
正社員の時給換算は安い?計算方法や体験談を徹底解説
「正社員の給料は時給換算は安い?」「給料の時給換算額が低すぎる場合はどうするべき?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。本記事では正社員の給料を時給換算する方法や、時給が最低賃金を下回っているときの対処法を紹介します。
正社員の平均時給はどのくらい?
そもそも正社員の給料を時給換算すると、どのくらいの金額になるのが一般的なのか疑問に思っている人もいるでしょう。
厚生労働省の「令和2年版 厚生労働白書」によると、正社員の全年代の平均時給額は2,005円でした。
年代別の時給額は以下のとおりです。
年齢 | 時給額 |
20-24歳 | 1,333円 |
25-29歳 | 1,569円 |
30-34歳 | 1,784円 |
35-39歳 | 1,982円 |
40-44歳 | 2,139円 |
45-49歳 | 2,291円 |
50-54歳 | 2,476円 |
55-59歳 | 2,477円 |
60-64歳 | 1,994円 |
参考:厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」(P.40)
20代から30代までは1,000円台で、40代以降になると2,000円を超えるようになります。
正社員の給料を時給換算する方法
正社員の給料を時給換算する場合、基本給や手当の金額、労働量をもとに算出していきます。
ここからは正社員の給料を時給換算する方法について解説します。
なお今回紹介するのは、最低賃金以上の時給かを確認する方法をもとにした、時給算出方法です。そのため最低賃金を算出する際に対象とならない賃金は除外して計算します。
時給換算する際に必要な情報
正社員の給料を時給換算するときは、事前に以下の情報を調べておきましょう。
- 基本給の金額
- 時給換算に含めない手当の金額
- 1年間の所定労働日数
- 1日あたりの所定労働時間
時給換算に含めるのは、賃金全体のうち所定内給与の「基本給」と「諸手当」にあたる部分です。
しかし諸手当の中でも「精皆勤手当」や「通勤手当」、「家族手当」などは含めないため注意が必要です。
また「時間外勤務手当」や「休日出勤手当」、「深夜勤務手当」は所定外給与のため、こちらも計算の対象外となります。
参考:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」
正社員の時給算出方法
では実際に自分の給料を時給換算してみましょう。
計算方法は以下のとおりです。
- 「基本給」の金額から「時給換算に含めない手当の金額」を差し引く。
- (1)×12カ月を計算し、年間の給与額を算出する。
- 「1年間の所定労働日数」×「1日あたりの所定労働時間」で1年間の総労働時間を算出する。
- (2)÷(3)で時給換算額を計算する。
以下は時給換算額の計算例です。自分の時給換算額を算出する際の参考にしてください。
- 基本給の金額:30万円
- 時給換算に含めない手当の金額:5万円
- 1年間の所定労働日数:250日
- 1日あたりの所定労働時間:8時間
- 30万円-5万円=25万円
- 25万円×12カ月=300万円(年間の給与額)
- 250日×8時間=2,000時間(年間の総労働時間)
- 300万円(年間の給与額)÷2,000時間(年間の総労働時間)=1,500円/時間
この例の場合、時給換算額は1,500円となります。
自分の時給換算額を算出し、平均時給額と比較して高いか低いかをチェックしてみましょう。
参考:厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」
正社員の給料を時給換算した時のチェックポイント
「自分の給料を時給換算してみたけれど、良いのか悪いのか分からない」と悩む人もいるかもしれません。
ここからは正社員の給料を時給換算したときに確認すべきポイントを紹介します。
自分の時給を評価するときの参考にしてください。
労働量に応じた給料が支払われているか
自分の給料を時給換算したら、問題なく労働時間分の給料を受け取れているか確認しましょう。
固定残業代制度を導入している企業では、一定時間分の残業代を毎月給料に含めています。
たとえば20時間の固定残業代が支給されている場合、実際に残業した時間が20時間を超えていても超過分については給料が発生しません。
この場合は労働時間に対して時給が低くなるケースが多く、給料が労働量に見合わないこともあるでしょう。
年収額と時給のバランスは悪くないか
給料を時給換算したときは年収額と時給のバランスを見ることも大切です。
今回紹介した時給換算の方法では所定外給与を含めないため、時間外勤務手当や休日手当は時給に反映されていません。
そのため年収に対して時給が低い場合は、残業が多すぎる可能性が高いでしょう。
年収額と時給のバランスが極端に悪い場合は、残業時間や働き方を見直すことをおすすめします。
時給が最低賃金を下回っていないか
自分の時給換算額が最低賃金を下回っていないかチェックしましょう。
正社員の給料の時給換算額が最低賃金未満なのは違法であり、本来会社は差額を社員に支払う必要があります。
特にブラック企業の場合、年収が高くても拘束時間が長く、結果的に時給が最低賃金を下回るケースも少なくありません。
住んでいる地域の最低賃金と自分の時給換算額と見比べてみましょう。
正社員の時給が最低賃金を下回るのは違法!
