
【家族手当の廃止】増えているって本当?扶養手当との違いは?
この記事では、家族手当の廃止が増えている理由や、扶養手当との違いについて紹介します。家族手当を廃止するために必要な手順や、実際に家族手当を廃止にした例なども解説するので是非参考にしてみてください。
家族手当とは
家族手当は、家族を持つ人に有難い福利厚生の手当です。
各企業独自の福利厚生で、法律上義務付けられているわけではありません。
家族手当ては日本独自の仕組みで、欧米ではこのような手当ては見られないと言われています。
世界の中でも珍しい仕組みです。
家族手当は年々減少している
家族手当を出す企業は年々減ってきています。
東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情」を読み解くと、家族手当を支給している企業は、
1982年 83%
2002年 72%
2013年 56%
と年々減ってきているのが現状です。
扶養手当との違い
家族手当は、扶養の有無にかかわらず生活を共にする家族に支給されるのが一般的です。
扶養手当は扶養家族(社会保険および、所得税、住民税で規定されている)に対して支給されます。
規定は会社の判断に任されており、各社で違いがあります。
そのため会社によっては「家族手当」と「扶養手当」の違いがないこともあります。
家族手当の相場は1~2万円
会社員の家族手当は企業ごとに規定され、一律ではありません。、平均支給額は厚生労働省の就業総合調査結果で知ることができます
2020年は17,600円でした。
会社の規模により、次の通りになっています。
- 1000人以上: 22,200円
- 300~999人: 16,000円
- 100~299人: 15,300円
- 30 ~ 99人: 12,800円
エンジニアで転職を検討しているのですが、家族手当が充実している会社はどこですか?
今、エンジニアの転職を考えているものです。
私の家族は、妻と子供含め、五人家族です。
家族が多いので今の給料では家計は火の車です。
しかし年齢が40代後半ということもあり昇給はもう見込めそうにありません。
今の給与は、500万円弱です。
そこで、今の給与と同じくらいで、かつ家族手当が充実している企業がなにかありましたら、どうか教えていただけないでしょうか?
大手企業であれば…続きを見る
家族手当の廃止が増えている理由
家族手当の始まりは大正時代で、だんだん導入企業が増えてきたという歴史があります。
とくに昭和の戦時中は国策として子供を増やすことを目的としていたため、政府が企業に介入して家族手当の設置を義務付けていたようです。
しかし、令和の今では家族構成も多様化しており、家族手当に対して様々な意見を持っている人が増えています。
そんな中で、家族手当の廃止に踏み切る企業も出ています。その理由を見ていきましょう。
理由①:仕事と直接関係のない手当
家族手当は仕事をした結果の対価ではありません。例えば、小さな会社が、1人5,000円の昇給をすることは今の時代大変なことです。
しかし、子供ができると家族手当が1万円支給されます。また、結婚すると配偶者手当が支給されます。
すなわち、一生懸命働くよりも、結婚したり、子供を作った方が、収入が増えるわけです。
これが、優秀な社員にやる気をなくさせる原因となることがあります。
会社は、あくまで利益を追求する場であり、そのためには、一生懸命働き評価の高い人に給与を上げていくべきという意見です。
評価した給与より手当の方が高くなるということは、考え直す必要があるでしょう。
理由②:ライフスタイルの変化
現代のライフスタイルが多様化し、従来の、男性がその世帯を維持するシングルインカムが廃れ、多くの人が共稼ぎを選択してダブルインカム主流になってきています。
従来の家族構成を想定した家族手当ですので、共稼ぎの方には不公平感をもつ人も多いようです。
また、生涯独身者も増えています。
年功序列型の給与体制がなくなってきて、実力評価による給与体制になってきています。
そのことからも家族手当の再考が必要と考える人が増えているのです。
公務員の家族手当の変化について
公務員として働いているものです。
私の家庭では今まで妻10000円、子供が12歳と18歳の子供がいて二人で21000円、合計31000円の家族手当をもらっていたのですが家族手当の額が変化したら今後はいくらもらえるのでしょうか。
家族手当に関しては配偶者が…続きを見る
家族手当を廃止するには
家族手当の廃止を行うためには、賃金制度を一気に見直すということです。
家族手当の廃止となると、これまでの手当がなくなるわけですから、反対される可能性も高いです。
誰もが結婚して家族を持つ時代であれば、家族手当は受け入れやすい手当でしたが、ライフスタイルが大きく変化し、結婚し家族を持つことが当然といえなくなってきた現状では、検討する必要が出てきました。
賃金制度の見直しを行う
家族手当の廃止は、家族を持つ労働者にとって不利益変更となります。
そのために個別の同意が必要です。この同意をとっていないと労働者が辞める時に、請求されると2年分の家族手当の支払いをしなければなりません。
まずは家族手当に関係のない独身者から同意をとり、最後に現在支給している人に同意をとる手順で進めるとよいでしょう。
みんなが同意していれば、しぶしぶでも同意してくれる可能性があります。
それでも同意してもらえなければ、経過措置をとるという方法もあります。
家族を持っている労働者には、住宅ローンを組んでいる人も多くいます。
そこで家族手当の廃止は月々の支払いに関係してくるので拒否反応も当然です。
そういう人に配慮して、経過措置をとってお互い譲歩することが必要でしょう。
基本給に吸収する
現在支給している手当を基本給に吸収する方法で、支給総額では現状維持のため、もっとも受け入れやすい方法です。
賃金テーブルの上限を超える場合は、調整給を支給し、それを一定期間で償却するのが一般的に行われます。
子供に対する手当に代替する
配偶者に対する家族手当を廃止すると、該当者からの反発も予想されます。
そこでできる手段が配偶者手当を廃止して、その分を子供に対する家族手当に振り替える方法です。
少子化対策の面からも、共稼ぎ家族にも配偶者手当を廃止しても、子供に対する手当が増えることは受け入れやすいでしょう。
家族手当の廃止例
家族手当の見直し、廃止をする企業が増えています。
トヨタ:配偶者手当を廃止
トヨタ自動車では、配偶者手当を廃止し、それを子供に対する手当に振り替えました。
トヨタ自動車は2021年までに扶養配偶者への月1万9500円を廃止し、子供一人当たり月5000円だった手当を2万円に増額すると決めました。
公務員:扶養手当を減額
公務員の扶養手当も時代に合わせて変わりつつあります。
人事院は国家公務員の配偶者分の扶養手当を廃止する方向で検討を進めているそうです。
代わりに子どもに対する手当てを厚くする方向で検討されています。
大まかな流れとしては、「夫が妻を養う家庭」を前提にした制度から「共働き」を想定した制度に見直すということになります。
まとめ
現代のライフスタイルが多様化し、従来の、男性がその世帯の維持するシングルインカムが廃れ、多くの人が共稼ぎを選択してダブルインカム主流になってきています。
従来の家族構成を想定した家族手当ですので、共稼ぎの方には不公平感をもつ人も多いようです。
また、生涯独身者も増えています。
年功序列型の給与体系が崩れ、実力評価型の給与体制に移っている今、家族手当などの給与はそれに相いれないものがあります。
結果として、家族手当を見直す企業が増えているのです。
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