
出向契約とは?確認すべきポイントや注意点などをご紹介!
みなさんは出向契約についてご存知ですか?出向には2つのパターンがあり、「在籍出向」と「移籍出向」があります。今回は出向の2つのパターンの説明や出向契約を結ぶ理由、出向契約を結ぶ際に確認すべきポイント、注意点などをご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください!
出向契約とは?
「海外に出向になってウキウキしている」「関連会社に出向するので引継ぎに忙しい」など、時折耳にする「出向」というキーワード。
「出向」と一口に言っても2つのパターンがあるのをご存じでしょうか。
在籍出向
多くの場合「出向」といえばこの在籍出向です。
従業員が元の企業に籍を残したまま、他の企業において短~長期にわたって業務に従事することを言います。
出向期間中は元の会社との雇用契約が継続しています。
そのため「長期出張」「社外勤務」「応援派遣」「休職派遣」等と呼ばれることもあります。
出向後は元の会社に戻って業務をする、あるいは出向先からの要望により一定期間後移籍出向に切り替えるといった可能性があります。
移籍出向
元の会社との雇用契約を完全に終了し、出向先に移籍してしまうケースを「移籍出向」と呼びます。
移籍出向時には元の会社との契約を解除し、出向先の企業と新たに就業契約を結ぶことになります。
そのため「引き抜き転職」のような転職活動をあまりしない転職と変わらないという意見もあります。
移籍出向が行われるケースとしては、ある企業(製造から販売までを一手に引き受ける大企業)においてIT部門のみを独立事業化する(新たに会社を立ち上げる)ケースなどで、IT部門の職員を新会社に移籍出向させる等ということがあります。
出向契約を結ぶ理由
せっかく自社で実績を積んで実戦力となっている社員を、他社や関連子会社に出向させるのですから、何か大きな理由がありそうですよね。
ここでは企業が出向契約を結ぶ理由と目的、及び労働者側のメリットについてご紹介します。
企業の目的
企業が自社社員を出向させるのには、以下のいずれかの目的があるといわれています。
1.経験を積ませるためや人事交流のため
2.当該業務に正式に人員を割けるかどうかの判断のため
3.ノウハウを子会社に伝えるため
4.親会社の社員数を減らし利益率を高く見せるため
5.親会社の人員過多により役職からあふれた社員に子会社で役職をあたえるため
6.出向社員への懲罰
近年20代、30代の社員を他社や海外の子会社に出向させ、厳しい状況を経験させて戦力化することも増えてきました。
出向先であらたな人脈を構築し、戻った後にそれを役立ててほしいという意図がある場合もあります。
また子会社がまだ発展途上のケースでは、経験の少ない子会社の社員に親会社から出向してきた経験の豊富な社員が指導役としてくるケースや、子会社では人手不足で人員を割けない業務を親会社から出向者に担当させ、その後うまくいけば部署化する予定で出向させることもあります。
親会社から子会社に社員を出向させることで、少ない人員でより多くの利益を上げていると見せかけるために利用されたり、親会社において問題を起こした社員に給与等の低い子会社への出向を命じ、懲罰的に利用したりするケースもあります。
労働者のメリット
上記1~4のケースでは労働者側には「在籍しながらさらなる経験を積める」というメリットがあります。
本来であれば転職等によってしか分からない他社の事を、自社に所属しながらにして知ることができるというのは大きなポイントです。
また5では親会社で役職者となれない人が子会社で「役員」等の役職に就けるのですから、肩書や給与面においてメリットが大きいでしょう。
さらに懲罰的な意味合いで出向になった場合でも、本来であれば懲戒免職や諭旨免職になり無職となるところを、転職活動をせずに他社に就職できるのですから大きなメリットだといえます。
子会社から親会社に転籍することってありますか?
親会社にヘッドハントってあるんでしょうか?
上場企業の子会社に勤めており、非常に優秀な同僚がいます。
親会社からの出向者である上司の評価からも良いようなので、(本人の希望は別として)転職される位だったら親会社に転籍して残してくれないかと思うことがあるのですが、そういうケースはあるのでしょうか?
某大手電機メーカーの子会社に勤めていますが、事例はあります。但し、…続きを見る
出向契約をする際に確認するべきポイント
出向する際には出向契約を取り交わすことになります。
この出向契約を行う際に確認しておきたいのが「給与面」「出向期間」です。
給料
移籍出向の場合には実質的に転職と同じなので、給与は出向先から支払われることになります。
しかし在籍出向の場合、給与がどちらの会社から支払われるのかというのが大きなポイントとなります。
在籍出向の場合、給与の支払い割合は以下の3つのケースが考えられます。
1.出向先企業が支払い、元の給与との差額分を元の企業が補填する。
2.元の企業が支払い、出向先企業が自己負担分を元の企業に支払う
3.出向先・元の企業が、各自給与を支払う(出向者はダブルインカムとなる)
また移籍出向の場合は、退職金はそれぞれの勤務年数によって2つの企業が負担するケースや、移籍する際に元の会社から退職金を受け取り、移籍先で新たに勤務年数を積み上げて退職金を手にするケースがあります。
給与にしろ、退職金にしろ、どのような取り扱いになるかは出向先と元の企業による話し合いや契約内容で決まります。
出向の話が出たら遠慮せずに一度確認してみるのが良いでしょう。
期間
どのくらいの期間出向するのかは非常に重要なポイントです。
また出向期間の延長や、移籍出向への切り替えがあり得るのかなどもチェックしておく必要があります。
期間が決まっていないと、どこまで業務の範囲を広げていいかや、引継ぎのスケジュールなどにも影響が出てきます。
出向契約をする場合には契約書をよく確認しておきましょう。
出向契約をする際の注意点
今後のキャリアに大きな影響を及ぼす出向ですが、出向契約を結ぶ際には該当社員の同意と、契約書が必要だとされています。
出向契約をする際に、注意するべきポイントはどのようなところなのでしょうか。
在籍出向の場合
退職・解雇・懲戒などの身分に関する部分は元の会社の就業規則が適用され、労働時間や休日などの勤務に関わる部分は出向先の就業規則が適用されることが多くなっています。
さらに年次有給休暇は、出向後も継続しているとみなされるため、元の会社で付与された年次有給休暇を出向先の会社で使うことができます。
多くの場合は上記のようになりますが、そのあたりは出向契約や2社の考えにもよるので、思い込みで失敗しないよう注意が必要です。
移籍出向の場合
移籍出向はおおむね引き抜きによる転職と同じなので、移籍の際にはいったん退職することになります。
そのため、有給休暇や勤務年数の引継ぎができないのが原則であるとされています。また移籍後は完全に出向先の規則に縛られます。
そのため溜まっている有給休暇を移籍前に消化したり、企業内での福利厚生なども利用できるものは利用しておきましょう。
さらに元の企業と出向先との行き来も少ないことが想定されるので、返却しなければならない書類や、必要な連絡先などもチェックしておきましょう。
さらに業務内容によっては退職後も前職で知りえた秘密を開示しないことなどを約束した契約書を取り交わす必要があります。
まとめ
以前は給与の減額や孤独感といった懲罰的な意味合いが強かった出向ですが、現在はキャリアアップや人事交流のためなど、出向する人にとってプラスになることも多くなっています。
出向を会社から打診されて断ることもできますが、条件次第では自分のキャリアにプラスになるため、しっかりと契約内容を見て前向きに検討してみましょう。
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約90%の質問に回答が寄せられています。
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