時給換算額が最低賃金を下回るにもかかわらず、会社が差額の支払いに応じない場合は、最低賃金法に基づき罰則(50万円以下の罰金)を受ける可能性もあります。
最低賃金はどのように調べればいいのか分からない方向けに、最低賃金制度の概要について紹介します。
最低賃金制度とは
最低賃金制度とは「最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度」のことです。
引用:厚生労働省「最低賃金制度とは」
最低賃金は「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類に分かれています。
「地域別最低賃金」とは都道府県内のすべての労働者とその使用者に対する最低賃金のことです。
地域別最低賃金は都道府県ごとに1つずつ定められており、産業や職種に関係なく適用されます。
「特定最低賃金」は特定の産業における最低賃金で、2023年6月現在、全国で228件設定されています。
地域別最低賃金よりも高い水準の金額を定める必要があると認められた産業に設定されるものです。
参考:厚生労働省「最低賃金の種類」
最低賃金の調べ方
最低賃金を調べるときは厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」「特定最低賃金の全国一覧」を確認しましょう。
自分の勤務先の住所がある都道府県のものが適用されます。
たとえば2023年6月時点での東京都の最低賃金は1,072円で、全国で最も高い水準となっています。
特定最低賃金が適用される業種もあるため、自分の勤務先が該当するか確認してみましょう。
正社員の時給が最低賃金を下回っている場合の対処法
給料の時給換算額が最低賃金を下回っていた場合はどうすればいいのか悩む方もいるでしょう。
ここからは正社員の時給換算額が最低賃金未満だったときの対処法を紹介します。
会社に交渉する
時給換算額が最低賃金を下回る場合は、まず会社に昇給を交渉してみましょう。
会社に相談しても昇給に対応してもらえない場合は、労働基準監督署に相談する選択肢もあります。
厚生労働省ホームページに記載されている相談窓口に連絡することも検討しましょう。
副業して収入を増やす
時給が低く年収に影響している場合は、副業で収入を得るのも有効です。
平日の就業前後や休日のすきま時間を活用することで、副業分の給料を毎月の収入に上乗せできるでしょう。
最近では在宅ワークなど、仕事と並行して行える副業も増えています。
ただし副業を始めるときは、会社の就業規則を確認して副業しても問題ないことを確認してください。
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▶【正社員で副業】おすすめや会社にバレない方法まで徹底解説します
転職を検討する
時給が低く年収が上がらない場合や、年収が高くても残業が多すぎる場合は転職することもおすすめです。
時給換算額の高い会社に転職することで、モチベーション高く仕事に取り組めるようになるでしょう。
転職先を選ぶ場合は年収額や給与体系だけでなく、自分が働きやすい環境かどうかを見極めることが大切です。
転職エージェントを活用してプロに相談すれば、納得のいく転職ができる可能性が高くなります。
また求人数の多いタイミングで始めるのも、転職活動を成功させるポイントの一つです。
転職は情報戦でもあるため、今すぐに転職をしなくとも少しずつ情報収集から始めておくと、いざ転職をしたいと思った時に役立つでしょう。
正社員の時給に関する体験談
ここからは正社員の時給換算に関して、JobQに寄せられた質問をもとに体験談を紹介します。
給料が業務量に見合わないなら転職がおすすめ
自分の給料を時給換算して、業務量に見合わないと感じるときは転職を検討しましょう。
業務量に見合わない給料。転職するべき?
