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消費者庁 業界研究

消費者庁の業界研究|就活に役立つ事業構造・将来性・働き方など徹底解説します

近年、消費者の利益を侵害する事件が相次いでおり消費者庁の役割は増大しています。消費者庁は比較的若い庁ですが、国民生活に密着した業務を展開しており、やりがいを感じて仕事に従事できます。この記事では消費者庁の採用ホームページや白書、所管法令などを参考にして、消費者庁の役割や官僚の仕事内容について解説し、官庁訪問対策についてアドバイスをしています。ぜひ最後まで読んで官庁訪問対策を万全にしてください。

消費者庁とは

消費者庁は消費者の利益の擁護及び増進、商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保並びに消費者生活に関連する物資の品質に関する事務を行うことを目的として2009年に関連法が成立し、内閣府の外局として発足しました。
発足時の定員は202名でしたが、消費者庁が直面する政策課題は年々増大しており、現在の定員は370名、9課2参事官体制となっています。

消費者庁及び消費者委員会設置法を根拠として創設されており、同法の第三条には以下のように規定されています。

消費者庁は、消費者基本法(昭和四十三年法律第七十八号)第二条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのっとり、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、消費者の利益の擁護及び増進、商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保並びに消費生活に密接に関連する物資の品質に関する表示に関する事務を行うことを任務とする。

消費者問題は私達が暮らす社会で豊かで便利になるプロセスと共に始まりました。
日本においては戦後の経済成長時代に多くの消費者問題が顕在化しています。
戦後直後は生活物資の不足や物価高騰といった課題が中心でしたが、高度経済成長が始まると食品の安全や不当表示といった現代に共通する課題が表れています。
また、経済の成熟とともに製品安全の問題や催眠商法などいわゆる悪徳商法が多く見られるようになりました。
そして、現在は情報化や国際化、高齢化など経済社会の構造変化の中で電子商取引や国境をまたぐ越境取引の分野などで新たな消費問題が生じています。
消費者庁はこうした多様化、拡大する消費者問題に対して、高い専門性を通じて、一元的に対応するために設置された若い省庁です。

消費者庁の役割

消費生活の制度・環境づくり

消費者庁では政府全体の消費者政策を計画的・一体的に推進するため、消費者政策に関する基本的な計画を策定し、策定した計画の検証・評価を毎年行っています。
また、消費者契約のルールや消費者被害の回復の制度等、消費生活に関する基本的な制度や環境づくり、また公益通報者保護制度の普及推進に努めています。
さらに消費者教育の推進に関する法律に基づき設置した消費者教育推進会議等を活用して、消費者教育を総合的かつ一体的に推進しています。
近年では経済の成熟とともに製品安全の問題や催眠商法などいわゆる悪徳商法が多く見られるようになりました。
これに対して、消費者庁は偽装表示などに対応して、景品表示法などの法律を厳正に執行したり、消費税の転嫁を阻害する表示の是正、事業者に適正な表示を促すための法制度づくりを行っています。

地方消費者行政の支援

消費者庁には地方協力課題があり、地方消費者行政に関する政策の企画や立案を推進しています。
地方には消費者庁の相談窓口があり、消費生活の「現場」を支える相談窓口を支援して、困っている消費者の手助けをしています。
関係機関等の間で消費生活相談等により得られた情報を共有しながら、高齢消費者等を消費者被害から守るための地域作りを支援しています。
また、独立行政法人国民生活センターを所管しているのも消費者庁です。

消費者の保護及び権利の擁護

消費者教育推進課では消費者や事業者・行政機関等から、事故情報を集約し、集約した事故情報は、事故情報データバンクに登録しています。
消費者事故に関して、消費者への生命身体被害の発生や拡大を防ぐため、必要な対策をとるほか、消費者庁に設置された消費者安全調査委員会により、生命・身体の被害に関する消費者事故の原因究明を行い、事故の再発を防止し、消費者被害の拡大を食い止めています。
また、近年需要が高まっている取組として子どもの事故を防止するプロジェクトの推進、悪質商法などに対応して、特定商取引法などの法律の厳正な執行、また食品安全に関する消費者の理解の促進や消費者教育の推進を行っています。

消費者庁の仕事内容

消費者基本計画の策定

近年、急速なデジタル技術の発展によって消費生活の利便性が向上した一方で新たな消費者問題も発生しています。
消費者庁では社会経済情勢の変化に応じて、消費者の利益の擁護及び増進のために政府が長期的に講ずべき消費者政策の大綱である「消費者基本計画」を策定しています。
例えば、成年年齢引き下げに伴う若年消費者保護のための施策のとりまとめなど新しい課題に対して、庁全体の取りまとめや消費者のデジタル化への対応や、SNSを活用した消費者相談の在り方の検討など幅広い施策の推進を図っています。

