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降格処分 とは

降格処分とは?退職処分との関係性や労働基準法の観点からも徹底解説

降格処分とは一体どのようなものなのでしょうか?降格処分の場合は減給されることもあるので、この記事では言及についても書いていきます。さらに気になる労働基準法との関係性についても書いていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

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降格処分とは?

降格処分とは

降格処分とは、『役職や職務上の資格を下げることにより、社内での地位を下げること』を指します。

なんとなく意味は分かっていても、実際に体験した人も少なく、詳しくはその内容が分からない人が多いのではないでしょうか。

そこで降格処分について、詳しく紹介していきます。

降格処分には、大きく分けて2種類あります。

まずは『懲戒処分による降格』です。

これは、規律違反をした従業員を制裁するための懲戒処分として降格を行うことです。

会社の規則とは、すなわち就業規則のことを指します。

つまり、就業規則を破ったことに対する罰とする降格処分です。

この懲戒処分による降格をする場合は、就業規則にその根拠が明記されていて、処分に合理性・相当性が認められる必要があります。

次に『人事権の行使による降格』です。

これは、会社がもともと持っている従業員の配置を決定する権利(人事権)によって降格することです。

適性や能力の不足を理由に、その役職にふさわしくないと判断した際の降格です。

この降格は、就業規則に明記されている必要はなく、原則として会社の自由な判断として行うことができます。

しかし、処分の合理性は必要で、妊娠・出産・退職などは降格の理由として認められませんし、極端な降格もすることができません。

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降格処分の減給について


降格処分の減給には、『懲戒処分による減給』と『降格に伴う減給』があります。

『懲戒処分による減給』では、就業規則の懲戒規定にのっとって給料が減額されます。

一方、降格で役職が下がり、役職手当が減ったなどの理由で給料が減るのが『降格に伴う減給』です。
 

減給の判例について

減給については、それを不当とする人も多く、裁判になることもしばしばあります。

配置転換で店長から主任に降格され、それに伴い職務等級が1つ下がり、職能給が1万3000円、役職手当が7万8000円減額された事例では、人事権の行使として行われたこの降格異動には、合理性があるとして降格と減給を認めています。

(東京地裁 平成9年11月18日判決)


一方で、減給を伴う降格は、労働契約の内容を変更するものであるから、労働者の承諾を得るか、就業規則に根拠がなければこれをすることができないと、減給を認めないとする判決も下されています。
(大阪地裁 平成12年5月30日判決)


他に、降格と減給の有効性について、それぞれの有効性を検討する方法を採るものとする(東京地裁 平成9年1月24日、平成21年4月27日判決)という判決もあります。
 

給与減給の限度はどれくらいなの?

では減給になった場合、その額に限度はあるのでしょうか。

『懲戒処分による減給』には、労働基準法によって限度額が決められています。

1回の額が一日分の平均賃金の半額、または一賃金支払い期における減給額は給料の総額の10分の1が限度とされています。(労働基準法91条)

しかし、『降格に伴う減給』については、この限度額は適用されません。

それぞれの会社によって、役職手当や職務等級といった給料の仕組みが変わってくるので、その額に準じることになります。

ただし、この際も、就業規則上に降格があり得ることが明示されていることが必要になります。

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降格処分は労働基準法から見るとどうなる?


降格処分は、従業員のプライドを傷つけ、減給を伴う場合は不利益となる処分です。

処分を不服として反発する人も出てくるでしょう。

実際に、降格処分を不服とした裁判も過去に何件も起こっています。

労働基準法には降格処分についての直接の規定はありません。

会社が就業規則など独自のルールで定めて運用するものになります。

直接的な規則はない分、その処分が法律上禁止される差別にあたらないか(労働基準法3条)、権利の濫用に該当しないか(労働契約法3条5項)という労働法の視点で見ることが大切です。
 

降格による賃金の減額は違法?

