で計算していきます。
- 健康保険:5%
- 厚生年金:9,15%
- 労災保険:0,3%
- 雇用保険:0,6%
以上を計算すると、一人辺り約6万円程度となり、後は各従業員分の計算をして全法定福利費を算出するということになります。
法定福利費の内訳明示をした見積書の作成手順とは?
建設やITなどの請負業であれば、見積もりのなかに作業にかかる費用の他、法定福利費の請求を行うこともあります。
その場合は、人件費を計算し、法定福利費を算出した上で見積書にその算出ロジックを組み込み、請求書を作成することになります。
一般的な労務であれば、法定福利費を計算して、経理に回すという流れになりますが、自社が行っている事業においてはこういった法定福利費を請求するということも頭の片隅においてもらえたら問題ありません。
まとめ
福利厚生費とは従業員が安心してまた長く働けるように会社が拠出する費用で平等でかつ常識的な金額であれば経理上損金として課税対象にはなりません。
法定福利費はともかくとして前提として利益がないとなかなか拠出できないものですが、従業員のモチベーション維持と税金対策として有効です。
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