消費生活に関する法制度の策定

消費者制度課では消費者・事業者間の契約取り消しと契約条項の無効について定めた消費者契約法、内閣総理大臣が認定した消費者団体が事業者の不当行為差止や消費者に代わって被害回復を行う消費者団体訴訟制度、内部告発者の保護を通じて企業不祥事による国民の被害拡大を防ぐ公益通報者保護制度を所管しています。
これらの法制度を改善するための検討やさらに活用されるよう周知・啓発を行っています。

消費者教育の推進

2020年に「消費者教育の推進に関する法律」が施行され、消費生活に関する問題は自分だけではなく、社会の問題であると理解し、実践することが定められています。
そんな中で消費者教育を専門的に扱う消費者教育推進課が新設され、高齢者や障害者、若年者をはじめとするすべての消費者に対して、ライフステージに応じた消費者教育の機会を提供するための施策の企画・立案業務、消費者教育を行う現場との連携により、食品ロスの削減など変化する社会問題への対応をしています。

最新のトレンド

新型コロナウイルス感染症の感染拡大と消費の動向

2020年以降の消費生活は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の動向によって、大きく影 響を受けるものとなりました。
緊急事態宣言の発出に伴う外出自粛等の影響により、自宅で過ごす時間が増え、いわゆる「巣ごもり消費」としての支出の占める割合が増加する一方で、外出に関連する支出の占める割合は減少しています。
また、2020年1月以降マスクやアルコール消毒製品などの品薄やインターネット上における高額転売、トイレットペーパー等の買占め等が発生するなど、消費者の暮らしは大きな影響を受けました。
さらには新型コロナウイルスワクチンの接種等の世間の関心が高い話題に便乗した詐欺的な手口に関する相談が寄せられました。
特に、2020年2月頃から市役所等の行政機関をかたって個人情報を聞き出そうとする不審な電話や、「マスクを無料送付する」等の不審なメール等に関する相談がみられました。
同年3月には、行政機関をかたって「検査キット等を送る」と告げて個人情報を聞き出そうとする不審な電話や、治療薬開発を口実にした社債の勧誘等に関する相談もみられました。
さらに同年4月以降に特別定額給付金や持続化給付金の支給が決 定されると、これに便乗した手口もみられました。
また、正規の通販サイトを装った悪質サイト や新型コロナウイルス感染症の予防効果を標ぼうする健康食品等、新型コロナウイルス感染 症の感染拡大に便乗した悪質商法や誇大広告等に関する相談もみられました。
消費者庁は新型コロナウイルス感染症の拡大に乗じ、インターネット広告において、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする健康食品に対し、緊急的措置として、景品表示法(優良誤認表示)及び健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)の観点から表示の適正化について改善要請を行うとともに、SNS等を通じて一般消費者等への注意喚起を行っています。

第4期消費者基本計画が閣議決定

消費者基本計画は消費者基本法に基づき、 長期的に講ずべき消費者政策の大綱及び消費者政策の計画的な推進を図るために必要な事項について、閣議決定で定めるものです。
2020年3月に2020年度から2024年度までの5年間を対象とする第4期消費者基本計画が閣議決定されました。
また、同基本計画を着実に推進するため、同年7月には消費者基本計画工程表が決定されました。
工程表は、同基本計画における政策の基本方針に沿って、消費者が主役となる社会の実現のために重点的に進めるべき施策を5本の柱に整理しています。
その5つとは①消費者被害の防止、②消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進、③消費生活に関連する多様な課題への機動的・集中的な対応、④消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施、⑤消費者行政を推進するための体制整備、となっています。
2020年度、政府は第4期消費者基本計画及び工程表に基づいて消費者政策を推進してきましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、緊急事態宣言が発出されるなどして計画の見直しを迫られています。

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消費者庁の年収

消費者庁単体での職員の年収は非公表ですが、人事局が公表している「国家公務員の業務状況等の報告」を基にすると、国家総合職採用の職員は1年目で300~400万円程度、30代で600~700万円程度、40代から50代で1000万円を超えてくるイメージです。
また、国家一般職については国家公務員25万3132人のうち、一般職にあたる行政職は14万2236人であり、給与は全職員の平均給与は41万6203円で、行政職に限ると40万8868円となっています。

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消費者庁で求められる人物像・スキル

消費者庁はどのような人物を求めているのでしょうか?詳しく解説していきます。

採用実績大学

消費者庁単体での職員の出身大学は非公表となっています。
しかし、人事局が公表している「採用昇任等基本方針に基づく任用の状況」によれば、国家公務員の出身大学は東京大学、京都大学、東京大学大学院、早稲田大学の順番になっています。