降格による賃金の減額についても、直接的に違法になることはありません。

『懲戒処分による減給』の限度額は、労働基準法で定められていても

『降格に伴う減給』の法的定めはありません。

しかし、実際の裁判では、降格そのものを違法とし減給を認めない判決も多く下されています。

明確な法律がない分、さまざまな視点から処分に正当性を持たせる必要があります。

後のトラブルを防ぐには、賃金の規定や、懲戒についての規定を就業規則に盛り込んでおくことです。

また『懲戒処分としての降格』か『人事権行使としての降格』によっても論点は変わってくるので、降格処分の際に本人にどちらの降格にあたるのかを伝えると良いでしょう。

JobQに来ていた質問も見てみましょう。

降格が労働基準法的に違法となるケースはどのようなケースですか?

自分の部署の成果が出ていないということで、降格されそうになっています。

降格の基準は会社によって違うということなので、どうしようもないこともわかるのですが、労働基準法である程度守られるなんていうことはないのでしょうか。

知識が浅く、調べても言葉が難しかったので、こちらで相談しました。

降格が労働基準法的に違法となるケースはどのようなケースでしょうか。

売上を上げることができない客観的根拠が必要です。

自分で集めるのが無理なら弁護士に相談しましょう。

例えば、在庫が無く、仕入れもできないのに売上が上がらないとか、無理ですよね。


とのことでした。

もし降格を不当と感じたのであれば、弁護士への相談をするべきかもしれません。

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▶︎【解雇の種類とは?】退職金に関する労働基準法などご紹介します

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降格処分になってしまう理由とは


では、一体どういった理由によって降格処分が下されるのでしょうか。

まず『懲戒処分としての降格』は、就業規則違反が理由になります。

就業規則は、それぞれの会社によって変わるので、懲戒処分の理由もそれぞれです。

降格の理由として多いのは

  • セクハラやパワハラのハラスメント行為
  • 無断欠勤や遅刻が続くなどの業務違反
  • 飲酒運転、脱税などの違法行為

が挙げられます。

これらの理由はほとんどの会社で懲戒事由として就業規則に盛り込まれています。

しかし、証拠がなければ降格処分を下す理由になりません。

また、弁明の機会を与えたうえで、処分に合理性と相当性があると認められなければ、違法性があるとされます。

そして『人事権行使としての降格』の場合は、会社の人事異動が基本的な理由になります。

具体的には

  • 配置換え
  • 資質・能力不足

が理由として挙げられます。

しかし、注意しなければならないのは、

  • 退職に追い込むための人事異動
  • 有給休暇の行使などの正当な理由
  • 妊娠・出産・育児の理由

の場合は、人事権の濫用とされ違法になり、降格は不当な処分とされます。

また、能力・資質不足を理由とする場合は、それを証明する客観的証拠がないと認められません。

そして、能力不足の原因が、会社が研修を開いていないなど、会社側にある場合も降格の理由としては認められません。

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退職処分と降格処分の関係性について

退職処分と降格処分の関係性

退職処分は、降格処分よりもさらに重い懲戒処分です。

懲戒処分には一般的に6つの種類があります。

処分の軽い物から、戒告、減給、出勤停止、降格、論旨退職、退職処分です。

降格処分の次に重い論旨退職は、問題のあった従業員に退職届を出すように促すか、退職届を出さないのであれば退職処分にするというものです。

この場合は、退職届を出す猶予が与えられ、退職した際も退職金が全額支給されることが多いです。

一方、退職処分の場合は、退職金が一部か全額支給されず、解雇予告手当も支給されません。

最悪の場合は即時解雇となる、最も重い懲戒処分です。

また、過去に懲戒処分を行った場合、同じ理由でさらに退職処分にすることはできません。

例えば、無断欠勤が続いたことで降格になった人に対して、その後無断欠勤が改善されないという理由で退職処分は認められません。

退職処分は、降格処分と違い、収入面での不利益だけでなく、社会的地位まで奪う非常に重い処分です。

降格処分と同様、就業規則の根拠、合理性、相当性がないと処分は認められません。

不当解雇として訴えを起こす人も多いので、処分を下すのには慎重になる必要があります。

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まとめ

降格処分とは、社内での地位を下げることを言います。

懲戒処分による降格と、人事権の行使による降格があり、それぞれルールが異なります。

降格処分についての明確な法律の規定はなく、減給の限度も懲戒処分による減給の限度しか決められていません。

しかし、降格処分は従業員に大きな不利益となる処分なので、違法にならないように慎重に検討しなければなりません。

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