私はある大手の事務員なのですが、残業時間によって差は出ますが基本給などが変わらないので、納得できません。
同じ時間でもこなしている業務量に差があるのだから給料に差が出てもおかしくないと思うのですが、年に1度昇給があるのですが、金額が一律で決まっています。
どの会社も仕事ができるできないに関わらず、給料は一律なのでしょうか。
営業職はインセンティブがあると聞いたのですが、時給換算すると残業代とほとんど変わりませんでした。
キャリアのことを考えると転職するのが良いのでしょうか。
新卒2年ということを考慮して回答いただければ幸いでございます。 ご回答よろしくお願い致します。
納得出来ないなら転職してみれば良いと思います。
仕事が出来て、成果を出す人材に処遇に差をつける有名企業(特に外資系など)は沢山あります。
しかし、自分の方が出来るって言うのは、…続きを読む
JobQに寄せられた質問への回答を見ると「今の環境や待遇に納得できないなら転職すべき」といった意見が複数ありました。
正当に評価してもらえる会社に転職すれば、仕事への意欲やモチベーションも高まるでしょう。
企業は月給と賞与の割合や手当、残業時間などから総合的に判断すべき
転職を検討する際は年収額だけでなく、給与体系や残業時間などを確認することが大切です。
年収が900万で残業時間が40時間の企業と年収が800万で残業時間が5時間の会社ならどちらが良いと思いますか?
平均年収と平均残業時間について教えてください。
平均年収が900万で平均残業時間が40時間の企業と、平均年収が800万で平均残業時間が5時間の企業は、実際どちらが給与は良いのでしょうか。
転職先の候補で上記のような2社で悩んでいます。
年収が高い方が良いのはもちろんなのですが、時給換算した時に高い方が良いのではと思ったりしています。
皆様はこの関係性にどのような印象をお持ちでしょうか。
可能であれば、月給と賞与の割合、福利厚生(住宅補助、扶養手当など)、退職金などを総合的に判断した方が良いです。
待遇の比較の際においては。 月給が高く、賞与の割合が低い場合、…続きを読む
年収が高くても残業時間が多い場合は、時給換算額が低くなる可能性があります。
将来管理職にキャリアアップしたときのことも考慮しておくと、後悔のない転職ができるのでしょう。
内定先が最低賃金以下!賃金に納得いっていないから質問すべき
転職で内定が得られた際は、提示された賃金と勤務時間をもとに時給を算出することをおすすめします。
中にはJobQに寄せられた以下の質問のように、最低賃金以下の場合もあり得ます。
内定先が最低賃金以下なのですが転職希望先に質問しても大丈夫ですか?
内定をいただきましたが、基本給から計算してみると最低賃金以下の金額になりました。(前職で給与計算を担当しておりましたので間違いはないかと思います)
職務の内容などは希望と合致しているので悩んでいます。
この件について内定をいただいた企業に質問してもいいものなのでしょうか?
あなたがその賃金に納得してないならミスマッチを防ぐ為に聞くべきですし、納得しておらずともどうしても内定が欲しいなら…続きを読む
今回の質問のように、賃金に納得がいっていなかったら事前に企業に聞く方が良いでしょう。
入社後になって賃金について相談しても、改善される可能性は少ないと考えられます。
正社員の時給換算額が低いときは転職を検討しよう
本記事では正社員の時給換算方法や、最低賃金を下回っている場合の対処法を解説しました。
月給制の正社員であっても、時給換算額が最低賃金より低いのは違法です。
もし自分の時給換算額が最低賃金を下回る場合は、転職を検討するのがおすすめです。
転職先を決める際は年収額だけでなく、給与体系や残業時間、労働環境などを総合的にみて判断しましょう。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。
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約90%の質問に回答が寄せられています。