
二重派遣でフリーランスをすると違法って本当?【問題点を解説】
二重派遣という言葉をご存知でしょうか?二重派遣は同時平行で派遣して働いてしまう事を言います。二重派遣はIT業界に務める方が多くある傾向です。この二重派遣は違法性がある可能性もあります。今回は二重派遣を防ぐためのポイントについてご紹介します。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか?
IT業界に多い?二重派遣とは
現在フリーランスで仕事をしている方やこれからフリーランスで働こうとされている方にとって、できるだけ良い条件で自由に働くということは、大きな願いの一つであると思います。
その中で今回は、ITフリーランス界隈に多い二重派遣の問題を取り上げ、その問題の背景や原因、解決方法についてお話しさせていただきたいと思います。
これらを知ることで、事前にトラブルに巻き込まれることを防ぎましょう。
二重派遣の構造
二重派遣というのは、派遣元の会社から派遣を受けた会社(仲介会社)が、その人材をさらに又貸しして、別の派遣先会社に派遣してしまう構造のことを指します。
人材に対して、中間に入る企業が多くなるという点で混乱を起こしやすく、さまざまな問題を引き起こしてしまう原因になりうる問題です。では、こうした問題の根底にある原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
なぜ二重派遣が起こるか
こうした二重派遣が絶えず起こってしまう現状としては、企業側のメリットが大きいことと人材の不足が挙げられます。
企業としては、派遣された人材に対して請負契約を結び、その中で自分たちの好きなように働かせれば、人件費を抑えながら人材を使うことができます。(これは偽装請負という大きな問題です。)
また、人材が不足している分、1人の人材に対してたくさんの関係者が関わっていても、ペイするだけの利益があるのです。
二重派遣が多い業界
二重派遣が多い業界としては、前章の内容から見て分かるように、人材が不足している業界となっています。
また、その中でも請負契約が多いのはIT業界、特にエンジニアなどの技術職の方々でしょう。こうした職種は、偽装請負の契約がされやすい他、契約内容によって不利な労働条件で働かなければならないケースが後を絶えず、解決すべき課題となっています。
二重派遣が抱える問題点
ここで見てきた二重派遣の問題点について、さらに詳しく3点の問題点を見ていきましょう。
この問題点を見ることで、二重派遣の重大さや深刻さがご理解いただけるかと思います。ぜひ、この機会に知っておいてください。
労働者の利益が低くなる
二重派遣においては、中間マージンを仲介会社が取ってしまうために、実際の労働に対して労働者の利益が低くなってしまいます。通常であれば、二者しかいないステークホルダーが一つ増えているので、利益が減少するのは当然のことと言えるかもしれませんね。
契約によっては、多くの残業や休日出勤をこなしたのにも関わらず、手元に残る給与が少なければ、労働者にとって大きな痛手となることは間違いないでしょう。
責任の所在が曖昧になる
また、勤務中の事故やトラブルの際に、どの会社が責任を取るのか、どこが解決をするのか、という責任問題も曖昧になりがちなのが、二重派遣の問題点です。
派遣先会社では何も対応してくれず、かといって仲介会社も積極的な解決をしないとなれば、労働者にとっては頼れるものが少ないですし、いざという時に大きなトラブルとなってしまう可能性が大きく、フリーランスの方が常に不安な状態に陥ってしまうことにつながります。
保険などの対応
前述の責任問題に加えて、労災関係の保障や保険も曖昧になってしまうことが二重派遣の悪い部分です。
特に、IT業界などでは勤務中の事故などが少ないために、こうした問題が顕在化せず、解決が遅れてしまうのかもしれません。業界に関わらず、こうした保険・労災の対応が進むように二重派遣の根絶を目指す必要があるのです。
違法を見極めるポイント
次に、このような二重派遣が違法であるかどうか見極めるポイントをご説明します。
これを知っていることで、万が一不利な労働環境に追い詰められても、その状況を分析して解決するための糸口が見えるはずです。
ぜひ、この機会に学んでおきましょう。
雇用関係を見る