志向性やスキル

消費者庁の採用ホームページによれば、消費者庁に採用されるにあたって消費者行政に関する専門的な知識は不要ですが、以下のような志向性やスキルが求められます。

・すべての消費者に寄り添いその目線に立てる想像力

・社会の潮流やニーズを敏感に掴み取る感性

・知恵と能力を総動員して課題解決に当たる信念

・業務を通じて自らも成長しようとする強固な意志

これらの能力を活かして、消費者行政分野だけでなく、エシカル消費や食品ロスの削減、消費者志向経営などの新しい分野で活躍することが求められます。

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消費者庁のES・面接対策

最後に消費者庁の就活対策を解説していきます。
ここが最も重要なところなので、ぜひ参考にしてみてください。

ES対策

志望動機

過去の内定者の志望動機を参考にして志望動機の作り方について考えましょう。

学生時代に食品表示や消費者教育などを含む家庭科教育について学んだことで消費者行政に関心を持ちました。

自分の身近な人が遭った消費者トラブルを消費生活相談員の方が解決まで手助けしてくれたことから消費者庁に関心を持ちました。

身内に振り込め詐欺の電話がかかってきたことがきっかけで消費者問題の悪徳さを知り、今後同様の被害に遭う人を減らしたいという使命感から消費者庁を志望しました。

このように過去の経験や学生時代の専攻から消費者行政に関心をもった方が多いようです。
消費者庁は比較的歴史の浅い省庁であり、ニッチな分野であることから面接でも志望動機については深堀されるようです。
過去の経験を振り返って、消費者庁の所掌事務と関連がないかを考えてみましょう。

関心のある社会問題

消費者庁のエントリーシートには関心のある社会問題や出来事について記載する欄があります。
消費者庁の所掌事務や消費者行政に関することという指定はありませんが、消費者庁のエントリーシートですので、消費者庁に関連する社会問題を記載するべきです。
消費者庁の採用パンフレットや消費者庁が発行している白書を読んだり、消費者庁主催の説明会に参加して、話題になっている社会問題を理解し、自分なりの考えや意見をまとめておきましょう。

面接対策

グループディスカッション

消費者庁の専攻ではグループディスカッションの時間が設けられていることがあるようです。
ディスカッションのテーマは消費者行政に関連する社会問題や消費者庁の政策についてです。
ここでは論理的な思考能力やグループの中で自分の役割を見つける力、組織の合意形成能力などが採点されます。
消費者庁の政策についても最低限の知識がないと難しいでしょう。
消費者庁の採用パンフレットや消費者庁発行の白書を読んで、消費者行政について広く浅い知識を習得しておきましょう。

原課面接

消費者庁では人事面談に加えて、原課面接を実施しています。
原課面接とは消費者庁の現場で働く職員が面接官となって実施される面接であり、職員とのディスカッション形式や職員の担当する政策について説明を受けて、逆質問をしたり、自分の意見を述べる形式、エントリーシートの内容について質問を受ける形式など実施形式は様々です。
原課面接対策として、エントリーシートについては何を聞かれても答えられるようにしておくこと、また消費者庁の所管業務については広く浅く知識を習得しておくことが考えられます。

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よくある質問

理工系や教育系など法律・経済を学んでこなかった学生でも採用されますか?

消費者庁の採用パンフレットによれば、直近5年間の新規採用者の出身学部(専攻)は以下のとおりです。
 

  法律系 政治・経済 教育 理工系 その他
総合職 60% 20% 7% - 13%

一般職

32% 9% 14% 23%

22%


上記のように理工系や教育系の学生の採用実績もあります。
特に一般職は法律系の採用は30%程度にとどまっています。
なお、法律系に関しては消費者行政の企画・立案などに高度な法律の知識を要することから法科大学院終了者も含めて、多くの採用実績があります。
ただし、官庁訪問に臨むにあたって、消費者行政の専門的な知識は必要なく、採用面接であh消費者庁が担う幅広い分野の政策について旺盛な知識意欲を持って学ぶ姿勢、消費者から企業まで様々な方と対話できるコミュニケーション能力とバランス感覚などを評価しているようです。
ただし、消費者庁の職員が説明する政策についてすぐに理解できる程度の基礎的な知識は必要でしょう。

業務において英語力は必要となりますか?

現在、電子商取引や国境をまたぐ越境取引の分野など国際型とでもいうべき消費者問題が顕在化されており、そのような問題への対応に関しては、英語力が要求されることになります。
消費者庁では官庁訪問時に英語力によって足切りラインを設けることはありませんが、英語力向上に向けた意欲は常日頃から持ってほしいと採用担当者のメッセージでも言っています。
なお、消費者庁では職員の英語力向上をサポートするために語学研修なども実施しているようで、入庁後に継続的に英語力を高める環境が整備されています。

採用人数について教えて下さい

年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
総合職 3 3 3 3 3
一般職 4 3 2 7 6
一般職(高卒) 1 4 6 2 5


また、採用後に消費者庁以外にも他省庁(内閣官房、内閣府、金融庁、公正取引委員会、カジノ管理委員会事務局、国土交通省)、地方公共団体(東京都、埼玉県、広島県等)、海外(経済協力開発機構、米国連邦取引委員会)などで勤務することがあります。 

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まとめ

消費者庁は比較的若い庁ですが、役割は年々増大しており、国民生活に密着したところでやりがいのある仕事ができます。
志望する学生のレベルも高くなっており、徹底した就活対策が必要です。
ぜひ記事を読み直して、官庁訪問訪問に備えてください。

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