まずは、企業と派遣労働者の雇用契約がどの企業と結ばれているのかを明確にしましょう。この契約が結ばれている企業は、労働者の労働環境や保険などについて処置をする必要がありますし、それを怠れば違反となります。
この関係をしっかりと明確化させて、対処にあたってくださいね。
契約の種類に注意
契約では、請負(委託)契約(ある業務に関する受注を行い、それが完成した時点で宝珠が支払われる契約のこと)となっているのに、実質は派遣と変わらない働き方であれば、それは「偽装請負」という違反になります。
労働者と企業の間にどのような種類の契約が締結しており、実際にそれが守られているのかをしっかりと見極めることが大切です。
指揮系統を見る
また、労働者が誰から指揮命令を受けているのかも大切なポイントです。
請負契約の場合は、派遣先からの指揮は最低限のものであるのに対して、派遣先企業から命令が出される場合は派遣契約ということになります。
自分の契約と、その通りの指揮系統によって自分の業務が決定しているかについては十分注意してみてください。
二重派遣の罰則
ここからは、実際に二重派遣をしている企業への罰則について見ていきます。
このような違反に対しては、しっかりと罰則が定められていますので、これを知っておくことで、企業や仲介会社と対等な関係を構築できるはずです。
ぜひ、これを参考に交渉やコミュニケーションをとってみてください。
どのような罰則になるのか
この二重派遣は、労働者供給事業を禁止している職業安定法44条に違反することになり、かつ中間搾取をしているという点で労働基準法6条に定められている原則にも違反しています。
これらにはそれぞれ懲役や罰金の支払いが定められており、違反は重大な罰につながることがわかるでしょう。事態を認識しているにも関わらずに対処がなされない場合は、こうした要素を交渉材料にしてみてください。
罰則は誰が受けるのか
では、こうした二重派遣の複雑な構造の中で、実際に罰則を受けるのはどこの企業なのでしょうか。
多くの場合、この罰則を受ける企業は仲介会社、そして派遣先会社です。
なぜなら、二重派遣を知りつつ、その違反を犯したのはこの2社であり、派遣元会社に関してはその派遣がお行われることを知っていなかった限りは違反には問われないのです。
罰則の実態
実際に、2017年8月には、厚生省沖縄労働局がある企業に対して二重派遣をやめるように指示し、業務改善命令を出しました。法律が形骸化しているのではなく、実際に運用されていることがこの事例からも分かると思います。
まだまだ暗黙的に行なっている企業はあるにしても、これからそのような労働環境の改善が進んでいくことが見込まれます。
二重派遣を防ぐために
では、こうした二重派遣に巻き込まれることを防ぐためにはどのような対策が必要なのでしょうか。事前にこれを知っておくことで、契約や派遣の前の段階で問題への遭遇率を減らすことが出来るはずです。
ここから、3つのポイントをお伝えするので、ぜひ派遣の際の参考としてください。
契約書を2通作る
フリーランスの方にとって、口約束で契約が交わされてしまうと、その後トラブルになった際に証明できるものが何もなく、不利な労働条件で働かされることとなってしまいます。
したがって、契約は必ず書面で行い、双方の保管用として必ず2通の契約書を作りましょう。
これらをしっかりと保管しておくことで、いざという時に見直しが効くはずですよ。
人を見て案件獲得する
その他の二重派遣回避方法としては、知人や顔見知りからの案件獲得に注力することが挙げられます。顔見知りであれば、劣悪な労働環境で働かせることはないでしょうし、何かのトラブルが起こった際には安心して相談できます。
もちろん、顔見知りであっても契約の際にしっかりと契約内容を確認しておくことを忘れずにしてください。
信頼できるフリーランス仲介サイト
最後は、業界内で信頼されている仲介サイトに登録して、そこから案件獲得をすることです。
- レバテック
- STYLEE
- スキルサーフィン
などいくつかのフリーランスエンジニア専門の仲介サイトが存在するので、ぜひ登録と利用をしてみてください。
中にはエージェントサービスなどを兼ね備えているサイトもありますので、そうしたサービスを利用して、健全で高単価な案件の獲得を目指しましょう。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。
あらゆる疑問を匿名で質問できます
約90%の質問に回答が寄せられています。